東京喰種 ー大蛇転生ー 作:百舌木
「あ…………」
唐突に思い出したソレに伴って頭の神経という神経を焦がす痛みに顔をしかめながら僕は地面に手をつき這いつくばった。
頭の中に広がる様々な風景に近視感を抱きながら、一つ一つを噛み締めながら理解していながら立ち上がる。
一般的におしどり夫婦というものの長男として生まれた事。弟と妹がいた事。自分の父が事故で死んでしまった事。母がおかしくなってしまった事。思い詰めて僕に対して色々当たっていた事。弟がいじめにあって自殺してしまった事。母が不倫相手の奥さんに殺されてしまった事。最後の家族であった妹が僕と一線を越えようとした事。暴漢から見知らぬ女性を守ろうとして命を張って死んでしまった事。
這いつくばってから1時間が経過した時には、僕はもう全てを受け入れ、ソレ…前世の記憶を理解して【ただの喰種の少年だったニシキ】から【前世は悲劇という苦しみの連続であった西野基木だったニシキ】となっていた。
はっきり言って、前世の自分は結構レベルの高い大学生の大学生であった為に勉強などは必要がない程に覚醒していた。
ニシキの現時点での年齢は12歳であり、両親は死亡している。唯一残った肉親は姉が1人。だが、今は姉はバイトに行っており、ここ近隣には居ない。
よってここでいつも通り姉を待つ時間は勉強する予定だったのであったが、いかんせん前世を思い出してしまったが為に勉強などをする必要性が無い。
『さて、どうしようかな』
とニシキは心の中で暇つぶしになる様な物が無いかと思考を巡らす。
『原作の僕…ニシキは言いにくいのだが弱かった。だから…』
そう考えて僕は身体を鍛える事をし始める事にした。
『今はただ体を鍛えるだけでいい。動ける様になってから喰種の血を強めていこう…この世界では絶対に大切なモノは守ろう』
そう、心に決めて。
***
『童貞を捨て去りたい』という欲望が、『強くなりたい』という欲望に負けてから3年経った。身体を鍛えて、鍛えて、鍛えて、読み込んで僕はもう良いだろうと思って、喰種を喰べ初めていた。
『魚のはらわたみたいな味って本当だったんだ…』
と思いながら共喰いしている。
今は、家で図書館から借りてきた本を読んでいるが、星の王子様ってやつは意外と面白いのだな、と思いながらパラパラとめくっていた。
姉はあいもかわらずバイトの掛け持ちを続けている。姉を見るとバイト戦士ってやっぱり大変なのかな…?って思ってしまうのは当然のだろう。
…ここが本当に東京喰種の世界であるなら、姉は、殺される。
ーーヒトによって。
だが、僕が力をつけて、殺しにきた捜査官を返討ちにすれば良い話だ。姉がそれを望んでいなかったとしても家族がまた殺されて絶望するよりは幾分かマシだ。生きているんだから。
最近は喰種の血が強まってきたのか、原作のニシキの尾赫は一本だけだったが2つ出るようになった。これもまた原作との相違といって違いはないだろう。
僕は惨めだ。
女の子を傍観しているだけのヘタレだったのだから。
でも、家族を失くすのはもう勘弁だ。
一生女の子を傍観しているのと家族を失くす事を選ぶ時、僕は迷わずに一生女の子を傍観しているのを選ぶだろう。この世界ではたった1人の肉親なのだから…そして、僕を育ててくれた姉であり、親である人なのだから。
そう思って僕は血を強める為に目の前で瀕死の傷を負って逃げれないS〜レート喰種である羽赫の使い手ハゲタカを捕喰した。
…やっぱり魚のはらわただった。