神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
--冥府、そこは冥界の地下深くにある死の空間。死んだ魂が送られてくる場所。とある事情により、冥府の荒れ地に立っているたくさんの氷柱の中には、本来そこで働いているべき
《今日は一段と死者の魂が多い。ちっ、デュリオとやらが面倒なことをしなければ、私が働くことも無かっただろうに》
とある事情により多くの死神が凍ってしまい、大量の死者の魂を裁く人手が足りないので、ハーデスも働かなければならなかった。
《それにしても、人間界からの死者の魂が多いというのは世界大戦以来だ。どこかで戦争でも始めたか?》
そう言いながらも、ハーデスは気づいていた。今日の魂は余りにも若い者達ばかりだ。どいつもこいつもほとんど、8割近くが若者、それも高校生くらいの魂。そして魂がくるタイミングは人間界の国ごとに一斉、という感じだ。
《次の集団は……日本か……むぅ?》
この者の魂、見た事がある様な、ない様な……そう思ったハーデスは魂を調べる。
此奴は……リアス・グレモリー。サーゼクス・ルシファーの妹か……なるほど、道理で見た覚えがある魂だ。
そんな風に考えていると、死神の1人が私の前に立った。
《何事だ?そんなに慌ておって……みっともない》
「ハーデス様、し、侵入者です!」
ほう、侵入者……D×Dか、禍の団か、あるいは別の命知らずか……
《最上級死神のお前が逃げ帰って来るとは、相手はよほどの手練れであろうな、オルクス》
「手練れ?手練れじゃないよ、マナはね……アシッド・マナ。他の世界で神様、やってるの」
不意に神殿の入り口に現れた1人の幼子……の見た目をした何か。その背後には生意気そうな餓鬼と裸の老け顔の男……のような異物達。
《ほう、他の世界の神が、この冥界の主たる私になんのようか?》
「別にあんたに用があるって訳じゃないの。マナ達が欲しいのはねぇ……あ、あった」
そこにあったのはコキュートス。罪人を永久に冷凍しておく氷の牢獄。今、その中には1人の男がいた。堕天使元幹部・コカビエル。先の聖剣事件の主犯で、再び天使・堕天使・悪魔の大戦を起こそうとしヴァーリ・ルシファーにやられ、永久に封印された馬鹿な男だ。
「かみまろ〜、こいつだよこいつ、書いちゃって」
かみまろと呼ばれた男は習字に使う筆を取り出すと、氷の上にスラスラと絵を描き始めた。なかなかに上手な3人の男の絵を描くと、その絵がプクリと膨らみ、中から何かが出てきた。
「できた!堕天使の元幹部!」
出てきたのは3人のコカビエル、それも今の氷漬けで弱った姿ではなく、大戦で暴れていたころ、全盛期の彼の姿だ。
「……じゃあ、もうこいつはいらないかな」
そう言うとマナとやらは、コキュートスの中にある本物のコカビエルの頭に手のひらを向け、そのまま握る。そうすると、コカビエルの頭が急にぐちゃっ!と潰れる。そこから出てきた血はすぐに氷となり、頭の無い人形の牢獄を色鮮やかに装飾した。
《ほう、それで何をするつもりかね》
ハーデスの質問にマナは答える。
「えっとねー、暇つぶし、かな?暇つぶしにね--
--戦争を仕掛けるの」
《ほう、戦争》
餓鬼が何を言っておるか、と思いながらも先の超能力からその片鱗が何となく、この幼女ならば可能では無いかと囁いていた。
「今マナはね、子供みてーなおっさんのところにいるんだ。あいつも今のところ面白い奴だし、生かしておいてあげてるんだけど、あいつの考えも面白くてね〜」
マナはクルッと回って言った。
「天使も悪魔も堕天使も人間も、混乱に陥れる。楽しそうでしょ!」
その笑顔は狂気に満ち溢れていた。
「あなたも一緒にやらない?」
《いや、私もかなり歳を食った。おそらく私は、お前達より20兆は歳をとっている。そんな身体なのでな、ここで見物とさせてもらうさ》
「あっ、そう。わかった。バイバイ、おじいちゃん」
そう言うとマナは巨大な文房具を投げつけてきた。巨大鎌を一閃してその全てを弾くと、彼女と2人の男、そして3体のコカビエルは消えていた。ハーデスは彼女達が消えた跡を見て、ファファファと笑った--
初の三人称。
さあ、ついにマナさん登場!番外編みたいなものですが。この時刻はちょうど、招き猫の最中ぐらいだと思ってください。
マナさん達は何を企んでいるのか?3体のコカビエルをどう使うのか?子どもみたいなおっさんとは誰か?
そして次回、イッセー君(やっと)登場!物語の視点は欠席者へ…行くわけでは無いんですがね。まだね。
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!