この話はマロマロン大帝様の「東方遊戯界〜飛べない天使の日常〜」のルキフェル視点です。
先にそちらを見て頂いた方がわかりやすいと思いますので...まあ個人の自由ですが、お勧めいたします。
菓子の袋を抱えて歩く。
これがまた楽しいのなんの。
「...これなら数週間は持つなぁ...」
...今の私はうっとりとした顔でそう呟いているだろう。
私の名はシュガー・ルキフェル。友人にはルキフェルと呼ばせている。
本名ではない。ただ昔の記憶は覚えていないからこう名乗っている。
私は旅をしている。
だが最近はここで食料を調達するために山にあった廃屋に居座っている。
その家に尋ねてくる友人の簡単な依頼を聞いたりして食い扶持を繋いでいるわけだ。
いやそれにしても久々の簡単な頼みだった。
『三途でサボる死神をシバいたら菓子一袋』っていう依頼。これからもぜひ受けたい。
映姫は本当に優しいよな...
「ど〜い〜てぇぇぇぇぇえええええッ!」
「......は?」
バッキィ!!
「...なんだ?妖精か?」
......突然空から降ってきた妖精(?)を...反射的に叩き落しちった。
...てかなんで吹っ飛んできたんだ?
...首があらぬ方向に曲がってるぞ?
生きてんのか、これ?
「妖精と間違えられた......大ショック......」ガクッ
あ、生きてた。なかなかのタフさだな...って
「ちょっ!おい!」
「」ピク...ピク...
あーーー...死んだか?
ツンツン
「」ピクピク...
あ、生きてる。やっぱりタフだな。
とりあえずだ...
「...『我の足の感覚を犠牲に、この者の自然治癒力を極限まで上げよ。』」
私がそう唱えると、私の足の感覚がなくなる。動かそうとしても足が完全に動かなくなったのだ。
同時に、吹っ飛んできたボウズの擦り傷やら切り傷がどんどん治っていく。
...でもやっぱり『犠牲にする』事は不便だよなぁ。
「......近くに枕になりそうな物は...」
周りを見渡しても、枕になりそうな石、木、布はない。
だとすれば最後の方法はこうだ。
「...よっこらしょ。...あら?見た目よりも軽いなこいつ...」
動かない足を手を使って器用にたたみ、正座の格好をしてから、寝てるボウズの頭を膝の上に乗せる。
いわゆる「膝枕」だ。
「...さて、と。煙草でも吸うかね。」
さっき持ってたお菓子の一つを『犠牲』に、煙草を一箱出す。
...ええっとライターは...そうだ。
サラシに手を突っ込んでライターを取る。
「...ああ〜...この煙草、安いやつだな... 」
愚痴をこぼしながら火を点けて一服。
ほわっと煙を吐きながら、膝の上に寝ているボウズの顔に目をやる。
「...ん?こいつ...」
よーく寝てるヤツの服装を見てみたらスカートを履いている。
そしてもう一度よーーく顔を覗き込んでみる。
「...あ、...こいつ...」
女だ。
...お嬢ちゃんだった。ボウズじゃなくて。
...うん。
ロリっ子は癒されるな(寝顔的な意味で。)
「...うん。ロリは正義だな。」
「.........それがお前の望む、正義なのか?」
思わず煙草を落としてしまう。
...顔が赤くなるのを感じながらこう思った。
...え?
...起き...てる?
「っ、おい!起きてんのか!?」
「...んん...うー...」
......
「ばーか!」
「...んんん...」
うん。寝言だったみたいだ。
よかったよかった。
しかしすごいタイミングですごいドンピシャな寝言だったな...
...寝言が言えるくらいにまで回復したなら、もう感覚戻してもいいよね?
そう思って私はこいつにかけた自然回復力を犠牲に、自分の足の感覚が戻した。
簡潔に言えば、「元に戻した。」
...てかこいつ...どんな夢見てんだ?
ちと気になるなぁ...
