神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
……どのくらいの時間が経ったのだろう?
そう言って時計を見ると、まだ10分も経っていなかった。リアスの身体からはもう血が流れなくなっていた。紅い髪を撫でると、声が聞こえる。
『はよ体育館行きなはれ』
ダルマが無機質な声で、そう告げた。
「まだ……続くの?」
『お前はネズミや!もうすぐくるでー。ネコくるでー。はよ体育館行きなはれ』
体育館……そこに行けば他の人に会えるかしら。誰か、人に会いたい。生きている人に会いたい。
リアスを強く抱きしめてから、その亡骸を床に寝かせる。涙を零しながら、歩を進める。ただまっすぐ体育館へーー
2分くらい経って体育館にたどり着いた。ドアを開ける指が震える。深呼吸を3回したが震えは治まらなかったので、そのままドアを開けた。
見知った顔が数人、全員で19人。これは……1クラスにつき1人来てるのかしら。
1人の女子がこちらに向かって走って来る。私は彼女を受け止めたが、力が入らなくて尻もちをついてしまった。
「
「小猫ちゃん…」
そう聞こうと思ったが、結局その口を閉じた。仲間が死んだ、そのことを思い出したら、彼女は、彼のようになってしまうかもしれない……そう思って彼を横目で見る。
「あああ、俺のせいで…俺がボタンを押したせいで、
「
「
匙元士郎、彼はイッセー君に似ていて、仲間想いだ。だからこそ、あの悲劇に耐えられなかったのでしょうね。
自分がボタンを押したせいで、仲間が死ぬ。自分が殺したようなものーー
パチンっ!と、乾いた音が鳴り響く。匙君の顔に紅葉が浮かぶ。
「落ち着きなさい、サジ。私は、ここにいますよ」
彼女は匙君を抱きしめ、あやすように言う。匙君の目から、鼻から、水が止まらなかった。
「すいません、会長……俺、おれ、あなたの眷属を、仲間を護れず、のうのうと生き残って……」
「何を言っているのです、サジ。私にとっては、彼女達もあなたも大切な眷属で仲間です。あなたが生き残ってくれて、私は本当に嬉しいわ」
彼女ーーシトリー眷属の王、ソーナ・シトリーの胸の中で、匙君はしばらく泣き続けた。
「私も、朱乃先輩が生き残ってくれて、本当に良かったと思ってます」
「ありがとう、小猫ちゃん」
小猫ちゃんを安心させるように、撫でる。手の震えは、いつの間にか止まっていた。
ガララララっ!
体育館のドアが、また開いた。うちの学校は3学年7クラスずつの21クラスある。私が20人目だったから、これが最後の1人……
「……朱乃さん!小猫ちゃんも!無事だったのかい⁉︎」
最後の1人は、私や小猫ちゃんと同じグレモリー眷属の
「良かった、僕の他にも生きている人がいて、本当に……」
私達は再び会えたことの喜びを、噛み締める。
ドオォオン!!
「な、何の音⁉︎」
木場君が来た直後、急に大きな音が聞こえ、体育館が大きく揺れた!
慌てて抱きしめていた小猫ちゃんを離す。床にペイントで文字が書かれているのが見えた。
「ネコに鈴つけたならおわり……?」
キュインキュインキュイン!と、体育館の隅から耳障りな音が響く。
「今度は何が⁉︎」
そちらを向くと、体育館の端の方に落ちている大きな金属の球が甲高い音を響かせていた。あれは……あれが床に書いている、指令の鈴?
1年生の男子が1人、それを拾いに行った。彼は鈴を持ち上げると、何かに気づいたようで声をあげた。
「この鈴、タイマーが付いてる!まだ動いていないみたいだけど……」
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!と地響きがする。同時に、キュインキュインという音も消える。いよいよ始まるようね……!
「鈴のタイマーが動き出した!制限時間は……10分だ!!」
男子が叫ぶ!それと同時に、その男の子の上の屋根が崩れ、
グチャッ、と。
彼が、潰れる。上から何か…巨大な物体が降ってきた!
体育館の下に降りてきたのは……白い身体でお腹に小判を携えている、小さな--あくまで顔のサイズと比較して--ネコミミをつけた物。おそらくは……招き猫? でも、それにしたって……
「お、大きすぎませんかしら⁉︎」
虎やライオンなんてものじゃない。立派な一軒家くらいは大きな招き猫が、舌舐めずりしながら私達を見ている!!
私達の第2の試練が、始まった!
招き猫、始まります!イッセー君はまだ出ないのか!
イッセー君がまだ出ないので、代わりに木場きゅんと元ちゃんに頑張ってもらいます。
ちなみに最初に匙君に声をかけていたのは、仁村さんと由良さんです。彼女らもクラスでの試練を生き延びて、体育館にたどり着いています。ソーナ会長もね!
現在体育館内は20人、そのうち悪魔が7人。この試練で何人減るのか⁉︎
読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!