上手くできてるか心配ですが、ファイトスタートです!
一部演出の都合上、プレイングミスとも取れる場面があるかもしれませんが、架空ファイト故の展開と思ってください。
「《クロノ・ドラン》」
「《ネオンメサイア》です」
《クロノ・ドラン》
ギアクロニクル
グレード0 パワー5000
《ネオンメサイア》
リンクジョーカー
グレード0 パワー5000
開始の宣言と共に姿を見せた俺たちのファーストヴァンガード通称FV。
その姿にギャラリーは湧く。
《クロノ・ドラン》と《ネオンメサイア》。
実はこの2体のユニットは俺とユーリしか持っていない超レアカードだったりする。と言っても別段チートくさいスキルを持っているわけでもない(正直、FVの禁止カードに指定された《みんな大好きコンローさん》や《みんなのトラウマ外道わんこ》の方が強いと思う)
ただ珍しい。それだけだ。
だけどこういった場では見栄えがするし、中には初めて見た人もいるだろう。
『さあ始まりましたエキシビジョンマッチ第二試合。遂に一ヶ月後に迫るヴァンガード全国大会店舗予選に使用される新型ギアースのテストプレイも兼ねた注目の対戦カードは我がグランツ研究所の黒一点、黒の超越者VS我らがアイドル紫天の盟主となります』
『ちなみに使用クランはコクトーがギアクロニクル、ユーリがリンクジョーカーね。正直お姉さん的にはどっちも苦手で困っちゃうDNKなクランよ』
解説役のアミタとキリエの司会を耳に流しながら、先行の俺は山札から一枚ドローする。
「ライドフェイズ。《スチームメイデン ウルニン》にライド!」
《スチームメイデン ウルニン》
ギアクロニクル
グレード1 パワー7000
可愛らしい子竜の《クロノ・ドラン》が見え麗しい少女へと姿を変えた。
ライド。ヴァンガードにおける基本的ルールの一つで、各ターンの最初に一度だけ自分のヴァンガードのグレードより1高い数字のユニットに昇格するシステムである。今回の場合《クロノ・ドラン》のグレードは0だったのでグレード1のユニット《スチームメイデン ウルニン》にライドできたのだ。
そして──
「《クロノ・ドラン》のスキル。このユニットに他のギアクロニクルがライドした時、《クロノ・ドラン》はリアガードに移動する」
ユニットの中にはスキル──特殊能力を持つユニットがいる。FVは一部の例外を除いてほぼ全てのユニットが『先駆』と呼ばれるライド時に自身をソウル──ヴァンガードの下に積まれたカード──からリアガードにコールできるスキルを持つ。
追加で補足するとヴァンガードと共に戦う仲間たちのことをリアガードといい、基本的には自身の──ヴァンガードのグレードと同じかそれ以下のユニットしかリアガードにコールはできない。
「ターンエンドだ。……って、おい! なんだ?」
先行は攻撃できないので、とりあえず俺のターン終了を宣言したのだが、そこで予想外な事が起きた。
ヴァンガードのウルニンとリアガードにいるクロノ・ドランがファイターである俺の元に寄ってきたのだ。というか2体ともウルニンは普通の女の子と同じくらい、クロノ・ドランは子供くらいの大きさなので、寄りつくというよりは抱きつくという表現が正しい。
VR技術によるヴァーチャル映像とはいえ、ここは最新型のギアースの中。その為、まるで質量もあるかのように錯覚してしまうくらいにリアルな感触が俺を襲う。主にウルニンの小ぶりで形の良いアレとかミニスカートから覗く健康的なアレとかである。
『今回のギアースからユニットの感情をファイターサポートのNPCであるチビットのAIを参考にしてあります』
『だから今のコクトーみたいにユニットに触れることや、ユニットと会話なんてことも可能なのよね。ま、さすがにコクトーみたいなのは例外だけど』
姉妹からの説明をまともに聞いている余裕なんて今の俺にはない。
なにせさっきから正面にいるユーリから軽蔑の眼差しを向けられているのだ。心のダメージは既に5までいっている。
少々乱暴に振り払うとクロノ・ドランとウルニンが傍目から見てもしょんぼりと落ち込む。心が痛い。助けてください。
「スタンド&ドロー。《アスリープ・メサイア》にライドします」
《アスリープ・メサイア》
リンクジョーカー
グレード1 パワー8000
怖い! 普段は温厚なやつほど怒ると怖いとは聞くが、自分より一回りは小さい女の子にこんなイメージを持つ日が来るなんて。
「スキルにより《ネオンメサイア》をV裏に移動。《ネオンメサイア》のブースト《アスリープ・メサイア》でその泥棒猫にアタック!」
待って! せめてヴァンガードって言って!
ほら変な誤解したギャラリーが騒いでるから! なんかちょっと前に起きた事件みたいになってるから!
