終わりのセラフ〜転生した少年〜   作:鬼城

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2日ぶりです。

なんとか早く書き終えたので投稿します!

では、どうぞ!


三十三話 ルカル・ウェスカー

持ち前の身体能力により一瞬で与一と深夜のいる電波塔へ着く。

与一は緊張のあまりか呼吸が乱れており、逆に深夜は慣れているのか落ち着いている。

 

「深夜、来たよ。」

 

「おぉ、陵くん。助かるよ、なにせ狙撃組は少ないからね。」

 

それはそうだろう。

狙撃が出来るものはここでは深夜と与一そして俺ぐらいしかいない。ほとんどの鬼呪装備は刀などの近接タイプで弓や銃といった遠距離タイプはなかなかに少ない。

 

「はい、与一くん、落ち着いて〜。緊張しない、任務開始まであと2分だよ〜。」

 

「でも、僕らが失敗したら…。」

 

「失敗しないよ。狙撃組の僕らだけですべてを終わらせる。失敗しちゃってもまだ、白兵戦チームがいるだから気楽にね。」

 

さっきからずっと緊張していた与一に深夜がそう声をかける。それを俺もしっかりと聞く。此処では、深夜が狙撃のプロだ。経験が多いのは深夜で、慣れているのも深夜。それならば、話は早い。俺は単にこの人の話を聞いとけば良いのだ。

 

「…沙鬼、来い。」

 

『あらあら、どうしたのかしら?』

 

「俺に力を貸してくれるね?」

 

『えぇ、当たり前でしょ?私はあなたの刀となり剣となる。』

 

そう一言言うと沙鬼は刀から弓へと形状を変化させた。そして、一つ息を吐く。

 

「君たちに狙撃について教えてあげるよ。だから、まず深呼吸。」

 

「あ…はい。」

 

「で、気持ちを楽に、ゆったり空間を支配する。狙撃組は誰よりも冷静に敵を殺し仲間を援護しそして逃げ遅れた仲間は捕らえられて拷問される前に殺す仕事だから。」

 

その深夜の言葉には?と思考が止まる。この人は平然と言ってのけたのだ。仲間を殺すとーー。

 

「「なっ殺すって…!」」

 

「必要ならだよ。でも君たちがここで緊張してたら仲間が死ぬよ。はい深く呼吸、それから止めて鬼を呼んでごらん。」

 

俺は手を見る。薄っすらと汗を掻いているその手は緊張しているのかと実感させた。だから、深夜の言う通りにする。

 

「すみません、落ち着きました。」

 

「俺も、もう大丈夫です。」

 

「よし、もう吸血鬼が出てきてる。照準で捉えて、でも任務時間まで殺意は出さない…気づかれるから。」

 

照準で捉えるとそこには沢山の吸血鬼がいた。

 

「…一般吸血鬼がかなりいますね。」

 

「無視貴族だけ狙おう。貴族を殺し損ったら白兵戦チームのために一般吸血鬼の排除に回る。」

 

「そして、俺はすぐさま白兵戦チームへですね。」

 

「そうだ。ほら、貴族は情報通りベンチにいるよ。見てごらん、あれがルカル・ウェスカーだ。」

 

そこにはベンチに腰掛けている一人の男性の姿があった。手にはワインのようなもの…おそらく血が入っているのだろう。帽子をかぶっていていかにも貴族です。という雰囲気を醸し出している。その後ろには執事のような人物。吸血鬼もそういう関係があるのかとビックリする。

 

「さぁ、始めようか。あと30秒だ。」

 

 

「この季節は風が気持ちいい。そうは思わないか?エスター。」

 

ワイングラスに入っている血を楽しみながら第十五位始祖ルカル・ウェスカーは後ろにいるもう一人の吸血鬼に問う。

 

「はい、ルカル様。」

 

「とても、気持ちいい昼下がり。君も一緒にどうだい?」

 

「いえ私はルカル様のおかげで十分に血をいただいてますのでーー」

 

「そう?でも、この血は4歳の少女の血だよ?」

 

「では、後ほどいただきます。」

 

「うん、飲むといいよ。ところでエスター。」

 

やはり、血を飲みながらルカルは目の色を変えて今度はエスターに声をかける。それはまさに貴族ならではの強者の目。さっきまでの空気がガラッと変わる。

 

「君は第三位始祖クルル・ツェペシから来た書簡はもう見たかな?」

 

すると、エスターはなにやらカバンを取り出しガチャっと開ける。

 