「............................殺し...て、や.....る。」
「おん?...ほう?」
前言撤回。絶対見たくなくなった。
長年生きてきてわかるものがある。
この少女の『殺してやる』は...冗談で言っているものではない。
純粋な殺意。即ち、【憎しみ】や【恨み】から生まれる、ドス黒さを感じる『殺してやる』だ。
一体何があったんだ。この幼い少女に。
何万の修羅場を乗り越えてきた私でさえも若干の恐怖を覚える。
殺意の対象が何かはわからないが...きっとこいつによっぽどのことをしたんだろう。
先ほど落としてしまった煙草の代わりを咥えて火を点ける。
先程と同じようにほわっと煙を吐く。
「............力が欲しい。」
...まだあるのか。
「人間共をブッ殺せる力が.........」
......成る程。
殺意の対象は人間か。
...昔の『誰かさん』にそっくりだな。
「う、うぅぅ...ううん?」
「...おっ、気がついたか。」
このお嬢さんは最後の寝言を言ってすぐに起き上がった。
「ッ!」
お嬢さんは膝の上に乗ったまま私の顔を見て驚きの表情を浮かべる。
なぜかお嬢さんは紅く頬を染めながら私の顔をマジマジと見てきた。
「...? ...どうした?」
「な、なんでもねぇ...て言うか、アリガトな。」
お嬢さんは理由を問われるとと流されて、代わりに治療のお礼を述べた。
「...なに、気にするな。変な話私が傷つけてしまったものだからな。」
「アハ、アハハハハハハ...」(汗)
そしてお嬢さんは何かを考えるような仕草を見せる。そしてすごく微妙な顔で、なぜか少し悶えながら自問自答をしているお嬢さんを見ていた。
...あ、言った方がいいのだろうか?
あの寝言のこと。
...言った方が良いよな。
「...まあそんなことより、物騒な寝言に気をつけろよ?私以外誰も聞いていなかったようだがな。」
「...え!?」
...あ、また悶え出した。
うーん、まあ結構イタイ寝言だったからな。
恥ずかしがるのも無理ないな。
「ワリ、聞かなかったことにしてくれないか?」
「ほう...?」
「何かご馳走するからさ。」(それと俺は天霊だ。妖精じゃねぇ。)
「...別に声を小さくしなくても良いんじゃないか?」
〜少女達移動中〜
...遅い。
遅すぎるっ。
「...ヒスイって言ったか?毎日ちゃんと運動してるのか?」
遅いしすぐに小声で『疲れた...』と言って止まるので全く進まない。
『う、うるへー!足が悲鳴あげてるなんてねーもん!これ以上歩けないなんてねーもん!疲れたなんて思ってねーもん!まだまだ余裕だし!』と言っているような顔をしてゼェハァゼェハァ息を整えている。
そんな私は『嘘をつけ』と言うのではなく、行動で伝えることにした。
「...太ももプニッ。」
「ひゃあっ!?」
「」
「」
私が太ももをプニッっとつくとヒスイは可愛い声を上げてしゃがんでしまった。
思わず、こう言ってしまいそうになった。
か、かわいい...!
「...と、取り敢えず、早く案内してくれ。」
「お、おう...」
顔を赤くして...かわいいなぁ...!
〜少女達移動中〜
「たっだいま〜マイハニー!」
「お帰りなさいっ大丈夫だった?」
うーん...大丈夫じゃなかったと思うぞ?
首の骨が外れたんだ、人間なら普通に死んでいただろう。
というかこいつに妻がいたのか...しかもケモミミ羨ましいってあれ?
こいつ女じゃなかったか?
