神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】 作:兵太郎
さぁ、投下です!
--「ただいまー」「帰ったよ」
俺とゼノヴィアがクラスハウスに帰った時には、もう殆ど全員が揃っていた。俺は自分の『大切なもの』……写真があるかどうか、ポケットを手探って確かめる。
「あれ、ナツメグ髪型変えた?」
長くて特徴的だった黒髪をシュシュを使ってポニーテールにしたナツメグを見て、つい口に出た。それから思った。
あれ、これもしかして失恋したとかじゃない?
俺はナツメグの告白を上から見ていた。その告白に明石は律儀に答えたのかもしれない……涙ちゃんがいるから、結果は見える。
マズイことを聞いちまったかな?とりあえず質問撤回しなきゃ……「うん、私、明石にフラれたの」
「俺の為にな」
「話をややこしくするな丑三!」
……想像してた通りの答えが、想像してたよりもあっさりと帰ってきました。
ナツメグは、髪を束ねるシュシュを撫でながら言う。
「このシュシュが私の大切なもの……私の憧れの人……追いつきたい人のものなの……」
そう言ってナツメグは涙ちゃんを見る。涙ちゃんもまっすぐナツメグを見ていた。
1時間後……
「アカッシーのバカぁああ!!!」
芽衣ちゃんが泣きながら帰ってきた。
「……ゴメン!!マジで忘れてた……!!」
芽衣ちゃんと明石は会う約束をしてたらしく、それを明石が忘れてすっぽかしたらしい。とりあえず明石は顔面に1発グーパンをもらった。
「大切なもの、何にしたの?」
「一応、このスケッチブック……私、絵描くの好きだから……」
その後、彼女らはナツメグの髪の話に入る。俺は端っこにいた紫村に話しかけた。
「よう、紫村。大切なもの、見つかったか?」
その問いに紫村は、小さく頷く。そして手に持っていた『大切なもの』をこっちに見せてきた。それは……
『石』だった。
「……?えっと、それが大切なもの?」
「はい!」
紫村の話を聞くと、強い『意志』を持つために、硬くて強い『石』を大切なものにしたんだとか……
鼻水垂らした幼稚園児みたいに、石を集めるのが趣味なのかと思ったぜ……
「そろそろ48時間経つけど……戻ってきてないのはあと……」「あ、キタ!!」
明石の後ろに、福満が姿を現わす。その顔は、出かける前よりもどこか哀しげだった。
「どうしたんだ、ギリギリじゃん」
その問いに福満はゆっくりと答える。
「やっぱり俺……大切なもの……どーしてもばっちゃんにしたくて」
「え……でも、生モノはダメだってカミが……」
「生モノじゃ、ねぇよ」
福満が左手に持っているのは、位牌だった。その表面には、恐らく福満のばっちゃんだろう人の名前が記されている。
「……うわぁぁあん!!」
「めいめい、また泣いてる」
「だってぇ!!大好きだったんでしょお……!?」
芽衣ちゃんは福満のばっちゃんの死に涙する。優しい子だ…。
福満はそれを見て目尻に涙を浮かべる。
「泣いて……くれるのか……「どーもどーも♪」どぅわし!?」
しんみりした雰囲気をぶち壊すように、いきなりカミが現れた!
「制限時間いっぱい!!全員集合ですね♪レッスン1はこれにて終了です」
……レッスンは厳しいものって聞いてたから、裏ルールでもあるんじゃないかと思ったが、驚くほどあっさりと終わったな……何事もなかったことに対し、俺は安堵する。
ところで、
(カミ…何で鬼の格好してるの?)
カミは、なぜか黒いシャツにトラ柄のズボンを履き、アフロにツノが生えたカツラを被っている……いわゆる、『鬼』の格好をしていた。次のレッスンに何か関係あるんだろうか?
