終わりのセラフ〜転生した少年〜   作:鬼城

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遅れてすみません!

忙しかったんです…。という言い訳は置いといて
どうぞ!


三十二話 準備

外に出て、いち早くシノア達の姿を見つけると俺はそこに向かって歩く。そんな俺に気付いてか優は手を振って声をかけてきた。

 

「あっ!おーい、陵!終わったのかー?」

 

「うん、終わったよー!」

 

優にそう答えると同時に君月が嫌な顔をするそして「やっぱり来たよ…」と呟いた。その目線の先には髪を一つくくりにした男性ーー鳴海 真琴と仲間達がいた。そして、鳴海は笑いながらも話しかけてくる。

 

「やぁ、残念だったね。勝てなくて。君たち黒鬼四人いて勝てないってどうなの?それに全然連携とれてなかったよ。ほんとに20歳(ハタチ)なのかな?もしかして年齢詐称してない?」

 

なるほど、さっきのことをからかいに来たわけか…。やめてほしいものだ。俺は関係ないからね、優に任せておこう。と心に決め傍観にてっすることにした。すると、優は鳴海に真顔で言う。

 

「……あの、お前誰だっけ?」

 

「おい、冗談だろ!鳴海だよ!鳴海 真琴‼︎ついさっき、揉めたばっかだろ⁉︎どっちが年上かとか言って‼︎」

 

「あっ、思い出した‼︎おまえあれだろ‼︎握力弱い奴‼︎握力よわ夫‼︎」

 

「名前覚えろよ‼︎」

 

「ぷふっ、あははは!」

 

限界だったーー。なんなんだ?握力よわ夫って、流石に笑える。横を見ると君月も笑っていた。それに他のメンバーも笑いを堪えているように見える。

 

「ふざけやがってもういい‼︎どっちが上かここで白黒つけてやる‼︎」

 

「よしいいぜ‼︎今度はちゃんと連係して勝…!」

 

「やめろ」

 

勝負に意気込む優の頭に三宮の斧がゴンッと鈍い音を立てて当たった。そして、三宮と君月と与一が優の方へ集まり何かを言い、シノアは鳴海に頭を下げている。優のことで謝っているのだろう。

 

「…すみません、こういう子なんです。」

 

「君は?」

 

「隊長の柊 シノアです。先程はご挨拶できずにすみませんでした。鳴海 真琴軍曹」

 

「…柊。ん〜、隊長は少しまともなようだね…でも、部下の教育がなってないよ」

 

「馬鹿にする発言に口答え…」

 

「はい…すみません」

 

「おい!あやまる必要ねーだろ‼︎そいつ握力弱…!」

 

おーい、優くん黙ろうか〜。シノアが謝るのと握力弱いの関係ないだろ…。ぷっ、思い出し笑いをしてしまった……。

 

「おい、君。なんか失礼なことを考えただろ」

 

「まさか、鳴海さん。俺はそんなことを考える人じゃありませんよ…ふっ」

 

「おい、笑っただろ!?」

 

「…何のことですか?」

 

俺の惚けるようすに鳴海は諦めを見せて次は優の方へ向かう。優は、君月と三宮に押さえつけられており勝手な行動が出来ないようになっていた。

 

「でも、まぁ。まだ16歳のガキだと聞いた、ならその落ち着きのなさも仕方ないか。今後は私たち19歳のお兄さんたちが教育してやるから安心したまえ」

 

「……むー。」

 

「よろしい、なら名古屋への移動を始めようか。おむつの準備を忘れないようにね、赤ちゃんたち」

 

「3歳しか違わないからさ、こっちが赤ちゃんでおむつ必要なら向こうはパンツしてお漏らししている時期だよね。」

 

鳴海の言葉に対してなんとなくそう言ってみたところ鳴海が睨んできた。一応、すみませんと謝りシノア達の方へ向き直る。そして、

 

「むっかつく‼︎」

 

と優は鳴海を睨んでいたが、気にしないでおこう。そもそもーー。

 

