神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
彼らが辿り着いたのは、天空に浮かぶ小さな島だった--
「よっと」
紫村影丸はゆっくりと着地する。にも関わらず転けそうになったが、何とか体制を立て直し、無様な真似は防いだ。
空に浮かぶこの島にあるのは、大きなテーブル。そして、それを囲む
やがて、他の
「……」「……」
見つめ合う2人。数秒して、丑三が手に持っていた物を明石に渡した。
明石はそれを受け取る。その目の縁が一瞬光ったのを紫村は見たが、明石はすぐにそれをスッと拭った。
「ありがとう」
その言葉が丑三だけに送られたものではない事は、紫村も良く知っていた。
全員が到着した時、どこからともなくマナが現れた。マナは地蔵に近づき、その前に座る。どうやら地蔵の身体には椅子がくっついている様だ。
「全員お揃い?それじゃあ今から、最終試練を発表するよ!」
マナはそう言うと、ポケットからトランプを取り出す。やはり次はトランプゲームらしい。
「最後のゲームは、皆が知ってるトランプゲーム……ババ抜きだよ!」
マナはニッコリと言う。しかし、それに対して口を挟む者がいた。太陽の国の王、リリィだ。
「……俺は、ババ抜きとやらは知らない。詳細を求む」
マナは一瞬白けた表情になるが、トランプの束から2枚抜き取って説明し始めた。ルールを聞く限り、自分が知っているババ抜きのルールと一緒だ、と紫村は照合した。
「……ふぅ。こんなものかな?もういいでしょ?」「……あぁ、了解した」
リリィの確認を得て、マナは再び話を本筋に戻した。
「トランプのカードっていうのは、スペード・ハート・ダイヤ・クローバーの4つの絵柄に、1から13……Kまでの13種類の役割が割り振られてる……んだけど。トランプにはもう1つ、大事なカードがあるんだよね」
マナがそう言いながらカードの山から取り出したのは、数字やマークが描かれていない代わりに、ニヤリと笑うピエロが印刷された1枚のカード。ババ抜きで最も重要なカードとも言える53枚目。
「AからKまでの13人とは別に、もう1人必要なカードがある。
カモン、『JOKER』かみまろ」
その言葉とともに、
14つの地蔵の座席のうち1つに、
「あーーーい」
そして一瞬、紫村がコンマ1秒ほどの時間を使って瞬きした直後。
目の前で2人の男が鍔迫り合いをしていた。
「……何……で、止めるんだよ……木場!」
黒い長手袋の様な物を着けた男子が、もう片方の同じ制服を着た金髪男子に向かって叫ぶ。どこから取り出したのか剣で黒手袋男子を止める金髪男子は、黒手袋男子を諭すように言う。
「匙君、無茶だ!部長や会長、果てはレイヴェルさんまで倒す力の持ち主だよ!1対1で勝てるはずがない。そもそも、君は1回負けてるじゃないか!!」
「うるせぇ!何の為に
かみまろはその2人を見て、言う。
「おいおい、ちっちぇ事でグダグダ言うなや」
直後、黒手袋の男子からブチンッ!という音が聞こえた。
彼は金髪男子を突き飛ばすと、かみまろに向かって雄叫びをあげながら殴りかかる。しかし……
「ばりあー」
その気の抜けた言葉と共にかみまろの周りに展開した薄い膜によって、彼の攻撃は遮られ、黒手袋男子は反動で地面を転がった。
「今からやるのはババ抜きであってケンカじゃねぇ。つまんねぇことする前に、今から遊ぶ仲間に自己紹介でもさせてくれよ」
「誰が仲間だ!あれだけ殺したくせに!」
今度は包帯まみれの男子が言う。(あ、あれは影踏みの対象の1人……高畑瞬さん?)と、紫村は気づいた。
「それに何が遊びだ!俺はお前を殺す為にここに来た!」
