神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
「さぁリリィ、引けよ」
天谷は嬉しそうにカードを出す。リリィは無反応でカードを引くが、その眼は天谷を睨んでいるように見えた。
その後、オスメスがリリィからカードを引き、紫村のターン。
「えっと……どれが……これだ!!」
特に何も起こらず。
その後特に動きはなく、明石がダイヤの9とスペードの9を、木場がダイヤとハートのKを捨て、再び天谷が木場から引く番となった。すでに前回の爆発から21ターンが経過しており、これが『時限爆弾』を捨てる最後のチャンスだった。
「さすがに今回は引かねぇと殺されそうだからな……っと」
天谷はハートの10を木場から引く。
「さて、リリィちゃん?アンタは手伝ってくれんのか?」
天谷はリリィに対し、1枚のカードを強調させる。リリィはそれを……引いた。
(いいぞ、その調子だ。このまま回していけば……)
明石はそこで気づく。リリィの次の男。全員を殺すと宣言した男を。
「受け取れ、オスメス」
リリィはオスメスに1枚のカードを渡す。オスメスはそれをゆっくり手に取る。
「……なるほど」
オスメスはそういう。その口角が少し歪んだのを明石は目撃する。その意図が何か、明石はすぐに思い知った。
「さぁ。この中から1枚どれでも、お好きなものをどうぞ」
「な……」
オスメスは、ハートの10を提示しなかった。彼は手札4枚全てを紫村の目の前へ突き出した。
「あなたの幸運次第では、『時限爆弾』から人を救えるかもしれません。あなたに、お目当のカードを掴み取る力はありますかね?」
明石は紫村を見る。彼はプレッシャーと恐怖で、ガタガタと震えていたーー
ーー紫村はその言葉に固唾を呑む。
紫村影丸は弱い人間だ。
生まれつき体が弱く、頭も弱い。
そして何より、意思が弱い。
断る意思が弱いから、両親の旅行中にセールス攻撃で、新聞を10紙も契約してしまったこともある。
胃も弱いからすぐ吐いてしまうし、
気も弱いから、それ以来不登校になってしまった。
『ぼ、僕を……助けて……』
弱かったから、助けを求めることしかできなかった。
だけど。
『助ける、なんてことは俺達にはできない。ただ……俺達と一緒に行動しよう。助けることはできないが、一緒に生きることはできるだろう。俺達3人は仲間を、友達を見捨てない。それは約束する』
『おう、俺達はなんか変なことに巻き込まれちまった仲間だ!』『女の子じゃないのが少々残念だが、同じ試練を背負った仲間だ。これからよろしくな、紫村』
この世界で、仲間ができた。友達ができた。目標ができた。
そして、
『イッセー君、明石君!他の皆も!皆で一緒に生き残りましょう!僕、勝ちますから!皆も続いてください!』
『いしぃいいいいい……!!』
ちょっとだけ、強くなれた。
「……ここだけは、ここだけは僕は逃げない」
震えが、止まった。
紫村はまっすぐ、1枚のカードに手を伸ばす。
「僕は……誰かを必ず守る!!」
引いた。
そのカードは……!
スペードの、Q