生きているのなら、神様だって殺してみせるベル・クラネルくん。   作:キャラメルマキアート

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作者のFGO熱が科学反応を起こしました。
本編には何も関係ないので見ないで大丈夫です。


#?? 迷宮神話英雄譚ダンジョン・オラリオ

「先輩! 起きてください! 立花先輩!」

 ゆさゆさと、身体を揺さぶられている。

 恐らく、傍らにいるのだろう、此方を心配するような少女の声が頭上から降ってくる。

 ......頭上?

「......っ、マ、シュ?」

「はい、そうです! 貴方のサーヴァントのマシュです。ご気分はいかがですか?」

 まあ、デミ・サーヴァントですけど、と続いて。

 目を開けると、そこにはよく知る少女、マシュ・キリエライトがこちらの顔を見下ろしていた。

 どうやら、彼女に膝枕をしてもらっているらしい。

 道理で後頭部に柔らかい感触があったと、当人である藤丸立花は納得した。

「ああ、うん。心配しないで。少し頭が痛いくらいだから」

 気分、そう言われると何故か頭痛がすると、立花は頭を抑えるが、あまり酷いものではなく、すぐに治まる程度のものだ。

 立花はマシュの膝枕から、惜しみつつも起き上がると、状況把握と周囲を見渡した。

「......ここは?」

 そこは薄暗い洞窟のような空間で、自分達がいるのは、突き抜けた広い場所であった。

 体感、少し肌寒く感じ、誰かがいるという気配も感じられない。 

「分かりません。気付いたらこの場所にいました。ドクターとも連絡を取ろうとしたのですが、通信が不安定で繋がりませんでした......」

 しょんぼりと言った表情で言う、マシュに気にしないでと立花は言った。

 ドクターの間が悪いのはいつものことだからと、何気に毒を吐きながら。

 取り合えず、棚に隠してあったお饅頭は自分とマシュで頂こうとそんなことを考えていた。

「まあ、通信は何れ復旧するとして、ここが何処なのかを把握しないとね」

「はい、そうですね。明らかにカルデアはないので、恐らく何処かにレイシフトしてしまったのかもしれませんが......」

 現実的ではありません、とマシュは続けた。

 立花にレイシフトマシンに乗った記憶はない。

 恐らくマシュも同じであり、この表情を見る限り本当に突然、ここにいたのだろう。

 それに彼女の格好も戦闘服ではなく、いつもの格好に眼鏡という装いであったため、尚更レイシフトしたならば、そんな格好でいることがおかしい。

「いや、でも、割りとそういうことはあったりしたり......」

 つい最近では、謎のブラックサンタと共にクリスマスプレゼントを配りに、高度数千メートルを高速で飛行しつつ、色々回ったりしていた。

 その時と状況が似ているので、今回もそれと同じような事象なのだろう。

 故に立花はやけに冷静であったのだ。

 ちなみにクリスマスに関してだが、近いうちにまた同じようなことに巻き込まれそうだと、変な予感が脳内をぐるぐると回っていたが。

 何かこう、オルレアンで出会った救国の聖処女がオルタ化してそこから若返りサンタ化して、クラスがランサーに変わったような、そんなサーヴァントと出会いそうである。

「ここに居るのってマシュ以外には......」

「私と先輩だけです。こういう時にクー・フーリンさんが居てくれたら心強かったんですけど......あ、ランサーの方ですよ」

 クー・フーリン。

 カルデアの古参メンバーの一人であるランサーのサーヴァントである。

 アルスター最強の戦士として名高い彼は、カルデア内でも最強クラスの実力の持ち主であった。