「でも、名前忘れてたおまえのほうが相当むかつく奴だったけどな」

 

君月の言う通りである。最初に仕掛けた?のは優なのだから優が悪い。まぁ、本人はそんなことを思ってないだろうが…

 

「まじでか‼︎」

 

「ほんとだよもぉー、ねぇ?陵くん?」

 

「与一の言う通りだね」

 

「ですが、本当に気を引き締めていかなければいけませんね。渋谷 新宿 池袋といった人間の都市から離れた先はおそらく魔境です。いつ仲間が死んでもおかしくない。」

 

「うむ、おまけに吸血鬼の貴族を殺すとなると相当な覚悟がいる。チームワークについてちゃんと話し合うぞ。」

 

「仲間を置いていこうとしていた奴が偉そうに語るな」

 

君月くんまだ言うか…。

 

「でも、僕らもっと強くなれる。きっとたぶん仲良くなるほど強くなる。」

 

「与一の言う通りだね。きっと、良いチームになれるよ。」

 

そして、俺は空を見上げる。やはり、その空は綺麗で世界が滅亡したとは考えにくい。

(だからこそ…頑張るしかないんだ。)

そう意気込み出発の合図を待った。

 

 

ーーーー…………。

『ねぇ、あなたは強いのね。』

 

(そんなことない…)

 

『きっとあなたなら、誰かの力になれる。』

 

(誰かの力に?)

 

『私はあなたの可能性を信じてるの。』

 

(可能性だって?俺には、そんな事言われる…)

 

『だから、あなた自身を見失わないでね』

 

(………)

 

ーーーー…………。

 

昔のことを思い出した。

蒼い空の下、記憶が繊細に蘇る。

きっと、これを思い出したのは見上げた空が綺麗だったからだろう。そう結論づけて最後に答えられなかった言葉に対して呟く。

 

「…俺は絶対に見失わないさ。仲間がいる限り…」

 

「どうしましたか?」

 

俺の異変に気付いてか横にいたシノアが声を出す。それに、いつも通り笑顔を浮かべて…

 

「なんでもないよ。」

 

とーー。

そんな俺の様子にシノアも笑顔を向けて俺の手を握る。まるで、大丈夫ですよと言うように。

そして、準備体操をしながら優。

 

「さて、あとどんくらい待てばいい?」

 

「吸血鬼殲滅作戦まであと10分ほどです。」

 

「10分ね、みんな心の準備できてる?」

 

「してなくても任務は始まるだろ、なんせここは……もう敵陣の中だ。」

 

君月が言うように既に此処は敵陣の中。詳しく言うと目標が陣取っている場所にある建物の中。相手にはバレていないだろうが油断はしない。そして、今から行おうとしている任務は月鬼ノ組による計8人の吸血鬼貴族狩り。それぞれ、チームになって戦う。俺たちは鳴海隊と一緒に第十五位始祖 ルカル・ウェスカーを叩く。そんな重要な任務を前にやはり、優は緊張感がない。

 

「んで、なんつったっけ?俺たちが殺す吸血鬼の貴族。確かルルル・ラララ〜とかいう…」

 

もう一度言おう。

やはり、優は緊張感がないらしい。とーー。

そして、こんな優の様子に鳴海はため息をつく。

 

「酷いな。任務五分前でも君たちはふざけるのか?ルカル・ウェスカーだ。第十五位始祖の貴族、ちゃんと資料を読めよガキども。」

 

「あ、鳴海か。そうそれそいつ」

 

「その口の利き方もなんだ。私は年上だぞ」

 

「いや〜、階級も上の鳴海さん。優はそういったことは苦手なので許して貰えると助かるんですが?」

 

「鈴谷 陵か…。まぁ、いい。別に謝ってもらおうとは思ってないからな。だが、ガキでも最低限の仕事はしてくれないと困る。私はここで信じてついてきてくれている仲間を失いたくない。」

 