あれか?百合か?...イヤイヤ、そんなやつこの幻想郷にいるはずが
「はみゅっ」
「ひゃぁんっ!?」
...前言撤回、こいつは素晴らしい百合だ。
ヒスイが私がいるにもかかわらず突然ハニーと呼ばれたケモミミ少女の耳を甘噛みし始めたのだ。
「ふあっ あ、ひゃぁうぅ…ヒス、イィ、そんなっトコ… やあぁあんっ」
ガチめにエロ同人に出てきそうなセリフを吐きながら少女は身悶えている。
ヒスイも気が乗ってきたのか少女の服に手を入れ始めた。
「えへへぇ♪ いい声だねぇ(ハムハム) 響子マジ俺の嫁ぇ(クリクリ)♪」
少女の耳元で上記のような声を出しながらケモミミを攻めるヒスイ。
ヒスイは完全にノリノリだ。
「だっだめぇっ ほんとにだめぇ! やめっふあっ あ、あぁあ…はぁんっ!?」
そんな二人を私は呆然と見る事しかできなかった。
「やめっ や、やぁやっ らめぇぇぇぇぇぇぇぇええええええええッ!!!!」
「...あー〜〜...(コホン)えーーっと、」
「ッ!?」(ドッタンバッタンバキバキボッゴォッ!!)
...ああ、こいつは酷い、ヒスイが肉塊寸前だ。
「……えっと、初めまして!幽谷響子です。」
先程までヒスイにハムハムされていたケモミミ少女は私に気がつくと自己紹介をした。
「…あぁ、初めましてだな。私はシュガー。『シュガー・ルキフェル』。ルキフェルと呼んでくれ。」
こちらも自己紹介を返す。
念を押して「シュガー」と呼ばないように頼み込んでおいたから「シュガー」とは呼ばないはず
「自己紹介が遅れたな。俺はヒスイ。 こう見えて誇り高き天霊さまだ。よろしくな?シュg」
ガチャリ
「ルキフェルって呼んでくれ。」
おそらく今私は光よりも速いスピードでオートマグを構えたと思う。
私のオートマグは少し改造してあるから人間程度の脆さなら『ミンチ』が出来上がる。
なに、弾丸に魔力、霊力、神力を加えて撃つだけだ。
「ええっと、それマジでシャレにならんから止めてくんないかな?シュg」
カチャ......
「あ―――!ウソウソウソ!マジでスマン。ルキフェル!」
「…うむ、よろしい。」
やっとルキフェルと呼んでくれたところでオートマグをホルスターにしまう。
これで二度と私を「シュガー」と呼ばないはずだ。
(かわいい名前だねぇシュガーちゃ」
バギューンッ!!
私は耳がいい。
〜少女治療中〜
「あー痛い。」
「...なぜそれだけで済んだんだ?人間ならミンチだぞ?」
なぜかヒスイの頭にたんこぶができただけで済んでしまった。
...おかしいな...昨日熊撃った時はミンチになったのにな...今日は調子が悪いのか。
「細かい事は気にしないの。さ、さっきの約束だ。ちょいと料理してくる。」
「...ああ。」
そう言ってヒスイは奥に消えてしまった。
そして私と響子が二人きりになる。
「...はあ、」
「...なんだ、溜め息なんかついて。」
ヒスイが出て行った瞬間、響子は溜め息をついて項垂れた。
「うー...なんでヒスイはあんなに弱いんだろう...」
「...は?」
突然響子はヒスイの愚痴(?)を垂れてきた。
初対面なのになかなか臆しないやつだ。
...というか『弱い』?
人間が喰らったらミンチになる弾丸を額に受けてタンコブで済んでるやつだぞ?
「いやね、さっき弾幕ごっこをやっていたんだけど...私はもう絶滅寸前の山彦なのよ?蟲妖怪に勝てるかどうかさえも怪しい実力なのに...それなのにヒスイは...」
「...そんな雑魚に負けちまうほど弱いってことか。」
「うぐっ、その言い方はなんだか棘があるわね...ま、まあそういう事よ。」
「...そうか。...あ、ここ煙草は吸ってもいいか?」
「あー、できればやめてね。」
チッ、と舌打ちしながら頬杖をついてヒスイを待ち続ける。煙草が吸えないからちょっとイライラしてきたな...
「...そうだ!ねぇルキフェル、ヒスイを鍛えてよ!」
そんな私に響子はいきなり変なことを言い始めた。
「...はぁ?」
なぜ今日会ったばかりのやつに稽古をつけなくてはならんのだ、とすぐに思う。
...ああだめだ。いつもなら快く引き受けるのに煙草を暫く吸ってないからイライラする...