 そんな彼は、サバイバルが得意という一面があり、こういう状況ならば大変心強いものではあったのだが。

「うん、まあ、流石に兄貴の方だと思ってたから......」

 当カルデアには、諸事情により、同名のサーヴァントが複数人いる。

 クー・フーリンはランサーとバーサーカーの二人が在籍しており、前者が兄貴で、後者がクーちゃんである。

 まあ、後者に関しては呼ぶと確実に殺されるので、決して呼ばないが。

『も......もーし......! 二人とも......えて......い......?』

 ふと、ノイズがかった音声が脳内に木霊する。

 ノイズが酷すぎて聞き取り辛いが、間違いなく彼、ロマニ・アーキマン、通称ドクターロマンである。

「先輩! 通信が繋がりました!」

「うん! ドクター! 聞こえてるよ! もしもーし!」

『......った......生きて......だね......』

 しかし、その声を聞き取ることは出来なかった。

 余程の通信障害が発生しているのだろうか。

 響くのはノイズのみである。

『......こか......げて......』

「ドクター!? ノイズが酷くて何言ってるの分かりません!」

 マシュの必死の呼び掛けも、相手に届いてるのだろうか。

 この分だと届いてる可能性は低いかもしれない。

 通信が出来ることが分かっただけ、マシではあるが。

「ドクター! ねえ、聞こえてる!?」

『げて......はや......て!』

 先程からドクターが此方に何を伝えようとしているのか。

 微かに分かる声色からは何か切羽詰まっているようなそんな感じを窺えた。

「ドクター!? 何を言ってるのか______」

 マシュの声が止まった。

 一体どうしたのだろうか、そう問おうとするが、その理由はすぐに分かることになった。

「先輩!! 何かがこちらに近付いてきます!」

 マシュの言葉により、立花の脳内には緊張が走った。

 いくら色々な特異点を回り、救ってきたとは言え、戦闘前のこの緊張だけは慣れないものであった。

「あれは......?」

 地鳴りとも言える、振動が二人を襲う。

 間違いなくその気配は人ではなく、此方に友好的だとも判断することはできなかった。

『ブモオォォォォォォ!!!』

 そして、目の前に現れたのは3メートル程の体躯のやけに傷だらけな(・・・・・)半身半獣の怪物、ミノタウロスであった。

「ミノタウロス!? でも、あれは......!」

 瞬時に戦闘服へと換装したマシュは立花の前へ、立ち身の丈以上の巨大な盾を構えた。

 そう、あれはよく知る彼、アステリオスではない。

 アステリオスはその事実を言われるのを嫌ってはいるが、彼は神話に登場するミノタウロスと同義と言える存在である。

 しかし、今目の前に迫っているのはアステリオスではなく、本当に(・・・)怪物であるミノタウロスであった。

 そこには理性の一欠片も存在しているようには見えなかった。

 ただあるのは此方を殺そうとする敵意だけである。

「これは、逃げられないみたいだね」

 立花は手刀を作るようにして右手を構え突き出し、左手をそこへ添えた。

「取り合えず、先手を取ろうか......」

 立花はそこに魔力を込めると、それをミノタウロスへと向け、念じた。

 飛べ、と。

『ブモオォォォォォォ!!!』

 それは寸分違わずに胴体へと命中し、ミノタウロスはその場へと崩れ落ちる。

 ガンド。

 北欧のルーン魔術、その中で呪いの一種である。

 本来、放った相手の体調を崩すというのが、この魔術であるのだが、魔術師として日々鍛練を積み、カルデアから支給された礼装が重なり、物理的威力を発揮することが出来ていた。

