それではどうぞ…
「ねぇ、陵…私たちずっと一緒にいれるよね?」
俺は答えない。ずっと空を見上げている。
「私は、陵と離れたくない…」
そんな彼女の初めての願いに俺は応える事ができなかった。
手を繋いで帰ろうかと一緒に歩き出す。しばらくしたら周りの人のキャーッと言う叫び声が聞こえてくる。
その車は飲酒運転だった。その車は道をはずれ此方に突っ込んでくる。
俺は何もすることができなかった。彼女を守る事が出来なかった。そして俺は運良く生き延び、彼女は死んだ。
目の前で死んでいく彼女をみながら何もせずに…‼︎
◆
目が覚める。
上半身を起こすと涙が頬を流れるのが分かった。
そんな涙を右手で拭う。
「久しぶりに見たなあの夢…」
ベットから降りようと、視線を下にむける。
その視線の先にはシノアが気持ち良さそうに寝ている姿がある。
(……あ…れ?)
「え?シノア?なんでここに…」
一瞬俺が部屋を間違えたのかと周りを見るがそこはちゃんと俺の部屋だった。
「陵さぁん…それは…私の…朝ご飯ですよ…ふふっ」
シノアが寝言を吐く。どんな夢を見ているのか知らないが楽しい夢なのだろう。そんな幸せそうなシノアの顔を見て頭を撫でる。
「さてと、朝ご飯作りますか。」
シノアを起こさないようにそっと部屋を出る。
シノアが起きて来たのは丁度朝ご飯が出来た時だった。
「美味しいです。陵さんはきっといいお嫁さんになります。」
シノアがパンをかじりながらそんな事を言ってくる。
「お嫁さんかぁ、せめてお婿さんにしてくれないかなぁ。」
そんな冗談を言いつつ朝7時50分に家を出た。
◆
『月鬼ノ組官舎』と書かれた扉の前で与一と優をシノアと二人で待つ。
「そういやシノア、どうして今日俺のベットの中に入っていたんだ?」
シノアは首をかしげ思い出すように言う。
「たしか…、お水飲みに行った後陵さんの魘されている声が聞こえて…部屋に入って…寝ちゃいました。あれ?陵さんドキドキしました?」
「んー、シノアの寝顔可愛かったよ。」
と感想を言っておく。シノアの方を向くと顔を真っ赤にしながら下を向いている。
「まさか、いじったこっちがこうなるとは思いませんでした。」
シノアがボソボソと悔しそうに何かを言っている。がよく聞こえなかった。
「ん??」
「これは、陵さん絶対にモテマスネ。」
何故かそんな事をシノアに言われた。それに、最後の方は何故かカタゴトだったが気にしなかった。
しばらくして優と与一の姿が見える。
「遅かったですね。」
シノアが優と与一に向けて言う。
優の顔を見ると所々殴られた痕があり傷も出来ている。
(何かあったのかな?)
「あら、その顔…つまりまた謹慎に…」
シノアも優の傷や痕に気づいたようだ。
「喧嘩してませーん、僕してませーん」
優は手を広げて言う。
(誰も喧嘩したのか?て聞いてないし…やっぱり優はバカだよな…)
「はは、まあいいですけどね、でも…ついに今日からですね。」
「はいそうなんです!!今日から僕ら月鬼ノ組に入るための研修教室に…‼︎」
与一は楽しみなのか笑顔で言う。
その後ろで優は研修なんていらねぇんだよ。とかなんとかぼやいている。
そんな優の言葉を聞きシノアが茶化しに入る。
「わかりました。じゃあ優さんは研修受けないので武器と制服なしで戦場へどうぞ。」
「ほとんど全裸じゃねーか‼︎」
そう突っ込みを入れる優に大丈夫だと俺は言う。
「まだ、下着が残ってるよ?」
「そういう問題じゃねぇよ!?」
優をいじり終えシノアの後をついていき研修教室へと向かう。
少し歩いた後、教室の扉っぽいものの前に出る。
シノアがガラッと扉を開けて失礼しまーす。と入って行くのでその後を失礼しますと入る。
教室には沢山の生徒がいた。まぁ当たり前なのだが…
そして教卓にはグレンがたっており生徒に話し掛ける。
「お前ら聞け、今日珍しく担任である俺がここに出向いたてやったのは転入生がいるからだ。」
「グレン…担任は普通毎日来るものだよ。」