「こちらに」

 

「それ、どう思う?」

 

「東京にいる《日本帝鬼軍》なる人間どもの組織を皆殺しにする計画…ですか?」

 

「そう、人間ごときこために私たちが動けってさ、それも京都から顎先だけで命令だよ。なんだその態度は私がいつクルル・ツェペシの部下になった?」

 

そこで、怒りにまかせて持っていたグラスを放り投げる。カシャッと音を立てて割るグラス。それに対して気にも止めずに京都にいるクルルに対して怒りを積もらせる。

 

「…我々は派閥が違います。上位始祖会からの直接命令がない限りクルル・ツェペシ様に従う必要はないかと。」

 

「なら、今回の件には誰が従う?名古屋周辺にいる十大貴族たちの反応はどうかな?」

 

「まちまちです。クルル・ツェペシ子飼いの貴族は…」

 

「そいつらはどうでもいい。クローリー君はどうだ?」

 

クローリー・ユースフォード

第十三位始祖である彼はルカルより順位が上なため恐ろしく強い。吸血鬼では順位の差による力量がどうなるのか知らないが人間よりも強い彼らはそんなこと気にしないのかもしれない。

 

「第十三位始祖様は第七位始祖フェリド・バートリー様の派閥なので、いまいちわからないところが…あっ!そういえば第十位始祖サテラ・バートリー様がこちらに来ているそうです。」

 

「なっ!そうなの?名古屋でなにが起きているっていうんだ。」

 

彼等にとってサテラ・バートリーは変わり者である。

彼が行くところでは取り敢えず何かが起こるとされていて、事実彼は何か面白いことがないと動かない。それを知ってかルカルは困ったなと顔を顰めた。

 

「一応クルル・ツェペシ様も我々のご機嫌をとるおつもりのようです。」

 

「ご機嫌ね。どうやって?」

 

「関西周辺の人間を集めて名古屋にいる貴族たちに贈るそうです。」

 

「いらないよ。名古屋には名古屋のルールがある。京都の女王が玉座にふんぞり返ったままいいように命令…」

 

「いえ、今回はクルル・ツェペシ様ご本人も名古屋に入られるそうです。」

 

この言葉には流石に驚くルカル。そして、頭を働かせる。

 

「ん〜?それはちょっとまずいな。なら従うべきか?」

 

「難しい問題です。我らはクルル・ツェペシ様と権力闘争をしているレスト・カー様の派閥なので…」

 

かといって、従うことをしなければクルルに消されるだろう。流石に第三位始祖には勝てない。それでも、従ったという事実がバレれば、本当の主からの制裁がある。

そうした問題からどうしようかと頭を悩ましている時、ルカルはある気配を感じ動く。

後ろにいたエスターの首元を引っ張りその身体を盾にするようにして動かす。刹那ーー。そのエスターの身体は何かに撃ち抜かれ消滅した。

 

 

それは、直撃する筈だった。

呼吸を整え弓を引く。すべての矢は目標であるルカル・ウェスカーに吸い込まれるように飛んでいく。

ここに居る三人とも当たると直感で感じた。しかしーー。

 

「うわわ、失敗し…」

 

「与一、避けろ!」

 

失敗により戸惑う与一の方へ敵からの斬撃が飛んでくる。それを形状変化した刀によって相殺させた。

 

「危なかった。深夜、俺は行くよあとは任せた。」

 

「あぁ、与一くん!できるだけたくさんの一般吸血鬼を排除してから場所を移動する!」

 

「は、はい!」

 

そして、すぐさま俺は動く。

優たちはすでに敵へ向かって走り出している。優が先に飛び出していることから優が敵の強さを量るのだろう。

 

「死ねええええええ!!!」

 

そう叫びながら優はルカルに一太刀入れる。それを難なく防いだルカルにさらに君月が攻撃した。それを後ろに避けたところで次はシノアが攻撃を仕掛ける。そのシノアの鎌の刃を見ずにルカルは手で掴んで止める。

 

「人間どもが、はしゃぐな。」

 

その上から今度は鳴海が三叉を振り下ろす。まさに、ジャストタイミング。だが、それをルカルは近くにいたシノアを掴み己の盾にするようにして防ごうとする。だが、すでに時は遅し鳴海の攻撃は止めることが出来ないのでーー。

 

ーーキンッ

 

俺がその鳴海の刃を受け止める。

 

「間に合ったか。」

 

