東京喰種-Prototype-   作:アレックス・マーサー

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救済という名の自己満足。その結果。

某年 某所にて。

 

 

この世に未練が無いと言えば、嘘になる。まだ私には小学生の小さな娘がいるからだ。

 

しかし呉緒がまだいる。私が居なくても暁をちゃんと育ててくれるだろう。

 

この世は理不尽だ。様々な主義や思想が存在するが、この世は弱肉強食の実力社会だ。

 

目の前にいる喰種は強い。いつか見た資料では赫者と呼ばれる存在だと思う。同族を喰らう存在。

 

こいつは危険だ。私には分かる。長年培った捜査官の経験と、私の女の勘が告げている。

 

しかし希望は捨てない。この世に未練があるからだ。クインケを構える。長年世話になった相棒で生き抜いてみせる。

 

「来い喰種。私が相手しよう」

 

こうする事でしか選択肢は無かった。班が全滅することは避けなければ、いけなかったからだ。私が勝てないのなら、私以外は全員勝てない。

 

すると目の前にいる喰種は、突然後ろから赫子で腹を貫かれ、凄まじい速さで壁に叩きつけられていた。

 

私は何が起こったか分からなかった。

 

「やれやれ。これだから三下は。人間を虐めて楽しいですか? 」

 

冷汗と震えが止まらない。目の前に現れた、道化師の様な白いマスクを付けた喰種は先程の赫者よりも危険だ。どの喰種よりも絶対的なオーラがある。

 

「逃げなさい、お嬢さん。貴方では梟には絶対に勝てない。そして梟に勝てないなら私には勝てません。だから逃げなさい」

 

梟。それがあの赫者である、喰種の名前の様なものか。こいつの言葉を、信用していいのか?

 

「何故、私を助ける! 目的は何だ! 」

 

梟が足掻く。赫子から逃れようとするが、更に生えた赫子に全身を貫かれた。赫子の数が異常。そしてそれぞれ赫子の形状が違う。

 

「私は女性は襲わない、喰わない、殺さない三原則を自分に課しているんです。だから逃げなさい。それとも唯の死にたがりですか? 心配しないでください。後ろから襲う事はしませんから」

 

私は男の言葉を信じる事にした。しかし気を許したわけではない。背中を見せずゆっくりと下がっていく。男は軽く手を振っていた。

 

 

 

 

私は周囲を最大限、警戒しながら進んでいたが最後まで喰種とは遭遇せず、先程の道化師は襲ってこなかった。出口には夫である呉緒が居た。

 

「微! 大丈夫だったか!あの喰種は? 」

 

「ああ、この通り無傷だ。突然、現れた喰種に任せた。班の皆は? 」

 

私達は抱き合った。呉緒は泣いていた。

 

「今、支部に戻って救助隊を編成しに行ったぞ」

 

「なら私が、無事なのを知らせなければな」

 

喰種に助けられてしまった。

 

 

 

__________

 

 

 

「すいませんでした。私の名前はナナシと申します」

 

赫子を梟から全て抜く。しかし梟は身構えている。

 

「私は貴方の味方ですよ! 先程の行いのせいで信頼できないのも無理はありません。しかし私は貴方を知っています。功善と憂那の娘で隻眼の喰種。その名はエト。別に喋りたくないなら喋らなくて結構です。私が勝手にお喋りしますから 」

 

梟は身構えるのをやめた。

 

「何で私の名前を? 」

 

「私も隻眼ですから」

 

私は右目を赫眼に変えた。

 

この3年間。私は進化した。手だけを爪や剣に変形できるのなら、眼や舌もできるはずだと思った。

 

「本当に私と一緒? 」

 

エトは赫者アーマーを解き、マントを来た少女の姿になった。そして私の目の前にまで来た。

 

「近くで見ますか? 」

 

私はマスクを外した。喰種にとって知らない相手にマスクを外すのは自殺行為。しかし外す。

 

 

これがエトと俺の初めて会った出来事。

 

 

 

 

これで真戸 呉緒は闇堕ちしない。これで未来が変わる。

 

俺がやったことは正しい。

 

 

 

 

__________

 

 

 

2000年 某区にて。

 

 

 

 

 

私は、目の前にいる少年に狩られる。この世は弱肉強食の実力社会。

 

