神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
「--はぁ、はぁ、きつい、死ぬう……」
『いくら飛んだって無駄だぜ!だってお前1人しかいないんだからな』『……』
「誰か、誰かぁ〜」
私の声と縄の音が、病棟の廊下に空しく木霊した--
〜〜〜〜〜〜〜
私、搭城小猫の合図で、生徒会の先輩方が廊下へと躍り出る。それを横目で見ながら、私は朱乃先輩に話しかけた。
「朱乃先輩、ここは危険です。下手したらまたこけしが来て、今度こそ私達は殺されるかもしれません。いったんここを離れて、脱出方法を探すために動きましょう」
「……」
先輩は応えない。ただ、私を……いえ、私の後ろの空間を見つめている。その眼には輝きが無い。
「……」
このままでは朱乃先輩は、罪悪感を持ったままここでこけし達に殺されてしまうかもしれない。そうなってはいけないと思った私は行動に出た。
拳をパーの形に広げ、彼女の頬を叩く!
手加減はしたものの、朱乃先輩の頬には真っ赤な紅葉が出来ていた。しかしそれと引き換えに……
「い、痛いですわね……ここはどこ?」
先輩の意識を取り戻した!
「朱乃先輩、新しい試練が始まりました!ここはもう危険です!悲しみに浸っている場合ではありません!私と一緒に来てください!」
「……分かりましたわ。確かに、いつまでも悲しみに囚われていてはいけません。リアスだってそれは望んでいない。きっと、イッセー君も」
朱乃先輩は立ち上がると、由良先輩達が行った方へと歩いていく。
「私はイッセー君に会いたい……彼もおそらく私と同じくリアスの死に傷ついていますわ。そして彼の心の傷は私よりも深い。だから、慰めてあげないといけません。その為にも、私は生きていかなくては!」
「……その通りです!私もイッセー先輩に会うために生きたい!」
朱乃さんの目には変わらず涙が浮かんでいる。それでもその瞳の奥には意志の炎が再び灯っていた。それが嬉しくて、私もちょっと勇気が出た。
「では、行きましょうか小猫ちゃん。生き残る為に!」「はい!」
こうして、私たち4人は部屋を出た。まず最初に目指すのは由良先輩の病室。
「あまりにも熟睡していたから、起こすのが悪いと思って桐生を置いてきてしまった。軽率だったよ…生きていると良いが……」
由良先輩を先頭に、急いで階段までたどり着き、1段跳ばしで駆け上がる。
すると、どこからか声が聞こえてきた気がした。
「……だれかぁ〜、助けてぇ〜」
「私の部屋の方だ!急いで向かおう!こっちだ!」
部屋に近づいて行くに連れて、助けを求める声ははっきり聞こえる様になった。私が聞いた感じ、桐生さんで間違いない。だが、部屋に近づくとその声の近くで何か別の音が聞こえて来る様になってきた。鞭状のもので何かを叩くような音だ。
「音の近さ的に考えて、この廊下の突き当たりを曲がってすぐくらいに桐生さんがいるはずです」
私達は全力で走る。駒王学園唯一の生き残った一般生徒を助けるために!
そして、曲がった先で見たものは……
ただひたすらジャンプを繰り返している桐生さん、片方が伸ばした腕を回してそれを大縄跳びのように回す2体のこけし。その胸の名前は、『げんちゃん』と『きばきゅん』?
その名前からして、あのこけし達は--
「はあ、はあ、誰かぁ、助けて〜……!?あんたら、まだ生きてたの!?ああ、そんなことは良い、手伝って!私と一緒に3人、計4人で縄跳びを終わらせましょう!終わらせられれば、試練攻略のためのカギがもらえるの!」
こうして、訳のわからないまま私と由良さん、会長は桐生さんと4人で縄を跳び始めた。
「縄に当たると、当たった身体の部位を持っていかれてしまうわよ、気をつけて!」
私達よりも先に跳んでいた桐生さんは、私達にアドバイスや指示を与えてくれる。
大縄跳び、ただのジャンプの連続ではあるけれど、それは意外と奥が深い。縄のリズムは回し手によって左右され、ランダムな軌道の縄がこちらを襲う。さらに前後を他の挑戦者に塞がれ、思うように身動きができない。そして……
「キャッ……!あ、あぶねぇ……小猫ちゃん、ありがと…」
下には、私達の到着以前に跳んだいたであろう人達の血、肉、骨…人体を形成していたそれらは今や私達の敵であり、脚を絡めとりあるいは傷つける凶器となる。
血溜まりを踏んでしまい滑りかけた桐生さんの身体を支え、縄が来る前に持ち上げて一緒に跳ぶ。これで確か90回…あと、10回だ!
「最後まで気を抜かずに!縄の動きをよく見てください!」
10、9、8。 3回跳ぶだけなのに時間が止まったかのように遅い。
7、6、5。 残っていた骨が脚の裏に刺さる。その痛みに耐え、跳ぶ。
4、3、2。 こけしが縄の軌道やタイミングを変えてくる。そう来ると思っていたのか、支鳥先輩の指示を聞いて感一発で回避する。
そして…
『4人で100回クリアー!!!おめ……』
最後の1回を跳び終わると同時、言葉を話し終える前に2体のこけしは倒れた。中から出てきたのはやはり、優斗先輩と匙先輩だ。こけしは人間がなることを知っている私達は、分かりやすい名前をしていた2体のこけしの中身には驚かなかった。
やがて、倒れていた匙先輩が起き上がる。
「……あれ、ここどこだ?」
その手には病室の扉には合わないような大きな鍵が握られていた。
連続投稿はこれで一旦終了です。これからはまた、土日祝日投稿で頑張ります!
こけし編は今日で終わらせるつもりでしたが、終わらなかったので次で終わらせます。まあ、ほとんど終わってるんですがね。
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!