神さまの言うとおり 〜踊らされる悪魔達〜 【完結】   作:兵太郎

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「……う…」
鬼ヶ島の砂浜で、ナツメグは目を覚ます。
辺りを見回すと、そこには4人の男が横になっていた。
丑三、紫村、光圀、そして……首が3本になっている桃太郎。
「どーゆーコト?何かあったの……?
丑三?紫村?光圀?
3人ともすごいキズ…!?アンタ達が桃太郎を倒してくれたの…!?」
3人からの返事はない…それどころか、何の反応も起こさない。
光圀に至っては、呼吸すら止まっている。

「……ちょっと?返事しなさいよ!!
明石と約束した事忘れたの!?生きて帰るって言ったでしょ!?」
ナツメグは3人の顔を張る。しかし彼らの返事はない。それどころか、丑三と紫村の呼吸もだんだんと弱々しくなってきた。
ナツメグは頬を張りながら叫ぶ。
「しっかりしなさい!!死ぬな、バカァ!!

死んじゃダメぇえ!!」

その時、背後で何かが光った。彼女がそちらに目を向けると、真後ろ、ナツメグが着けているシュシュ……涙ちゃんからもらったシュシュが神々しい光を放っていた。

(え……何コレ……!?シュシュが光って……身体に、巻きついてく!?
もしかして……これが!?
これが私の『戯』!?)
犬にする為に桃太郎に着せられていた全身スーツから、ナツメグの衣装が変わる。
フリフリのスカートにチェックのハイソックス、胸元とヘソを露出した服装で頭にはシュシュ代わりに大きなリボンが付けられていた。
手に持っているのは自分の身長程はあるホウキ。その柄の先端は注射器の様に液体が入っている。
(って!?ちょっと待ってこの格好って……
『魔法少女アミン・マツワ』に出てくる癒やしの双子魔女……『イルカ♡ナゴリ』の『ナゴリ』ちゃんのコスじゃん!?)

普段の自分のイメージとかけ離れたカワイイ系の服につい恥ずかしさを覚え、ナツメグは全身を隠す様に身体を押さえる。
(何でぇ!?私がめっちゃ好きなキャラだから!?アニメのDVDボックス持ってるから?)
そんな事をついつい考えるナツメグ。しかし、彼女は目の前の状況を思い出す。
(いやいや……今はそんな事言ってる場合じゃない……!!
私の『戯』が『ナゴリ』の救いの魔法なら……この呪文で!!)

「タ……『タスカル・タスカル マジカル・タスカル♪

キミを癒やしてサシアゲール!!』!」
恥ずかしさは全て捨て、アニメの通りにホウキの先でハートマークを描きながら、ナツメグは呪文を唱える。すると……

(傷が治ってく……!?私……本当に『ナゴリ』に……)
3人の傷はだんだんと無くなっていき、全て消滅した。呼吸も安定している……光圀以外は。

「ん……あれ……僕?」「傷が無い……?」
丑三と紫村は早々に意識を取り戻した!ナツメグはホッと一息をつく。すると、丑三がこっちに気づき、言う。
「何やってんだお前?」

「……?あれ!?」(元に戻ってる!?)
いつの間にかフリフリの服も長いホウキも消え、ナツメグは元の全身スーツの姿に戻り、シュシュもただのシュシュに戻っていた。

「……これは心の中に留めておこう……」
今起こった事は全部墓まで持って行こう、と決めたイッセーだった。
イッセーは呼吸の止まっている光圀の肩を組み、彼を背負うと、丑三と紫村がナツメグに集中している一瞬のうちにその場を離れる--


--そして数分後、イッセーがいないのに気づき、紫村達3人は辺りを見回す。
「イッセー君!どこですかー?どこに行っちゃったんですー?」「門開いてるし、先に帰ったとか?」
ナツメグ、丑三、紫村は分担して門付近を探す。紫村は森の中へと入っていく。
2分程進んだ時、何かが森の中で光った。紫村はそちらに足を運ぶ。すると、そこにイッセーはいた。

「……んぁ?……俺、生きてる?」
死んだと思っていた男とともに--



第56話---どいたま

--鬼退治が終わった。俺達桃太郎チームは文字通り無傷の被害者無しで試練をこなした……まぁ、ナツメグの『戯』と『悪魔の駒(イーヴィル・ピース)』の力があったからだけど。

ナツメグの『戯』のおかげで光圀の身体には火傷跡や傷も消えていたから、無事に悪魔に転生させる事が出来た。ただ、今回は光圀を復活させた直後に紫村がやってきたから、転生させた事を話して無いんだよな……どうしよう。

 

まぁ、とりあえず俺達は死亡者ナシで鬼退治をクリアした。5人仲良く(ゲート)を潜り、クラスハウスに戻る。

しばらくして、明石達も帰ってきた……だけど、1人足りない。

やえの手元にあるスケッチブックを見て、俺はそれが誰かわかった。

 

「俺が今生きていられるのは……芽衣ちゃんの言葉があったからだ。

ありがとう」

明石はそう言って唯一の犠牲者を弔う。俺達も目を閉じ、黙祷した。

 

カミーズJr.の生存者……欠席者の生き残りは、残り10人になった。

 

「どいたま」

!?

