終わりのセラフ〜転生した少年〜   作:鬼城

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今回はほとんどが戦闘描写になっています。
上手くかけてはいないかもしれませんが大目にみてください。

それではどうぞ!


三十四話 魔法

目の前にいるサテラ・バートリーはルカル・ウェスカーに近づいてその肩に手を置く。

 

「まさか、人間に負けるなんてことはないよねぇ?」

 

「触るな。流れ者が何しに来た?」

 

「だって君、殺されそうだったしね。」

 

「そんなはずないだろ。邪魔をするな、サテラ・バートリー。」

 

ルカルとしては順位としては負けているがどこの派閥にも属していないサテラを敵対視しているのだろう。仲が悪いのは誰の目からみても明らかだった。

 

「どうする?陵。貴族が二体だぞ?」

 

「いや、大丈夫だ。優は目の前のことに意識しておいて」

 

そして、また二人の吸血鬼に意識を戻す。余裕があるサテラは俺たちを敵と見なしていないようでただ、会話を楽しんでいるだけだ。それでも、隙はない。

 

「それで?僕の手を借りるかい?ルカル君」

 

「誰が…お前なんかの手を…」

 

「人間ごときになに時間かけてんだか」

 

その言葉にルカルはキレた。その怒りを向けられるのはこっち。先ほどと同じく俺たちの陣形の中に突っ込んでくる。

その迫力は鬼気迫るものがある。

 

「お前らのせいで!お前らのせいで!あんな奴に…!殺してやる!」

 

と叫びながら突っ込んでくるルカル。

いや、ほんと心の底から黙祷するよ。うん、だって彼はもう死んでしまうのだから。

 

「…!!」

 

ルカルは何かに反応する。それは後ろの方から狙っている狙撃組。でも、それはフェイクだ。狙っていますよと見せびらかしているだけ…。それに気づかないルカルは避けようとする。そこでーー。

 

「死ぬのはおまえだ。吸血鬼」

 

優の刃がキラリと光る。そう錯覚したあとにはすでに吸血鬼は胴と脚を切断されて消えそうになっていた。

 

「ぐ…あ…、傷が…傷が修復しない…」

 

「あーあ、死んじゃうよ。ルカル君。だからさ…、僕が最後は殺してあげるよ。」

 

いつの間にやら現れたサテラはルカルを上から串刺しにするように剣を振り下ろす。そして、ルカルは絶命した。呆気ない最後。優は悔しそうに言葉を失っている。

 

「…なんで、なんでお前が殺した!?」

 

「陵くんは優しいんだね。でも、彼はすでに死んでいたよ。だから僕が楽に殺してあげた。使えない道具はいらないからね。」

 

「ふざけるなよ…。吸血鬼がなんでもしていいと思って…」

 

「思ってるよ。だって、こいつは君たちの策にまんまとはまって負けたんだから。それ相応の処罰をしなきゃね♪だって、我々吸血鬼に弱い奴はいらないんだからさ」

 

「………」

 

狂ってる。

その言葉しか思い付かなかった。

人間も禁忌を犯すほどには狂っているのかもしれない。だが、目の前にいるこいつはそれ以上だと自分の本能が叫んでいる。

 

「優…、グレンと合流するんだ。俺はやらなきゃいけないことが残っているからさ。」

 

「陵…。分かった。負けるなよ。」

 

「…すぐ戻るさ。」

 

素早く会話を終わらせる。優はすでに仲間に指示を出しており、撤退を始めていた。

 

「あ〜れ〜?優くん達は来ないの?」

 

「貴様ごとき俺で十分だってさ。」

 

「へぇ?逃すとでも思っていたの?」

 

「…思っているさ。というより、邪魔はさせないからね。」

 

そして、サテラは優たちを逃がさないとでも言うように一瞬で優たちの前に回り込む。それをすぐさま阻止すべく俺は刀を振った。

 

「よっと…。いやぁ、危ない危ない。」

 

「行かせるとでも?」

 

「……あはは、やっぱり君は面白い。ほんとは優くんたちを殺すのが目的だったんだけど…。君がいるから無理そうだ。」

 

