神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
2年生26人、3年生22人。彼ら彼女らが円の中で集まっているのを、私は1年生の席から眺めていた。円の中にいる人達の動きは、2年生と3年生でそれぞれ違う。
「いくぞ、2ねーん!!おらああああああああ!!」
『ファイ!!オッ!!ファイ!!オッ!!』
「俺達、絶対生き残る!!!ウィーアーザ2年!!!」
『ウオオオオオオ!!』
全体の士気上げに終始する2年チーム。それに対し3年は中央で2人の男がじゃんけんをしている。何故今じゃんけん?などと思いながら、試合開始を待つ。
審判役のくるみ割り人形がトコトコと歩いてきて、フィールドの円と円の間に立つ。持っていた旗を上げ、
一気に振り下ろした。
ワアアアアと中央に選手が集まっていく……?3年生は半分くらいしか攻めに参加していない?
それでは戦力ダウンなのではないか?などと思ったが、それは違った。3年生は半分の人数で2年生の間をどんどんすり抜け、あるいは倒し、棒まで辿り着いた。
「……3年生が押してる!!2年生と違って、ハッキリ二手に分かれてきたんだ!!」
同じ1年生の秋元が言う。なるほど……さっきのじゃんけんはそういう……確かに2年生は攻めに行っている人達もチラチラと後ろを振り返っては前を向きなおしてる。守るか攻めるか、迷っているように見える。
「そーか、攻める人達に死ぬ覚悟ができてるから……」
「死ぬ覚悟……それが勝負の分かれ目になる」
3年生の攻めチーム、そのリーダーらしき男がとうとう2年生チームの棒を掴み、登っていく!!
「焦んなって。まだ終わってねぇよ……」
と、ここで背後から声が聞こえる。発信源は、天谷だ。
「死ぬ覚悟なんて、そぉ簡単にできるもんじゃねえって」
天谷が言った事が図星だったかの様に、
3年生の攻めリーダーが、棒の途中で止まった。
「……!?躊躇してんじゃねー!!!あと1分無ぇんだぞ!!?棒倒して吹っ飛んで死ねよ早く!!お前らが死ななきゃ、俺らも死ぬんだよ!!」
守りのリーダーらしき男が吠える。それに対し攻めのリーダーは……
「……わかっててもできねえんだよぉ、バカタレぇえ!!やっぱ、死ぬの怖ぇんだよぉ〜〜〜〜!!!」
涙声で叫ぶ。その姿はとてもひ弱だった。
『悪魔は、いや生き物は、自分の命が1つしか無い事、そしてその命は修復や交換ができない事を、遺伝子レベルで知っています。そして、私達悪魔は、それを何よりも良く知っている』
会長の言葉が、頭の中で思い出される。あれは、私の初めてのはぐれ討伐の時だったか。
その次の言葉は確か……
『だからこそ彼らは……全ての生き物は、死に対し、滅びに対し、必死に抵抗するのです。たとえその結果、より酷い結末が待っていたとしても……たとえ自分が、結局死んでしまうとしても』
リーダーは服を掴まれ、そのまま棒から落とされる。その顔は、どこか安心しているようにも見えた。
「中途半端な覚悟は、自爆を招くぜ」
天谷が、低い声で言ってくる。
残りは30秒も無い。とうとう3年生の守りチームも攻撃に転じ出した。2年生も守りをほぼ捨て、棒倒しに全力をかける。
「『望みを絶つ』のが、勝つ方法ね。問題はそれを誰がやるか……」
坂東が冷静な声で言い放ち、それに応えるように天谷が台詞を続ける。
「まぁ、俺が本気出しゃ20秒……いや、15秒ありゃいけるけどな、1人で…でも、いかんせん……」
ここで、2分間が無慈悲にも過ぎ、
グラウンドに再び、爆風と閃光が渦巻いた。
「生き残って神になりたいんだよねー、俺」
皆がこの状況を見て言葉を失う中、天谷以外に1人だけ、違うオーラを醸し出している男がいた。
「イケるぞ……」
ゆっくりと、彼は告げる。
「余裕だよ、このゲーム……てか、むしろ今までで一番簡単」
彼の名は、高畑 瞬。最初の神の子にして、元士郎と同じ……復讐者。
そろそろ第壱章もクライマックスか……!
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!