「...あああっ、ちょっと待ってろ。」
「え、ああ、うん。」
我慢できずに外に行って煙草を取り出す。
一本吸えば充分だ。30秒で終わる。
...ふぅ...落ち着いた。
もう一度ヒスイの家に入る。
「...すまない。それで?どうやって稽古をつければいいんだ?」
「あ!乗ってくれるのね?」
「...まあいいさ。最近は熊とサボり症の死神しか相手してないんだ。体が鈍ってしょうがない。」
「ありがとう...それじゃあ計画はこうよ。」
こうして、ヒスイ強化計画が始まった。
どうなるだろうな...
「ほいっ、まぁ簡単なものだがマカロンな?」
そう言ってヒスイはテーブルの上にマカロンを置く。
すごく美味しそうだ。
「どう?ヒスイの作るお菓子?」
「…ふむ。まるで売り物みたいだな」
ほんのりと甘い手作りマカロンは口溶けもよくて、私を満足させてくれる。
...ああ、糖分はやっぱりいいよなぁ...
「…そういえば、なんでヒスイは空を飛んでたんだ?」
今率直に思いついた疑問をヒスイにぶつけてみる。
きっとみんなも気になってただろうし...
この質問をぶつけた瞬間響子はビクッ、と体を震わせた。
「失礼な物言いだな。 俺は天霊だぜ? 空飛んでても何も不思議なことはねぇだろ?」
「…涙目で私に激突してくる天霊(バカ)が自分の力で飛んでるとでも?」
ヒスイに突っ込むと「うぐっ」と言って少し黙った。
「まぁ、正直なこと言えば響子に修行つけてもらって、盛大に吹っ飛ばされただけだがな。」
「悲しきかなヒスイは人にすら勝てない...」
これには驚いた。人に勝てない天霊がこの世にいたとは...私の知り合いには妖精で妖怪に勝ったやつもいるというのに...
「……人にすら勝てないのk」
「いや勝てる。」
「………本当か?」
「本当だとも!」
ドヤ顔でそう話すヒスイ。
...いや、人外なら人間の子供に余裕で勝てるだろ...
「そういえば、この前買い出しに行ったとき子供にイジメられt」
「シャラップッ!!」
もがもが...と響子は口を押さえてくる手を振りほどこうともがく。
あっはっはっはっはっは!!俺が子供ごときに後れを取る?何を言ってるのかな君たち。俺様は何度も言うが高貴なる天r
「その流れはもういい。」
はあ...こいつ、いつか自身の力を過信して自滅するタイプだ...
仕方がない。響子の言う通り、少し修行でもつけてやるかな?
「...なぁヒスイ。これ、なんだかわかるか?」
そう言って私は、さっき響子に渡された饅頭を取り出す。
余談だが、なかなか美味しそうだ。
「それ俺のまんじゅう!返せよバカ!ってかどうして場所分かった!?」
「ああ、私がヒスイの部屋のベッドの下から取ってきたの。」
「ベッドの下ねぇ……恥ずかしい本じゃなくて、まんじゅうって……」
「ああもうっ!黙れ黙れッ!それ返せッ!
」
「返してほしければ私に勝つことだな」
ニヤリ
その言葉を聞いた瞬間、「へ、楽勝だぜっ」と顔に書いてヒスイは頷く。
「響子!力を貸せ!」
おいおい、楽勝だぜって顔に書いてある高貴な天霊様が消滅寸前の山彦に助けを求めたぞ?
「やだ。」
「えええ!?」
しかも断られてるぞ?
「そーらそーら、速く取り返さないと食べちゃうぞ?」
仕方がないのでさらに挑発してみると案外効いたようだった。
流石高貴な天霊様はプライドが高すぎるようで。
「ッ!?う、うらあああああああああああああああッ!!」
飛びかかってきたヒスイを避けヒスイの家を出る。
ヒスイも家を出て私を追いかけてきたようだし、鬼ごっこと洒落込もうか。
おいおい...
「はぁ...はぁ...まて、マテェ......」
想像以上に...雑魚いな...
