神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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--「一緒に生きよう芽衣ちゃん!」
その言葉に私はまた、元気をもらう。
アカッシーと……皆と出逢えて、私は救われた。

『初めて見た時から好きでした!めちゃめちゃめちゃ好きです!付き合ってください♡』
『え……ゴメン……てか、キミ……誰?』
昔の私……あの時の私は、恋に恋する少女だった。高校に入ってから20人以上に告白した。同級生の子に注意されたりもしたけど、それがなんでなのかはわからなかった。
星座や血液型占いの恋愛運を見てはしゃぐような、子供みたいな気持ちだった。
そんなある日……あれは2学期の中間テストの最中だった。私はテストの問題用紙の裏に落書きをしていたのを試験官だった美術の先生に発見された。
あの時、先生が私に言った言葉を、私は良く覚えている。
『コレが落書き?だとしたら天才だ。……どうだ星川……俺と一緒に、本気で絵の勉強をしてみないか?』

それから私は先生と一緒に、絵を描き初めた。
生まれて初めて、恋以外に本気になるものができた。
私の腕が絵を創っていくその時間が至福だった。絵が完成した達成感は何よりも大きかった。そして何より……
『いいぞ星川!どんどん良くなってる!』
先生に褒められるのが、とても嬉しかった。

そんなある日、私は1つの事を先生に告げた。
『美大に行きたい?』
私は力強く頷いた。
『はい!私、先生のおかげで「絵本作家になる」って夢ができたんだ。だから大学で、もっと本格的に絵の勉強がしたくて』
『絵本作家か……うん……いいんじゃないか?』
私は先生に、その時考えていた、自分で創った絵本のストーリーを説明した。
『タイトルは「すきすきだいすき」!!女の子がいろんなものを好きになっていくんだけど……好きになったものは全部壊れてしまうの。それでも女の子は常に何かを好きになりたくて--ってとこまでできてるんだ』
『……いいんじゃないか?』
その時の先生は、いつもよりどこか上の空に見えた。その不自然さに私が気づいていれば、なんて無理なことを今更思う。あの時の私はそんなこと、人を疑うなんてできなかったから。
『先生……ありがとう。恋する事しか頭になかった私に夢を与えてくれて。先生に落書き見つからなかったら私……絵をこんなに好きになれてなかった。
私、先生の事、尊敬してます』
『……尊敬、してる……』
『あ、そーだ。美大のパンフあるからどこがいいか一緒に考えてもらいたくて『なぁ星川』
先生は私の言葉を遮って、こう言った。

『確かに夢に向かう事は大切だが……恋も大切だぞ』
そう言うと先生は私を背後から抱きしめ……そして胸を触りだした。
『夢だけじゃなく本当の恋ってやつも、先生が直接教えてあげよう』

一瞬、何が起きたかわからなかった。背中に怖気がして、私は先生を突き放した。
『や……やめて下さい……!』
先生は一旦よろけたけど、すぐに立ち直り……着ていたYシャツをはだけさせた。
『どうして逃げる?怖がらなくたっていいんだぞ……?尊敬してるんだろ?じゃあ……いいだろ……!?』
そう言うと先生は私の肩を、ひ弱そうな見た目からは出せないような力で私を机に押し倒した。私は先生に、ただただ恐怖を感じた。けど……そこであるものが目に入った。

先生にぐしゃぐしゃにされた「すきすきだいすき」の原案。それを見て、私の頭に血が上った。私は涙を浮かべながらも、先生を突き倒すと、逆にその身体の上に馬乗りになった。

『私の絵になんて事すんの……!!なんでこんな事するの……!?』
私は、私だけの大切なものを踏みにじった先生が許せなかった。そして、その後の言葉も。
その時、先生が私に言った台詞は、今も私の脳内にこびりついている。
『ち……違うんだ、ゴメン、つい魔が差して……許してぇ……!!先生……この学校辞めるからさ……!!その代わりにさ……!!


誰にも言わないでくれる……?』

私は激昂した。『ふざけんなぁ……!!』と目に涙を浮かべながら叫んだ時、美術室のドアが開いた。そこに来たのは2人の女子生徒。彼女達は私達の状況を見て、震え声で言った。
『星川さん……アンタまさか……先生にまで手ぇ出したの……!?』
目を見開く私。それを見て先生が言う。
『そ……そーなんだよ!』
頭が真っ白になった。先生は、性犯罪未遂を流れで誤魔化し、被害者の私に全てをなすりつけようとした。
『キミ達いいとこに来てくれた……!!星川が告白してきて断ったら襲われて……!!』
『え!?違……』
そんな事を言っても、Yシャツをはだけさせた先生に馬乗りになっているこの状態で私を信用してくれる人はいなかった。
そして、尊敬していた先生に裏切られたショックと、その事が知れ渡ってクラス……いや、学校中で虐められた私は、その日から学校に行けなくなった。
私は……恋を知らない蕾のまま、無為に日々を過ごした。
それでも……