「……喋ってていいの?すでに君の腕ないよ?」

 

「は?」

 

今頃気づいたのかサテラは自分の腕を見る。滝のように流れ出るのは人間と同じく真っ赤な血。

(あの時、斬撃の数は二つだったんだよ。)

一呼吸の内に二つ斬撃を重ねる。剣術を極めた人は一呼吸の内に三つ斬撃を重ねるらしいが、これは俺にとっては挨拶がわりだ。

 

「そんな…バカな」

 

「俺はね…君たち吸血鬼から逃れたあと何したと思う?」

 

「………」

 

「只々、必死に剣術を磨いた。素早い敵を如何にして斬るか。如何にして分からないようにして斬るか。如何にして綺麗に斬るか。これら全てを研究して、辿り着いたのが…これだよ。」

 

「(そんなの…人間の技じゃない!)」

 

俺の剣は糞みたいに軽く脆かった。なんの気持ちも技術も入ってないその剣はゴミであり、剣ではない。だから、俺はこの剣に刀に吸血鬼に対する憎しみを込めた。優という家族の想いも一緒に込めた。たとえ、特権で武術が最高に出来るとしてもそれは極めた人の足元にも及ばない。

 

「…君は…実力を隠してたんだねぇ?」

 

「隠してた訳ではないよ。本気でやる相手がいなかっただけさ。」

 

だからーー。本気を出させてね。と心の中でつぶやいて、走り出す。

そして、刀を振り下ろした。だが、すでにその場所にサテラはいない。

 

「後ろががら空きだよ♪」

 

あぁ、そんなこと知っている。

すぐさま、サテラの後ろへ回り込み刀を振り下ろす。その斬撃の数は一度に三つ。

 

「…なっ!」

 

サテラは顔を驚愕に歪めながらもクルリと振り向きざまに剣を振るう。それにより消せた斬撃の数は二つ。消せなかった一つはサテラの足に深く刻み込む。

 

「…速っ!人間なのに…どうして!」

 

「そう、そこだよ。君は間違えた。俺は人間でも…バケモノさ。」

 

今まで、自分が否定してきたことを認める。

あぁ、そうだ。俺はバケモノだ。とーー。

 

『我を受け入れるか否か?』

 

不意にそんな声がノイズと共に聞こえた気がした。

だが、今はどうでもいいと切り捨てる。戦いの最中なのだ。そんなことに気を回す余裕はない。

 

「いや、まさかこれ程とは…」

 

「……」

 

「でも、簡単に死ぬサテラさんではないんだけど?」

 

そう言うとサテラは俺に向かって走ってくる。

普通の人ではまず見えないだろうそのスピードは俺にとってはまぁまぁ速い程度である。

サテラは剣で水平に斬る。それを刀で受け止めて、すぐさま蹴りを放つ。それをしっかりと受け止めたサテラに再度刀を振り下ろす。

 

「…くっ、重っ!」

 

「……さすがって言えばさすがか…」

 

一旦距離をおくサテラ。この状況ーーすでに俺が勝っているのだが、サテラはまだ余裕そうに笑った。

 

「いや、今回は見逃して…」

 

「あげないよ。」

 

「それなら、しょうがないか…」

 

お手上げでーす。というような演技をした後、サテラは突っ込んでくる。それに合わせて俺も走る。そして、刀を振る。その刀は何にも防がれずにサテラの胸へ。ーーと思われたのだが刀は空をきる。

 

「…!?」

 

避けられた!?

そう思っても目の前にはサテラの姿がある。なら何故?

