終わりのセラフ〜転生した少年〜   作:鬼城

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またまた、新たな敵としてオリジナルキャラクターが出てきます!

そして、久しぶりの吸血鬼…かな?

それでは、どうぞ!


二十七話 第10位始祖

場が凍りつくのが分かる。

それはきっと俺が言ったことがこの五人にとって考えもしないことだったからーー。

 

「え?冗談はいりませんよ。陵さん」

 

「俺たちを驚かせようとしているのか?陵」

 

薄紫色の髪をした女と黒色の髪をした男は顔を真っ青にしながら震えた声で明るく話す。

 

「冗談?いや…本当に君たちは誰?」

 

「そ…そんな…」

 

「おいおい、嘘だろ!?記憶喪失k「陵!なにも覚えて無いのかよ‼︎」

 

ピンク色をした髪の男の声を遮って黒色の髪をした男は俺の肩を揺さぶる。まるで縋るように…しばらくしてその揺さぶりも終わったので俺は恐る恐る聞いてみる。

 

「あの…とりあえず、名前教えてもらっても?」

 

「…分かりました。その前に場所を変えましょう。みっちゃん、あそこへ私は後から行きますので」

 

「あ…ああ」

 

そして、俺は金髪の女についっていった。

しばらくして着いたのは仮設で建てられているような店ーーカフェらしい。そこにある席に俺は座らせられた。

 

「なんでも、頼んでいいぞ」

 

「あ…ありがとう。」

 

金髪の女に言われてメニューをみる。そこにあるオススメと書かれたメニューを頼んだ。名前は既に覚えていない…結構長い名前だった。

 

「すみません、遅れました。」

 

と、そこで別行動をとっていた薄紫色の髪をした女が合流する。その顔には泣いた後があるように見える…気のせいだろうか。

 

「よし、みんな揃ってるな。それじゃ自己紹介だ。まず私が三宮 三葉。そして、赤い髪をした奴が君月士方。黒い髪をした馬鹿が百夜 優一郎。茶色の髪をした奴が早乙女 与一。最後に薄紫色の髪をしたこいつが柊 シノアだ?」

 

「えっと…三宮さんたちはなんで俺の名前を知っていたの?」

 

俺の言葉に言いにくそうにその五人は顔を見合わせる。そして口を開いたのは柊さんだった。

 

「あなたは私たちの仲間ーー家族なんです。昨日、陵さんは急に倒れて…多分…記憶喪失だと思われます。」

 

記憶喪失…自分としてはそんなこと思わない。ちゃんと自分が何者なのか分かる。それに生きてきた記憶もある。生活に支障はない…だが…この人たちが嘘をついているようには思えない。

 

「おまえ、いつまでの記憶があるんだ?」

 

「えっと…生まれてから十年分?」

 

「じゃあ、10歳か…おまえ自分の体見たのか?」

 

君月さんに言われて自分の体を見てみる。さっきまでなにも思わなかったが確かに10歳とは思えない体つきだ。つまり俺は本当に…

 

「記憶喪失なんだね…」

 

「ああ、それとあと一つ。おまえの親の名前は?」

 

「俺の?鈴谷 陽一と鈴谷 朱里だよ。」

 

「…やっぱりか…」

 

なにがやっぱりなのかわからない。これを聞いてなにが分かったのだろう。

 

「君月、どういうことだよ。」

 

「自分で考えろよ、馬鹿が…」

 

「なんだとー!」

 

どうやらここにもさっきの質問の意味が分かっていない方がいるらしい。

 

「あの…ここは何処なんですか?」

 

さっきから思っていた事を聞いてみる。遠くにみえる城壁…そんなものは東京に…いや、日本になかったはずだ。

 

「…ここは新宿です。信じられないかもしれませんが…日本は…いえ世界は崩壊しました。人口も十分の一にまで減り人類は滅びかけたのですが、日本では鬼呪装備というものができ、吸血鬼とも少しは渡り合うことが出来てきています。」