その鳴海の目に畏怖さえ覚える。この人は背中を預けるに足る人間だとやっと分かった気がした。仲間を失いたくない。それはきっと本心だろうから。

 

「それは、俺も…いや、俺たちも同じですよ。仲間を失う気などさらさらない。そして、鳴海隊も例外ではない。なので、よろしくお願いしますよ。」

 

「…俺も、陵と同じだ。俺も仲間を失うのが嫌いだ。怖い。だからここで死人は一人も出したくない。おまえらが同じ任務の仲間ならおまえらにだって死んでほしくない。」

 

「でも、敬語は使えよ。」

 

「あんまそういうの習ってねーんだよ。」

 

頬を右手の人差し指でポリポリとかきながら笑う優。それを見て鳴海は「教育」と俺たちシノア隊に向かって言う。これには、あははと苦笑いをすることしかできなかった。

 

「真琴……あと4分だ。」

 

鳴海の仲間である岩咲 秀作がそう伝える。それにこくりと頷き真琴。

 

「お遊びの時間は終わりだ。君たちがクソほどの役に立たなくても私たちの部隊で任務は必ず達成する。」

 

「役には立ちますよ。囮だとしてもね。役に立たないのであればこんな所来ませんし…我々はあのグレンと互角に戦ったんですよ?」

 

「私たち柊 シノア隊はまだ、ひよっこですが…鈴谷 陵二等兵が言った通り、足手まといではありません。みなさんの邪魔にならないよう精一杯頑張らせていただきます。」

 

「よし、いいだろう。なら全体の指揮は私が執る。」

 

「よろしくお願いします。」

 

会話が終わると次に鳴海は秀作へと任務の最終確認をするよう指示を出す。それを受け最終確認が始まった。

4分後ー14時

一瀬グレン中佐率いる俺たち吸血鬼殲滅部隊《月鬼ノ組》は名古屋に点在する吸血鬼の貴族8人に一斉攻撃を仕掛ける。

俺たちは第十五位始祖ルカル・ウェスカーの始末。もし倒せなかったら、ルカル・ウェスカーが他の貴族と合流しないよう防ぎ、地下街でグレン隊が第十九位始祖メル・ステファノを始末して合流してくれるのを待つ。

名古屋にいる貴族は計10人。そのうち8人を14時15分までに同時に全員殺す。貴族一人につき《月鬼ノ組》3チーム15人で始末する。

これがこれから行われる任務の全て。なのだが…嘘がある。

一つは名古屋にいる貴族は10人ではない本当は11人だ。これを知ってるのはグレンしかいないのだからしょうがないといえばしょうがないのだが…まぁ、大丈夫だろう。

そしてもう一つ、殺すのは9人だ。これは俺一人で行うものの、今接触してきたらとても厄介だ。何故なら、2チームで二人倒さないといけなくなって混乱が生じる。それは非常に避けたい。まぁ、その時は俺がなんとかすればいいかと考え思考を戻した。

 

「ここは、私たちと君ら2チームで倒さなきゃいけない。つまり、期待されている。絶対に失敗は許されない。一人の失敗は…」

 

「《月鬼ノ組》100人の命運に関わる。」

 

鳴海の言葉にそうシノアが答える。

 

「抹殺対象の名前も覚えてないようなら怠け者がいたら全滅の可能性があるということだ。」

 

「殺す相手の名前覚える必要ないだろ。でも、絶対に守らなきゃいけない仲間の名前はもう覚えてる。」

 

そう優は言うと次々に名前を言っていく。それに俺は素直に感心した。こういうのを見せられては俺も頑張ろうと思わずにはいられない。守られるだけは嫌だから、たったそれだけの理由。

 

「よく言った優!時間まであと少し。俺は与一の所へ行くよ。」

 

「あぁ、こっちは任せとけ!」

 

親指を立てらせてグッと前へ出す。

そのあと、与一と深夜のいる狙撃組の方へ向かった。




前書きにもありましたが遅れているすみませんでした!

次話は遅れないようガンバリマス!

それでは、次回もよろしくお願いします、
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