「バーカ、狙いは最初から…ちょっと強そうな君だよ。」

 

不意に後ろから声が聞こえた。急いで振り向くと優が狙われている。反応が遅れた優は敵の攻撃を受け止められそうにない。だが、その時二人のまわりを鬼が囲った。三宮によって具現化した鬼はルカルの手だけで消える。

 

「んなっ、素手で…!」

 

三宮もビックリしている。そんな中、君月が後ろから攻撃を仕掛ける。剣を振った瞬間その剣は弾かれ一瞬で君月は後ろを取られた。

 

「君が死ね。人間。」

 

ドスーー。

 

今度は吸血鬼が驚く番だった。俺はかかったと笑みを零す。

すでに吸血鬼のあらゆるところにグサリと刀が刺さっている。そうーー。彼は周りの察知を怠った。俺らが派手に立ち回ることでほかにいる仲間を察知されないようにし決定的な隙が出来たらそこを狙う。

(これは、読めなかっただろう?吸血鬼!)

 

「秀作!!早くこいつを押さえてぇ!」

 

「お…お願いします!」

 

「さっさと鬼を出せ!」

 

仲間の声に急かされながらも秀作さんは鎖である鬼呪装備を出してそれで吸血鬼を拘束する。吸血鬼の腕に巻きつかれたその鎖はいかに貴族であろうとすぐには外れない。

 

「よくやった、秀作!終わりだ!!!」

 

動けないルカルにみんなで一斉攻撃を仕掛け一気に畳み掛ける。だがーー、そう上手くはさせて貰えないみたいだ。

腕に鎖があって動けないなら腕ごと切ってしまえばいいじゃない♪というように腕を切るルカル。それをすぐさま終えると後ろへ飛んでこちらの攻撃を回避した。

 

「おー、素晴らしい考えの持ち主だね。」

 

「そんなこといってる暇があるかよ。陵。」

 

「いや、優。よく見てよ、ここにあるのはあいつの腕だよ?気持ち悪い。」

 

「だから、そんなこと言ってる暇ないよね!?」

 

「わらわらと…人間どもが一体何人出てくる…」

 

そうルカルは呟いた。腕からは血が出ていて見るに耐えかねない。

 

「……!!逃がさないで…」

 

「………」

 

シノアが叫ぶのを手で制してシノアに耳打ちする。

大丈夫だとーー。あいつは他の貴族と合流はしないとーー。

 

「隊列は崩すな!この陣形のまま敵を討つ‼︎」

 

鳴海がそう指示をだし、もう一度陣形を整える。

 

「…なるほどね。クルル・ツェペシが言っていた潰すべき関東の人間の組織というのはこいつらのことか…確かに危険だ。おい!お前らが『日本帝鬼軍』か?」

 

「………」

 

質問には誰も答えない。

 

「答えるな、襲うぞ。」

 

「待て、すでに気づかれた状態で深追いしても陣形は維持できない。それはもうグレン中佐との模擬戦でわかった。だから、陣形の中におびき寄せよう。おい、優。俺が吸血鬼を挑発する。襲ってきたらとどめはお前が殺れ。」

 

「分かった。君月。一撃で決める。」

 

こうして、君月による作戦が始まった。君月は地面に落ちているルカルの腕を剣で刺し挑発する。

 

「おい、吸血鬼。これ、なんだと思う?」

 

「………」

 

「おまえらバケモノどもは腕を切られても簡単にくっつくようだが…鬼呪で呪って消滅させてもトカゲの尻尾みたいにまた生えてくるのか?」

 

「……やめておけ人間、私を怒らせるな。」

 

「はは、怒る?じゃあ生えてこないなぁ。腕返してほしかったら返してくださいって懇願しろよ。」

 

「…貴様ら皆殺しにしてやる。」

 

「あ?なんだって?聞こえ…」

 

「皆殺しにしてやるっ!!家畜どもがぁぁあ!」

 

と、君月の挑発にかかったところで勝負はすでに決まった。と誰もが思った。その瞬間、いるはずのない声が響いた。

 

「あはは、ルカル君。久しぶり♪」

 

そう高らかにでも楽しそうに言うその声によってルカルは止まる。そして、俺はその声の主を睨む。

 

「…サテラ・バートリー!!何故、ここにいる!」

 

「あはは、久しぶりだね♪鈴谷 陵くん♪」

 

そう言ってサテラ・バートリーは笑った。




これからは、早く出せると思います。

次回もよろしくお願いします!
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