 

「き…吸血鬼!?そんなものがいるの?それに人類が滅びかけるって…」

 

「吸血鬼は昔からいますよ。まぁ、それがこの世界に起きたことです。」

 

俺が生まれてから10年後近くでなにがあったのだろう。それに俺の世界では吸血鬼はすでに伝承の中でしか存在していなかったはずだ。本当に吸血鬼がいるのなら会ってみたいものだ。

 

そして、それからたくさんの話を聞かせてもらった。俺の事は勿論のこと柊さんたちのことも…俺にとっては楽しい時間だった。だが…聞いていて疑問に思うことが出てくる。

 

 

 

何故、俺は呪いのことを考えず人と触れ合っているのだろうと…

 

 

 

 

親戚が死んで俺は他者と関わらないためにも一人暮らしを始めたはずだ。それを忘れて家族と呼べる人たちがいる。なんとも信じがたいことだ。まぁ、信じなくてはいけないのだけども…

 

「で、何か思いだしたか?」

 

「えっと、百夜さん。顔近いです。あと、すみません…やっぱり何も…」

 

「おい、馬鹿優。そんなにあせらせるな。今は陵が自分のことを理解することのほうが大切だ。」

 

「んなこと言ったって三葉、お前は陵がこのままでもいいのかよ!」

 

「そんなこと言ってもなにも始まらないだろ‼︎」

 

仲の良さそうな人達が俺が記憶を思い出せないがために喧嘩をしている。止めようと思っても俺にはそんな事は出来ない。火に油を注いでしまうだけだ。そう思い、二人の言い合いを申し訳なく見ている時…

 

『緊急警報 緊急警報、吸血鬼…それも貴族と思われる吸血鬼が新宿の東城壁外で吸血鬼殲滅部隊と交戦中。念のため、避難をお願いします。繰り返しますーー』

 

という放送が響いた。それに反応して動いたのは百夜さん。

 

「ちっ、今はグレンがいないのに!シノア‼︎」

 

「はい、私たちも向かいましょう。」

 

「…あの、俺は?」

 

「……ここで待っていてください!いいですね。動いてはダメですよ?」

 

そう言うと柊さん達は走って行ってしまう。その人たちの背中を見て俺は…

 

 

 

 

 

 

『なんで命をかけてまで戦いにいくのだろう。』とそう思う反面ーー

 

『なんて勇ましくかっこいいのだろう。』とーー思ってしまった。

 

 

柊さん達を見送ってからしばらくして城壁の外のほうで煙りがあがる。確か、鬼呪装備とか言うやつで戦っているはずだ。その中で百夜さん達は強い黒鬼?をもっているはずだからきっと大丈夫だろうと安心したいのだが…心の中で何処か不安が残る。

 

「あの人たちは俺のことを仲間で家族って言ってたな。それなのに俺は…ここで待っているだけでいいのかな…」

 

話していく内にあの人たちは優しい人なのだと感じられた。俺もきっとそんな優しい場所が好きだったのだろう。今となっては分からない答えーー

 

ドォンーーさらに爆発したような音。その音がした方を見ていると、沢山の怪我人が運ばれているのが目に入った。その怪我人は救護班と一緒に俺の目の前を通る。そんな時ある言葉が耳に入った。

 

「早くあいつらを…助けなきゃ死ぬぞ…」

 

あいつらが誰を指すのかはわからない。それでも俺の足は知らないはずの道を知っているかの如く目的地へ駆け抜けた。

 

 

城壁外に出るとそこには血を流している軍人の姿があった。それを冷たく見下ろすのは一人の吸血鬼。それを見て優は叫ぶ。

 

「おい、てめぇ!なにしてやがる!」

 

その声に反応しその吸血鬼は顔を上げる。

 

「また、新手の人間か。別に戦いたくて来たわけじゃないんだけど…」

 

その吸血鬼は白髪で人間でいうと二十歳ぐらいの容姿をしている。

 

