神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
「何てヤツだ……自分の命を100g…1回分に換えて……
南山のガタイの良い男子のその言葉が、教室内に響く。どの山も騒めく中、その大元の東山だけは静かだった。
「え……でも、『南山』は9人……『西山』は3人……『北山』は7人残ってるけど、『東山』は1人だけじゃん。『ゼロ・コネクト』しても、どのみち全滅でゲームオーバーじゃね?
西山の1人、『100Y.A.』のジュードが周りに確かめる様に言う。その言葉に、他のメンバーも安心した様子になったが、
「ちょ……ちょっと待ってよ皆……次の1回で勝てるって言っても、どの山も、あと1回分も砂無いよね……?」
涙ちゃんのその言葉に辺りは静まる。
「それでも、あと1回分凌がなきゃいけない……ってことは…まさか……」
「そう…各チーム誰か1人……『ゼロ・コネクト』しなくちゃならない……」
つまり次の立候補者は、チームの勝利のために死ぬ者だ。
「……。」
ふざけるな。そう思った。
『にの』に連れてこられ、『まめまき』が始まった時から俺は考えていた。生きたい、リアスの分まで。会いたい、生き残っていた人達に。最悪悪魔であることがバレてでも、禁手を使っても、どれだけ惨めでも。
しかし、その気持ちは皆一緒だ。殆どが今日会ったばかりの奴らの為に自分の命を犠牲に、なんて事は、そうそう出来る事じゃない。そして俺は、そんな修羅場を何度も潜ってきた。
今、俺の視界の中にいる6人、彼らの為に、俺は死のうと思った。人を助ける為に死ぬんだ、リアスも許してくれるだろう。
『南山』からは明石が立候補者した様だ。北山からは俺が--
「明石がイクなら、俺もイク」
俺よりも少し早く、明石が立候補してすぐを狙ったかの様なタイミングで、丑三清志郎が立候補した。
「皆の頑張りを無駄にはしない。最後の一戦は俺がやる」
空気を悪くした事に責任を感じているのか、それとも何か裏があるのか、明石は決意のこもった声でそう言う。
「じゃ俺も」
軽い声で丑三が言う。この立候補がどういう意味か分かってるんだろうか?……いや、彼には彼の、何らかの思惑があるんだろう、そう思う。……そう思いたい。
東山からは残りの1人、最後の男が出る。その顔は腹を決めた風で、先程までの友の死で惚けた雰囲気は全く見られない。すげぇ……あいつは友達の死を乗り越えて、強くなったんだ!……とは言っても正直、あそこの山から取るのは見える状態でも無理だろう。正直東山で前回死んだやつは余計なことしやがってと思わなくもない。
最後に残った『西山』も、『100Y.A.』の1人、リーゼントヘアーのノアが出た。
『いくぞ23回戦!!!はじめだおらぁあ!!!』
『南山』グループは立ち上がる明石を見て、言葉を零す。
「明石……まさかお前、償いのつもりか……!?さっき、いきなりおじけづいてチームの『和』を乱した……だからここで、チームの勝利のために命を0gに換えて死ぬ事で……その責任を取る気か!?」
その声を聞いて『北山』メンバーもハッ、とした様な表情になる。明石は何も言わず、ただ真っ直ぐに砂山に……もはや砂山と呼んでいいのか分からないが、とにかくたどり着いた。丑三もゆっくりと到着する。
「あ……やっちま……バチュン!!
!!!
倒した!!
東山が倒したぞ!これですなとりは終わり?そうか、あいつらはこれを狙って……
「おい見猿!!!『東山』が棒を倒したぞ!!?『すなとり』終了だろ!!?」
その言葉に見猿は、低い声でこう言う。
『まだ、終わらざる』
……な、なに!?倒したら終わりじゃ無かったのか!?
『ここで終わったら不公平だろがぁ!?負けは「東山」決定!!だが、この1回は平等に機会を与える!!「南」「西」「北山」は、この1回に限り続行ぉぉ!!!』
『西山』のすなとりもの、『100Y.A.』のドラム担当、ノアはその言葉に頭を抱えた。
東山のあの男なら、グズグズしている間に砂を倒してくれるだろうと思っていた。それで終わり。自分も生き残れる。そう考えていたノアは今のこの状況に絶望していた。
(ふざけんじゃねーし!死ぬしかねーじゃん俺!あの小さな砂山じゃ取れる気しねーし、でも取らなくてもどうせ死んじまうし!!)
立ち止まるノア。その耳に、2つの声が聞こえた。
「あなたの事は……忘れないわ……」
泣いている女の声、おそらくチームメイトの生き残りの1人。そして。
「勝ったよノア……ありがとぉ……お前と100Y.A.やれて、マジで幸せだったよ……お前がいなきゃ、俺はなかった……ありがとぉ……」
今まで共に歌ってきた、仲間の声。
彼らは、俺が救世主として死ぬ事を望んでいる。
(死にたくねぇ……)
頭の中でその1文がよぎった。
決意が、揺らいだ。
「ごめん、俺やっぱり取るわ」
西山の棒が倒れ、3つのプレス音が重なって大きな音を立てた。
残るは、北と南のみ。この状況で、立候補してから何も言わなかった明石が、重い口を開いた。
「やっぱり……ダメだったな……他の山が先に倒してくれれば、それで終わりかとも思ったんだけど……やっぱりやるしかないんだな……なぁ丑三……あの時、お前が教えてくれたから、この状況に立てたんだ……ありがとな」
丑三はそれにニンマリと笑って、優しい声で明石に話しかける。
「ユアウェルカム、じゃあ……そろそろ?」
「うん、やるか」
明石は両手を前に出し、砂山に近づける。丑三も笑ったまま、砂山に接近した。
2人とも砂に触りもしない。しかし、取ったとも言わない。生と死の葛藤か、と俺は思った。
しかし、見猿がそれを待ってくれる訳もない。
『遅っせぇよ、あと3秒ぉ!!』
苛立った見猿の声がタイムリミットを告げた。
時間がゆっくりに見える。
明石と丑三はそれぞれ握っていた手を広げ、
2人の手の中から、ゆっくりと砂が落ちた。
『ジャッジ!!!』
今回で『すなとり』終了!など書きながら、まだ中途半端に残ってしまいました。まぁ、殆ど今回で終わっているんですが……申し訳ございません。
次回、説明回?
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!