「あーハイハイ。今1回そのくだりやったから。もう1回やるにしても時間を空けてからな」
高畑を黙らせると、かみまろは自己紹介を始める。
「まー、今ので名前はわかったと思うけどテンプレだから。
どーも、皆の神さま、
もともとは俺もお前らと同じ、普通の人間だったんだけどね。アシッド・マナちゃんに『神の力』もらってこうなったんだよ。ねーーー」「ねーーー」
顔を寄せ合って言う黒幕2人。匙の腕に血管が浮かぶ。
「……で、いきなり『神さま』になれって言われたんだけどー。面倒臭いし嫌だから、1回断ったのね。でも、『どーしても』って言うから仕方なくーー
俺の代わりに『神さま』やる人を選ぶ事にした。これがこの
かみまろは首を振って、周りを見渡す。
「で、ここまでぜーんぶ観てきたけど。ぶっちゃけお前ら、オモロイ奴ばっかだわ。
泣いたり笑ったり怒ったり、憎んだり愛したり。お前ら、ちゃんと生きてて偉いと思うのよ。だから最後は、そーゆーお前らと一緒に何かしようと思ったわけでーー「いいぜ、かみまろ。俺が遊んでやる」?」
高畑瞬が、再びかみまろに突撃する!しかし、やはりバリアを張られて吹き飛ばされた。
それを見ていたマナは、おどけたように言う。
「まぁまぁ、慌てなさんなぁ。どうせ、このババ抜きで
言われた通り、各々が好きなところに座る。といっても、親しい者通し……あるいは、因縁通しで固まっているが。席順は木場から時計回りで秋元→高畑→かみまろ→匙→ハンナ→天馬→明石→丑三→紫村→オスメス→アルフ・E→リリィ→天谷→木場。
『神罰』という2文字の書かれた地蔵に背中を預け、14人の生き残りはテーブルに座ってカードを14に分配するマナから説明を聞く。
「手札が捨てられるのは、カードが『配られた時』か『引いた時』だけだから気をつけて?あとはー……自分の手札について『教える』のも反則ね。力尽くで他人のカードを奪ったり見たりするのもダメ。あと、カードを撮られる時に隠すのも禁止……こんなとこかな?
じゃあ好きなの取ってくださーい。それが運命を決める手札だよ。
マナは、
その言葉と共に、マナは天へと昇っていく。残されたのは14個のカードの束。各々がカードを取る……その前に、明石靖人が尋ねる。
「なぁ、かみまろ。始める前に聞かせてくれ。お前にとって、この選別は何だ?」
それに対し、かみまろは興味無さげに……本当に何の関心も湧かないように、鼻をほじりながらのんびりと言う。
「遊びですぜ、旦那」
「俺達の命は?」
「おもちゃ」
明石は数秒詰まってから、
「そんな風にしか思えないお前は……俺達と同じ人間じゃねぇよ……かみまろ。
俺達はお前を、神にはさせない!!」
「うん、やっぱりお前ら、偉いと思う」
言葉の応酬を終え、全員がカードの山を引く。配られたカードは皆、3枚か4枚だ。
「あ、揃ってる!あと2枚だ!」「俺もだ」
紫村と高畑がカードを捨てる。それぞれ10と2のペア。
全員のカードの整理が完了したところで、上から何かが降ってくる。14の面があるサイコロの形をしたそれは、テーブルを数秒転がって止まる。上に書いてある名は、『ALFE』
『スタートはアルフ・E。オスメスからカードを引いて始めて下さい』
言われた通り、アルフがオスメスのカードを引く。
「……あ?何こ
『
ドパン!!
「え?」「何だ!?」「アルフぅ!?」
アルフ・Eが血の塊に変わる。こうして、最後の
ちょっとここ数日、いろいろと事情があってこっちに来れませんでしたが、改めて再開!
最終選別『神罰ババ抜き』、早速1人脱落して残りは13人!果たして神になるのはどこのどいつだ!
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!