東京喰種-Prototype-   作:アレックス・マーサー

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自己満足の結果は。 後編

俺は忘れていた。

 

西尾錦の姉の存在を。

 

俺は1997年から2000年の間に喰種と人間を構わず殺害して吸収していた。自責の念なんて物は存在しない。

 

現在の俺は、弱い喰種を助ける俺は素晴らしい! という自己愛に浸り始めていた。

 

捜査官に見つかるのも本人の責任。狩られるのも本人の責任。だけどさ。

 

弱い者虐めを見るのは、胸糞が悪い。俺は典型的な俺はいいけどお前はダメという人間。

 

虐めるのは大好きだ。

 

だから捜査官を殺すのは基本的に男だけだし、原作に影響する人物は殺していない。

 

 

やっぱり悲劇は似合わないよね!

 

 

そして最後に笑うのは原作キャラじゃない!

 

 

この俺だ!

 

 

 

 

 

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月山財閥の力を借りて、コンビニで働いている女喰種を探してもらっていた。

 

意外にコンビニで働いている喰種が多くて驚いた。顔写真だけ撮って貰ったから直ぐに西尾錦の姉を発見することが出来た。

 

 

 

「考え事ですか先生? 」

 

「ああ、すまないね。少し気がかりな事があってね」

 

俺の目の前には月山 習が居る。ここは月山家の訓練場みたいなところだ。かなり広い。

 

俺は週5で月山 習の家庭教師をしている。アレックス・マーサーがアメリカで有名な大学を出ていて助かった。

 

教えるのは勉強だけではない。俺はジェームズ・ヘラーだった時の経験を活かして、軍隊格闘術を教えていた。

 

「いえいえ。先生も多忙と聞いていますので」

 

「それじゃあ、続きと行こうじゃないか。甲赫は基本的に動きが鈍い。その理由は? 」

 

「それは甲赫が重たく頑丈なのが理由です。しかし鱗赫の火力に負けてしまいます」

 

「じゃあ俺の鱗赫を使って、実演してみようか。今日は鱗赫の一撃を貰わない修行を」

 

流石に手は抜くさ。それに松前とカレンの視線が怖いし...

 

しかし叶が女って気付いてないのは、あり得ない... だって俺ですら気が付くのだからだ。

 

 

 

 

 

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とある月のとある日。天気は雨。

 

一人の女性が、ただひたすら逃げていた。捜査官に追われていた。何故ならば愛していた人間に裏切られたからだ。

 

原作ならば死んでいたが...

 

「私は悲劇は嫌いなんですよね」

 

しかし捜査官と喰種を殺害する。自己矛盾を抱えているのは人間らしいと個人的に思っています。

 

ああ、遂に追いつかれてしまったようだ。可哀想に。自業自得だが...

 

 

弱い女性を見捨てるほど、私は腐ってはいない。無論、男なんてどうでもいいですが。

 

それでも助けた男の喰種もいますが...

 

 

「やあ御機嫌よう。価値観や文化を自分達が容認出来なければ、それを殲滅する愚かな生き物よ 」

 

戦いは一瞬。叫ぶことすらさせません。鱗赫で心臓を抉りました。勿論、吸収しましたよ? 死体を残すわけないじゃないですか。

 

彼等は運が無かった。私と出会ってしまったからだ。

 

人間を守るという使命感で仕事をしていたかもしれない。しかし私にはどうでもいい。

 

弱い喰種を助ける私は素晴らしい!

 

 

 

「大丈夫ですか? お怪我はありませんか? 」

 

「た、助けてくれて、ありがとごさいました! 」

 

目の前の彼女は私に一礼をした。写真でしか見てなかったが、中々の美人だった。

 

「それよりも早く逃げましょう。家族とかは? それに行く当てはありますか? 」

 

「弟がいます。行く当てはありませんが...」

 

行く当てがない場合は基本的に、月山財閥に匿います。意外にもそういう喰種が多数居るんですよね。

 

あんていくの超大型版ですね。月山 習一人の為に財閥を潰すなんて考えられない。

 

 

 

 

 

__________

 

 

 

 

 

 

「兄貴!」

 

「大声出さないでください。聞こえてますよ? 」

 

目の前には力仕事をしていそうな、ガタイの良い男居る。

 

名前は山田。喰種としてCCGに知られている名前はオニヤマダ。

 

見るからにして脳筋。原作では捜査官達に腕試しで挑んでいた危険な喰種。しかし原作と違い、俺の噂を嗅ぎつけて俺と1対1のタイマンという名の殺し合いをした。結果は俺の圧勝。

 

殺さず、見逃していたら毎日決闘というね。1ヶ月間続いて俺は兄貴認定を受けてしまった。

 

その時は確か、『俺を鍛えてください! 神兄貴! 』だったかな? 山田からはナキと同じ匂いがするんだよ。

 

「兄貴以外の幹部達は全員、揃ってますぜ! 」

 

 

月一度の幹部会。はっきり言わせてもらうと面倒ですね。扉を開けると、エト、タタラ、ノロ、ヤモリ、ニコの面子が座っていました。

 

「私が最後ですね。私抜きで始めていても構わないのですけど...」

 

エトの方を見るが、首を横に軽く振っていた。

 

 

「アオギリの樹は隻眼が二人居てからこそのアオギリの樹ですぜ? 」

 

山田...いや、この場合はオニヤマダですね。彼は私の横に座る。

 

何故こうなってしまったのでしょう。月山財閥に馴染めそうに無い喰種を、アオギリの樹に流していたらエトに幹部にされてしまっていたのです。

 

意外に私は、忙しい日々を送っているんですよね。

 

「兵の数がまだ足りない。もっと集めて」

 

アオギリに居るエトよりも、小説書いてる時や喰種を狩って一緒に食べている時の方が個人的に好きだ。

 

 

「そしてナナとオニヤマダとヤモリは色々な区で暴れて、CCGを困らせて。無茶はしないで」

 

無茶な話ですよ。捜査官を襲うのに無茶をしないわけが無い。山田は襲う捜査官には節操が無いので困ります。

 

「分かりました。エトの為に頑張らせて頂きましょうか」

 

「了解了解。余裕だぜ」

 

「面倒くせぇな」

 

原作と違ってアヤト君が居ないのは、過去を頑張って改変した甲斐がありますね。

 

しかし、昼間は月山家で家庭教師をしながら、夜は弱い喰種の保護とアオギリの活動もしている私は、過労で死にそうです。土日はデートで潰れるというのに...

 

 




次回から原作ですね(フラグ

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