神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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第10話--ー処刑

「出せー!!」「出してー!!」

月の国、牢獄前。現在数名の男女がその中に捕らえられている。どうやら背中のマークをタッチされると、各学校にある牢獄に転送されるらしい。明石靖人に『防衛大臣』として本拠地である学校を任された紫村と、その他の月の国メンバーは、そこで星の国の人間と交渉の最中だった。

「ねぇー木場きゅーん。出してよー」

星の国のメンバーの1人、桐生藍華(きりゅう あいか)は牢獄の前にいる月の国の『兵士』、木場祐斗(きば ゆうと)に話しかけるが、木場は曖昧な苦笑いを返すばかりだ。

「ごめんね、桐生さん。僕も君を助けたいんだけど、星の国の牢獄の鍵がないと、牢獄は開かない様になってるみたいなんだ」

その言葉に桐生はわざとらしく崩れ落ちると、服の袖を目に当ててヨヨヨ、と泣き真似を始めた。がしかし、意味がないと隣にいる仲間に止められる。

「作戦自体は成功……月の国のメンバーはほとんど捕らえたんですが……あのスナイパーと曲芸少女だけに全員がやられるとは……」

その仲間、平野道生(ひらの みちお)はハァ、とため息を吐く。しょせん頭の中と現実は別物、事実は小説より奇なり、と自嘲する。

桐生の行動力と平野の知力のおかげで、いち早く『天邪鬼迷宮』にたどり着き、いち早くゴールした2人だったが、そう何回もうまくいかない様だ。

「カルカヴァンの予知絵も、当てになりませんね……」

平野が呟く。その言葉に月の国の1人、ヨハンが喰いつこうとしたがその時。

 

『6時間、経過ナリよ』

牢獄の隣にあった砂時計の砂が落ちきり、

 

グシャッッッ!!!

 

 

同時に牢獄の天井が一気に落ちる!!牢獄内にいる人間が全員、潰されてただの血だまりと化した!!

 

『処刑、完了ナリー。次の処刑まで、6時間ナリよー』

それを聞いて紫村達は、1人の少年の顔を思い浮かべる。皆の制止を振り切り、10と何人かの仲間のみと共に走って行った、無謀な王。

 

「キ……キングを……明石君を連れ戻せえええ!!!!!」

それを聞いた時には、『騎士』である『兵士』が月の国の本拠地の敷地から出ていたのだった--

 

 

--所変わって、その張本人である月の国のキング、明石靖人は、歪な塔の前に佇んでいた。

側にいるのは、世界一有名と自負するサーカス団で曲芸ピエロとして活躍する男、ジェイク。そしてそのサーカス団の主役を務めているハンナ・フェリックスの2人のみである。残ったメンバーはデパートでの攻防戦で皆転送されてしまっていた。

 

3人は中に入る。そこにあったのは大きな地図と、謎の機械。

3人はまず地図を確認する。

「なるほど……フィールド全体の地図か……確かヤマノテセンの中がフィールドになっているんだよな?」

「そうだ、そしてその中で、俺達月の国の本拠地は『新宿』……あとの2つの国の本拠地も描かれてあるな」

星の国の本拠地は『秋葉原』、太陽の国の本拠地は『池袋』となっている。

「で、この機械は……ああ、なるほど」

ハンナが塔の中央にある機械を見て言う。

「この塔の本当の理由はきっとこれだよ。オペレーションシステム。役割(ジョブ)『オペレーター』の人が、ここで能力を使うんだと思う」

その機械のモニターには、3つの機能が記されている。

「『1、レーダー強化。味方のレーダー範囲が100mになる』『2、マナ・フォン強化。全プレイヤー同士がどこにいても、通話・メッセージ出来る』『3、KING表示。敵のキングの位置が常に表示される』……なるほど、ここはゲームを有利に進める為の、『管制塔』って訳か!」

明石がそう呟き、先程まで一緒にいたオペレーターである仲間、天馬遊の事を考えていると、不意に塔の入り口が再び開いた。スナイパーであるジェイクが、銃を構える。

 

入り口にいたのは、1人の男。太い眉に大きなまん丸目をした男、真田ユキオだった。

それを見て明石は、引き金を引こうとするジェイクを必死に止める。その明石達にユキオは、あいも変わらず平坦な声で告げる。

「お前ら、早いとこここから逃げた方がいいぞ」

それを聞いて固まる明石達に、ユキオは外を見るように指示する。外に出た明石達は、少し離れた所に大勢の人間がこちらに向かって歩いてきているのを目撃した。

「今から星の国の奴らが200人くらい、この塔に集まってくる。見つかったら逃げらんねぇぞ」

「わかった。ありがとうユキオ!!」

敵でありながら親切にも教えてくれたユキオに感謝の言葉を述べると、明石達3人は200人の増援から離れるように、走り出した。

 

「いい友達だね」「変な奴だろ」「とにかくここから離れよう「うぎゃああああああああ!!」!?」

 

突然の悲鳴に、明石達は立ち止まり振り返る。先程まで統率の取れた動きで歩いていた200人が、我先にと逃げ出そうとしている。

 

 

その中央で、人の首や、上半身、下半身、足や腕や骨や肉が宙を舞っていた。

 

 

中央にいるのは、一台の乗用車。その窓からは、『太陽』の絵が描かれた旗が飛び出している。

そこで、1人の座りっぱなしの男を除いた3人の男が、星の国の人々相手に無双していた。

 

巨大な斧を振り回す男。機械の様な腕で人の身体を貫通する男。そして、

 

 

 

見覚えのある、『紅い』鎧を着た男が、巨大な剣を振り回している所だった。

 




--数時間前。

「……俺もそうだ。俺にも託されたものがある」
太陽の国の、幹部達の部屋。そこにただ1人呼ばれた兵藤一誠は、王であるリリィの言葉にそう返す。

「わかった。俺もやる。俺も戦う。


誰も何も、殺さなくてもいい世界を創る為に」
その言葉に、リリィは小さく頷いた--


今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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