終わりのセラフ〜転生した少年〜   作:鬼城

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恋愛ものが苦手な人はすみません。

今回は少し恋愛ものがあるのでそれを知って見てもらえればと思います。

それでは、どうぞ!


二十八話 帰還

知らないはずの道を走り、ついた場所は城壁の門の前。そこには軍人が二人いた。開けてくれそうになかったのだが。その二人は俺を見るとすぐさま扉を開ける。

 

「あなたの仲間、シノア隊が今、戦っています。急いで行ってください。」

 

今の俺には分からないが俺の事を知っているらしい。そう軍人は言うと俺を城壁外へ送り出した。そしてーー

 

「なっ‼︎」

 

柊さん達がいた場所は門からさほど遠くはなかった。そして、その場所で見たのは剣先を柊さんに向けている吸血鬼の姿。このままだと、彼女は死んでしまう。というのは見てわかった。それに、柊さんの近くには腹部から血を流している百夜さんの姿も…

 

「本当に…吸血鬼と戦うの…か…。それに、全てが…壊れてる…。」

 

周りの建物は全てが崩れていたり傾いていたりと悲惨だった。道路もボコボコであの平和だった日本とは思えないほどーーでも、今はそれどころではないと戦っている方を見る。丁度、吸血鬼が剣を振り上げた。それを見て俺は一気に駆け出す。

 

ギィンーー。金属音が響く。

 

「あれ?」

 

俺の手元にあったのは一つの刀。何処からか現れたその刀がなんなのか俺には何故かすぐに分かった。

 

「これが…鬼呪装備…」

 

「また、新手の人間か…じゃまだよ。」

 

吸血鬼はさらに剣に力を入れて俺ごと振り下ろそうとする。なんとか踏みとどまりそれを流す。それを終えた後、後ろから声が聞こえた。

 

「りょ…陵さん!まさか、記憶が戻ったんですか!?」

 

柊さんの声だ。その言葉に俺は首を横にふり、もどってないと伝える。そして、すぐに吸血鬼を見据える。

 

「陵?…なるほど!君が鈴谷 陵くんだね?それなら、話が早い。君のその刀、僕がもらうよ」

 

「なんで、俺の名前…」

 

そして、吸血鬼が俺の目の前に現れる。流石に…速い!戦闘経験などない俺なのでもちろんその速さについていくことが出来ず、決着は早かった。

 

「僕の勝ちだね。それじゃバイバイ♪」

 

その言葉の後、俺の腹部に冷たい剣が突き刺さった。

 

「くっ…そ…、」

 

「陵さん!」

 

鬼呪装備は俺の手を離れ地面に落ちる。それを吸血鬼が拾おうとしたときだった。その吸血鬼の片手がボトッと地面に落ちた。

 

「ふぅ…危なかった…。阿朱羅丸には感謝だな。」

 

さっきまでの百夜さんの腹部にあった傷はなくなっている。それを気にしていない百夜さんは吸血鬼に剣先を向けた。

 

「陵のやつはやらねぇよ。俺が相手だ!」

 

そして、百夜さんは吸血鬼に戦いを挑む。それを見て俺は意識を失った。

 

 

そこは真っ暗な空間。背筋を撫でるように寒気が襲うその場所は何処か不気味だ。それでも、俺は歩き続けた。ある目的のものを探して…

 

「いた…」

 

突然、目の前に現れたのは大きな殻。それに手で触れる。

 

『俺は…傷つきたくない…お願いだから…ほっといてくれ…』

 

触れると聞こえてきたその声は俺が探していたもの…つまりは記憶…

 

「今、百夜さんが戦っているよ。いつまでそうしているつもり?」

 

『………俺が行ってもなんにもならない…』

 

同じ声で帰ってくるその言葉は今にも消えてしまいそうだ。

 