私は喰種だ。人間を喰わなければ生きてはいけない種族。喰種と人間は敵対する運命。

 

こんなところで私は死ねない。私には家で腹を空かせている家族がいる。しかしもう私は駄目だ。

 

この少年は異常に強すぎる。まだ中学生ぐらいと思わしき少年。しかし私には死神にしか見えなかった。

 

自慢の速度での近接戦闘や、羽赫特有の遠距離攻撃が全て見切られていた。決して慢心していたわけではない。目の前にいる少年が強すぎた。

 

満身創痍。私は全力で戦った。しかし遠く及ばない。

 

もうダメだ。身体が言うことを聞かない。

 

ごめん新。私ここまで見たい。董香、絢都。ごめんなさい。二人の成長を見たかったけどお母さんダメみたい。

 

「諦めたらそこで試合終了ですよ? 」

 

突然、何処から声が聞こえた。すると上から誰かが目の前に落ちてきた。身長は大体175程度。

 

「どうも初めまして。私は1区を縄張りにしている者で、弱い者虐めが大好きな喰種です」

 

目の前にいる不審な男の匂いは、不思議な匂いだった。何とも奇妙で言い表せない嗅いだことがない。

 

少年が動く。クインケで目の前にいる男の首を斬り落とそうとする。

 

男は無防備だった。そして少年は確かに男の首を斬り落とした筈だった。しかし傷痕すらなかった。

 

少年は一旦距離を取る。

 

「無駄なんですよ。私は自称最強の喰種で赫者ですからね? 」

 

男の子見た目が変わる。全身が赫子で覆われ、大きさも推定3m級。

 

赫者は喰種が共食いをすることで至れる境地。ただ共食いするだけでは至れない。至るには一種の才能が必要とされている。

 

「どうしました? これだから白鳩は。お山の大将を狩ることで自分が強いと思い込んでいるんですか? 滑稽ですね。本来なら人間が喰種に勝てる筈がないんです。それを実感させてあげましょうね 」

 

男の腕にはブレード状の甲赫。背中からは無数の形状でバラバラな赫子が生えた。肩からは刺々しく色々な色に変色している羽赫。そして肥大化し、形状がそれぞれ違う鱗赫。最後に数本の大きく肥大化した尾赫。

 

正真正銘、赫子の化物。男の猛攻が始まった。腕の甲赫と羽赫は使用せずに、それ以外の赫子での攻撃。

 

正に暴風雨。しかし男は遊んでいた。何故ならここで彼を殺してはいけない。あくまで女性の救済が目的だったからだ。

 

人間の少年は、なす術が無かった。

そして男は女を抱えて撤退した。少年は見送ることしかできなかった。

 

 

 

 

 

とある区の路地裏。

 

 

 

「助けてくれてありがとう」

 

彼女は怯えていた。赫者は共食いでしか至れない存在。即ち自分が喰われるかもしれないからだ。

 

「どういたしまして。あ、すいませんでした。初対面での挨拶にマスクを付けたままで」

 

男はマスクを外した。

 

「私の名前はナナシです。歳は多分15だと思います」

 

「子供? 」

 

マスクの下は、まだ幼い顔つきだった。

 

「子供ですけどダメですか? 貴方は早くこの区から逃げた方がいいです。 今から私が、この区の支部を襲撃するのでその内に 」

 

目の前の子供は赫者。しかし子供。そして、この子が言っている事は人間を殺しに行くこと。私は無益な殺しは否定する。

 

「腹が減っているわけでも無いのに、人を殺しに行くのか? 私は無益な殺しはしない主義なんでね。そんな事させないよ! 」

 

満身創痍。しかしこの子が行おうとしていることを、黙って見逃す訳にはいかない。

 

赫子を展開するが、一瞬で視界が黒に染まった。

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

「やれやれだ。新が温厚な喰種ならヒカリさんも優しいな。俺が家まで運ばないとな」

 

俺はマスクを付ける。これがないと気合が入らない。ヒカリさんを肩に乗せる。そしてソナーで新の居場所を探す。南ですね。それを繰り返して目的地に到着しました。

 

 

軽くノックをする。

 

 

「ヒカリさんが白鳩に襲われていたんです。早く開けてください」

 

新なら開けてくれると信じています。

 

「早く入ってくれ!」

 

