神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
悪魔、堕天使、吸血鬼、妖怪、etc……
それら異形の者に対し、人間は抵抗する手段を持ち合わせておらず、そのため人間は搾取され、蹂躙され続けた。
それを嘆きになったのは、神。聖書で讃えられるほどに人間を愛し人間に愛されていた神は、人間に力を与えた。
それは神器《セイクリッド・ギア》。それを手にした人間は力の倍加や武器の創造、希少なものでは傷や病の回復等といった、人ならぬ力を手に入れた。そして、その力を持ってして、人間は異形の者に抵抗するようになるのであるが……
神は人々に与える神器の中に、異常なまでに強力な神器を入れていた。それこそ、神を殺すほどの力を持った神器を。
人はそれらを、キリスト教の神の子・イエスを殺した槍から名を取り神滅具《ロンギヌス》と呼んだ。
なぜ神が、自分すら殺せるほどの神器を人間に渡したのかはわからない。
人間は自分に刃を向けるはずはないと信じていたのか、あるいはーー
「ーーこんな事態を予期してたのか」
攻撃を受けた衝撃でダイヤから人型に戻った紫村の前に、木場祐斗が現れた。いつの間にか持っていた剣を幾度と振る。すると地面に、何本もの巨大鉛筆が叩きつけられた。紫村は身体を回復させ、木場の方を改めて向きハッとする。
木場の手に現れた真紅の籠手、それを彼は以前にも見たことがあった。
「そ、それはイッセー君の……」
木場はそれを聞き、紫村にのみ届く声で言う。
「これは『
籠手が『Borst!』と鳴る。
「イッセー君から託された仲間の力、次は僕が使わせてもらう!」
〜〜〜〜〜〜〜
オスメスと丑三のコンビは肩を合わせながら飛んでくる鉛筆やコンパスを迎撃する。明石はサッカーボールを創り、守ってもらっている。木場祐斗は剣で文房具を地面に叩きつけ、紫村はその後ろで石を出現させ、文房具に当てて撃ち落としている。
一見皆がうまくガードできている風だ。しかし、皆その場から動くことができない、かなり危険な状況だった。
「ケンカ売っておいて防戦一方とか舐めてんのぉ?誰から死にたいか選べよクソ野郎どもがよぉ!!」
マナの文房具弾幕が強まる。それに合わせて5人の動きも速くなっていくが……
「次の10秒で弾幕を2倍にする。その次の10秒でさらに2倍。何秒まで耐えれるのか計っておいてやるから、各々好き勝手死にやがれ!!」
言うと同時に飛んでくる弾幕が増える!丑三・オスメス組は1つの弾幕を逸らして他のものに命中させることで、明石と木場・紫村はガードを固めることで何とか耐えたものの、反撃の機が見えず唖然とする。
木場は相変わらず剣を動かしたまま、背後の紫村に向かって言う。
「紫村君、1つ頼みたいことがあるんだけど……良いかな?」
〜〜〜〜〜〜
「……全員意外とよく耐える……10秒持つとは思わなかったかなー?」
攻撃一方になったことで少し余裕が出てきたマナ。彼女の視界で、1つ大きな変化があった。
「?腕が6本に?さらに周りに5人の人間が?」
マナの視界の先に映るのは、木場祐斗。彼の腕は右左共に2本追加され、さらに周りを5人の剣を持った騎士が周っている。木場祐斗が何かをしようとしていることは明白、とマナは少し警戒する。
「10秒!」
よし、さっさと叩き潰そう。
そう決めたマナは、それまでの100倍の弾幕を創り出した。
その標準を全て、木場に向ける。木場もそれを見て身構える。自分が狙われているのを把握してか、紫村から距離を取り空中に位置取った。
通常通りの弾幕をその他4人に任せながら、マナは木場に100倍の弾幕をお見舞いする。慈悲で3秒間は弾幕が届かないようにする、と余裕から弾幕を緩くする。
3秒経ち、無数の文房具が木場を襲う。木場はそれを6本の腕と5人の騎士で何とか捌いていく、がその表情から疲労が見て取れる。
「まず1人、もらったぁぁ!!」
マナがさらに最初の10倍の弾幕を創り出し、最初の10倍の速さで放出しようとする……その時。
「……!?」
マナの動きが、止まった。
否、止められた。
そして、
「……ダイヤモンド・パーンチ!!」
マナの顔面を、輝く拳が貫く。
マナは拳の向くのと同じ方向に、まっすぐ吹き飛んだ。
校舎の3階に激突し、学校の5割が砂と化す。弾幕が収まり、4人はホッと一息つく。
「……攻撃が、通じた?木場君の言うことは本当だったんですね!」
そして、神に1撃を喰らわせた者は、逆転の可能性を見て打ち震えた。
「ギャスパー君、ありがとう。君の眼も役に立ったよ」
体に話しかけるように呟く木場。彼の手に1つの長剣が創られた。
「さぁ、少し時間ができた。
創ってみようか、僕の至高の剣を!!」