神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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イッセー君が出ない所も少しは描写する事にしました!


第20話---変わる

『ピンポンパンポーン♪不思議番号22「テケテケEVERY★騎士(ナイト)」、すなとりBOX」マス取り成功。ピンポンパンポーン♪』

夏川めぐはテケテケを銃弾にて一撃で仕留めてみせた。その揺るぎない態度に明石は言葉も出ない。

「あれ……鳳は?」

そう言われて明石も、もう1人の仲間の事を思い出す。

「あ……いない。ビビって逃げたのかな?」

「……仕方ないわね!二手に分かれて探すわよ。私は下の階探すから、アンタは上の階ね」「は、はい!」

という訳で、明石とナツメグは分かれて鳳の捜索を開始する。その姿を隠れて見つめる影が1つあった--(おおとり)哲也(てつや)その人である。

 

(テケテケにはマジビビったが……結果的にラッキー!これでナツメグは1人になった……!緊急手術(オペ)でしょ!)

医者の息子である彼には、異常な性壁があった。性欲(セクシャル・ディザイア)手術欲(サージカル・ディザイア)、そして解体欲(ジョイント・アレルギー)が混ざり合ったような複雑な性壁、彼は1人になったナツメグを前にその感情を抑えきれなくなっていた。

「後ろから絞めて、押さえつけ……制服切り刻んで……!診察(オペ)りてぇ……!触診(オペ)りてぇ……!手術(オペ)りてぇ!(オペ)りてぇ!!」

 

『わかるよ、そのキモチ!』

不意に後ろから声が聞こえる。背後から首を絞められた。

「え……」

もうテケテケは倒したはずじゃ……鳳は思う。何が起こっているか考えようとしたが、思考はそこで停止する。

『そのリピドーを、芸術の方に昇華しないか?』

直後、彼のいた部屋に、ゴキっと鈍い音が響いた--

 

 

 

--カラオケもひと段落ついたので、俺達居残りチームはお菓子を食べながら注文で頼んだトランプで遊び始めた。

丑三は刀をずっと見つめており、トロイは震え続けている。

「……明石君達、大丈夫でしょうか?」

聞いてくる紫村に、

「クリアの放送もあったし、恐らく大丈夫だと思うぞ」

そう返す。実際、試練の挨拶が終わった時に出てきた妖怪達も京都の妖怪や東京の妖怪と比べてもそんなに強そうでは無かったし、大丈夫だと思った。俺は、日頃の闘いのせいで感覚がおかしかったのかもしれない。一般人にそんな異形と戦う力は無いというのに--

 

 

--明石とナツメグは鳳をグラウンドに埋める。彼は、あやとりBOXの選んだ不思議である人体模型に捕まっていた。何とか人体模型は倒したものの、助けた時には既に鳳は死んでいたのだった。鳳を弔う明石。その首には、強く絞められた跡がついていた。

 

『--だから俺は神になる事にした。暴力で世界を救える神にな!!』

ハラカイの暴走。彼は『あやとり』の試練を得て変わった。彼は暴力によって仲間を救い、暴力によって試練を突破し、そして暴力に取り憑かれ、暴力こそが世界を制すると考えるようになっていた。

『来るぞ明石!!暴力の時代が!!!』

 

「暴力でねじ伏せるなんて蛮行……人として最低よ。人は言葉で理解し合おうとするから人でいられるのに……」

明石の首筋を見て出てきたナツメグの言葉。それを、他ならぬ明石自身が反論する。

 

「--残酷な世界で生き残る為にハラカイは変わった。環境が人を変えるのは仕方のない事なんだ。

 

でも……そういう風に人は変わるんだとしたら……もう一度、俺の知ってるアイツに変わる事だってできるよな……」

最後の方は自分に言い聞かせたかのようなセリフだったが、その言葉にナツメグは思う所があったようだ。

しばらくして、BOXの前に着いた時、彼女は明石に告げる。

「じゃあ私は?私も変われると思う?」

 

--何故こんな事を……人生1番の汚点なんかを、こんな昨日今日あったばかりの男に話そうと思ったのかしら?

夏川めぐはそう考える。そう考えながらも、その口は閉じられる事はなく、彼女の過去は明石に知られていく。

完璧人間だった過去。人生の転機になった合唱コンクール。そしてそんな中、心に生まれた思い……私なんかいない方が、という思い。

そんな遠い昔のようにも思える話を話した後、ナツメグはもう一度問う。

「こんな私でも、変われると思う……?」

夏川めぐは、ある答えを無意識に期待していた。君なら変われるさ、なんていうありきたりな答えを。敵--かつての仲間であっても、あれだけの事をされれば流石に敵とみなしていいだろうーーにすら思いやりを持てる彼なら、私の心も少しは安らげてくれるだろう、と思った。答えなんてありきたりでも、適当に取り繕った言葉でもよかった。自分の心を軽くしてくれるなら。

しかし、明石は全て聴き終えると少し考えるように顔をしかめ、そしてこんな事を言い出した。

 

「別にそのままでも、いいんじゃない?」

 

何を言ってるんだこの男、と思った。この男は話を聞いていたのか?などと思ってしまう。私は変わりたいのに--

 

「ナツメグは今みたいな自信満々で堂々としてる所がいいんだよ……あ。これじゃ全然答えになってないか……じゃあ……もう少し笑う所から始めてみるってのはどう?」

 

--何故だろう?心が不意に軽くなったように感じられる。それになんだか安心したような気持ちになる。

しかし、ナツメグはそれを顔に出せずに「……もういい、余計なお世話」とその話を終わらせる。

初めて昔の事を口にした事でストレスが発散されたのだろう、とナツメグは自分に言い聞かせた。

 




……前書きで少しは、などと言っておきながら、ほとんど明石とナツメグの話でした。イッセー君がほとんど出なかった……
すなとりBOX初の犠牲者、初日から犠牲者が出るとは、すなとりBOXは大丈夫なんでしょうかね?
そして、ハラカイの暴走!まだまだ七×七不思議は混乱しそうです。
次回は視点を変えて、別のBOXの話を少しすると思われます。

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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