神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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ーー「生きるってのは『どうしようもないこと』の連続だろ?

『生まれたこと』がすでにどうしようもねぇし、『死ぬこと』もまた、避けられない摂理。

『感情』も『欲望』も『才能』も『運』も、それがその人間に与えられた不条理な宿命。

それに立ち向かうか、諦めるか、受け入れるのか、抗うか。その1つ1つがその人間を表すと俺は考える。

教えてくれキング・明石。お前はなぜ戦う?」
その言葉に月の国の王・明石は言葉を失う。ただの殺人集団だと思っていた太陽の国のキングが、こんな哲学の様な思考を持った人間だとは思っていなかった。

と、そこでイレギュラーが発生する。外から大きな叫び声が聞こえてくる。どうやら月の国の者が太陽の国の敷地内に入ってきたらしい。明石はそちらに気を取られるが、リリィは逃げを許さないとでも言うように再び明石に問う。
「話の途中だぞ、キング・明石。答えろ。お前はなぜ戦う?」
その言葉に数秒黙った後、明石は自分の根本にある事を告げる。
「この選別を終わらせる為に決まってんだろ」


「なるほど、そりゃ俺と同じだ」
その言葉を聞き、明石の頭に一瞬で血がのぼる。明石はリリィに叫ぶ!
「一緒にすんな!俺は人を殺したりしない!!」
「でも生きようとしてる。ルール上おまえが生きるってことは、どっかの国が全員死ぬんだぞ。それが殺してる事とどう違う?」
「違う……全然違う!!」
「勘違いすんなよ。俺らだって別に人殺しがしたいわけじゃねぇ。殺してでもやらなきゃいけない事があるだけだ」

太陽の国の明石の檻に……いや、太陽の国の王、リリィに向かって1人の少年……月の国のスナイパー、メルトが廊下の奥から走ってくる!向かっていく太陽の兵士達を転送させ、あるいは手持ちのナイフで殺しながら、防御用のスーツを着ていないリリィに迫ってくる。

しかし、リリィは気にも留めず、はっきりと言う。

「託されてきたから。

死んでいった仲間と、生きようとする仲間と共に。

このどうしようもない世界を変えるんだ。

だから俺達は戦い続けて、何人殺してでも神になる。

そしていつかーー誰も何も殺さなくていい世界を創る。

それが神を目指す俺の、戦う理由だ」

糸目の幹部らしき男にやられたメルトが、明石と同じ檻に転送される。それを見てリリィは腰を上げる。
「また話そう、キング・明石。死ぬまでには時間がある。俺はまだ、お前に興味がある。

お前は、あの男と同じ雰囲気がある。あの男のように味方として会えなかったのが、分かり合えないのが、残念なくらいだ」

そう言って去っていくリリィからメルトに視線を変えた明石を、再び呼ぶ声があった。

「……ナツメグ!?」「しっ!助けに来たよ!」ーー


第12話ーーー予知絵

「何人殺した?ダンデライオン?」「C・Bよりは殺った」

「イッセーは?」「20人くらいかな」

「オスメスは?」「覚えていません」

星の国の軍団を全滅させると、そんな事を言いあいながら兵藤一誠とオスメス、C・B、ダンデライオンの4人で歪な塔の中に赴く。中にあったのは三国の本拠地のある地図と、巨大な機械だった。その機械のシステムを見て、オスメスは顎に手を当てる。

 

「なるほど、この塔を有効に使えた国が、相当有利に戦う事が出来るようですね」

オスメスは自分のジョブであるオペレーターのアイテム、USBメモリの様なものを機械に挿し込む。すると、機械が動き出し、画面内の『1、レーダー強化。味方のレーダー範囲が100mになる』という項目が点灯した。

「これは……1つだけ点灯したという事は、似た様な塔があと2つはあるという事ですね。その場所も地図に描かれていますし、何十人か向かわせましょう」

そう言うとオスメスはC・Bに目で指示を送る。アイコンタクトでそれを受け取ったC・Bはマナ・フォンを開くと、現在いる塔と他の塔、そして星の国の本拠地へと兵を送る様リリィに伝える様に、と自分達より太陽の国本拠地、池袋に近い兵士に連絡を取る。あとは伝言ゲームの様に何人かを経由してリリィの耳に届くだろう、と判断した4人は、次の目的地へと向かう為、車に再び乗り込む。

