神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

158 / 171
『天谷武死亡、手札再配分だぁ』
地蔵が天谷の手札を見せると、やはり彼の手元にはハートの7……『引いたら死』があった。その他には『リバース』のスペードの6と『神罰シンクロ』のスペードのJ。
それらが次の順番3人へ回される。明石はスペードのJを受け取った。

「お、揃った!!」
隣で丑三が言う。彼は持っていた手札を捨てる。ハートとスペードの7、『引いたら死』の2枚だ。これらが捨てられたことで、死ぬ効果のある神罰は全て捨てられた。
そして、丑三は手札を全て捨てた。彼の頭上に、光が舞い降りてくる。
「明石、お前のKissを待ってるぞ!!」
丑三は鼻息を荒くしながら、天へと昇っていった……


第47話---正々堂々

試練も終盤、ババ抜きの席には3人の男が揃った。

 

「天谷君……彼の命を奪ったことを、僕の心に背負おう」

学校『出席者』の唯一の生き残り、木場(きば)祐斗(ゆうと)。残り手札、2枚。

 

「おめでとう、丑三……」

日本の学校『欠席者』のリーダー的存在、明石(あかし)靖人(やすと)。残り手札、4枚。

 

「……」

同じく学校『欠席者』であり、人生の大半を戦場で暮らしてきた六糞野郎(サノヴァ・シックス)のリーダー、リリィ。残り手札、3枚。

 

天谷が死んだためリリィが引くターンは飛ばされ、次は明石が引くターン。

「よっと……あ」

明石が引いたのは『リバース』のスペードの6。明石は持っていたクローバーの6とペアでカードを捨てる。

 

順番がリバースし、次はリリィが明石から引くターン。

「……ふむ」

リリィが引いたのはJOKER、彼はそれを見ながら言う。

 

「俺は、ここで死んでも良いと思っている」

その言葉に眼を見開き驚く明石と木場。彼らの視線を受けながら、リリィは続ける。

「俺は……今まで正義と信じ、人を殺めてきた。俺の人生においてそれは間違っていたとは思わない。必要なことだったと今でも思っている。

 

だけど、それでも、俺は償わなければいけないと思う。

例えば『ドロケイ』の試練。俺はあそこで、何人もの同じ年代の奴を殺めた。戦争とも殺し合いとも全く関係のないような奴らだ。他にもそんなことを、この『試練』のなかでたくさんしてきた。

 

平和な世界で暮らす人間を殺してまで成し遂げたかった目標……それは、オスメスが全てやってくれる。今のあいつになら、それはできる。

だから俺は、この罪と共にここで死ぬ。それが俺の、生命(いのち)の使い方だ。

生きるべきは俺じゃなくお前らなんだよ……」

 

「……」

押し黙る木場。彼は兵藤一誠(ひょうどういっせい)のことを思い出す。人一倍仲間想いな彼が、仲間であった自分達を攻撃するほど賛同した、叶えてやりたいと思った目標。それが他人に託された今、彼に残るのは多くの人を殺した『罪』のみ。

 

「……俺達はもう、お前を認めてる!!生きろよリリィ……俺が、俺がJOKERを抱えて死ぬから!!」

食い下がる明石。対してリリィは首を振って言う。

「どうせ誰かが死ななければならないんだ。だけど明石……お前は丑三と約束があるだろう?お前はだから生き残らなければならない(・・・・・・・・・・・・)んだ」

「そんなの……」「おいおい、『そんなの』なんて言ってやるな、あいつが悲しむぞ?」

 

言葉が詰まった明石は、木場に助けを求める。木場はリリィに向け、口を開く。

「僕は……イッセー君から、あなた達のことを託された。だから、僕はあなた達の目標を助ける支援を行うつもりだった。結局大した手助けはできなかったけど、あなた達は目標を達成できそうだ。だから、僕の仕事はここでおしまいだ。

 

だけど、僕は個人的にあなたを支えたい。あなたに生き残って欲しいと思ってる」

 

「……兵藤一誠、か」

何かを思い出すように上を向くリリィ。

「ああ、親友なんだ、僕達」

木場の言葉にリリィは俯き、呟く。

 

「……羨ましいな。

 

明石と丑三。兵藤と木場。お前らみたいな関係に出逢える人間は、この世界にどれだけいるんだろうなぁ……

上でも下でもなく、信じ合い……光り合う……『正々堂々(フェア)』に生きる仲間……俺が望んでたのは、ただそういう事だったのかもしれないな……

 

もう少し早く気づいていれば……こんな後悔はせずに済んだのかもな……」

 

 

「今からでも遅くないさ」

声に、リリィは頭を上げた。

 

「あなたが神になって、仲間と共にそんな世界を創ればいい。皆が信じ合い、光り合える世界を。それがあなたの罪の償いになるんじゃないかな?」

「てゆーか、俺達3人はもう『正々堂々(フェア)』だろ?この先誰が死ぬ事になっても……俺達なら乗り越えて強く生きれる。そんな3人になろうぜ」

 

 

「ハハ……そうだな。わかった。これ以上愚かな事は言わない。ババ抜きを、続けよう」

リリィは木場の前に、手持ちのカードを突き出した--

 

 

 

 

 




--「……」

オスメスは地球に降り立つ。飛んできた場所は数ヶ月前、上官達に裏切られ、殺されかけた忌々しき場所である。
その上官達の死体、そして助からなかった仲間の死体が、今も床に転がっていた。どの死体も風化し、あるいは腐っている。

オスメスはまず、同じ部隊の少年兵達の死体を集めた。集めたと言っても、念じるだけで勝手に死体が集まって来たのだが。オスメスはそれらの死体の前で腕を一振りする。すると、死体の肉が鮮度を戻し、傷や欠けた部分の無い綺麗な身体となった。オスメスは地面に人数分の穴を開けると、彼らを今度はその手で1人1人入れていった。

全員分終わると、オスメスは地面に転がっている無様な死体へと眼を向けた。長官の禿げた頭は、動物にでも食べられたのか所々骨が出ていた。

オスメスはその頭部を掴み、念じる。

すると、その頭に肉が集まってくる。身体が近づいてくる。血が戻ってくる。

どんどんと身体が戻っていく長官。とうとう彼は息を吹き返した。
「……ハッ!!ここは!?奴らは……あの魔人は……!?」
地面に放られた長官は眼前に佇むオスメスに驚愕する。
「なるほど、やはり死体の時を死んだ直後に戻すことができたなら、死ぬ前まで戻すこともできますよねぇ」
オスメスの目が長官を捉える。長官はその目を見て怯み、逃げようとした。しかし足が縫いつけられたかのように動かない。
「……これまで私達は、多くのことをあなた方に教えてもらいました。
人を殺す殺人術。武器を扱う技術。軍略を考える兵法術。人から情報を聞き出す諜報術。そして……捕虜に情報を吐かせる拷問術」
オスメスが指を鳴らす。すると長官の真下に金属製らしき椅子が飛び出てくる。彼は突き上げられ、1mほど真上に打ち上げられたあと、重力に引っ張られて椅子の上に着地する。その腰に、椅子から出てきたワイヤーが巻かれた。
「私は今から、それらの全ての術をもちい、あなたを全力で苦しめます。あなたが死んだら生き返らせてあげますし、あなたが発狂したら正気に戻してあげます。

まずは……そうですねぇ……私達にぶち込んだ鉛玉。それを全て受け切ってもらいましょう」
地面に落ちていたライフルが浮かび上がり、オスメスの周囲へやってくる。オスメスはそのうち1つを手に取ると、

「全弾放出」
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。