「ここが、何処だか知っているの?ここは心の中…記憶が流れる空間。それがここで途切れてる。おかげですぐに会えた。まぁ、それによって記憶喪失みたいなものになったんだけど…」

 

『それを、知ってるって事は、俺の…記憶を見たんだね…』

 

「そうだね。おかげで帰れなくなった。向こうでもし俺が目を覚ましても器だけの存在になるだろうね。」

 

『……なら…なんで来た?』

 

その問いに俺は笑って答える。当たり前だろ?と…

 

「君を説得するため…」

 

『見たんだろ?俺の記憶を…俺は…産まれるべきではなかった。』

 

「そうだね。俺は天災そのものになる。それが破壊神の力だからね。」

 

『……俺は人を殺したくない…』

 

それは俺も一緒だ。俺ともう一人の俺との違いは、逃げるか戦うかだ。

 

「それなら、守ればいいだろう!?親戚は俺を引き取って10年で死んだ!それなら、この呪いは…すぐに影響がでるものではない…だから…」

 

『それでも、両親は一年で死んだ…』

 

「……」

 

そんな事実に言葉を失う。そもそも、何故こうも影響が違っているのか…思考が別の方向に進もうとした時、首を横にふりその思考をはらう。

 

「百夜さんとは長い付き合いだよね?もう呪いをばら撒いてる。最後まで責任もてよ…そもそも、そんな事を言うならかかわらなければ良かっただろ!?」

 

『……それは…』

 

「ほら、それなら、みんなも待ってる。戻ろう?」

 

『無理だよ…シノア達に嫌われて…』

 

「君は、シノアがもし自分を殺してしまう危険な奴だとしたら嫌うのか?」

 

『そんなわけ…シノアはシノア…』

 

ほら、答えがでた。というように俺は殻を割る。全てを隔てていたその殻は粉々に砕け散り中から霊体化している俺(記憶)が出てくる。その俺の手を引き…

 

「大丈夫さ。殺してしまったならその分誰かを助ければいい。ただの綺麗事だけど、君は自由だよ。呪いなんてもの吹き飛ばせ!」

 

『はは、過酷な道を歩ませる…』

 

俺と俺が手を合わせた時、真っ暗な空間に光が差した。それは、全てを祝福するように降り注ぎ…天使を思わせた。

 

 

陵が気絶してから優とサテラ・バートリーは激戦を繰り広げていた。全力を出している優とまだ底をみせていないサテラ。どっちが有利かなどすぐに分かる。

 

「よく、動けるね。」

 

「お前こそ、くたばれよ。本気も出さずにそんなに余裕こいでて大丈夫か?」

 

「まあね。僕の目的はそこにある刀だから。」

 

その目線の先には地面に置いてある陵の鬼呪装備。

 

「どうして、この鬼呪装備を狙う?」

 

「君には関係ない。それに…」

 

サテラは優の不意をつき優の足を払う。それにより、バランスを崩した優は尻餅をついた。

 

「チェックメイトだね。」

 

サテラの声が冷たく響く。優に剣先を向けながらサテラは陵の鬼呪装備の方へ歩み寄り、掴もうとした時ーー

バチッという音が響いた。急に、はしった鬼呪装備からの電流によりサテラの手は少しだが痙攣している。

 

「これが…拒絶か…なるほど、悪者に悪用されないようにするためか…それは、彼女らが欲しいと思うのは当然だねぇ。」

 

「……悪いね。俺以外には触られたくないみたいだ。」

 

「…!?」

 

急に聞こえた声にサテラは驚く。そして、サテラの目の前にはさっき倒したはずの陵が笑いながら立っていた。

 

 

「来い、沙鬼。待たせてしまった。」

 

俺がそう言うと地面に落ちている鬼呪装備はそれに応えるようにして俺の手元に帰る。

 

「さっきと雰囲気ちがうけど、どうかしたのかな?」

 

「そうだね。少しスッキリしたよ。俺がここにいるのはみんなを守るためだから。」

 

