神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
神を殺す!!!
佐竹!アヤちゃん!吉川!
城崎!三神さん!
栄治!小太郎!
しょうこちゃん!!
俺、今わかった!完全にわかった!!
俺は出来るんだ!!
ダルマの時も、ネコの時も、こけしの時だってできた!
退屈は終わったんだ!!俺は今……生きている!!
「死ねかみまろおおおおお!!!」
俺、匙元士郎はただその光景を眺めていた。
『ぜつぼうたおし』の爆弾付きの棒が、どんどんとかみまろに迫る!!
「……行けぇえええええ!!!」
思わず口から声が漏れた。それを意識すると、俺は今度は自分の意志でその台詞を口にしようとし……視界で起きる異常に、目を疑う。
(……棒が、縮んでる?)
俺の見た通り、2人が投げた棒がどんどんと縮んでいく。そしてかみまろに届く頃には、棒付きの飴くらい小さくなっている!?
かみまろはそれを、パクリと口に入れた。
「あーーーーー、ビックリした。そぉくるとは思ってなかったなー」
かみまろは気楽そうなトーンで言う。
「でも、神だから伸縮自在なワケ。そりゃ神だからね。わかるぅ?」
そう言いながら口から2本の棒の内1本を取る。そして……
「お前ら2人。反則」
かみまろは息を大きく吸った。そして、息と同時に飴のようになった棒をこちらに飛ばしてきた!!
天谷と高畑に返ってくる棒は先程の逆でどんどんと大きくなっていく!!あれはさっき投げた時以上の大きさ!マズイ!
「……ライン!!」
俺は咄嗟に2人の前に、俺の持っている
しかし衝撃は抑えられず、ラインは途切れ途切れとなった。2人は爆炎と爆風に巻き込まれて、血まみれで吹き飛ぶ。宙を数メートル舞い、ほぼ同時にドシャっと地に落ちた。
「あ……あぁ……」
2人には、神殺しは果たせなかった……倒れている2人には。なぜなら、2人はただの人間だから。
「『
だけど、俺は違う!!
もう周りのことなんて考えない。俺は神器の中の龍王・ヴリトラの姿に変化し、一直線にかみまろを目指す!爪でサイコロを引き裂くと、かみまろは空に投げ出された。俺は空中に浮いたかみまろにヴリトラの黒炎をお見舞いした!!
と、思っていた。
「いやぁ、ありがとう、育子ちゃん」
そのまま空に浮いているかみまろと俺の間に、1つの炎の塊があった。実行委員長の育子。彼女は燃えながらも、かみまろに向かって質問する。
『かみまろさ、あぁん☆こういう場合、どうするんですかぁ☆』
「うーむ……うーん……やっぱり、審判に手を挙げるのは反則だよな……始末していいよー」
『ガッテン承知の介☆』
炎の中から何か鞭のようなものが降りかかってきた!……いや、これは縄だ。さっき自分を縛っていた縄を……
縄は炎を纏って強く速く激しく、俺の手や足、尻尾を捕らえようとしてくる。ただ、
『こんなパワー!こんなスピード!こんな衝撃!この龍王には効かねえ!』
俺はその縄を掻い潜り、あるいは引きちぎって炎の塊に近づき、鋭い鉤爪で育子を粉々に粉砕した。
『かみまろ、次はお前の番だ……!?』
一瞬だった。育子を粉砕してすぐ、少し力を抜いた時、龍の身体はぐるぐる巻きに縛られた。力が抜け、俺は地に落ちる。変身も切れ、もとの姿に戻ってしまった。
何に縛られた!?と思いそちらを向く。そこにいたのは……
『1人撃破なーのだ♪』
粉砕した……と思っていた育子だった。
「お前さんもこれが欲しいのか?ほれ、やるよ」
その声と同時に降ってくる爆弾。今の俺にはそれを避ける術もなく、爆発により衝撃と共に吹き飛ばされ、2人と同じように床を転がる。
くそっ、変身も解けた……身体が、動かねぇ……!!
「さめるわー。
お前ら1年生、面白いから好きだったのにぃ〜〜〜。反則しちゃう奴がいるんですよー。やっちまったな〜〜〜〜〜。
もぉいらないや、それ。
捨てといて」
命令されたくるみ割り人形は天谷、高畑、俺を回収。そして俺は、グラウンドの端っこに持っていかれ、ゴミ箱に捨てられた。
ゴミ箱の先は東京の上空。俺、高畑、天谷。3人は無様に散った……いや、
「まだだ……まだ……終わってねぇ……」
俺はまだ生きている!
翼を出す力もない俺は、ただまっすぐ、上へと手を伸ばした--
「……ん?空?」
--その手を掴むものがいると信じて。
古代ギリシア・クレタの地に、ダイダロスという名工がいた。
彼は王の命を受け、怪物ミノタウロスを閉じ込めるための迷宮を設計した。しかし--
その後に彼は王の不興を買い、息子であるイーカロスと共にその迷宮に幽閉されてしまう。
そこで2人は、抜け落ちた鳥の羽根を蝋で固め「翼」を作り、見事空を飛んで脱出する事に成功した--が。
この時、若き息子イーカロスは父の忠告を無視し、あまりにも高く飛び過ぎた。
『神へと近づく飛翔《イーカロス・ハイ》』。それは万能感が故の行為だったが、結果--蝋で出来た翼は太陽に溶かされ、イーカロスは墜落死した。
果たして彼はこの時何を思うたか、その答えは--神のみぞ知る。
彼らもまた、神にあまりにも近付き過ぎたがために、その翼を失ったのだ。
イーカロス同様、彼らは果たしてその際に何を想うたか--その答えは、
生者のみぞ語り得る。