 並みの人間なら吹き飛び、あのサーヴァントにすら効くこの魔術である。

 連発が出来ないことが難点であるのだが。

「マシュ!」

「はいっ!」

 マシュは盾を構えると、そのままミノタウロスへと突貫する。

 シールドバッシュとよばれる盾を利用し、対象をよろめかせたりする技術である。

 しかし、マシュはサーヴァントである。

 身体能力も腕力も並みの成人男性よりも遥かに強い彼女がそれをすれば、絶大な破壊力を生み出すことになる。

『ブモオォォォォォォ!!!』

 ガンドで一瞬怯んだミノタウロスであったが、すぐに立て直そうとする。

 しかし、既に目の前にはマシュのシールドが迫っていた。

「やああっ!」

 渾身の一撃が炸裂し、ミノタウロスは外壁へと轟音を立て吹き飛ばされる。

 流石、サーヴァントの力であると、立花は改めて感心していた。

「マシュ! 今のうちに逃げよう!」

「はい、先輩!」

 別に倒す必要はない。

 すべきなのは、現状の把握である。

 ここが一体どこであるのか、それが一番重要なことであった。

 二人はミノタウロスへ背を向けると、急いで走り出した。

『ブモオォォォォォォ!!!』

 しかし、ミノタウロスの回復は早かった。

 その場からすぐに立ち上がると、二人を追うべく、全力で走り出す。

 その巨体故に、地面は大きく揺れ、洞窟内へと響き渡る。

「先輩! 予想以上に敵が速いです! このままだと_______」

 追い付かれてしまう。

 それは立花自身、大いに分かっていた。

 この状況で足手まといになっているのは間違いなく自分であり、もしマシュだけであれば逃げることは可能であろう。

 しかし、それを彼女は許さないであろうし、何よりマスターである自分が死ねば、全て終わり(・・・・・)である。

 この状況で、取れるのは迎撃しかなかった。

「マシュ、迎え撃とう!」

「了解です! マスター(・・・・)!」

 走る足を止め、マシュは振り返ると、盾を構え、ミノタウロスへと立ち向かう。

 既にミノタウロスは、すぐ後ろまで迫っており、両者はすぐに交戦した。

『ブモオォォォォォォ!!!』

「くっ......!」

 ミノタウロスの突進をマシュは苦悶の表情を浮かべながら、抑え込んでいる。

 マシュはこれまでの戦闘経験により、サーヴァントとしての力を着実につけてきており、並みのモンスター程度であれば、余裕で倒せるくらいに成長している。

 しかし、このミノタウロスは明らかに並みといえる力ではなかった(・・・・・・・・・・・・)

 抑え込んでいるマシュがどんどん押されてきているのだ。

「マシュ!」

 立花は、マシュへ向け、強化魔術をかけるべく、術式を発動する。

 瞬間的ではあるが、力をかなり引き上げることのできるこの魔術は、サーヴァントの奥の手である宝具に合わせて使われることが多い。

 その分、魔力消費もすごく、これまた連続では使用できないという欠点がある。

 しかし、現在、マシュが押されており、彼女以外に仲間がいないという状況である以上、使わざるを得ず、立花もひとつの迷いなく発動させた。

「......はああああ!!」

 瞬間的な強化がかかったマシュは先とは比べ物にならないほどの力を発揮する。

 押されていたはずのミノタウロスの突進を押し返し始めたのだ。

「よし、このままなら_______」

 いけると、そう呟いた瞬間であった。

「先輩!!! きゃっ!?」

 戦闘中であるはずのマシュは此方に目を向ける余裕はないはずの彼女からは悲痛な叫びが木霊する。

 その結果、彼女はミノタウロスにその隙を突かれ大きく吹き飛ばされてしまうことになった。

「え......」

 そして、立花は気付いた。

 自身のすぐ横に、もう一頭のミノタウロスが立っており、既に戦闘体勢に入っていることを。

 先のミノタウロスと同じ、敵意の視線が立花へと突き刺さる。

『ブモオォォォォォォ!!!』

 

 

 

 殺される。

 

 

 

 立花の脳裏には、走馬灯のように今までの記憶が流れ始めた。

 サーヴァントが苦戦するようなモンスターに、ただの人間である立花が敵う可能性はゼロに等しい。

 さらに言えば、その突進を無防備な身体に喰らえばどうなってしまうかなど言わずもがなである。

 緊急回避するための魔術もあるが、それも間に合わない距離だ。

 死にたくない。

 まだ、自分にはやるべきことがあるのに。

 後悔の念とともに、立花はマシュの方を見る。

 彼女の必死な表情が見えた。

 ごめんね、とそんな言葉が自然と出てしまった。

 自分が不甲斐ないばかりに。

 もし、自分が死んでしまえば、カルデアはどうなってしまうのだろうか。

 人類の未来が潰えてしまう。

 そして、マシュも______

 立花は自身を襲う衝撃に備えるべく、その目を瞑った。

 

 

 

「つくづく僕は、ミノタウロスと縁があるんだなぁ」

 