「ノ、ノーガード」
「ドライブチェック。《ディスティニー・ディーラー》トリガー無し」
「ダメージチェック。《スチームメイデン アルリム》こっちもトリガー無しだ」
ヴァンガードがダメージを受けるとダメージゾーンと呼ばれる場所にカードが置かれる。
このダメージを合計6点受けたファイターはファイトに敗北。基本的な流れはこんな感じである。
しかし、流石は最新型のギアース。本当に目の前にユニットがいるかの様にユニットたちの感情が豊かになっている。その証拠に攻撃を受けたウルニンが涙目になってこちらを見ていた。
「ターンエンドです」
ユーリ 手札6枚 ダメージ0 V《アスリープ・メサイア》
「スタンド&ドロー。ライド! 《スモークギアドラゴン》」
《スモークギアドラゴン》
ギアクロニクル
グレード2 パワー10000
次いで俺がライドしたのは能力を持たない代わりに他の同じグレードのユニットよりパワーの高いユニット。バニラユニットだった。
強力なスキルを持たないデメリットを生かすようにパワーが高いバニラユニットは戦況やデッキの状況次第ではかなり優秀だと俺は思っている。
「さらにコール! 《グリマーブレス・ドラゴン》《スチームブレス・ドラゴン》」
《グリマーブレス・ドラゴン》
ギアクロニクル
グレード2 パワー9000
《スチームブレス・ドラゴン》
ギアクロニクル
グレード1 パワー7000
リアガードサークルに連続で呼び出した2体のユニット。
内1体のスキルを直ぐさま発動させる。
「《スチームブレス・ドラゴン》のスキル。手札のグレード3《スチームファイター バリフ》を見せて、山札から《クロノジェット・ドラゴン》を手札に!」
その後コストとして手札を一枚捨てる。
手札に加えたのはこのギアクロニクルにおいてのエース。頼れる俺の相棒である。
「《クロノジェット・ドラゴン》ですか」
「ああ。切り札は俺の手の中だ」
「……カッコつけてますけど、初期手札に引けなかったんですよね?」
「う、うるせェ。てか、毎回確定して自分のエースにライドできるお前らがおかしいんだって」
とにかくバトルだ。
ギャラリーが「うんうん」と同意してくれた気がするが、そこは後で確かめよう。
「《スチームブレス・ドラゴン》のブースト、《スモークギア・ドラゴン》でヴァンガードにアタックだ!」
《スモークギア・ドラゴン》
パワー10000+7000=17000
「ノーガード」
ここでヴァンガードがアタックしたときだけの権利ドライブチェックが発動する。ここで発動するカード──トリガーが出たらいいのだが……
「《グリマーブレス・ドラゴン》トリガー無しか」
「ダメージチェック《絃理論の愛し子》ドロートリガーです。一枚引いて、パワーはヴァンガードに」
《アスリープ・メサイア》
パワー8000+5000=13000
現実は厳しい。それどころか相手の有利な展開になってしまった。
「《クロノ・ドラン》のブースト、《グリマーブレス・ドラゴン》でアタック!」
《グリマーブレス・ドラゴン》
パワー9000+5000=1400
「《アスリープ・メサイア》でガードします」
手札から自分のヴァンガードと同じか以下のユニットをガーディアンサークルに置くことをガードといい、アタックされたユニットのパワーにガード数値──シールドを足した数値が相手のアタックしてくるユニットを上回るとガード成功となる。今回はアスリープのシールドが5000とトリガー5000をヴァンガードのパワー8000に足して18000となり、こちらの14000を超えたのでガード成功となった。
「ターンエンド」
コクトー 手札4枚 ダメージ1 V《スモークギア・ドラゴン》
「私のターンです。《アローザル・メサイア》にライド」
《アローザル・メサイア》
リンクジョーカー
グレード2 パワー9000
「続いて《ディスティニー・ディーラー》をコール」
左下のリアガードサークルにコールされたのは先ほどのドライブチェックで確認した白い鳥。そのスキルは俺の《スチームブレス・ドラゴン》と同じで手札のグレード3を公開することでユーリの切り札を呼ぶスキル。
「スキル発動! 山札からグレード3《オルターエゴ・メサイア》を手札に加えます」
手札に加わった《オルターエゴ・メサイア》を得意げに見せてくるユーリ。
普段はおとなしい性格のユーリだが、ファイトになると少々子供っぽくなるとこが可愛らしい。
「……ってかお前もじゃねェか!」
さっきのターン散々人のこと馬鹿にしたのにこのプレイとはいかに? うごご……
そんな俺にユーリはしれっと
「なに言ってるんですコクトー? 私は最初から引けないコクトーと違ってちゃんとオルターエゴを引いた上で新しいオルターエゴを加えましたよ。ほらトリガー率アップです」
微妙に納得のいかない主張だが、あながちプレイング的には間違えてはいないのも事実。なにより、ここで言い争いを始めてしまってファイトを遅らせるのもアレなので我慢しよう。……レヴィかディアーチェあたりなら迷いなくぶっ飛ばすがな!