これなら人里の子供に虐められたのも解る。
「ま、まてェこらァ...」
まだ1分も経ってないのにバッテバテのグッテグテなのだ。
まだ10mも走ってないぞ?
「くそっ、もう容赦しねぇ!泣いて謝ったって許さねぇからな!」
まるで三下の悪党みたいなセリフを吐くなこいつ。
なのでこちらも負けずにラスボスみたいな挑発をしてみる。
「…私を倒せる力があるのかね?」
...あ、明らかに挑発が効いてるねこれは。
額に怒りマークつけて何か技をやってきた。
「おら消し飛べッ 天突『天目指す巨塔』ッ!」
ほむほむ、スペカか。
足元からちょいと密度が高い弾幕が私に向かってくる。
...あら?案外ガバガバだこれ。
「…ふん♩ふん♪ふぅん♫」
ほら、鼻歌歌いながらでも避けられるぞ?
そうやってテンション上げて『』を歌っていると、すぐに弾幕が止んでしまった。
「…ん? なんだもう終わりか?」
「ッ!」
そう聞くとヒスイは驚いて手を止めてしまう。
どうやら図星だったようだ。
「…なんだ。じゃあこちらからもやらせてもらうぞ?」
やられてばかりではあれなのでこちらもスペカを召喚、宣言する。
「朝靄『全てが消える時』」
シュバババババババッ!
私からばら撒かれるように高密度な弾幕が発生する。隙もあまりないし...まあ初見はビックリするだろう。
だが一見避けられないように見えるが実はこれもガバガバなのである。
よく見るとちゃんとパターンがあるし、こいつは一定時間経つと密度が極端に低くなる。
ま、いわゆる一点豪華だ。
私の基礎スペルだし、これぐらいは避けてもらわないと困r(ピチューン!)
...えぇ?∑(゚Д゚ )
「な、なんてこった…」
それはこっちのセリフだ。
あれは本当に私の基礎中の基礎スペルなのだ。
あれくらいならちょいと頭が良い妖精でも攻略できる。
「…そうだな。あと一回被弾したらこのまんじゅうは私がもらおうかな?」
このままやる気のないままダラダラやってても無駄だ、と判断してひすいにとって一番やる気をだせる挑発を放つ。
ヒスイは露骨に怒りを表して私を睨んできた。
「ちょっ、そんなの聞いてねぇぞ!」
「なんだ?勝って取り返せばいいだけの話じゃないか」
さらに挑発を重ねる。
このぐらいやればヒスイは乗ってくるはずだ。
...?あれ?なんか小声でなんか説明してるぞ?
〜30分後〜
「返し、ヤガレ……」
「…ん?」
あ、終わった。
やれやれ。少しウトウトしてしまったぞ?
てか饅頭だけで30分語るヤツ初めて見た。
ヒスイ「返しやがれと、言ってるんだ」
空気が、変わった?
あれ?さっきの饅頭ヒスイどこいった?
ヒスイ「返す気がないのなら……」
まあともかく...ふっ...
ふふ…
「久々に楽しめそうだ……」
ゆっくりとオートマグをホルスターから取り出す。しっかりとヒスイに向けて構えて引き金に指をかける。
「五秒で、ぶっ潰してくれるッ」
「慈悲『トドメは苦しませない』ッ」
スペルを宣言して3発の弾丸を放つ。
それぞれの弾はヒスイの急所...頭、心臓、首に1発ずつだ。
私とヒスイの距離はおよそ2mほど。
この距離ならば絶対に外さない。
「目障りだッ!」
ギィィィィン!!