「はい、皆さん!それぞれの大切なもの、持ってますねー?何を持って来たのかは……
正直ど〜〜〜〜〜でもいいです。
それが正しい選択かどうかは、次のレッスンでわかりますからね。というコトでー、レッスン2に参りましょう!!」
えらく駆け足だな。これまでは試練と試練の間には少しは休憩を挟んだのに……まぁ、帰宅が休憩のようなものだったから、良いけど。
カミは手に持っていた物をこちらに見せる。
あれは本……『ももたろう』と『きんたろう』?昔よく読んだ絵本がカミの手にあった。
「レッスン2は『鬼退治』です。……あ!こんな格好だけど私のコトじゃないですよ。この2つの物語のコトです。ご存じですよね?
桃太郎は鬼ヶ島に、金太郎は大江山に、悪さをする鬼を倒しに行くんです」
ん……桃太郎は知ってたけど金太郎?金太郎って鬼退治するんだっけ?クマと相撲を取っているイメージしかない……
ていうか鬼退治って、『まめまき』と被ってるよね、なんて少し思ったり。
「YOU達にはこれから、桃太郎チームと金太郎チームに分かれてもらい……鬼ヶ島と大江山に行ってもらいます。さぁ、くじを引いてください」
言われたままにくじを引いた結果。
桃太郎チーム
俺こと兵藤一誠、紫村、光圀、丑三、そしてナツメグ。
金太郎チーム
明石、福満、ゼノヴィア、涙ちゃん、やえちゃん、芽衣ちゃん。
うーむ、金太郎チームに女子が偏り過ぎな気が……戦力的に大丈夫かな?まぁ、ゼノヴィアがいるから問題ないかな?
「条件は言わずもがな……敵を倒せばクリアです。レッスンは2時間。ほいっとな」
カミが手をドアノブを回すように動かすと、俺達11人を挟むように二つのドアが出現した!
「一度この
そこでカミは数秒焦らした後、ゆっくりと言う。
「『
「……?あじゃら……?」
「はい」
カミはパチン、と指を鳴らす。
「いま、YOU達の『大切なもの』と、生命エネルギーとを同期しました」
「……?同期……?何だそりゃ?」
丑三が大切なもの……スケボーを観察しながら疑問を呟く。
「それではスタートです。それぞれ
俺は新たに出てきた門を睨む。どんな奴が相手でも、俺が絶対に倒す!
「……よし、皆……」「言わなくてもわかってるさ」
明石の言葉に丑三が被せる。
「2時間後にまた逢おう、だろ?」
「ああ、死ぬなよ」「お前こそ」
そう言って明石と丑三は拳をぶつけ合う……と思ったが丑三は拳の代わりに親指を明石の拳に差し出していた。どういうこっちゃ。
「
門が重みのある音を立てながらゆっくりと開いていく!
カミの声を背に受けながら、俺達は門の中に入った。
「うぉ、まぶし!」
ゲートを出た先に見えたのは、広い海。大きな雲。輝く太陽。そして--
「ザ・鬼ヶ島」「ゔ……」「めっちゃ鬼出そうじゃん」
中央に鬼の顔の様な山がある、森林に囲まれた大きな島だった。
後ろを見ると、門の更に奥にもう一つ山がある。そことの間に金太郎のゲートもあるから、あれが金太郎チームの行く、大江山かな?
「で、カミの言ってた『あじゃら』って、何じゃらホイ?」
そう言いながら丑三はスケボーに乗って島に近づいていく。
「ちょっと丑三。チームなんだから団体行動!!」
その時、微かに風を切る音が聞こえた。
そして、丑三の頬が薄く裂かれる。
「「「「「!?」」」」」
俺達は慌てて辺りを見回す。もう鬼が近くに--
『ちっ、外したか』
一方向に小舟が浮かんでいた。その中に乗っているのは一人の男。侍風の鎧にマゲを結い、更に頭にハチマキを巻いている。
そのハチマキの刺繍は、桃。
『おい、起きろ。着いたぞ』
男は舟に乗せている荷物と思っていた物を蹴る。すると中から三体の動物が現れた。
犬。猿。そして雉。
「あ……マジか……これって……
私達が、鬼……!?」
さぁ、今度のレッスンは鬼退治。いよいよ本格的な戦い、イッセー君の舞台がやってきました!
『あじゃら』とは一体何なのか、そもそもそれが使われるのかはまた今度……
今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!