「みなさん、陣形をそのままで、陵さんがいないのでそれをふまえて行動してください!」

 

シノアが指示を出す。それに従って動こうとする優たちーーその刹那一つの旋風が陣形を横切った。そしてその風が通った先には先ほどの吸血鬼がいる。

 

「くっ…はや…新宿に行く時にあったあの吸血鬼以上ーーですかね。」

 

「君たち、遅いよ。僕の相手にもならない。」

 

吸血鬼は一言そう言うと剣を振り降ろす。その時の衝撃波や風によって陣形は崩れその一振りでシノア達には無数の切り傷が出来ている。

 

「ほら、どうしたの?攻撃してみなよ。」

 

「クソッ…クソぉぉぉおオオオ!ヴァンパイア!」

 

優はその吸血鬼に向かって突っ込む。それを手にもっている剣で受け止める吸血鬼。

 

「そんな攻撃じゃ……お?」

 

吸血鬼の顔が驚きの顔に変わる。どうみても頭に血がのぼっていた優。だからこんな考えた攻撃をしてくるとは思わなかったためかその吸血鬼は優の突如の蹴りによって少し後ろに下がる。

 

「へ〜、今の攻撃は良かったよ。ガードしてなかったら危なかったかな。これが、鬼呪装備の力か」

 

「違うね。俺の力だ!」

 

さっきの攻撃が通じた事によりさらに自信をもって突っ込んでいく優。それを見てシノアは指示を出す。

 

「みなさん!優さんの援護を!」

 

「たとえ、君たちがかたまって来ても意味ないよ。もう手加減はしない。」

 

吸血鬼は優が突っ込んでくるのを笑いながらみる。

 

「そうかもしれない。けどな、仲間を舐めてもらったら困るっ!」

 

そして優は吸血鬼に刀を振り降ろす。吸血鬼はそれを剣で受け止めずに避ける。その避けた場所に、待っていた君月が剣を振る。その攻撃を避けて、

 

「遅い…赤髪の君、考えて動くだけじゃスピードが落ちるよ。」

 

そう言いながら君月の肩に手を置きそして宙返りをして君月の後ろをとる。そこに五本の光の矢が飛んでくる。吸血鬼はそれに驚く事なく対処する。

 

「君たち、本当に僕を殺す気あるの?ちょっと楽しめそうと思ったのに…失敗だったかな。」

 

「それはどうかな!開け!阿朱羅観音‼︎」

 

優の周りに現れた数本の刀は吸血鬼に向かって飛んでいく。

 

「へぇ、これは驚いた。」

 

それでも、吸血鬼は余裕の顔でそれらの刀を払い落とす。そして、気がついたらその吸血鬼は優の目の前におりーー

ドスッという音と共に優の腹部に吸血鬼の剣がささった。

 

「それでも、僕には勝てない。もっと工夫をしないとね〜。」

 

「優さん‼︎」

 

シノアは座り込む優の方に走る。その光景を見ながら吸血鬼は自分の剣についた優の血を舐める。

 

「殺す前に一つ。鈴谷 陵を知っているかな?」

 

「…その前に自分の名前を名乗ってはどうですか?」

 

シノアはその吸血鬼を睨みながら聞く。

 

「ははは、家畜のくせに…まぁ、いいけどね。僕は第10位始祖 サテラ・バートリー。君たちの知っている銀髪の吸血鬼 フェリド・バートリーの弟さ。」

 

「吸血鬼にも兄弟とかあるんですね。」

 

「まぁね、君の…優くん?が使っているその鬼呪装備の鬼…阿朱羅丸はね、ここ日本を治めている吸血鬼の女王と兄弟だよ。」

 

「クルル•ツェペシ…」

 

「それそれ、で…鈴谷 陵は…どこかな?」

 

「教えるわけn「そ、じゃあ死ね」

 

そして剣がシノアに向けて振り下ろされた。




少し長かったかもですが、読んでくださりありがとうございました!

次回もよろしくお願いします!
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