そうグレンに言う。グレンはうるせぇ陵と言い何故か叩いて来た。
「あーなんだとりあえずこいつらだ。百夜優一郎と早乙女与一そして鈴谷陵だ。まぁ一言で言うと…アホと弱虫と…シノアのか…「おい、グレン。」まぁ今日からこの教室の一員になることになった。」
変なことをグレンが発表しようとしたので止めに入る。
「誰がアホだよ!!?」
「弱虫…」
二人ともグレンに言われたことにショック?を受けている。まあ、俺も危なかったが……
「いいから、自己紹介しろ」
手をひらひらさせながら自己紹介を促すグレン。
「いらねぇよ俺ら友達作りに来たんじゃねぇんだ。」
グレンに言われたので自己紹介をしようとするが……優がまた余計な事を言いそして、黒板をダンッと叩き変なことを叫び始めるので出来なかった。
(俺らって一緒にしないで欲しいなぁー)
そしてそんな優を見てまた始まったとため息をついた。
「ここにいる奴らにも言っとくが俺はおまえらと馴れ合うつもりねぇから!!だいたいこの研修教室は、鬼呪装備の契約ができる人材かどうかを見極めるとこだろ?んじゃ今から宣言しとく」
そして生徒にむかって指を指して優は大声で言う。
「ここにいるクズどもが今まで何勉強してたかはしらねぇがおまえらがやってたことは無駄だ!!一番いい武器は俺がもらうことになった‼︎以上‼︎」
「以上じゃないよ‼︎」
「以上じゃねぇぇぇぇ‼︎」
優をグレンと一緒に蹴る。その蹴りは優にクリティカルヒットして軽く吹っ飛ぶ。
「優、もう一回出直してきたらどう?」
やはり、ため息をつきながら俺は優に言う。そしてグレンも優にむかって言う。
「協調性ねぇ奴はやめさすっつったろ‼︎このアホが‼︎クズ‼︎童貞‼︎」
「童貞関係ねぇぇぇぇ‼︎」
こんな一連のやり取りにクラス中がヒソヒソと少し騒ぎ始める。
「もういい座れ馬鹿が!あー席は…あそこな」
そう言いながらグレンはある一点をさす。その席は足を机に上げて顔には教科書とおもわれる本を乗っけている男子生徒の前の席だった。
ちなみに俺は一番後ろの右側の席となり、与一は俺の席の前となった。
そして、優も自分の席に行ったかと思うと急に大きいこえを出す。
「んな…‼︎てめぇ今朝の電柱!!?なんでこんな所に⁉︎」
(今朝の?ってことは優が喧嘩した相手とでもあったかな?)
優が話しかけている?相手の方をみる。
ピンク色の髪で眼鏡をかけていて真面目っぽいがなんとなく優と同じタイプ(問題児)そんな印象が感じられるその相手は優を見るなり同じく大きい声を出す。
「ふざけんなそりゃこっちのセリフ……電柱ってなんだコラァ‼︎!」
そんな二人の言い合いが始まる。
ふと、グレンとシノアの方を見る。二人が何かを話しているのが分かった。といってもきっとそこの二人の事を話しているのだろう。
(あっグレンが動いた。)
「あーーーー、やかましい!!!」
そしてグレンの二回目の蹴りが二人に見事にヒットした。
二人をそのままほっときグレンが授業を進めていく。まぁクラスの皆は今日の出来事をこう思っただろう、問題児が増えただけ…そしてこのクラス最悪だ!!と…
◆
授業が終わった後グレンに少し用があったので執務室を訪れた。すると中から一週間後の鬼呪装備適性試験のことですがーというグレンではない声が聞こえてくる。
どうやら先着がいたようだ。そして、その声はまた聞こえてきた。
「当然俺が最上位『黒鬼』のシリーズに挑戦させてもらえるんですよね?」
(黒鬼?)
この声は聞いたことがあった、たしか…君月士方君だったはずだ。それにしても黒鬼とは…たしかグレンも黒鬼の鬼呪だった気がする。
まぁそれは今置いといてどうしたものかと頭を悩ませる。そして今日は諦めようと執務室を後にすることにきめる。
(さすがに、全部盗み聞きをするわけにはいかないだろう。)
そう考えて一度教室へむかった。
んー次回はどこまでいけるかな?
はやく鬼呪装備つけてあげたい…
ということで次もよろしくお願いします。