「ふぅん、まぁどうでもいいけど…本当人間ってめんどくさいね。何度も何度も立ち上がる。」

 

苦虫を噛み潰したような微妙な顔をしながらサテラは無理に笑う。

 

「吸血鬼はその力に溺れている。だから、負ける。仲間をしらないからそうなる。」

 

「失礼な。僕にも仲間ぐらいいるよ。今もその仲間に頼まれた御使いだしね。」

 

「あはは、虐められてるんじゃないの?」

 

「そうかもしれないね。」

 

その会話の後、俺たちはそれぞれ攻撃の構えをとる。そして、吸血鬼の首が吹っ飛んだ。それは俺の攻撃ではなく後ろから様子を伺っていた優による攻撃。

 

「……死んだか?」

 

優が呟く。それに応えるように吸血鬼の閉じていた目が開いた。

 

「…!?」

 

「死んだと思った?僕は吸血鬼であって吸血鬼でないからね。これくらいじゃ死なない。」

 

「バイオ◯ザードかよ。それに…君は一体…」

 

体と首がくっついたのかその吸血鬼は首を右左とし、鳴らす。そして、

 

「……鈴谷 陵。君は気に入った、いつか会えることを祈ってるよ。それと百夜 優一郎くんもね♪」

 

そう一言残し、サテラは俺の質問に答えることなく退散していった。

 

サテラが消えていった方を眺めていると急に後ろから殴られる。それはあまりにも弱々しい拳だった。

 

「…心配したんですよ?…おかえりなさい。」

 

「ごめんね…シノア。迷惑かけたね。」

 

「ほんとうです。彼女なんですから、私も陵さんが背負っているもの背負います。なんで…一人で頑張っちゃうんですか?」

 

「うう…ごめん。」

 

図星をつかれて下を向いている時、シノアが目の前に移動する。

 

「陵さんには、罰を与えます。」

 

「おぅ…」

 

殴られることを予想してしっかり歯を食いしばる。そして目を瞑る。それでも肝心の罰が来ない。どうしたのか、と目を開ける。

 

「シノ…ア?…ん!?」

 

その時だった。唇にビリビリッと電撃がはしったように衝撃を受ける。すぐ目の前にはシノアが映り…いわゆる、これはキスというものだった。

 

「陵さん、顔真っ赤ですよ?」

 

「それは、シノアが…」

 

暫くしてシノアは唇をはなし俺を見上げる。その顔はとても笑顔に満ち溢れていた。

 

「陵さんがいけないんですよ。もし、あのまま記憶を失ったままだったら…って思うと私は…」

 

「はい、すみません。迷惑かけました。」

 

謝るから、そんな涙目で見てこないでほしいな。と思いながら謝る。そんな時だった。

 

「お二人さん、こんなとこでイチャつかないでくれるか?」

 

後ろから声が聞こえる。そこには、顔を真っ赤にしながらそっぽを向く三宮の姿と、同じように顔を赤くしている優、君月。そして唯々、笑っている与一の姿があった。

 

「…イチャついてなんかいませんよ。」

 

「そうだね。それと…みんなにも、迷惑をかけた。ごめ…いや、ありがとう。」

 

優はそれに笑って、俺の肩を優しく叩く。

 

「気にすんなよ。俺らは家族なんだからさ。お前がなんであろうが、俺らはお前の味方だ。だから、その…なんだ…」

 

「もっと、頼れって言いたいんだよね?優くんは」

 

「そう、それだ。」

 

「たく、最後まで締まりの無い奴。」

 

「なんだとー!君月てめぇ、もう一回言ってみろ!」

 

そして騒ぐ優。その光景はいつものものでそれを守るためにも、俺は…

 

 

『命をかける』と広がる青空に向けて誓った。

 

 




最後になりましたが、更新遅れてすみませんでした。

次回も遅くなるかもですのでよろしくお願いします。
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