「《ディスティニー・ディーラー》の前に《重力井戸のレディバトラー》をコールしてバトルフェイズ」
先陣を切ってきたのはヴァンガードのアローザルだ。
ネオンメサイアのブーストを付けての攻撃。
《アローザル・メサイア》
パワー9000+5000=14000
ノーガードでもいいのだが、せっかくのバニラユニットだ。ここはガードしておこう。
「《スチームメイデン・ウルル》でガードだ!」
ウルルのシールドは10000。これにヴァンガードのパワーを足して合計20000。トリガーが出ても大丈夫!
「あ、クリティカルトリガーです。効果はリアガードのレディバトラーに与えますね」
《震脚のパルスモンク》クリティカルトリガー
大丈夫だとは言ったけどさ! 言ったけどさ! クリティカルは止めようよ! さすがに15000ガードは切れないって!
「じゃあトリガーの乗ったレディバトラーでアタック」
「うぎぎ……ノーガード。ダメージチェック1枚目《スチームカラー カー・ランマ》クリティカルトリガー。2枚目《ドキドキ・ワーカー》クリティカルトリガー。……なあ、このダメージを見てくれ、こいつをどう思う?」
「スゴく……クリティカルです」
衝動的に台パンしたくなった俺は悪くない。
「ど、どんまいですよコクトー。ターンエンド」
ユーリ 手札5枚 ダメージ1 V《アローザル・メサイア》
よし、ここでダメージ差を詰めよう。
「俺のスタンド&ドロー!」
さあ、いくぜ相棒!
「魂を震わせる、新世界へ導け! ライド! 《クロノジェット・ドラゴン》!」
《クロノジェット・ドラゴン》
ギアクロニクル
グレード3 パワー11000
「スチームブレスのブースト! クロノジェットでヴァンガードにアタックだ!」
力強く拳を握り、相棒は勢いよく相手へと突っ込んでいく。
その姿はやはり頼もしい。毎度のように初期手札にはこないけど。
そして、グレード3には他のグレードにはない能力。『ツインドライブ』がある。これによりドライブチェックが2回できるのだ。
「ノーガード」
「ツインドライブチェック。ファーストチェック《スチームファイター ウルニギン》、セカンドチェック《スチームメイデン ウルル》Get! ヒールトリガー! ダメージを一枚回復して、パワーをグリマーブレスに与える」
ここでのヒールはありがたい。
これで次のターンをだいぶ楽に防げそうだ。
「ダメージチェックですね。《中性子星のレディガンナー》トリガーはありません」
「まだいくぜ。《クロノ・ドラン》のブースト込みで19000の《グリマーブレス・ドラゴン》のアタックだ」
「それも受けます。ノーガード」
ダメージゾーンに《アローザル・メサイア》が置かれる。トリガーはない。
「よし! ターンエンド」
コクトー 手札5枚 ダメージ2 V《クロノジェット・ドラゴン》
ダメージは2対3とやや優勢だが、どうなる?
「私のターンです。スタンド&ドロー」
空気が変わる。それが何を意味しているのかは直ぐにわかった。
──来る! 最強にして絶対のユーリの相棒が!
