神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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今日はイッセー君から離れて、別の場所のお話です!



第21話---催眠

--愛甲(あいこう)龍臣(たつおみ)。彼は人知れず要人を裁く『催眠暗殺』一族の末裔として育ち、14歳にしてその背中で初めて人を殺めた。『感情を持った殺しは自らの身を滅ぼす』両親に教わったその掟を守り、生き抜く為、彼はその時の涙を最初で最後の感情にすると誓った。

 

心を封印し数年経ち、迎えた18歳の冬、淡々と流れる殺しの日々の中で、ふと思った事があった。それは、何も感じてはいけない自分への絶望。彼はその感情も自分の宿命だと押し殺した。しかしその日から、彼の人生は大きく変わる事になる。

『お前、「がっこう」休んだろ?』

言われるがままに連れて行かれたのは、学校だった。そこで始まった死の試練。彼は冷静に考えていた。

--自分の傀儡、身代わりが必要だ、と。

彼は人が隠れていそうな場所を探した。しかし、そこにあったのは多くが死体だった。

何度か人を見かけたものの、2・3人組と集団で行動している者がほとんどだった。自分の愛甲式傀儡催眠術、『アイ・パペット』は1対1で無いと効果が薄いのを彼は自覚していた。

(意思の弱そうな……操りやすそうな奴も何人かいたが……残念だ)

結局、傀儡を作る事が出来ないまま『まめまき』は終わりを告げ、3択が突きつけられた。

(いすとり、あやとり、すなとり……どうすべきか)

外の人気のないベンチに腰掛けそんな事を考えている時、隣のベンチに3人の女が座った。

「『いすとり』ねぇ……私は小学校以来だけど、アーシアとゼノヴィアはやった事ある?」

「いや、私はルールこそ知っているがやった事は無いな」

「私はルールすら知りません。ごめんなさい……」

「大丈夫よ、アーシア!私がきちんと教えてあげるから!」

 

1人はお人好しそうな女、1人は勝気な女、そしてもう1人は意思の弱そうな女だった。

愛甲は考える。

(2人は始末して、1人は俺の傀儡にするか。それでは、誰が傀儡に適任か……)

考えようとした時、都合良く2人離れていった。栗毛色の髪のお人好しそうな女と、金髪の弱そうな女だ。

残ったのは、青い髪に緑のメッシュを入れた、勝気な女だけだ。彼女は何をするわけでも無く、ひたすら虚空を見ているが、その周りには隙が無い。

「すまん、少し良いか?」

「ん、何だお前は?」

話し掛けると女は少し怪しむようにこちらを見る。しかし愛甲はそれを好機として、上半身の服を取り払う。

「! おい、何をしている!貴様、こんな所で服を脱ぐなんて、露出狂か!?……ん、なんだその背中の変な痕は……」

彼女がその痕を見ているのを確認し、愛甲はゆっくりと身体を動かす。

「今日からお前は、『光導師(シャイナー)』だ」

彼女に催眠術をかける。彼女からは反応は無い。

「分かったら返事だ」

そう言うと、彼女はスクッと経ち、こちらに歩みよって来る。そんな事は指示していないのに。

 

グッ!と首を掴まれた。

愛甲は何が起こったか分からず一瞬混乱したが、何とか後ろ回し蹴りを放つ。

しかしそれも女によって止められ、腹に1発パンチを喰らう。怯まずに顔面に拳を放つが、頭突きによって相殺される。

ここで愛甲は女に問いた。

「お前、何者だ?」

女は少し間をおいて、答える。

「私はゼノヴィア、元悪魔祓い(エクソシスト)だ。お前は催眠術師の様だが、残念ながら私に催眠は効かん。訓練により、催眠への抵抗力があるのでな」

その後は一方的だった。催眠により痕跡無く抵抗無く自分の力を使わずに標的を殺す事が第一の彼と、敵を自分の力で倒す事が全ての彼女では、経験値が違いすぎた。

その時、彼に久方ぶりに感情が蘇ってくる。彼に戻ってきた気持ちは、屈辱。自分が女に一方的に攻められている事に対する、激しい怒り。しかし、それをぶつけた所で力の差は歴然であり、愛甲がゼノヴィアに勝てる道理は無かった。

 

結果、愛甲は地に伏した。脚に力は入らず、腕はいつもと異なる方向に曲がっていた。

そこに、先ほどの2名の女が戻ってくる。

「ただいま〜、ゼノヴィア……!どうしたの、この人!死にかけてるじゃない!」

「いや、急に催眠を仕掛けてきたから、思わず攻撃してしまった……アーシア、治してやってくれ」

その言葉を聞いて少しした時、不意に身体が軽くなる。よく見ると腕も元に戻り、脚も治っていた。

 

「おい貴様、どういう魂胆かは知らないが、急に他人に催眠を掛けようとするとは危ない奴だ。野放しにはしておけん。私達と一緒に来い!」

勝者の声に愛甲は従う……従わざるを得なかった。

こうして彼は『いすとり』に参加する。持ち前の観察力で見事タイミングを見計らい、無事に生き残る事が出来た。

問題はその後、音楽室内で起こる。

 

「みんな聞いて!私は本物の神に仕える者よ!セイン=カミの様な偽物では無く、本当の神に選ばれた、天使!みんな、希望を持って!私と一緒に生き延び、カミを倒しましょう!」

最初、その言葉を聞いた時、その女は恐怖で頭がおかしくなったのかと思った。しかし、女は昨日の自称エクソシストの仲間らしい女だった。

「天使?……ふざけないで!こんな時に!」「そうだ!天使なんて言うなら証拠を見せろ!」

周りから野次が飛ぶ。ところが女は、それを待っていたと言わんばかりに得意顔になる。

「じゃあ、その証拠を見せてあげる!」

そして、彼女の背中に翼が出現する。

そこにいた者は、愛甲を含め皆、唖然とするしか無かった。

 

 

そして現在、七×七不思議の1日目が終了した。エクソシストと天使、そして愛甲はBOXに帰還する。

『おかえりなさいませ、エンジェル!』

「ありがとー、みんな!」

その様子を愛甲は眺めながら、愛甲は今日の戦いを思い出す。出てきた敵の外見も見ないまま、天使は与えられた日本刀で敵を一刀両断していた。

(とんだ天使がいたものだ……)

そう愛甲は思った。




原作では黒幕だった愛甲君ですが、今回はかませ的な役割になっています。可哀想に…少し相手が悪かった。

次回は2日目!しかしイッセー君の出番はまだ無さそうです。

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!

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