神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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第38話ーーー弱い

「さぁリリィ、引けよ」

天谷は嬉しそうにカードを出す。リリィは無反応でカードを引くが、その眼は天谷を睨んでいるように見えた。

その後、オスメスがリリィからカードを引き、紫村のターン。

「えっと……どれが……これだ!!」

特に何も起こらず。

 

その後特に動きはなく、明石がダイヤの9とスペードの9を、木場がダイヤとハートのKを捨て、再び天谷が木場から引く番となった。すでに前回の爆発から21ターンが経過しており、これが『時限爆弾』を捨てる最後のチャンスだった。

「さすがに今回は引かねぇと殺されそうだからな……っと」

天谷はハートの10を木場から引く。

「さて、リリィちゃん?アンタは手伝ってくれんのか?」

 

天谷はリリィに対し、1枚のカードを強調させる。リリィはそれを……引いた。

(いいぞ、その調子だ。このまま回していけば……)

明石はそこで気づく。リリィの次の男。全員を殺すと宣言した男を。

「受け取れ、オスメス」

リリィはオスメスに1枚のカードを渡す。オスメスはそれをゆっくり手に取る。

「……なるほど」

オスメスはそういう。その口角が少し歪んだのを明石は目撃する。その意図が何か、明石はすぐに思い知った。

 

「さぁ。この中から1枚どれでも、お好きなものをどうぞ」

「な……」

 

オスメスは、ハートの10を提示しなかった。彼は手札4枚全てを紫村の目の前へ突き出した。

「あなたの幸運次第では、『時限爆弾』から人を救えるかもしれません。あなたに、お目当のカードを掴み取る力はありますかね?」

明石は紫村を見る。彼はプレッシャーと恐怖で、ガタガタと震えていたーー

 

 

ーー紫村はその言葉に固唾を呑む。

 

紫村影丸は弱い人間だ。

 

生まれつき体が弱く、頭も弱い。

 

そして何より、意思が弱い。

 

断る意思が弱いから、両親の旅行中にセールス攻撃で、新聞を10紙も契約してしまったこともある。

 

胃も弱いからすぐ吐いてしまうし、

 

気も弱いから、それ以来不登校になってしまった。

 

『ぼ、僕を……助けて……』

 

弱かったから、助けを求めることしかできなかった。

 

だけど。

 

『助ける、なんてことは俺達にはできない。ただ……俺達と一緒に行動しよう。助けることはできないが、一緒に生きることはできるだろう。俺達3人は仲間を、友達を見捨てない。それは約束する』

『おう、俺達はなんか変なことに巻き込まれちまった仲間だ!』『女の子じゃないのが少々残念だが、同じ試練を背負った仲間だ。これからよろしくな、紫村』

この世界で、仲間ができた。友達ができた。目標ができた。

そして、

 

『イッセー君、明石君!他の皆も!皆で一緒に生き残りましょう!僕、勝ちますから!皆も続いてください!』

『いしぃいいいいい……!!』

 

ちょっとだけ、強くなれた。

 

 

「……ここだけは、ここだけは僕は逃げない」

 

震えが、止まった。

 

紫村はまっすぐ、1枚のカードに手を伸ばす。

 

「僕は……誰かを必ず守る!!」

 

引いた。

 

 

 

そのカードは……!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

スペードの、Q

 

 

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