すっ、とユーリは右手に持つ一枚のカードを天に掲げた。
「ライド! 信じし未来のため、羽ばたけ、光の翼! 《オルターエゴ・メサイア》!」
《オルターエゴ・メサイア》
リンクジョーカー
グレード3 パワー11000
空間を裂いて現れたのは長い眠りから覚めた《ネオンメサイア》の成長した真の姿。
救世の名を持つ光の化身。
「いきますよコクトー! ジェネレーションゾーン解放!」
ジェネレーションゾーンの解放コストとしてユーリは手札からグレート3の《オルターエゴ・メサイア》をドロップゾーンに置く。これにより、Gゾーンと呼ばれるデッキ外の場所から新たな未来の可能性を呼べる。
「ストライドジェネレーション! 《創世竜 ジャッジメント・メサイア》降臨です!」
《創世竜 ジャッジメント・メサイア》
リンクジョーカー
グレード4 パワー26000
白き巨大な竜が姿を見せ、遺跡内が震えた。
これが未来の可能性Gユニット。
ユーリ・エーベルヴァインの本気。その一端である。
『さあ! 遂に姿を見せた紫天の盟主が誇る切り札の一枚!』
『ダークマテリアルズの秘密兵器が牙を剥くわよ〜』
アミタたちの言うとおりその力が振るわれる。
すいません完ガください。汗……
「ストライドスキル! 《ネオンメサイア》と《グリマーブレス・ドラゴン》を……《
「ぐッ……」
ついに来たか。リンクジョーカーのクラン特性《呪縛》。
呪縛されたユニットは持ち主のターン終了時までリアガードとしての参照や移動に加え、攻撃も上書きして新しいリアガードをコールすることもできない強力なスキル。このスキルにいったい何人のファイターたちが苦労したことか。
今の俺は次のターン《グリマーブレス・ドラゴン》が前衛にいる列を文字通り封殺されてしまったのだ。攻撃回数が一つ減る。これだけでもかなり辛い。
ユーリの場の《ネオンメサイア》と俺の《グリマーブレス・ドラゴン》が漆黒の球体に囚われるのを歯噛みする。
それはこの後にくる攻撃を知っているからだ。
加えて言えば、彼女のリンクジョーカー、《メサイア》は他のリンクジョーカーと一線を成す。
「更にヴァンガードのジャッジメント・メサイアにパワープラス5000!」
《創世竜 ジャッジメント・メサイア》
パワー26000+5000=31000
ブースターを封じてのこのパワー。
くどいようだが、今の手札にあらゆる攻撃を防ぐ《完全ガード》のカードはない。
「ジャッジメント・メサイアでヴァンガードにアタック!」
「ノーガードだ……」
「唸れ白銀の刃、下せ聖なる裁き! ツイン・シャイン・スラッシュ!!」
収集された光の刃が俺たちに襲う。
Gユニットは他のユニットよりも更に上のグレード4。
その力は何も高いパワーだけではない。
ツインドライブの更に先、《トリプルドライブ》が行える。
「トリプルドライブ。ファーストチェック《サクリファイス・メサイア》、セカンドチェック《真空に咲く花 コスモリース》、サードチェック《ブリンクメサイア》、Get! クリティカルトリガー! クリティカルはヴァンガードに、パワーはレディバトラーへ」
予定調和のクリティカル。
あのデッキ、レヴィみたいにクリティカル12から16の特攻デッキじゃないよな? ←序盤のドローから目を逸らしながら。
「があッ⁉︎ダメージチェック《スチームファイター アンバー》、《クロノジェット・ドラゴン》。どちらもトリガー無しかよ」
トリガーさんどこー?
「ヴァンガードにヒットしたのでジャッジメントのスキルを発動します! 永久の眠りをもって目覚めをもたらせ! 《ネオンメサイア》を《
『でました! 紫天の盟主が持つメサイアだけに与えられたスキル《解呪》。自らの意思で呪縛や解呪を操る救世の力が黒の超越者に襲いくる!」
正確には解呪スキル自体は他のクランにもあったりするのだが、今はそんな事に一々ツッコミを入れる余裕がない。
リアガード1列にヴァンガードのブースターを呪縛されたこの状況をなんとかしないと……
「レディバトラーでアタック!」
9000+7000+5000=21000
「《スチームメイデン ウルル》と《グリマーブレス・ドラゴン》でガードだ!」
「ターンエンドです」
ユーリ 手札8枚 ダメージ3 V 『オルターエゴ・メサイア》
ターン終了の宣言と共に光の粒子となってジャッジメント・メサイアは静かに惑星クレイから消えていく。
絶対的な力を持つGユニットだが、その力は一時的なものであり、ターンが終了するとGユニットはGゾーンへと戻る。
表になったGユニットは特別なスキルなどを使わない限り再び使うことができない。
が、その上限は8枚。つまりはまだ7体のGユニットが控えているということである。
……とりあえず次のドローでグレード3を引かないとヤバい。
簡易キャラ及びチーム説明。その2
アミティエ・フローリアン。
グランツ研究所の看板娘の姉の方。イベントなどでは実況に回る事が多いが、実力あるファイターである。
使用クランはノブァグラップラーで、分身は《メッチャバトラー ビクトール》。イメージ的にはGからのカムイさんデッキを改造したもの。
初心者へのティーチングファイトから上級者とのファイトまで幅広く相手ができる為、グランツ研究所にくるファイターたち(主に女性ファイターから)お姉様と呼ばれているらしい。
勇気!熱血!友情!なアミタなので、当初はディメポを使わせようかとも考えたが、みんなの頼れるお姉ちゃんなイメージがカムイさんと被ったのでノブァグラップラーとなった。
キリエ・フローリアン
グランツ研究所の看板娘の妹の方。イベントでは姉のアミタと一緒に実況や解説に回る。アミタと違い、あまり積極的にファイトはしないが、実力はダークマテリアルズの面々が認めるほどのファイター。
使用クランはネオネクタールのアーシャ軸。同名のユニットを増やしたりパワーアップさせたりが得意なクランである。イメージとしては漢前でイケメンなトコハちゃんのデッキをアレンジしたもの。
本編で言っている通り、呪縛や退却スキルは天敵中の天敵。