 

「では、運転よろしくお願いしますよ、C・B」「了解。いくぞ……『星の国本拠地・秋葉原』に」ーー

 

 

 

 

ーー星の国の本拠地、秋葉原。そこにある校舎の1番上にある部屋、会議室で、星の国の指導者、『幹部4』の4人が現在の状況について……いや、王について話し合っていた。

「キングはもう2時間も、奥の部屋で同じ絵を描いてますね」

黒い肌に、整えられた黒いキノコヘアーをした長身、幹部の1人『冷徹なる刃』フィンチャーが言うと、それを思い出したかの様に幹部の1人、2つのフサをネズミの耳の様に作った髪型が全く似合わない強面の男、『手段を選ばない』ムスタファが続ける。

「1人で描きたいってダダこねるから放ってやってるが、ちゃんと描いてんだろうな?」

「安心して下さい、描いてますよ」HEY!

キングがいる部屋を覗きながら、幹部の1人、金髪に太眉、しゃくれアゴのぽっちゃり系男、『とにかく明るい』スティーブがポーズを決めつつ言う。

「ていうか完成してるんじゃね?」

幹部最後の1人、橙色の髪をオールバックにした、繋がった眉と出っ歯が特徴的な小柄な男、『いつか海が見たい』ベンババが考察すると、『手段を選ばない』ムスタファも同意し、『とにかく明るい』スティーブに扉を開けるよう指示する。

 

扉の中、大きな部屋の中にいたのは1人の少女。

 

星の国・王にして『幸福な未来を呼ぶ「予知絵」を描く占術師の一家』カルカヴァン家の長女でもある少女は、絵の具で服や身体を汚しながらスヤスヤと気持ちよさそうに眠っている。

 

その背後にある壁に立て掛けられた大きなキャンバスには、1枚の絵が描かれている。幼稚園児が描いた様なその絵を、しかし幹部4は真面目な目で眺める。それも、キングの描いた絵が幸福な未来を予言する事を知っているからだ。

 

ファトマ・カルカヴァン。彼女は『未来を呼ぶ「予知絵」』を描く能力(チカラ)を、カルカヴァン家の歴史の中である意味(・・・・)最も濃く受け継ぐ少女だった。

 

彼女の背後に描かれているのは、月と星。それらはにっこりと微笑み、手を繋いでいる。それを地上の者達が祝福している。

「……つまり、月の国と手を結べってえ事か?だけど俺達の軍はさっき月の国のキングに奇襲を仕掛けているし、あいつらがまともに取り合ってくれるかもわからんぞ」

『いつか海が見たい』ベンババは頭をかく。と、そこでグラウンドの方から、車が止まる音が聞こえてきた-




ーー「……ハッ!」
木場祐斗は目を覚ます。腐臭で溢れた死体の山から抜け出すと、彼は自分の状況を再確認する。
「僕は腹を刺されたはずじゃ……?」
アスカロンが貫通した腹部に手を当てる。服は破れているが、そこに傷は無い事に木場は驚く。

と、そこで周りから呻き声が木霊する。木場が辺りを見回すと、星の国の男達が立ち上がってきていた。木場が確認すると、その数は21人。彼らは皆が皆、頭上に?マークを浮かべている様な表情をしている。
「あれ、何で俺生きて……」「刺されて死んだと思ったのに……」
起き上がってきた彼らは木場を見ると、新たな敵の登場にある者は構え、ある者は震えた。しかし、そこで彼らは、少し離れたところから多くの人間が近づいてきているのを遠目で見た。
「げぇ、太陽!」「まただ、また殺される!!」
残った者達は皆絶望と悲壮に染まる。木場はそれを見て彼らに「まだ距離はある。一緒に逃げよう」と告げる。星の国のメンバーも、再び太陽の国に殺されるよりは、この1人の男についていった方がいい、最悪皆で囲んでこいつを殺せばいい、と考え、木場の指示に従い塔から離れていくーー
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