やはり新ですね。こんな私を信用してくれるなんて、いい人ですね。そしてヒカリさんを新に預けます。CCGには悪いですがクインケにはさせませんよ。

 

中に入る。小さな靴が二足と大きめのスニーカーが並んでいた。私も靴を脱ぎ、家に上がります。

 

不用心ですね。まぁ幼い董香ちゃんが見れるのですから良しとしましょう。

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

とある区のとあるマンション。

 

 

 

「ただいま、三波ちゃん。ご飯出来てる? 」

 

靴を脱ぎ、揃える。そしていい匂いがする。カレーだ。

 

「おかえり。今日はカレーだよ。今日の収穫は? 」

 

三波ちゃんは、味見が出来ないのに健気に料理を俺の為に頑張ってくれている。俺もそれに答えようと、三波ちゃんの代わりに食事を買いに行っている。

 

ビックマダムの所は品揃えが良くて、個人的気に入っている。可愛い子がいれば俺が購入して逃がしている。勿論、オークション会場の位置をバレないようにしているから大丈夫。

 

後はマダムにジューゾーを虐めるなと言っておいた。俺は男だ。去勢どころか棒が無いなんて最悪すぎる。この作品のくぎゅうだから不幸な目に遭わせたくない。

 

「今日はO型の臓器とAB型の臓器だよ。お風呂入れる? 」

 

「入れるよ。私はもう入ってるからね」

 

三波ちゃんのエプロン姿は実にいい。

何と言うか、本当に唯の女の子にしか見えない。

 

「じゃあ、飯の前に先に風呂に入ってくる」

 

 

 

俺は三波ちゃんも助けた。方法は簡単。俺がランタンとジェイソンを正攻法であるタイマンで決着を付けたからだ。即ち俺が13区の頂点。

 

 

あの時、またあのクソ眼鏡にあったな。実に懐かしい。

 

 

 

 

 

 

「三波ちゃん。炒飯の味が無いよ!」

 

「文句言うなら、もう作ってあげないんだから! 」

 

「お前ら、俺を呼んでおいてイチャイチャすんなよ。帰るぞ」

 

今は13区の俺の拠点で話し合いをしている。そして三波ちゃんの味無し炒飯を食べている。目の前にはコーヒーを飲んでいるヤモリがいる。近くの珈琲専門店で飲んでいると、近くにいて話している内に仲良くなったんだ。主な話題は赫者になる方法だけどね。

 

「ああ、ごめん。それは三波ちゃんが説明してくれるよ」

 

「ごめんヤモリ。私の料理が馬鹿にされたから無償に腹が立っちゃった。話はね私のクラスに捜査官が潜入捜査しているんだよ。だから、それを私と一緒に消してもらおうかなと思って」

 

捜査官。この場合は有馬 貴将。

 

「お前ら夫婦で共同作業すればいいじゃないか? 」

 

「夫婦じゃない! それでナナシは『殺しはしない』とか訳わかんないこと言ってるんだよ。だから助けてヤモリ 」

 

「お前が殺しをしないってのは冗談は置いておいて最強の赫者である、お前が捜査官にビビってる訳じゃないんだろ? 理由は何だ? 」

 

賢いヤモリ君は嫌いだよ。

 

「その捜査官の名前は有馬 貴将。近い未来、CCGの死神と呼ばれ、CCG最高戦力の特等捜査官になる男。今殺したら楽しみが減るじゃないか。それが理由。先に二人に言っておくよ? 君達じゃ現時点の有馬に勝てない。彼奴は異常な強さだからな」

 

ヒカリさん達、元気にしているかな。今度、董香ちゃんと絢都君にお土産を用意して、様子でも見に行こうかな。

 

「それは面白い話だな。オニヤマダみたいに腕試してみるのも有りだな」

 

オニヤマダか。あいつ元気にしてるかな? そろそろ殺されるはずだから助けてもいいけど...でもあいつ優しいけど馬鹿だから。それに女の子じゃない。

 

「でたよナナシの強者の余裕。でも有馬君を殺したら何百の喰種が助かるかもしれないんだよ? 」

 

「俺は参加しない。俺は今回は傍観者に徹するよ」

 

味なし炒飯を食べ終えた頃には、三波ちゃんは部屋に戻り、既にヤモリは帰っていた。

 

 

 

 

 