『乗ってく?』
私の知らない世界なら、やり直せるかもしれないと思った。

……ねぇ、トロイ。あなたがいて、私は救われたよ。あなたはきっと、私の事を本当に好きになってくれた、初めての人。気持ちに応えられなくてゴメンね。でも……あなたの気持ち……すごく嬉しかったよ。好かれる事があんなに幸せだなんて、私知らなかった。
だから…もう、恋に恋する私じゃなくて、誰かを本気で好きになる自分を信じていくわ……!!

「勝ーて!勝ーて!」

いつも仲間の為に戦う、ちょっと天然な私だけのヒーロー。あなたの為に--私の心は咲いています。
「アカッシー、大好き」


第36話---決意

「返事は2人が、生き残った時に教えてね」

そう言うと芽衣ちゃんは階段を上っていく。

 

「青春青春♪青き春♪ただし……『恋はドラマティックであるほど、成就する確率は低い』byセイン・カミ」

 

カミはそんなことを言う。芽衣ちゃんにプレッシャーをかけているんだ!しかし、芽衣ちゃんにも応援の声が届く。

「芽衣ちゃん!!絶対だよ芽衣ちゃん……!!絶対生きてよ!!俺の返事聞いてよ!?芽衣ちゃん…!!」

 

『さーいしょーは、グー。ジャン、ケン……ポン』

 

「う……あ……」

思わず目を瞑る明石。対して俺達は、しっかりと結果を凝視した。明石も目を瞑るのは不義理だと思ったのか、すぐに目を開け、そしてその目を見開いた。

カミが力強く出したのはグー。それに対して芽衣ちゃんが出したのは、パーだ!

「やった……!!やったぁ!!」

芽衣ちゃんの生存を喜ぶ明石。そんな彼に芽衣ちゃんは言う。

「アカッシー……!!待ってる!!」

明石はその声にコクっと頷いた。

 

「ありゃ〜ん、連勝記録止まっちゃった。はい次」

『次、茗荷勇人』「よし、続くぞ!」ドパァン!

『次、末成大樹』「うぉぉ!兄ちゃんの分までぇ」ドパン!

そして2人の死が続いた後、

『次、巴光圀』

 

『ジャンケン……ポン』

カミはチョキ、そして巴はグー!良し、また勝ったぞ!

『巴光圀、生キル』

「YaH!!」

「ちっ……また負けた」

カミは顔を押さえて悔しそうにしている。その横で巴が喋り始めた。

「俺生きる……!!俺生きる♪

 

HEY皆、手ェ挙げな(ブチョハンザップ)!!

胸張れよ、手ェ挙げな(ブチョハンザップ)!!」

 

!? ラップ!?

巴はリズムに乗って、手をマイクを握るような形にして口の前に持って行き、ラップを始めた!?

「HEYカミ!!

お前は俺達殺そうと『企む』♪

でも組んだ俺達の『スクラム』♪

生きる為の希望『膨らむ』♪

 

テメェの意志は『殺す(キル)』♪

俺達の意志は『生きる』!!

決して『楽』!じゃない道『切り拓く』!!

残された仲間に『幸あれ(グッドラック)』!!「はい次」わぁ!!」

 

巴はカミによって強制的に上に飛ばされた。上に上がってる時もラップを刻んでいた。

 

『次、西野・スーザン・花』

 

スージーはカミの前に立つと、突然自分の髪留めとメガネを外したが、特に何も起こらなかった。必勝法か何かだろうか?

……そうだ、数学オリンピックアジア何位かの実力を持ってすれば、ジャンケンにも余裕で勝てるんじゃないか!?ジャンケンだって確率……計算だ!スージーなら余裕で勝てる『ドパァン!』……

 

「はい、次の人どーぞー」

 

『カモン、柘植まさみ』

柘植ちゃんは階段を上りながら、カミに言う。

「お前……人の命を何だと思っとる……?」

「WHAT?」

柘植ちゃんは、涙を目に溜めながらもカミに質問を続ける。

「私には……お前の気持ちさわからん……!最初からずーっとだ……いっぱい殺して…なんでそんなヘラヘラしてられるんだ……?」

 

そんな問いに、カミは何もなさそうに、気楽に答えた。

「あー……それはですね……私が、この星の生命体ではないからですよ」

は?

