神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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--あの頃の明石はまだ、1人で夢を見ていた。
『何これ?』
サッカーボールにヨレヨレの字で書かれた『世界一のパサーになる。 明石』という文字を、イガグリ頭の少年はつまらなさそうに見ていた。その少年に幼い明石は言う。
『俺の夢!それが叶わないなら、俺は死ぬんだ。その方がマシ♪
お前も、一緒に夢叶えよーぜ』
イガグリ頭の少年……青山はその言葉をボールと共に一蹴する。
『うっせし。世界一とか無理だし』
『!出来るし!!絶対なるし!!』
『うっせし。やってみろし』
そしてここから、明石と青山のサッカーが始まった。

『遅い遅い!!ボール持ったらすぐ俺見ろ!!』
『どこ蹴ってんだよ!?俺んとこズッポシ持ってこいよ!!そんなんじゃ世界一どころかJリーグ一もムリだろ!!』
明石は毎日がむしゃらにボールを蹴り続けた。

青山を認めさせる為に。その気持ちが実った日の事を、彼は鮮明に覚えている。

その後入った小学校のクラブチーム。そこでの他校との試合中、2対2のスコアで迎えた、後半42分。その時、ボールを受けた明石は、今まで味わった事の無い感覚に襲われた。
(すぐ見て青山にパス……すぐ見て青山にパス……?何だこれ?)
誰がどこにいて何をしているか、全部見えた。

それはまるでフィールドの支配者。
(見える…前の2人ジャマだな……あ、後ろから来てる。

青山への最短ルートは…………そこ!!)
この日、明石靖人の、フットボーラーとしての才能が開花した。
そして--

『やりゃあできるじゃねーか』『だろ!?見たかよ俺のキラーパス!!「アカシック・アイ」の誕生だぜ!!』
『あかしっくあい?』
『そーそー!集中したら眼がギューンってなって!!そしたらブワーッて見えてきてさ!!あの眼の名を「アカシック・アイ」と言う!!』
『お前それ……雑誌に載ってるこれじゃね?

「周辺視」物の動きや位置を捉える見方。世界的MF達の突出した動体視力は常人より優れた「周辺視」によるもので、これを自由に使うには、訓練と集中力が必要不可欠である」』
その話を聞いて、幼い明石は興奮する。
『おぉ!!これこれ!!やっぱり俺は世界一のパサーになる男だ!!』
その言葉は『フン、あんなぐらいでなれるかよ』と青山に返される。『何だよ!?イチャモンか!?』と激昂する明石に青山はゆっくりと応える。
『違ぇし……お前のパスは最高だったけど、俺がゴールしたから勝てたって事、忘れんじゃねーし』
『え』

青山はブスッとした顔で少し恥ずかしそうに言う。
『一緒に叶えてやるって言ってんだよ……お前の夢……』
『世界一のパサーになる』という文字の下に書かれた、『世界一のストライカーになる』の文字。それを明石は見つける。

『ひとりじゃできないだろ?』

これが2人の、夢のはじまり。そして

『「すきすきだいすき」はこわれません。
ひとりじゃ…… できない……』

偶然にも重なったその言葉が、

忘れかけていた才能を呼び起こす!




第54話---アカシック・アイ

〜桃太郎チーム〜

 

『何だ……?ここは?』

桃太郎は急に現れた宇宙空間を眺め、その中に佇む1人の男に話しかける。

『貴様……何しやがった?』

 

「何が発動条件(スイッチ)なんだろ?」

男……丑三はそれを無視すると、スケボーに乗って移動し桃太郎からナツメグを奪い取る。

『……ナメくさりやがって……』

丑三は更に、連れてきてしまい宇宙を漂う光圀を回収し、2人を背中に抱えながら、考える。

 

「さっき俺がしてたコトの中に、『戯』の発動条件(スイッチ)があるのか……あ……

 

あれか……?いや違う?

 

でも……それしか考えられない……

 

だとしたら……クク…………NYAHAHAHA♪」

丑三は高笑いを上げ、微笑みを携え星に言う。

 

「『満面の笑み(フル・スマイル)』。それが俺の『戯』の発動条件(スイッチ)だ」

 

そう言うと丑三は笑顔を邪悪なものに変え、桃太郎を向く。

「さぁ、皆様。プラネタリウムのお時間です」--

 

〜金太郎チーム〜

蓬莱やえは、再び立ち上がりフラフラとボールに手を伸ばす明石を見ていた。

 

そして、その身体に熊の口が近づいているのも。

「アホ!!しっかりせぇ……!!明石……!!」

その叫びも虚しく熊は明石のいる場所に噛みつき、

 

少し遅れてその右目を破裂させた。

「え……!?何……が……!?」

そこからまた少し遅れて、熊の目の前に出てきたのは明石。

その手にある光圀から貰った『永久凍結晶(エーキュー・クリスタル)』の剣は、少し血に濡れていた--

 

--十数秒前、

 

(俺が好きだったことは……俺が1番、やりたかったことは…

あの眼で、青山(アイツ)にパスすること!!

発動条件(スイッチ)はこれしかない!!)

 

(『アカシック・アイ』!!!』)

願いを込めたその眼が、明石の『戯』を解放させる!!

 

(で……出た……!!俺の『戯』……?

サッカー場(フィールド)のライン……?どうなってる?

……!)

目の前にあるのは、熊の口。その牙は今にも明石の身体に届こうとしていたが、明石はそんなことを気にしてはいなかった。

目の前に広がるのは、いろいろな情報。

 

『KUMA DANGER』『KIBA DANGER』『SHOKUDOU DEATH』『KAMITSUKIMODE 00:00:05 DANGER』

 

明石は下を向く。サッカーボールにも情報が表示されている。

『TARGET 00:00:03』、そして

『SHOOT』の文字が。

 

(SHOOT……?蹴れって……コト……?)

言われた通りに明石はボールを軽く蹴り出す。すると

 

(あれ……?喰われてない……いや、俺が移動した?)

明石がボールをトラップした感触を感じると同時に、彼は10メートル近く移動していた。

(……なるほど、わかってきたぞ、俺の能力……なんか、ゲームみたいな感覚!!

周辺視なんてレベルじゃねえ……フィールド上の全てが理解(みえ)る!!データで!!信号で!!この眼に教えてくれる!!

更に(プラス)……!!)

 

視界に映った『ME YAWARAKAI』という情報に従い、明石はボールをそちらに蹴る!

(ボールを蹴ると消えて……止める(トラップする)と、出現する!!

瞬間移動(ワープ)能力!!)

明石はそのボールを熊の眼の前で止める……ように足を動かす。すると、明石は本当に熊の目の前まで移動していた!

 

明石はそのまま落下の勢いで、剣を熊の右目に突き刺す!

『ヴォオ……!!』

明石はボールを遠くに蹴り、そして再びワープする。

 

『「好き」って事が何なのか、わからなくなって……動けなかった昔の自分への……今の私からのメッセージなの』

 

「ありがとう、芽衣ちゃん。わかったよ俺。

 

これが俺の、フィールドを支配する『戯』……

 

蹴球王戯(ファンタジスタジャラ)』!!!」

 

目の前にいるのは、攻撃する前よりも更に大きくなった熊。見た目もより凶暴そうになり、眼が赤く光っている。

『SAISYU-SINKA POWER UP!!』『BUCHIGIRE SUPER DANGER』と言う文字が見える熊を、明石は中指をたてて挑発する。

 

「ボール、奪ってみろよ」




明石、覚醒!!

次回、決着。

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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