神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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第6.5話---生者

「はぁぁぁぁあ!!!」

練った魔力弾を勢いよく飛ばすと、化け物ははるか彼方へと吹き飛んでいった。グレイフィア・ルキフグスは汗を拭う。

 

つい先程……1時間前くらいまで彼女は、イッセーの両親や逃げてきた悪魔達と共に、兵藤家のTVで『うんどうかい』の実況中継を見ていた。神の子2人の反逆と失敗。そして、匙元士郎の敗北を見た後、TVの中の会場が歪んだ。

他の学年の観客席に急に現れた1体の武士……それに声をかけようとした『5年生』の男子が、首と胴体をスパッと切り分けられた。

それと同時に、兵藤宅のTVの画面が歪んだ。中から出てきたのは、1体の天使。背中に羽の生えた小さな体で、キューピッドの様な姿のそれはこちらを向いてニコッと笑うと、

 

 

口を大きく開け、噛み付いてこようとする!

「!?!?!?」

皆が慌てる中で、グレイフィアだけが即座に反応した。彼女は焦りながらも自分を中心とした魔力による防壁を360度全方位に展開した。天使はそれにぶつかる。

 

が、しかしそれらは、全力でこちらの壁を壊しグレイフィア達を食い千切ろうと、壁に顔をめり込ませながらも歯をガチガチと鳴らす。その隙だらけの姿を見てグレイフィアは防壁の魔力を他の悪魔に任せると、身体の全魔力を拳に乗せ、全力で天使の顔面を殴った。

 

しかし、天使は止まらなかった。

 

それから1時間。天使に有効打を与える事ができないグレイフィアだったが、相手の技や能力を解析し、やっとの思いで天使を遠く遠くに吹き飛ばす事ができたのだった。

レベルが違いすぎる……!とグレイフィアは戦慄する。彼女は悪魔の世界の中では……いや、これまでの世界の中では、1番強い女を争うほどであり、彼女と本気のタイマンで闘って壊れなかった者は、5人といなかったのだ。それが、今の戦いではダメージと言えるようなものを1つも与えられなかった。最後の最後には、グレイフィアは相手を吹き飛ばし、闘いから逃げた……

(これは……この先またあの様なものが現れたら、私は皆様を守る事ができるのでしょうか……)

最悪の可能性を考えたグレイフィアは、慌ててその考えを振り払う様に頭を振ると、他の大人の悪魔達に守備を固める様に告げる--

 

〜〜〜〜〜

 

--同時刻、かみまろによりサイコロのステージから捨てられ、落下していた神の子・天谷武の影から出現した丑三清志郎と巴光圀は、道を行くのを邪魔する化け物達を倒し(・・)ながら、病院を目指していた。

「なぁなぁ丑三よぉ、このケガ、治んのかな?俺、TVでこん時の様子見たけどさ、至近距離で超巨大な爆弾が破裂したんだぜ」

「治ってもらわなきゃ困る。俺が明石に会うために」

ブレない丑三に光圀は肩をすくめると、お姫様抱っこの要領で運んでいる、丑三が持ちきれなかったもう1人の男の姿を眺める。

(こいつ……ドラゴンに変身する力を持ってんだよな……『戯』的な能力か、それとも……こっち系か?)

光圀は背中で一生懸命働く羽を眺めると、

「まぁ考えててもしゃあない♪そんなエブリナイ♪」

そんな風に歌いながら、病院に近づいていくのだった--

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

同時刻、兵藤一誠が天邪鬼迷宮を突破してから20数分後、同じ場所で2人の少年が、最期の会話を交わしていた。

 

「……じゃあ、もう『死んでもいい』なんて言うんじゃねぇぞ。お前を必要とする人より、先に死ぬな。何があっても逃げんじゃねぇ。

 

 

世界を救えるくらいのヒーローになれ」

「うん」

「これは『託す』言葉じゃねぇぞ……俺とお前の、『約束』だからな」

それを最期にグシャっと潰された少年に、もう1人の少年はただ強く、「うん」と返した。

 

『「天邪鬼迷宮」クリア。明石靖人、紫村影丸、天馬遊、以上3名生きる』

その言葉に泣き崩れる紫村。その姿に明石は声をかける。

「繋ぐんだ、青山の意思を。行こう、進まなきゃ、前へ」

3人は、青山を潰した狸が開く、新しいステージへのドアに、ゆっくりと入っていった--

 

〜〜〜〜〜〜〜

 

「おっ、これまた3人一緒に入ってきたね……えっと、残りの枠は1枠……あ、1人クリアした。これで3600人、きちんと揃ったね!」

アシッド・マナはそう言うと、指をパチンと鳴らす。

 

すると、天邪鬼迷宮は脆くも崩れ去った。いや、天邪鬼迷宮だけではない。世界中の、神の子達の試練が、一斉に打ち切られた。

「バイバイ、ゴミども」

それだけ言うとマナは崩壊していく世界に興味を無くし、手元に飛んでくる書類を眺める。

「さーて、王候補、王候補っと。今新しく来た奴らを含めて……面白そうな奴が良いなぁ……とりあえず各チームから4人ずつ……コイツとコイツと……うん、こんなもんかな!」

 

マナは手元にあった大量の……1200×3束の紙から12枚を取り出すと、空中に並べる。そこには顔写真と名前、そして厨二ちっくな二つ名が書かれていた。

 

 

『ガチムチの絶対皇帝・LILY』

『哲人皇帝・TASUKU』

『熱血王・ISSEI』

『革命の先駆者(パイオニア)・ALFE』

 

『手段を選ばぬ独裁者・MUSTAFA』

『冷徹なる指揮官・FINCHER』

『スピリチュアル天然娘・FITEMA』

『マイペース大将・YUKIO』

 

『気マジメ指導者・IPANEMA』

理詰めの(チェックメイト・)リーダー・JOHAN』

『誇り高き騎士長・YUTO』

『ぼくらの救世主・YASUTO』

 

「さて、じゃあ決めようかな!」

マナはスカートの中から、3本のダーツの矢を取り出す。ダーツの矢の頭にはそれぞれ、太陽・星・月の模様が描かれている。

「王様だーれ…………だ!!」

マナは3本の矢を手放す。それはマナの手を離れ下に落ちる……と思いきや、まるで生きているかの様にモソモソと動き出し、しまいには床から上へと吹き飛び、マナが選出した書類のうち3つに突き刺さった。

 

マナは書類を回収し、3人の穴開き写真を見て笑った。

「あれれ、お遊びのつもりで入れた奴らが2人も王になってやがる……運命って、怖いねぇ」

マナはそれらの書類を一斉に握り締めると、大きく伸びをした。

「さぁて、始めよっかなそろそろ……あ、お着替えしなくちゃ!」

 




次回、新たな試練の幕開け!
王とは一体何なのか、選ばれたのは誰なのか、それは次回!

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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