急所を狙っていた弾丸はやけに早くなったヒスイによって弾き飛ばされた。
私の強化弾を打ち壊すほどに身体能力がアップしているようだ。
「…ほう……」
思わず口元を緩めてしまう。
私の強化弾を吹き飛ばしたのは鬼の四天王の一人ぐらいだ。
だがそいつも「手が痺れた」とか言って脚で攻めてきたぐらいの威力を誇る。鬼の手が痺れるほどの威力を持つ弾丸を手のひらで、しかも全くダメージを受けてないほどに強くなっているようだ。
「…なるほど…。物理的攻撃は効かないと取って問題ないな。これは……」
そう言いつつ更に四発撃ちこむ。
それぞれも急所を狙った4発なのだが全て弾き飛ばされてしまった。
「ふっ、だいぶ厄介な能力のようだな」
「そりゃどうも。早くまんじゅう返してもらえりゃこれ以上暴れる必要ねぇんだか。」
「…それはできないな。その能力、もうちょっとだけ見させてもらう!」
オートマグを再装填。そのまま撃つと見せかけて、
「…ふっ!」
思いっきりヒスイに近づく。
驚愕したのかヒスイの足が一瞬もつれた。その隙を見逃さず人体の急所である鳩尾にボディーブロー。ドグオッと音を立ててヒスイにヒットするも、全くダメージを受けてないようだ。
「なるほど、防げる防げないは気持ちの問題か......気ぃ抜くなよ。」
休む暇は与えない。
オートマグをボディブローと反対の手でオートマグを全弾連射する。
だが弾が当たることはなく目と鼻の先の近距離だというのにヒスイは身をよじってかわした。
......よくかわせたな。
「褒美だ。」
弾丸に目がいっているヒスイに向かって、
「ふんッッ!」
振りかぶりストレート。
全体重と元々の腕力を乗っけてヒスイに思いっきり殴りかかる。
「規格外すぎだぞてめぇッ!!」
ヒスイはなんとか受け流そうとしたが無理だったようだ。数m先まで思いっきり吹っ飛んでいく。
私はその隙をついてオートマグを再装填する。今度の弾はただの弾ではない。
下界でいう『対艦ミサイル』をも越える神力、霊力、魔力をぶち込んだ弾7発。今のヒスイに当てたらどうなるだろうな。
私はヒスイの胴体に向けてマグを構える。
.........パキパキパキパキ.........
「…まだそんなのを隠し持ってたとはな」
「へへへっ、まぁ俺様の切り札だからな」
そうやってニヤけるヒスイの手には紅い弓が握られていた。
あれはどこかで見たことのある弓だ。
確かどっかの女神の加護を受けた万魔殺しの弓だった様な気がする。
だか私には無意味だ。
「ふっ……面白い、受けて立とうじゃないか!!」
神(私)に万魔殺しなんて効かない。そのことを思い知らせようとして、私は射線上に堂々とマグを構えてヒスイと向き合う。
「食らいやがれッ!スペル発動! 絶天『災禍の炎月弓』ッ!!」
次の瞬間、私に向かって万魔殺しの矢が放たれ...
「そこでストォォォォォオオオオオップ!!!!」
ることはなかった。
山彦の絶叫は私の耳がつん裂けそうになるぐらいに大きかった。
「響、子……?」
「あ……ヒスイ……使っちゃったんだ……」
若干青ざめた響子はヒスイを見つめて呆然とする。
「うッ!?」
「!?」
突然だ。
ヒスイがおかしくなった。
ヒスイは突然、血を含んだ嘔吐物を吐き出し、荒い息を繰り返しながら膝をつき、まるでひどい拷問を受けている様に絶叫しだした。
呆然と訳も分からず見ているとぶちぶちとロープを切る様な音がヒスイからしだした。
それと同時に目、口、鼻、耳から滝の様に血が流れ始めた。何かを懇願する様に無様に跪きながら悶え苦しむ。
そしてボキボキと骨が折れる音が聞こえて蚊の様な息が止まった。
「こ、これは……どういう……」
「……『力を生み出す程度の能力』の、使用代償……」
「……助け、られないのか?」
私の能力なら何かを犠牲にしてヒスイを助けることができる。
「悲しいけど、無理。この世の理を覆すほどの力が必要なのよ。こうなったら、ヒスイに耐えてもらうしかないの……」
「」
もう...いいや。
ガンバレヒスイ(白目
「...む?」
「どしたのルキフェル?」
その後私達は取り敢えずヒスイを抱えて家に戻ってきた。
ヒスイを安静にしてから、一応私の爪を犠牲にヒスイの自然治癒能力を底上げしておいた。
できる限りのことはやらないとな。
「...いや...ここから出る時に酒なんて置いてあったかな...って思ったんだ。」
「え?酒?飲もう。」
「...え?...いやいやいや普通怪しむだろ。なんでそんなに無警戒に飲めるんだ?」
「いやだって最近飲んでなかったし...いいじゃん。」
「...はあ、ちょっとだけだぞ。」
「わーい!(トクトクトク...)...ねえねぇ、折角だから乾杯しようよ!」
「...い、いや、私は要らない。酒は余り飲まないんだ...」
「いいからいいから♪」
「...むう、そんなに言うなら...」
トクトクトクトク...