「YOUは他の星の生物が死ぬのを見て、悲しいと感じますか?」

違う星……宇宙人……!?

えええええぇ!?

宇宙人って!?悪魔や天使や堕天使や神、妖怪はいるのは知ってる。俺達はずっとそんなのと戦ってきた。けど、宇宙人!?

いや……今挙げた中では1番現実的なのか!?もしかしたら近くにいたのか、宇宙人!?

「んだば……何者だ?何の目的があってこんな事する……?」

「それはまだ言えまっせーん♪YOUにはまだ知る資格がありあせん。知りたければ勝つのです!!ただの欠席者(ゴミくず)がカミーズJr.となり神の力を得る!!YOU達のどうしようもない命に『意味』ができるチャンスですよ!?」

カミ・ブリックもそれに激しく頷きながら、『セット』と声を出す。

「何だそれ?そんなものに何の意味がある……?」

「救済ですよ救済♪ゴミの中から使えそうなものをピックアップする!

私が行っているのは、救済(リサイクル)なんです!!」

 

「私はゴミくずなんかじゃねえ」

柘植ちゃんははっきりと、そう言った。

「あの日私は、足の悪ぃじいさんの為に畑仕事さ手伝って、学校休んだだけだ。ゴミくずなんかじゃねぇ……!!

原さんだってやえちゃんだって田中くんだって……皆きっと理由があって学校休んだだけだ……

 

誰もお前に救って欲しいなんて思ってねぇ。私達は戦いたくて戦ってるんじゃねぇ」

 

 

その言葉にカミは「はいはい、綺麗事ですね」と告げる。柘植ちゃんは唇を噛みながら、立ち位置に戻る。

ジャンケンは始まった。

『ジャン』

「何が神だ……!」

『ケン』

「何が救済だ……!!」

 

『ポン』

カミが出したのはチョキ。それに対して柘植ちゃんは……

 

 

何も出していない!?

 

 

「戦わない人間も殺す--お前はただの快楽虐殺者だ。神なんかじゃねぇ」

「あ?」

世界が止まった。この瞬間、柘植ちゃんはカミに勝った。

 

「YOU、誰に向かって『ドパン』あ……」

『出さナイト殺す。ルールダ』

「ちっ……言い逃げかよ……後味悪い……」

 

「柘植ちゃああああん!!」

明石は叫ぶ。彼女も明石とは『まめまき』からの付き合いだ。俺達が明石と親しくし始めたのも、確か1番最初に彼女と明石が抱き合っているのを見て、俺達が追いかけて行ったのが理由だった。

そんな長い付き合いの彼女の死に、明石は涙を止められなかった。

 

『次……アーシア・アルジェント』

アーシア……ついに彼女の番だ。彼女は強い意志を持った目でカミを真正面から見ている!

『セット』

 

「カミさん……私はシスターです。私は主……神を信じていました」

アーシアが急に言ったその言葉に、カミの機嫌が少し良くなる。

「へぇ、そうですか。神を信じるとは即ち、私を信じるという事です。あなたは私の信者として、少しは見込みがある様ですが、それとこれとは別。ジャンケンで勝てたらいくらでも敬って良いですよ♪」

 

『さーいしょーは、グー』とジャンケンが始まる。アーシアはまだ話を続けている。

「今の方……柘植さんは強いお方です。カミさん相手にあれだけの事が言えるなんて……私は、そんなに強くありません。ですが……」

 

『ポン』

 

カミが出したのは前回と同じチョキ。アーシアは……

 

「……手を出さない、位の事はできます」

アーシアはそう言った。

「は?」

カミが、今度は驚いたかの様に声を発する。

「あ、アーシア……」

イリナが震えた声を出す。

 

「カミさん……あなたは主でも、ましてや神でもありません。ただの、わがままな子供です」

 

アーシアはこっちを振り向くと、笑顔を作った。

「すみません、私もこんな人に勝ってまで生き延びようとは思えませんでした……悔いはまだいっぱいあります。やりたかった事もまだいっぱい……でも、それでも。私がここで死ぬことが、何かにつながると思うんです。私の死で肥えた土から、皆さんという素敵な花が生きてくれれば、それでいいんです」

その目から涙が溢れる。俺の目からも、涙がこぼれだした。

 

「イリナさん、ゼノヴィアさん、眷属の皆さん……そして、イッセーさん。

 

大好きです」

 

彼女はそう言い残して、消えていった。

 

「あ、あ……アーシアぁぁああああああぁぁあああああああああああああ!!!!」

 

 

 

 

 




とうとうこの時が来てしまいました…アーシア……

ジャンケンも残り約4分の1、もう終盤です!
次回、光導者と天使。


今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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