「殺気」
これは普通の生活を送っていれば、関わりのないものである。もちろん前世の俺もそんなものとは無縁である。転生後であってもない。嘱託魔導師になった後も俺は陸に所属していたためかそんなに大きな事件に関わっていない。やっていたことといえば、逃げる相手に対して魔法をぶっぱなしたり、抵抗する奴がいても明らかに自分よりも格下の相手だったりと自分が危険だと思う様な事は一度もなかった。「敵意」をぶつけられることはあっても「殺意」はない。それに近いものはあったが今感じているものとは明らかに違う。
そう、俺は今本物の「殺気」をぶつけられている。
「あの~、チンクさん?なぜに先ほどよりも更に怖い顔になっていらっしゃるのでしょうか?」
どうしよう。どうしても言いたかった決め台詞を言ったら代わりに命を取られそうになってます。ふざけすぎたかな?でもずっと言いたかったからな~。とりあえず言い訳しないと本当に殺されてしまう。
「さっきのはイッツジョーク。レアスキルの内容話すからダガ―しまってください。」
「さっさと言え。次ふざけたらノータイムで刺すぞ。」
「姉さんのレアスキルはしってる?」
「預言者の著書(プロフェーティン・シュリフテン)だろ。無論知っている。」
「俺も似たスキルでね、夢の中で未来の映像が流れる事があるんだ。その夢の中でチンクとドクターをみたんだ。」
原作知識は予知能力の一種ということにしておこう。原作知識を出し惜しみして結局間に合わなくなるのはいやだからな。
「今の話を証明出来るものはなんだ?」
「こればっかりは信じて貰うしかない。一応この能力は家族にも話していない秘密を話したってことを判断材料に加えてほしいかな。」
「・・・・・少し待っていろ。ドクターに確認を取る。」
チンクはそう言って部屋の隅で誰かと話始めた。十中八九相手はDrジェイル・スカリエティーだろうがな。にしても待ってる間暇だなー。チンクの方に聞き耳を立ててみても何かしらの防音処置をしているのか声が聞こえない。ただ待ってるのもあれだし今日ルビーに入れた夜天の書の原本を少しでも解読しておくかな。
「ルビーさっきコピーした本読むから最初から表示してくれ。」
「いいですよー。でもこの量を全部読むのは不可能に近いと思いますよー?」
「必要がなさそうな所は飛ばしてよむんだよ。いいからさっさと出してくれ。」
「しょうがないですねー。はい、どうぞ。」
「よし、ありがとルビー。古代ベルカの遺産を読み解きますか。」
十数分が過ぎたころにチンクがこちらに向かってきた。
「ドクターがお前と話をしたいそうだ。よかったな。」
「待ってました。じゃあ始めようか。俺達の未来を決める話し合いを。」