 

 

 そんな呑気な声と共に、ミノタウロスは四散した(・・・・)

 いや、四散していた。

 怪物ではない、人の声に思わず目を開けた立花の目の前には肉片と化したミノタウロスの姿があった。

「お前も、さっさと消えなよ」

 そして、マシュと交戦していたミノタウロスも、その者の一閃により一撃で絶命させられていた。

 僅か数秒にも満たずに、この戦況はひっくり返ってしまっていた。

「先輩!!」

 マシュの声が響き渡る。

 ミノタウロスという敵が現れたと思ったら、今度は謎の第三者である。

 それが自身のマスターのすぐ側にいるのだ。

 心配せざるを得なかった。

「......あ、なた、は?」

 そこにいたのは雪のように純白の髪に、血の如き深紅の眼を持った少年であった。

 容姿も中性的であるが、感覚的に男性だと、そう自身の勘が告げていた。

 身長はラーマや牛若丸と同じくらいであり、男性としては平均より少し低いくらいだろうか。

 彼の右手にはミノタウロスを倒した得物と思われる一本のとても簡素な短刀(ナイフ)が握られていた。

 これで、あのミノタウロスを倒したというのだろうか。

 一撃で倒す瞬間を見たとは言え、その現実を信じることが出来ない。

 そして、何より。

 

 

 

「大丈夫ですか? お嬢さん達。見たところ、冒険者ではないようですが。こんなところを女性の二人歩きは危ないですよ?」

 

 

 

 差し出される左手と、少し苦笑いしているその表情。

 そこから、どこか魔性とも言える色気を感じてしまう。

 何故だか、分からないがこの少年に、藤丸立花という女は酷く心を乱されてしまっていた。

 

 

 

 まあ、詰まるところ、一目惚れという奴であった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Fate/Grand Order風ステータス

 

サーヴァント

クラス アサシン

真名 ベル・クラネル

属性 中立・中庸

時代 不明

出典 不明

地域 オラリオ

 

ステータス

筋力 C

耐久 C

敏捷 A+

魔力 B

幸運 A

宝具 EX

 

レア度 星4

Cost 12

 

能力値(初期値/最大値)

HP 1768/11055 +990

ATK 1568/9408 +990

 

所有カード

Quick×2

Arts×2

Buster×1

 

保有スキル

■死■■■ EX (7T)

・自身に無敵貫通状態を付与(1T)

・自身のArtsカード性能をアップ(3T)

・敵単体の即死耐性をダウン(1T)

千里眼 A+ (8T)

・自身のスター発生率をアップ(3T)

・自身のクリティカル威力をアップ(3T)

・自身に回避状態を付与(1T)

女神の恩恵 EX (8T)

・自身のNPを増やす

・自身のHPを回復

・スターを大量獲得

・スター集中状態を付与(1T)

・1ターン後に自身にスタン状態を付与(1T)【デメリット】

 

クラススキル

気配遮断 B

・自身のスター発生率をアップ

単独行動 A

・自身のクリティカル威力をアップ

神性 E-

・自身に与ダメージプラス状態を付与

 

宝具 『魔閃・死兎開眼』

ランク EX

種類 Arts

種別 対人宝具

効果

自身のアーツ性能をアップ&確率で即死(オーバーチャージで効果アップ)+敵単体に超強力な防御力無視攻撃+自身のHPを減少【デメリット】

 

 

 

 ステータス表記をFGO風にやってみた。

 全く後悔はしていない!

 今後のネタバレ的なものも、もしかしたらあるかもしれないけど気にしないで!

 ちなみに全盛期ではない頃の現界という設定。

 ラーマくん的な感じ?

 FGO的に言えば、イベント配布鯖なので、交換アイテムを集めれば宝具レベル5に出来るという有り難さ。

 再臨アイテムは、《銀縁の眼鏡》か《激辛麻婆豆腐》。

 決して、作者に強いアサシンがいないわけではない(式は結局一枚しか手に入らず、再臨アイテムも集まらなかった......)!!

 

 

 

 取り合えず、クリスマスイベントを全力で頑張ります!!


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