~なのは~
「こんばんは。おじょうちゃん。」
いきなり知らない男の人に声を掛けられた。その人は髪が金色で目が綺麗な赤、恰好は真っ黒いコートに隠れていて分からなかった。その人を見た瞬間に私は吸血鬼だと思った。いつもだったらそんな勘違いしなかったと思うけど、ついさっきまでフェレットが喋ったり、お化けみたいなのに襲われたり、私が魔法少女になったりして頭が混乱していたんだと思う。その人が吸血鬼だと思って私にまた襲いかかってくるという恐怖でとっさに、
「助けて!レイジングハート!」
「へ?あべしっ!?」
思いっ切りレイジングハートを前に突き出しながら魔力を込めた。そしてその人をシールドで吹っ飛ばしていた。・・・っは!
「なのは!いきなり何してるの!?」
「えっと、その、だって吸血鬼だと思ってまた襲われると思ったら反射的に・・・。」
「あ、そっか。でもさっきの人は僕の知り合いの人で怪しい人じゃないんだよ。」
・・・どうしよう。私思いっきり吹っ飛ばしちゃったよ。頭から落ちていたし大変なことになっちゃった。
~ギル~
「へ?あべしっ!?」
なんで!?どうして!?俺何かした!?おかしいな?完璧な笑顔で声を掛けたつもりだったんだけどな?とりあえずいつまでも地面に寝っころがったままでいるのもやだし起きるか。
「よいっしょっと。も~、いきなり何するんだい。驚いちゃったじゃないか。」
「あの、すみませんでした。さっきまで色々あってそれでびっくりしちゃって。頭の怪我大丈夫ですか。」
「大丈夫だよ。怪我もしていないし。」
バリアジャケット展開しといてよかった。流石に生身で頭から落ちていたら大怪我していたわ。それにしても声を掛けられた位であんなに取り乱すなんてよっぽど怖かったのかな?そりゃそうか。まだ9歳の女の子だもんな。物語が進むにつれて心も成長してくけど今はまだ普通の子達と変わらないもんな。
「それはそうとしておじょうちゃん、ユーノ君とお知り合い?」
「はい、さっきも危ない所を助けてもらいました。」
「いやいや。さっきはむしろ僕が助けてもらったよ。なのはが来なかったらどうなっていた事やら。」
「やっぱりそうだったんだ。さっきのピンクの魔力光は君のだったか。ユーノ君を助けてくれてありがとう。俺はギル・グラシア。本来であれば護衛として雇われた俺がユーノ君を守らなきゃならいけなかったんだけどね。おかげで助かったよ。ユーノ君が無事なのは君のおかげだ。改めて、ありがとう。」
そう言って頭を下げる。決してアイドルなマスターに出てくる、や○いちゃんの様な両手が広がる礼ではない。腰を90度曲げる礼だ。伊達に社会人をやっていないぞ。
「そんな頭を下げないでください。私は当然のことをしただけです。それにユーノ君を助けられてよかったです。それと遅れちゃいましたけど私は高町なのはです。なのはって呼んでください。」
「ありがとうなのはちゃん。そして大変言いにくい事なんだがこの町にはジュエルシードがあちこちに散らばっている状態だ。なのはちゃん封印作業を手伝ってはくれないかな?もちろんお礼は弾むよさっきも言ったけどこれは本来俺がやる事なんだがまた町に被害が出る前に何とかしたいんだ。お願いできないかな?」
俺がそう言うとなのはちゃんは一瞬驚いた顔をした後、すぐに決意をした顔つきになり
「はい!私に出来ることだったらなんでもお手伝いします。」
迷うことなく承諾した。
「ありがとう。じゃあユーノはなのはちゃんと一緒に行動してジュエルシードを回収してくれ。」
「そんな!ギルさん彼女は一般人ですよ!今回は現場に居合わせてしまっただけで・・・」
ユーノ君の言うことはもっともだ。だがしかし言い訳を何も考えていないわけじゃない。
「まあ待てってユーノ君。なにもなのはちゃんを戦わせようってわけじゃないんだよ。ジュエルシードのある場所を探してもらって俺が封印すればいいんだ。一刻も早くジュエルシードを封印できればここの安全も確保されるし良いことずくめだろ?」
「ですけど・・・。」
「ユーノ君、私にもジュエルシードの回収のお手伝いさせて。自分の住んでる場所の近くで危険があってそれをどうにかする力が私にあるならなんとかしたいんだ。」
「うん、分かったよ。これからよろしく、なのは。」
「こちらこそ。よろしくなの!」
「よし決まりだな。それじゃあユーノ君はなのはちゃんと一緒にいて色々サポートしたりしてくれ。こっちはこっちで動くから何かあったらデバイスに連絡をいれてくれ。じゃあまたな。」
話し合いも済んだことだし俺達はさっさと消えるとするか。色々と不自然なことばかりなのにツッコミを入れないで黙っていてくれたチンクには感謝だな。・・・後から色々聞かれそうだし何か考えねえとなレアスキルで納得してくいれればいいけどな。