神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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「じゃあ今からは、正々堂々文句なしのババ抜きだ!誰が勝っても負けても恨みっこなし、カードが揃ったら捨てる!それでいいな!」
明石の提案に残り2人も頷く。そしてババ抜きが再開された。
木場がリリィから引くターン。木場は4枚の手札の1番右を取る。クローバーのJが木場に渡った。

木場から明石が引くターン。木場の手の3枚のカードを見て逡巡する明石。やがて真ん中のカードを手に取り、
「……あ。」
明石は取ったカードを見て動きを止めた。それを見て木場は言う。
「男に二言は、だよ。明石君」

「……わかった」
明石は手札から、スペードとクローバーのJを捨てる。これで明石の残り手札は1枚。その1枚を、リリィが持っていく。

「おめでとう、明石君」「言い出したやつが1番最初なんてのはよくある事だ、気にするな」
明石の頭上に光が差す。彼は自分の身体が浮くような感覚にとらわれながら、残された人間に告げる。

「罪を償うって言うけど、罪って全部その人の過去にある事だろ……確かに『過去』は消えないけど、それを理由に死ぬのが正しいとは俺は思わない。
だって、間違いや嫌な事だけじゃなくて、楽しかった事や良い事も同じ『過去』じゃん。その全部があって人間だろ?」

上に昇っていく明石。身体が離れていく中で、声だけが2人のいる場所に留まっていた。

「『過去』を言い訳にしちゃダメなんだ。

生きる理由は、未来にしか無いぞ」


第48話--ー選別終了

「……消え……た?」

紫村は驚く。彼は今、かみまろの『戯』から人々を守るため、地球に降りて来ていた。数十分前から『戯』10体と戦っていたのだが、その『戯』達がたった今、瞬く間にフッと消えてしまったのだ。

「どうしたんだろう……僕に勝てないと思って移動した?……それはないだろうなぁ。僕ずっと腰が引けてたし」

考える紫村。やがて彼の脳は、1つの考えを思い出した。

 

「まさか……かみまろが死んだ?本人が死んだら、『戯』も長い間残ってはいないだろうし……」

 

戻ってみよう、と紫村は思った。もうすぐ試練が終わるのかもしれない。紫村は元いた『神の教室』を頭に思い浮かべながら、そこに自分の身体を転送するように念じる。すると数秒して、紫村は教室に戻ってきた。そこで紫村が見たものは……

 

 

ぶちゅ〜〜〜ッ!と効果音が聞こえそうなくらい濃密な、明石と丑三のキスシーン。

 

 

「って、エエェェェェ!!?」

声を聞いて明石はバッ、と丑三を自分の身体から遠ざける。

「何なになんですか!?明石君と丑三君、確かに仲が良かったですし丑三君はそういう言動がそこそこありましたけど……まさか2人揃って同性愛者のカップルだった!?え、じゃあここにいたら僕の貞操も危ない!!」

「待て待て待て待て」

慌てて再び瞬間移動しようとする紫村を、明石が止める。約束の事を説明すると、「そんな約束をしてる時点で……」と言いながらも紫村は理解してくれた。

 

「今、試練はどうなってるんです?」

聴く紫村に、彼が神になって離脱した後に起こった事を話す。

 

「なるほど、残り2人。リリィさんと木場君……どっちが勝つでしょう?」

「どっちが勝ってもおかしくない。2人とも自分の信念があって、強さを持ってる」

 

教室の机の1つを撫で、明石はそこに座る。丑三は明石の前の机を明石の机と向かいあわせるように動かし、その上に腰掛ける。紫村は少し離れて窓際の席に座った。3人は同じ方を向く。

 

視界の先にあるのは、地球。自分達が住んでいた星が、そこにある。

「こう見ると日本って小さいなぁ」

紫村が漏らす。

「僕の閉じこもっていた世界っていうのは、この小さな球体の中の小さな島国、その中のゴマ粒みたいな……いいえ、ミジンコみたいな世界だったって、今ならわかります」

「俺もそう思う」

丑三が紫村の言を肯定するように頷く。

「俺がいた世界も同じ、とてつもなく小さな世界だった。だから俺は星が好きだったし、六ちゃんや明石(星達)に憧れたし、散り際の美()をこの上なく美しいと思った……全部、俺のいた世界からかけ離れた、遠く離れた手の届かない存在(モノ)だったから」

 

「俺は……その小さな世界が好きだったけどな」

明石の声に紫村と丑三はそちらを向く。

「俺は、あの小さな世界が好きだった。ケンカしたり怒られたり、嫌なこともいっぱいあったけど、でも青山がいて、クラスメイト達がいて、父さんがいたあの世界は楽しかった。ケンカしても仲直りできるし、怒られても少しすれば笑える。みんなでグラビア見ながらバカな事言ってたようなあの世界が好きだったよ」

 

「明石……お前は恵まれた生活をしてたんだな。だから、皆を支えたり助けたり、なんて事ができる」

「素晴らしい事だと思いますよ。僕達にはとてもできなかった考え方です。それだけ、元の世界が幸せだったって事ですから」

言われて照れた明石は、照れ隠しに地球を再び見る。すると、地球から何かが盛り上がり、教室の中に出てきた。

「……」

赤黒い色が少し入った水色髪、目の縁を形どるよう入っている少し崩れた♂と♀のマーク。オスメスだ。

 

彼が出てきたのと同じタイミングで、教室の1番前にある教卓の上に、アシッド・マナが現れる。

 

「ついに、最後の神が決まったよ!これで神は5人!

 

紫村(しむら)影丸(かげまる)、オスメス、丑三(うしみつ)清志郎(きよしろう)明石(あかし)靖人(やすと)、そして……」

 

 

教室の床が虹色に光り輝く。その中から飛び出るように、1人の男が現れた。

 

 

スラッとした細マッチョな体型に純粋な光を放つ金髪、そして泣きぼくろをつけたイケメンフェイス。

 

「最後の神、木場(きば)祐斗(ゆうと)!」

 




明石が上がってリリィと木場の一騎討ち。残りの手札はリリィが3枚、木場が2枚。


リリィから木場が引くターン。
「……残念」
JOKERだ。木場は肩をすくめる。
木場からリリィが引くターン。
「……こちらもだ」
引いたカードは同じくJOKER。再び木場にターンが回る。

「これにしよう……!」
木場が引いたのは、ダイヤの8。彼は持っていたスペードの8とともに、カードを捨てる。残ったのは1枚。リリィはそれを受け取る。

『神罰発動!リリィは木場祐斗にデコピンだぁ』
リリィが引いたのは『引かれたらデコピン』のスペードのK。彼はJOKERをテーブルに置くと、ふぅ、とため息をつく。
「お前の勝ちだ、木場祐斗。良い戦いだった」
「ありがとう」
木場は微笑みながら言う。その目には涙が溜まっている。
「オスメスに伝えてくれ。『お前に全て任せる』と。あと、これを渡しておいてほしい」
そう言ってリリィが胸から取り出したのは、サバイバルナイフ。木場はそれを両手でゆっくりと受け取り、頷いた。

「さて、神罰……だな」
リリィの手が木場の額に伸び、その指を弾く。
「お前にも、俺の志を託す。受け取れ」
額に太い指が当たり、

『木場祐斗!!神罰ババ抜き突破!!!

リリィ!!「最後までJOKERを持っていた」事によりジャッジメント!!』

木場は神となり浮かび上がり、リリィは血となり地に堕ちる。
こうして『神罰ババ抜き』は終わりを迎えた。
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