神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
少し動揺している匙から、明石は1枚カードを取る。クローバーのK、効果は何もない。
続いて丑三が明石から1枚。クローバーのAが明石の手元を離れた。
そして、オスメスが引くターン。
「おっ、揃いましたか」
オスメスは丑三が明石から受け取ったクローバーのAを引き、手持ちのダイヤのAとともに捨てた。
「さて……これを引かれてはまずいので。リリィ、こちらを……」
残り手札2枚となったオスメスは、1枚のみをリリィの前に示す。リリィはそれを受け取ると、オスメスへデコピンを行う。スペードのKが移動したようだ。
「さて、俺のターン!ドロー!!……お?」
リリィからカードを1枚抜き取る天谷は手に入れたカードを見て、口角を引き上げる。
「デコピンか……久しぶりだなー。まだいけるか?」
試しにと言わんばかりに机に1発パチキをかます天谷。すると、
「!?」
バチィン!という鈍い音が響き、大理石ほどの硬さでできている机に、大きな凹みができていた。
「いけるいける。これは神罰だから、死んじまっても仕方ねーよな……リリィ!今回こそ俺はお前を倒す!」
子供のように無邪気な笑みを浮かべながら、天谷はリリィの額の前へと指を持っていく。対してリリィは、無言で天谷の方を向くばかりだ。
「待て!天谷!!何する気だお前ーー「無理だぞ明石、
そうだろ天谷?」
椅子から立ち上がり天谷の方へ向かおうとする明石を、高畑が制す。それを聞いて天谷は、さらに笑みを深める。
「わかってんじゃねぇか……愛してるぜ、瞬♪
さぁ、喰らって死ね、リリィ!!」
天谷が中指を、リリィの額に向かって勢いよく伸ばす!
一瞬、世界から音が消えた。
ボキリ、という鈍い音がまず全体に広がった。
続いて、石が崩れる音。リリィがデコピンの衝撃で後ろに吹き飛び、椅子でもある地蔵を破壊したのだ。
リリィは一瞬宙に浮かぶ。その後重力に従って、勢いよく地面に叩きつけられた。
皆が息を呑んだ。オスメスも何も言わなかった。
ただ中指を通常と逆方向に曲げた天谷のみが、倒れたリリィを見て笑っていた。
「……やった!サシでリリィに勝った!ヒヒヒ、さすが俺!ざ「……さて、ババ抜きを続けるか……」!?」
床から聞こえてくる声に、天谷も、そしてババ抜きメンバーも驚愕する。
「……ッ!?おい、マジかよリリィちゃん!?もう死んどけよ、お前!」
立ち上がって来たのは、額を大きく凹ませたリリィ。彼はバラバラになった地蔵の残骸から座席部分を抜き取ると、そこに座って声を出す。それは天谷や周りにではなく、自分に言い聞かせているように木場は聞こえた。
「まだだ……まだ俺達は、誓いを守れていない。
誰かが神にならなければいけないんだ……それまでは、死ねない……」