「手加減してるつもり? あんま舐めんな! 」

 

俺は建物の屋上に居た。jackの戦闘シーンも暗記してる。だから展開が分かる。ソナーで下の状況を一応は把握してるけど。

 

三波ちゃんは自慢の尾赫で、有馬を突き刺そうとするが、有馬がクインケのユキムラを投擲して赫子に刺さり、動きが制限される。

 

そして有馬は新たに二本のユキムラを取り出す。このタイミングで行かないと三波ちゃんが死んじゃうな。

 

俺はマスクを着ける。

 

「私の出番ですね」

 

俺は全身を強化して、その場から大きく跳躍した。そして三波ちゃんの目の前に出る位置に落ちた。

 

 

 

 

 

 

「御機嫌よう。久し振りですね?」

 

有馬は地面にユキムラを刺した。先にヤモリを攻撃か。そして有馬は私に向かってくる。いや違いますね! 狙いは三波ちゃん。

 

「ダメですよ。目の前に居る客を無視しては」

 

私は赫子を出す。これは三波ちゃんを守る為に使う。今は有馬には攻撃はしない。

 

有馬諦めていなかった。急所と呼ばれる箇所を全て、攻撃した。目の前の喰種を駆逐しようとしていた。しかし無意味だった。

 

 

「今ので終わりですか? 何処を攻撃されたか分かりませんでしたよ。次は此方からですね! 」

 

赫子の鱗赫と尾赫、合計10本を余裕に超える数で攻撃の嵐。そしてワザと私の目の前に飛び込む場所を作る。それも彼は分かっているんだろう。賢い子は嫌いだ。有馬なら飛び込んで来る筈です。有馬は最強だから。

 

有馬は私が作った空間にワザと飛び込み、私をユキムラ二本で突き刺す。

 

 

「この時を待っていましたよ! 」

 

感染者の吸収は生体部位を喰らう。

 

クインケには赫子の生体部位を加工した物が使われている。

 

即ち、クインケをも喰らう事ができる。しかし喰らうには傷を付けないといけません。今、私を刺している刀身を握り潰して、取り込みます。

 

有馬は私がユキムラ二本を握り潰した時点で後退していた。私も彼を殺す気は無いので攻撃は加えませんでした。

 

今回は三波ちゃんを救済。そしてクインケを喰らうことが目的です。

 

そして私は、左右の手の甲にユキムラを生やした。

 

「素晴らしいですね。それでは三本目も頂きましょうか」

 

これで片手だけ、BASARAの伊達政宗が出来るようになった。

 

そして有馬は逃走した。今回も私の勝ちだ。

 

 

 

 

 

 

懐かしい事を思い出した。あの一件が報告された所為なのか、喰種を駆逐する前に一旦、確保するのが常識になったようだ。赫子の性能を測るのと、量産するんだろう。

 

風呂を上がり丁寧に拭く。俺は用意していた服に着替えてリビングに向かった。

 

「頂きます。三波ちゃん、仕事は上手く行っている? このカレー美味しいよ! 」

 

「観母さんから紹介された仕事は、デスクワークで先輩達が優しく丁寧に教えてくれるから楽しいよ。当たり前でしょ? 私が作ったんだから」

 

観母に助け求めて正解だった。この家も観母からの支援で借りている。銀行強盗で稼いだ金は食費に当てている。

 

「三波ちゃんの愛が...赫眼になってるよ! 」

 

「変な事を言うからだよ。でもナナシだって、習君を鍛えてるんだし、報酬貰ってるんでしょ? 」

 

習とカレンをくっつけたいよね。

 

「まぁ小遣い程度だね。お代わり」

 

「はいはい。やっぱりナナシは不思議だね。エトちゃんも隻眼なのに人間のご飯食べれないし、ナナシは本当に喰種? 」

 

俺は赫子を出して、右目を赫眼にする。

 

「ほら。俺も喰種だよ? ところで遅いね、あいつ」

 

「はいはい、ナナシは喰種だね。クインケを喰らって取り込む喰種だね。確かエトちゃん、今日はアオギリの方じゃなくて出版社と打ち合わせって言ってたよ? 」

 

三波ちゃん酷いよ。早くエト帰ってきて...

 




この作品以外に三波ちゃんを救っている作品はあるのだろうか。あるならば読みたい。
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