「「かんぱ〜い!」」
「で、時を止めて侵入してきたとな?」
「…はい。」
申し訳なかった、と土下座をする。
...酒を飲んでから記憶が曖昧なのだが...どうやら私はヒスイを性的に襲ったようなのだ。
ヒスイが言うには『部屋で一回響子と嬲られてからトイレに逃げ込んだけど何故か入られて第二ラウンド』だったらしい。
...酒は自重しよう。
「で、響子は酒にこっそり媚薬を入れたとな?」
「入れてません。」
「歯を食いしばれ。」
「入れてませんッ」
「よく言った!
ゴツッ
鈍い音が響子から聞こえた。
ヒスイ「それとほれ。」
ナデナデ
ルキフ「……///」
そして私は撫でてもらった。
...なかなか嬉しいな。撫でられたのは久々だ。
「おぉお……」
「よし、響子も撫でてやるか?」
「両手がワキワキしてなければ頼んでたかもね。」
気持ちよくなったあとは2人の夫婦漫才に和んだ。
なかなか幸せになれるいいコンビネーションではないか。
さて、と。いつまでもここにいるわけにはいかない。
「…さて、では私はこれでおいとましようかな?」
「ん?もう帰るのか。じゃぁな!また戦ってくれるとうれしい。」
ニカっと笑いながら再戦を申し込んでくるヒスイ。闘志に燃えたヒスイの姿はどこか『誰か』に似ていた。
「ヒスイがちゃんと能力使えるようになったらな……考えとく。」
「ああ、それと言い忘れていた……」
「...?」
私の『嗅覚を犠牲にして私の周りに風を出す』ちょっとでも神様っぽく退場した方がかっこいいだろう。
「……ヒスイ、お前は十分強いよ…」
そして私は風に運ばれていった。
「...ふっ、」
いい奴らだったな。
笑みをこぼしながら風に運ばれる。
特にヒスイは面白いやつだ。
女なのに男口調で、好奇心旺盛で、おまけにピュア。
そして何より、
絶対神(私)のストレートを喰らって生きていること。
なかなかに面白い。
「...ふふ...
あいつらとは、また会えそうだ。」
「...あっ、手が滑って饅頭落としちまった...」
オリ主spec
シュガールキフェル
性別
⇒女
容姿
⇒髪型はスーパーロング(膝裏までの長さ)にくせ毛の一本角のような何か。髪の色は濃い茶色。
いつもサラシとジーパン。肌に何かを着けるのが嫌い。
能力
⇒対価を払って願いを叶える程度の能力
もうそのまま、何か犠牲を払って自分の体を強化する。
例えば、髪の毛を犠牲にして皮膚を硬化させたり、嗅覚を犠牲にして視力を強化したりと自身を犠牲にした身体能力向上のために使用したり、金を払ってお菓子を出したり、人を払って自分を助けるなど、自分以外のものを犠牲にして何かを得ることができるといったギャンブルのような能力。
時を止める程度の能力
そのまま。彼女の体感時間で十秒。
性格
⇒クールで『どんな修羅場も乗り越えて来た目』をしている。だけど面倒見が良く、姉御肌。
種族
⇒現人神
年齢
⇒推定4519歳。(見た目年齢24歳)
備考
⇒煙草を吸っている。一日に二十本吸わないとやってられないヘビースモーカー。
お酒に弱く、酔いやすい。酔うと甘えん坊になる。
一人称は「私」