チルノと大妖精と別れてから、数十分歩いた。
チルノに対して、二次方程式の解は何かという問題はまだ早すぎたかもしれない。実際公式は覚えたら簡単なのだが、チルノはどう見てもまだ小学生みたいな子供だ。なんだか少し悪いことをした気がする。
そんなことを思いながらさらに数十分歩くと森が開け、目の前に大きな門が佇んでいた。
「うわあ、でかいな。だれが住んでいるのだろう?」
ついそんなことを言ってしまった。自分の身長の何倍もの大きな門を見ると、行ってしまうのも無理はなかった。
その門にはよく見ると、右のほうに何やら門番らしき人物がいた。なんでこんなにも大きいのに一人なのかと思いつつ、話したら入れてくれるかなと、少しの期待はしていた。
少し近づいてみると、門番は立ったまま寝ていた。何を言っているかわからないと思うけど、俺も目の前の門番が寝ていることをそのまま言っているだけで、自分もわからない。
そして何より、門番ってなんかガタイのいい奴が鎧を着て槍を構えて立っている。そんな俺のイメージに対し、この門番は中国風の民族衣装らしき着物に、尚且つ男ではなく女である。
俺は思った。この門番は大丈夫なのかと。
そして、ある程度門に近づくといきなり目を覚ました。
「侵入者!」
そう言って俺を攻撃しようとした。
「ま、待て。俺は侵入者じゃない」
「じゃあ何しに来たんですか?」
「何しにって……ここに入りたいんだけど」
「入門ですか?」
「そうじゃないんだけど」
何かの道場なのか、はたまた宗教団体かもしれない。
「あ、もしかしてさっき来た博麗の巫女の仲間か!」
博麗の巫女? 博麗…・・博麗神社に巫女……霊夢のことだろうか?
「博麗の巫女の仲間なら容赦しない! さっきの白黒魔法使いよりも弱そうですし!」
何やら怪しい構えを取って、敵意をむき出しにしてきた。
「霊夢と魔理沙が来ているのか? なら俺も通して欲しいんだけど」
「そういう訳にはいきません! 帰ってください! 帰らないなら……」
まずい、そう思った俺は後ずさった。
「やっぱりやるしかないのか……」
俺も、構えを取る。見たところ彼女は中国拳法を使う可能性が非常に高い、対して俺は日本拳法に合気道……勝てるかもしれないが、正直純粋にやったら負けてしまう可能性がある。
「では、行きます! はあ!」
彼女は、いきなり殴ってくるのではなく、玉のようなものを打ち出した。
「え、ちょ!」
後ろで轟音が響いた。あと数秒遅れていたら、当たって即死だっただろうと思われる轟音だった。しかし、地面は抉れてはいなかった。
「ちょっと待ってくれ! 普通に武道で戦うんじゃなかったのかよ!」
俺は手で彼女の攻撃を制す。
「え? そうなんですか? てっきり弾幕ごっこかと……」
ふと構えを一度解いた彼女は、そう言った。
「弾幕ごっこ? あれ当たっていたら死んでいたぞ!」
地面が抉れていなかったとしても、音からするには、とても高い威力だったように思えた。
「うーん。弾幕ごっこを知らないんですか。じゃあ本当に武道で戦うしかありませんね」
納得してくれたようで安心したが、油断は禁物である。
彼女はどう見ても中国拳法を使うようにしか見えない。それに今ゲームを思い出してみると、確か彼女は紅美鈴ホン メイリンだったはず。
「一応武道を嗜んでいるから礼をしなきゃな。あと俺は言葉霊ことのは れい」
「なら私も、紅美鈴です。一応妖怪です」
妖怪だったのか。というのは置いておいて、構えを取る。
「一応聞くけど、3回やって2本取れたら勝ちでいいか?」
「ん~いいですよ。まあ負けませんけどね」
そう言い終わり、俺と美鈴の試合が始まった。
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