「いやぁ、おつかれおつかれ、クリアおつです♪いやぁ皆さん、優秀ですね。想像以上に生き残ってくれました♪……ま、何人か『リベンジ』組もいるみたいですけど。

それはともかく。

どぉ〜〜〜〜〜〜〜でしたか『(あじゃら)』は?結構面白いもんでしょ!?でしょ!?」

カミが笑いながらクラスハウスに入ってきた!

 

「『戯』とは読んで字の如く『戯れ』という意味、それぞれの遊び心を実体化する不思議な力です。

『生きるとは死ぬまでの戯れでしかなく、戯れ無き「生」に一片の価値無し』byセイン・カミ」

「ふざけるな……芽衣は遊び半分で死んでいったワケじゃない……!!」

ゼノヴィアはそう言ってカミを睨むが、カミは余裕そうにこう返す。

 

「でも、その遊び半分が全てのはじまりだったら?」

 

 

カミは後ろにあるモニターの電源をつけ、映像を流す。そこに映っているのは、黒い長髪に髭面で裸の男。ゲームのコントローラーを手にしている。あれは、『きゅうしょく』の時にも見た顔だ!

 

「出席者を選別する男、『神小路(かみのこうじ)かみまろ』世界で起こる殺戮ゲームは彼の遊び心を実体化したもの……そう……

 

全てはかみまろの『戯』なのです」

その言葉にクラスハウス内がシン、と静まる。その中で、カミの話だけが響く。

「今回YOU達に『戯』を体験してもらったのは、『戯』という力の存在を実感してもらう為……皆さん、たいへんよくできました♪」

 

「どいたま」

明石はそう発する。返事を返されると思っていなかったのか、カミも少し表情を変える。明石はボールを持ち、言う。

「痛いほど実感させてもらったぜ、『戯』の凄さ……おかげで会得(マスター)しちまったよ……お前を殺せる位にな!!」

そう言って明石は眼を見開く!!

 

……

 

……

 

……しかし なにも おこらなかった!

「あれ?」

不思議そうな顔をする明石に、カミはネタバラシをする。

「『戯』なら今は使えませんよ?ここへ戻った時点で大切なものとの同期は解除しときました」

「本当だ、でないや」

丑三が急にニコニコと笑いだした。しかし、何も起こらないとわかり、すぐに笑いを収める。

 

「『戯』を使うのは決戦の時までお預けです。それより次が、いよいよ最後のレッスンですよ♪これが終わったら、『戯』も使わせてあげますから♪」

そう言うとカミはリモコンを操作し、モニターの画面を切り替えた。

「YOU達はこれまで、『欠席者』として戦ってきましたね……いわば『出席者』に対するアンチテーゼ。『光』に対する『影』の存在……

 

レッスン3は、そんなYOU達に相応しい……『影踏み』です」

 

モニターに映っているのは、5人の男女。

坊主に太眉、大きい眼をした『真田ユキオ』

少しくすんだ金髪の太った少年、『秋本・クリストファー・健人』

ピンク色のポニーテールをした5人の中の紅一点、『秋元いちか』

ボサボサの黒髪に鋭い目つきの男、『天谷(あまや)(たける)

そして、特に特徴の無い黒髪男子、『高畑(たかはた)(しゅん)

 

「今回の(ターゲット)は光の存在……神の子です」

カミはそう言ってモニターを指差す。

「神小路かみまろが選別した高校生、神の子!彼らはYOU達と同じく、無数の屍を越えてきた猛者達!!

その中でもこの5名は日本中で1番最初にかみまろの選別を合格した者達!!つまりYOU達の最大の宿敵(ライバル)となるべき五勇士!!

……ですが、彼らは今、選別を終え休憩中。そのスキに『影を踏む』ことが次のレッスンです。

そして、この『影踏み』が、最後のレッスンになります」

 

え?最後……!?

つまり……これが終わったら、俺は木場や子猫ちゃんや朱乃さん達と戦うことになっちまうのか!?

その俺の予想を、カミは肯定する。

 

「このレッスンか終わると、いよいよYOU達のデビューの時……カミーズJr.と神の子の決戦の時です」

そう言いながらカミはコンコンと床を叩く。10数回叩くと、床に黒い『闇』が生まれた。なんだ、アレは?魔力にも似ているような……

「とはいえ、今回の『影踏み』はその準備みたいなもんですから、殺し合いは御法度(ナッシング)ですよ」

その言葉が終わらないうちに、俺の身体がガクッ、と床に沈む!?

俺は慌てて下を向くと、さっきの黒い何かが俺の、いや俺達10人の足下に展開されていた!そして俺達は、それに呑み込まれてる!?

 

「ちなみに、今回は2人1組でやってもらいます。どちらか一方がクリアすればOKです♪簡単でしょう?

あ、あとカミーズJr.だとバレたら(デス)ですよん。影を踏むところを見られてもダメ〜〜〜♪

 

まぁ、詳しいことはカミーズフォン見ればわかりますから。

シーユー♪」

 

その言葉を最後にして、俺達10人は闇に呑まれた。




〜〜〜祝・UA30000突破!!〜〜〜
遂にUA30000突破しました!皆さん、いつもこの作品を読んでいただき、本当にありがとうございますm(_ _)mこれからも土日祝日投稿を頑張っていきたいと思います!

鬼退治、本当の終了!
光圀が敗者復活して、残る欠席者は10人!
そして次回はおそらく、久しぶりの番外!

今回も読んでいただき、ありがとうございますm(_ _)m
これからもよろしくお願いします!
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