答えは簡単だった。霧ーー簡単に言うとサテラの身体は霧だった。斬っても斬ってもその身体から血が出ることはなく霧のように揺れるだけ。

 

「そういえば、君は吸血鬼じゃなかったね。」

 

「…まぁ、そうだねぇ。」

 

だからと言って何だと言うんだ。

それなら霧ごと蒸発させてしまえばいいのだ。それか…

霧になる前に斬ればいい。最初は攻撃が通っていたのだから霧になるにはなにかしらの発動条件があると考えていい。

それを一瞬で考えて攻撃をする。

 

「無駄なことを…」

 

なんてサテラはボヤいているが…そうでもない。

発動条件を絞り込めばこちらの勝ちだ。

 

ーーサテラは最初斬られた。

 

ーーサテラは最初から能力?を発動させなかった。

 

ーーサテラはあの時攻撃を加えずにただ俺の攻撃を受けた。

 

ーーサテラは言った無駄なことをと…。

 

考えろ。それらから結びつくことを…。

刀を振りながらも考える。

いや、まてよ?何故霧なんだ?そんな疑問が頭をよぎった。

ふと、周りを見渡す。湿度が最初に比べて高いからか色んなものに水滴が付いている。

 

「……なるほどね。だから無駄なわけか」

 

「あれ?気づいちゃった?」

 

「………してやられたね、これは…」

 

「あはは、そうだよ。君はもうすでに結界の中にいるわけ。この結界の中では僕には勝てない。」

 

準備はきちんとしておかないとねぇ?

と呟くサテラ。

そんなサテラに俺は薄く笑う。

 

「何言ってるの?僕には勝てない?寝言は寝ていうもの…!」

 

そして息を整える。

温度を下げる結界?いや、ちがう水蒸気を増やす結界だ。水蒸気を増やすことで何故、サテラが霧のようになれる?

まてよ…霧じゃなくて幻影だったら?水蒸気に光…屈折。

 

「まぁ、どっちでもいいか。本人が霧になれないのなら…ね?」

 

「…ちっ、でも君は結界の中にいるんだよ?」

 

「うん?それがどうしたの?」

 

結界の中にいる?それがどうした。結界があってそれが邪魔をするなら壊してしまえばいいじゃない♪

 

「形状変化!二千個!」

 

手始めに…刀を二千個上空に出す。

手を振り下ろすのを合図にその刀は降り注ぐ。広範囲に隙間もないくらいに降り注ぐその刀達は相応の威力を持っている。

 

「う、うそだろ!?」

 

サテラは綺麗に整っている顔を歪め驚愕する。

その間にも刀は降り注ぎ最後の一本で結界が壊れた。パリンという音ともに水蒸気は減っていく。俺を囲っていた檻は消えたみたいだ。

 

「結界を張るのに時間がかかった。それは多分結界の素となるものが何個かあったから。結界を形成しているその素を壊してしまえばいいのさ。だからこその当てずっぽうの攻撃。この結界はそれほど大きいものではなさそうだしね。だって、おまえは攻撃のあと距離をとるときそれほど遠くにはいかなかったし」

 

俺の説明のあとパチパチパチと拍手の音が聞こえた。

その音は結界が張られてあった所の外側。そこにはサテラが立っている。

 

「いや、これほどとはね。君が僕の幻影と戦っているときに背後から狙おうと思ってたんだけどなぁ」

 

「で?続けるの?」

 

「逃してくれるのかな?」

 

「いや、逃がさないけど?というより動かない方がいい」

 

「そっか、それでも逃げさせてもらうよ。命は惜しい」

 

そう言って逃げていくサテラ。どうやら俺の注告を違う意味で捉えてしまったようだ。動いたら俺が殺しにいくとでも思ったのかねぇ。それもあってはいるけど俺が動かない方がいいって言ったのはーー

グチュッという鈍い音が響く。その音ともに噴き出たのは血だ。

あぁ、言わんこっちゃない。

そこら辺は重力を200倍以上にしてるから踏み込んだだけで潰れてパァなのに…。

 

「だから言ったのに…動かない方がいいって…ねぇ?魔法使いのサテラ?おまえは凄かったよ。水蒸気と光を使う幻影でもそれだけじゃあれほどの幻影は出来ない。最後まで信じられなかった。まさか魔法が使えるなんてね」

 

死んでいるサテラに向けてそう言葉を残し俺は優達の方へと向かった。

 




とまぁ、魔法がつかえたサテラくんでしたー!

今回はオリジナルでしたが次回は原作通りになります!工夫をしてちょこちょこ変えますが次回もよろしくお願いします!
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