神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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第18話---脚

--処刑時間まで残り4分。ちょうど紫村達がオスメス、C・B組に襲われている頃、太陽の国の本拠地、その2階の牢屋に変化があった。今まで明石とメルト、2人しかいなかった牢屋に次々と人間が飛ばされてくる。明石とメルト、そして太陽の国の人間でありながらナツメグと同じく明石を助けようとしているカミーズJr.、牢番の蓬莱やえは困惑する。メルトは明石に「大丈夫なんだろうなあの女は!?」と声を荒げるが、明石は転送されてきた仲間を介抱しながら、

「来るさ、ナツメグは絶対」

とただ一言告げた。

すると、2人の女の子の声と軽快な足音が聞こえる。明石達はそれを聞いて期待と不安を募らせるが、こちらに向かってきたのは果たして……

 

 

 

「来た!!」「遅えよ!!」

 

「「明石!!」」

 

「ハンナ!ナツメグ!!」

 

ナツメグとハンナ、明石を助けようとする者が2人、牢屋へと走ってくる!その距離は直線で10mも無い!処刑時間はまだあと3分ほど猶予がある!これで逃げ切れる!!

 

 

 

 

 

 

ドゴッ!!と言う鈍い音とともに、ナツメグ・ハンナと牢屋の間の道が突如崩壊する……いや、その崩壊した床の中央部から、刃のついた靴が現れる!!

その靴の主は床を下から蹴破った勢いで上まで飛んでくると、緊張感に欠けた声で言う。

「あっぶねー。キミ達、うまいこと潜り込んだね。普通の人間なら逃してる所だよ……

 

普通の人間なら、ね」

飛んで来た男はそのままスタッと牢屋の近くに着地する。その人物を、メルトは忌々しそうに睨みつける。

コンクリの廊下から出てきた男は太陽の国の幹部、ミケ。数刻前、メルトを牢屋の目の前で叩き潰し--いや、蹴り潰し、牢屋に転送した男だった。先ほどメルトを倒した時の針付きシューズでは無く、普通のシューズの下に鋭い刃が付いた、スケート靴を凶器にした様な物を装備したミケは、その糸目で周囲360°を観察し、言う。

 

「キミだね」

 

同時、やえの上半身と下半身がミケの靴の刃によって分断された。

「脱走を手引きした裏切り者は」

明石の絶叫とナツメグの悲鳴が木霊する。そんな中、ミケは当たり前の様に、ニヤリと笑って告げる。

「裏切り者には死を。これ、戦場の鉄則」

 

優雅に着地した事で出来た少しの隙……それをハンナは突こうとする!

空いた穴を壁を使って三角飛びで越えると、ハンナはミケを無視して月の牢屋に鍵を差し込もうとする!

 

 

「甘えよ」

 

 

瞬間、ハンナの身体の前部の至る所に切り傷が走る!ミケは一瞬で姿勢を戻すと、サーカスで鍛えたハンナのスピードよりも速く、その身体を蹴りで引き裂いたのだ!

ハンナは切り裂かれた場所全てから出血するが、死んではいない。わざとミケが、顔面や致命傷になる場所を回避していたのだ。

そのフィナーレと言わんばかりに、ミケは1度大きく脚を振り上げると、ハンナの頭部目掛けて垂直に落とす!!

 

「!」

 

しかし、ギリギリのところでハンナをナツメグが引っ張り、横にずらす。空を切った刃はそのまま床に落下し、コンクリートにまたヒビが入る。

「お願い……もぉやめて……」

涙声で言うナツメグに、ミケは笑いながら返す。

「助けても意味ないよ。そのコもキミも

 

皆、ココで死ぬんだから」

ミケは右脚と左脚が180°になる程に右脚を上げる。狙いは、ハンナを抱えてへたり込んでいる太陽の国の裏切り者。

「やめろおぉぉぉ!!!」

 

 

 




この時点では、誰の目にも明らかだった。

ファトマを防衛する星月連合軍はほぼ転送され、塔の奪取に向かった別働隊も、太陽の国の兵士達に囲まれている。

唯一無事な木場達半星月軍は、各々が疲弊しておりそれぞれの王を救える状態では無かった。

星月に逆転の一手は残されていなかった。

太陽の国の勝利を疑う余地は無く、必死に抵抗する者達でさえ、己の敗北と、来たる死を予感していた。


ただ、その時。

弾け散った4つの流星が、

それぞれの地へ舞い降りた。

1つは、神への怒りと復讐の為に。

1つは、もう一度、愛しい人に会う為に。そんな彼らを守護する為に。

1つは、守れなかった約束をやり直す為に。


そしてもう1つは、全てを破壊する為に。


彼らは来たのだ。それぞれの使命を果たす為に。


ここから、世界の運命は塗り変わる--
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