神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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ナツメグの『大切なもの』、何にするか考えてなかった……涙ちゃん生きてるしなぁ……

さぁ、投下です!




第42話---鬼退治

--「ただいまー」「帰ったよ」

俺とゼノヴィアがクラスハウスに帰った時には、もう殆ど全員が揃っていた。俺は自分の『大切なもの』……写真があるかどうか、ポケットを手探って確かめる。

 

「あれ、ナツメグ髪型変えた?」

長くて特徴的だった黒髪をシュシュを使ってポニーテールにしたナツメグを見て、つい口に出た。それから思った。

あれ、これもしかして失恋したとかじゃない?

俺はナツメグの告白を上から見ていた。その告白に明石は律儀に答えたのかもしれない……涙ちゃんがいるから、結果は見える。

マズイことを聞いちまったかな?とりあえず質問撤回しなきゃ……「うん、私、明石にフラれたの」

「俺の為にな」

「話をややこしくするな丑三!」

 

……想像してた通りの答えが、想像してたよりもあっさりと帰ってきました。

 

ナツメグは、髪を束ねるシュシュを撫でながら言う。

「このシュシュが私の大切なもの……私の憧れの人……追いつきたい人のものなの……」

そう言ってナツメグは涙ちゃんを見る。涙ちゃんもまっすぐナツメグを見ていた。

 

1時間後……

 

「アカッシーのバカぁああ!!!」

芽衣ちゃんが泣きながら帰ってきた。

「……ゴメン!!マジで忘れてた……!!」

芽衣ちゃんと明石は会う約束をしてたらしく、それを明石が忘れてすっぽかしたらしい。とりあえず明石は顔面に1発グーパンをもらった。

 

「大切なもの、何にしたの?」

「一応、このスケッチブック……私、絵描くの好きだから……」

その後、彼女らはナツメグの髪の話に入る。俺は端っこにいた紫村に話しかけた。

「よう、紫村。大切なもの、見つかったか?」

その問いに紫村は、小さく頷く。そして手に持っていた『大切なもの』をこっちに見せてきた。それは……

 

『石』だった。

 

 

「……?えっと、それが大切なもの?」

「はい!」

紫村の話を聞くと、強い『意志』を持つために、硬くて強い『石』を大切なものにしたんだとか……

鼻水垂らした幼稚園児みたいに、石を集めるのが趣味なのかと思ったぜ……

 

「そろそろ48時間経つけど……戻ってきてないのはあと……」「あ、キタ!!」

明石の後ろに、福満が姿を現わす。その顔は、出かける前よりもどこか哀しげだった。

「どうしたんだ、ギリギリじゃん」

その問いに福満はゆっくりと答える。

「やっぱり俺……大切なもの……どーしてもばっちゃんにしたくて」

「え……でも、生モノはダメだってカミが……」

 

「生モノじゃ、ねぇよ」

福満が左手に持っているのは、位牌だった。その表面には、恐らく福満のばっちゃんだろう人の名前が記されている。

「……うわぁぁあん!!」

「めいめい、また泣いてる」

「だってぇ!!大好きだったんでしょお……!?」

芽衣ちゃんは福満のばっちゃんの死に涙する。優しい子だ…。

福満はそれを見て目尻に涙を浮かべる。

「泣いて……くれるのか……「どーもどーも♪」どぅわし!?」

 

しんみりした雰囲気をぶち壊すように、いきなりカミが現れた!

「制限時間いっぱい!!全員集合ですね♪レッスン1はこれにて終了です」

……レッスンは厳しいものって聞いてたから、裏ルールでもあるんじゃないかと思ったが、驚くほどあっさりと終わったな……何事もなかったことに対し、俺は安堵する。

 

ところで、

 

(カミ…何で鬼の格好してるの?)

カミは、なぜか黒いシャツにトラ柄のズボンを履き、アフロにツノが生えたカツラを被っている……いわゆる、『鬼』の格好をしていた。次のレッスンに何か関係あるんだろうか?

 

「はい、皆さん!それぞれの大切なもの、持ってますねー?何を持って来たのかは……

正直ど〜〜〜〜〜でもいいです。

それが正しい選択かどうかは、次のレッスンでわかりますからね。というコトでー、レッスン2に参りましょう!!」

えらく駆け足だな。これまでは試練と試練の間には少しは休憩を挟んだのに……まぁ、帰宅が休憩のようなものだったから、良いけど。

カミは手に持っていた物をこちらに見せる。

あれは本……『ももたろう』と『きんたろう』?昔よく読んだ絵本がカミの手にあった。

 

「レッスン2は『鬼退治』です。……あ!こんな格好だけど私のコトじゃないですよ。この2つの物語のコトです。ご存じですよね?

