あれから2年の歳月が立ち、俺『達』は今サンクトヒルデ魔法学院の前に来ていた。
「ここが今日から俺達が通う、そして姉さん達が通っているサンクトヒルデ魔法学院か。どお思うロッサ?」
「急にどうと言わててもね。別に綺麗なとこだな〜とかシャッハには出来るだけ会いたくないな〜ぐらいしか浮かんでこないよ?」
今日はロッサと一緒に入学式だ。ロッサは去年にカリム姉さんがどっかから拾ってきて、
「今日からうちの子よ♪」
って言ってそれからうちに住んでいる。最初の方こそ荒れていたけれど姉さんの飴とシャッハの鞭によってみるみるうちに丸くなっていった。レアスキルはちゃんとあるためロッサには頭を触らせないように注意している。俺の頭ん中見られたらマジでヤバイ。いつか打ち明けるとしてもそれは今じゃない。タイミングを間違えると俺の計画がおじゃんになるからな。話を再開しながら案内に沿って歩いて行く。
「姉さん達は今年から中等科だからそこまで会うことないだろ?」
「いや分からないよ。姉さんのことだから「一緒に帰りましょう♪」って言ってこっちの教室に押しかけてくるかもしれないじゃないか!」
「それは言えてる。でも放課後くらいならいいじゃないか。どうせ家に帰れば合うわけだし。」
「それもそうだね。っと喋っている間に教室についちゃったね。どんな子達がいるんだろう、楽しみだね。」
ガラッ。ロッサが扉を開けて俺達の新しい日常が始まった。
入学式から数日が経過したある日の休み時間、俺は自分の後ろの席のロッサと話をしていた。
「ある程度は予想していたとはいえ、毎日好奇の視線を浴びせされるのはうんざりするな。しかも少しずつ他のクラスからも見に来る人増えてるよ。」
「仕方ないんじゃないかな。なにせあの容姿端麗、成績優秀、しかも気立てがいい『カリム・グラシア』の弟達なわけだし、色々期待されているんじゃない?」
「その割には皆当巻に見ているだけで誰も話しかけてこないよな。別に怖がらせるようなことはしていないつもりなんだけど。」
「いやいや、したでしょ怖がらせる事。上級生を三人連続で倒したら普通ビビるって。」
「だってあの三人組が余りにも典型的な事をするからしょうがないじゃないか。」
~回想開始~
あれは入学式の翌日のことだった。休み時間にいきなり上級生が三人教室に入って来て俺とロッサのところに来た。
上A「お前らがカリム・グラシアの弟達か。俺達はおまえらの姉が去年まででかい顔していたせいで肩身の狭い思いをしてきたんだ。」
上B「だが!今年からは俺達がこの初等科を仕切る!」
上C「それにあたりまずお前らは俺達の舎弟になれ。ならないとどうなるか分かってんだろうな。」
俺とロッサはお互い顔を見合わせた。最初に声を上げたのは俺だった。
「ブアッハハハハハハ!イーヒヒヒヒヒ!いきなり来て何を言い出すかと思えば『初等科を仕切る!』だってよ。いつの時代のガキ大将だよ。腹痛えー。あ、笑いすぎて涙出てきた。」
「わ、笑ったら失礼だよ。彼らはマジメに言っているんだから。プフッ。」
「お前だって笑ってんじゃねーかよ。」
ひとしきり笑い終わる頃になって上級生のうち一人が口を開く。
上A「言いたいことはそれだけか?なら取り合えず痛い目見とけや!」
言葉と同時に右腕を大きく振りかぶり殴りかかってくる。俺は椅子に座っているので上半身を前に倒して拳を避ける。至近距離で殴りかかってきた上級生が見下ろし、俺が見上げる形で見つめ合った。
「先にそっちが殴りかかってきたんだからこれから行うことは正当防衛だ。遠慮するつもりはねえから覚悟しろよ。」
俺が言い終わると上級生はバックして俺から離れた。少し顔が青ざめているように見えるが関係ない。俺はやることはやる。ゆっくりとだが確実に三人組の方に近づいて行く。するとさっきのとは違う上級生がヘラヘラと笑いながら近づいて来た。
上B「何ビビってんだよ。こんなチビ踏み潰しちまえば終わりだろ。」
右足を上げて俺に向かって下ろしてきた。手加減のつもりか速度はゆるくも威力も大したことがなさそうた。だが俺は手加減などするつもりはない。前進する速度を上げて懐に潜り込み攻撃避け、前進する勢いを使い思いっきり股間めがけて拳を振り上げる。
「ふっ!(グシャッ)。」
上B「グオッ!ぉぉぉ・・・(ガク、ドシャ)。」
膝から落ちてそのままうずくまる。まず一人。またゆっくりとした歩調で歩き出す。目の前の二人の顔に恐怖の色が伺える。
上C「ウオオオオオオ!!」
やけを起こして一人が蹴り上げる体制に入る。俺は近くにある椅子を持ち相手の蹴りの軌道上に放り投げながら後ろに下がる。
上C「(ガン!)ぎゃあああ!!痛ええええ!!」
スネに思いっきり椅子をぶつけて床を転がる。これで二人。最後の一人に向かってまた歩き出す。すると懐から取り出してこちらに突きつけてきた。
上A「それ以上来るんじゃねえ!それ以上近づいたら俺の魔法がお前を打ち抜くぞ!」
どうやらこちらに向けているのはデバイスのようだ。
「魔法か。よろしい、ならば私も答えよう。」
俺も自分のデバイスを付けるためにポケットに手を伸ばした。
上A「動くんじゃねえ!シュート!」
三発のシューターが向かってくる。それに対して俺は右手をデバイスを取るためポケットをまさぐり、左手を前にかざしてシールドを展開し対応する。全くヒーローの変身シーンの途中で攻撃するなんてなんてやつだ。
「魔法を使ってくるなんてこれは僕も魔法を使わなきゃ太刀打ちできないな。仕方がないから僕も魔法を使って応戦しなくてわ。」
グローブ型のデバイスを付けると教室の温度が2、3度下がった。いや、下がったという表現は間違っていた。俺が下げたんだ。魔法陣を展開しただけで冷気が漏れるほどの魔力。俺としては魔力運用が下手みたいで余り好きではないが相手を威嚇するうえでは結構使えたりする。
「ヒ、ヒイイイイイ!助けてえええ!」
「逃すわけ無いだろ!アイス・バインド!」
足を凍らせて逃げれなくして、笑顔で近づいていく。カツン、カツン。
「助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助けて助け・・・(カクン)。」
涙と鼻水で顔面をぐしゃぐしゃくして助けてを連呼していたかと思えば白目を剥いて気絶した。俺こいつには何もしてないんだけどな~。まいっか。
「これにて一件落着!」
その後教師が来て事情徴収をされたが俺の行動が正当防衛と認められたので特に罰則はなかった。ただ過剰防衛だったということで少し怒られてしまった。
蛇足ではあるが最後の気絶した生徒は寒いところにトラウマを持ち冬は外に出歩けなくなってしまったそうだ。どうでもいいわ~。
~回想終了~