桃太郎は鬼ヶ島に、金太郎は大江山に、悪さをする鬼を倒しに行くんです」

ん……桃太郎は知ってたけど金太郎?金太郎って鬼退治するんだっけ?クマと相撲を取っているイメージしかない……

ていうか鬼退治って、『まめまき』と被ってるよね、なんて少し思ったり。

「YOU達にはこれから、桃太郎チームと金太郎チームに分かれてもらい……鬼ヶ島と大江山に行ってもらいます。さぁ、くじを引いてください」

 

言われたままにくじを引いた結果。

 

桃太郎チーム

俺こと兵藤一誠、紫村、光圀、丑三、そしてナツメグ。

金太郎チーム

明石、福満、ゼノヴィア、涙ちゃん、やえちゃん、芽衣ちゃん。

うーむ、金太郎チームに女子が偏り過ぎな気が……戦力的に大丈夫かな?まぁ、ゼノヴィアがいるから問題ないかな?

「条件は言わずもがな……敵を倒せばクリアです。レッスンは2時間。ほいっとな」

カミが手をドアノブを回すように動かすと、俺達11人を挟むように二つのドアが出現した!

「一度この(ゲート)を出ると、2時間経つまではここ、クラスハウスに戻ってこれません。クリアするまで、レッスンは毎日続きます。ルールは以上。レッスン2クリアの鍵は--……」

そこでカミは数秒焦らした後、ゆっくりと言う。

 

「『(あじゃら)』です」

「……?あじゃら……?」

「はい」

カミはパチン、と指を鳴らす。

 

「いま、YOU達の『大切なもの』と、生命エネルギーとを同期しました」

「……?同期……?何だそりゃ?」

丑三が大切なもの……スケボーを観察しながら疑問を呟く。

 

「それではスタートです。それぞれ(ゲート)の前へ!」

 

俺は新たに出てきた門を睨む。どんな奴が相手でも、俺が絶対に倒す!

 

「……よし、皆……」「言わなくてもわかってるさ」

明石の言葉に丑三が被せる。

 

「2時間後にまた逢おう、だろ?」

 

「ああ、死ぬなよ」「お前こそ」

そう言って明石と丑三は拳をぶつけ合う……と思ったが丑三は拳の代わりに親指を明石の拳に差し出していた。どういうこっちゃ。

 

開門(ゲートオープン)!!!レッスン2、はじまりはじまりー!!!」

門が重みのある音を立てながらゆっくりと開いていく!

カミの声を背に受けながら、俺達は門の中に入った。

 

「うぉ、まぶし!」

ゲートを出た先に見えたのは、広い海。大きな雲。輝く太陽。そして--

「ザ・鬼ヶ島」「ゔ……」「めっちゃ鬼出そうじゃん」

 

中央に鬼の顔の様な山がある、森林に囲まれた大きな島だった。

後ろを見ると、門の更に奥にもう一つ山がある。そことの間に金太郎のゲートもあるから、あれが金太郎チームの行く、大江山かな?

「で、カミの言ってた『あじゃら』って、何じゃらホイ?」

そう言いながら丑三はスケボーに乗って島に近づいていく。

「ちょっと丑三。チームなんだから団体行動!!」

 

その時、微かに風を切る音が聞こえた。

 

そして、丑三の頬が薄く裂かれる。

 

「「「「「!?」」」」」

俺達は慌てて辺りを見回す。もう鬼が近くに--

 

『ちっ、外したか』

一方向に小舟が浮かんでいた。その中に乗っているのは一人の男。侍風の鎧にマゲを結い、更に頭にハチマキを巻いている。

そのハチマキの刺繍は、桃。

 

『おい、起きろ。着いたぞ』

男は舟に乗せている荷物と思っていた物を蹴る。すると中から三体の動物が現れた。

 

犬。猿。そして雉。

 

「あ……マジか……これって……

 

私達が、鬼……!?」

 

 




さぁ、今度のレッスンは鬼退治。いよいよ本格的な戦い、イッセー君の舞台がやってきました!
『あじゃら』とは一体何なのか、そもそもそれが使われるのかはまた今度……

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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