まだ、僕の青春ラブコメが終わらない。   作:慧語学専攻

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主人公の精神年齢がヤバい。約2万歳って・・・


当然のことながら、久留米征一は狂ったように笑いだす。

「申し訳ありません!お怪我はございませんか!?」

 

紳士服に身を包んだ初老の男性が血相を変えて尋ねてくる。由比ヶ浜さんは泣きじゃくっていた。多分安心して緊張感から解放された結果、泣いちゃったんだろう。

 

「いや、大丈夫です。体は丈夫な方なんで。それより、そっちの男子生徒の方を。」

 

「畏まりました。」

 

そう言って都筑さんは僕にペコリとお辞儀をしたあと、男子生徒の方に駆け寄っていった。あの制服・・・あの男の子も総武高か。・・・・すごいアホ毛だな。触ってみたい。

 

 

 

 

 

 

って比企谷八幡じゃん。

 

 

 

 

 

少しだけ、僕の話に付き合って欲しい。

 

僕は、3年生進学から卒業までの約1年間を1万9851回繰り返した結果、繰り返す度に世界が微妙に変わっていることに気がついた。・・・・いや訂正しよう。微妙にってのは世界的スケールでの話で、僕のよく知る世界、つまり総武高では大きな変化が起きていた。

 

それは例えば、

 

比企谷八幡に友達がいた世界。雪ノ下雪乃の家が普通だった世界。由比ヶ浜結衣に彼氏がいた世界。平塚静が結婚していた世界。雪ノ下陽乃が仮面を被っていなかった世界。城廻めぐりが生徒会長ではなかった世界。材木座義輝がイケメンだった世界。川なんとか沙希に弟ではなく妹がいた世界。戸塚彩加が女の子だった世界。比企谷小町に兄がいなかった世界。鶴見留美が奉仕部の面々と同級生だった世界。葉山隼人が奉仕部にいた世界。三浦優美子がおしとやかだった世界。戸部翔と海老名姫菜が付き合っていた世界。大岡が童貞ではなかった世界。相模南が優秀だった世界。一色いろはがあざとくなかった世界。

 

そして、奉仕部が存在していなかった世界。

 

僕はそんな様々な世界を、1万9850通りのパターンで見てきた。そして今は1万9851回目の世界。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初めて、だった。

 

 

いくらそれぞれがパラレルワールドのように微妙に違う世界だといっても、1万9850回もあれば似たような展開は幾度となく見てきた。でも、この展開は知らない。僕が1万9850周した世界で、一度も経験しなかった展開。全く心当たりのない展開。

 

 

初めて、だった。

 

 

 

「は、はは」

 

気付けば、笑い声が出ていた。

 

今この場で笑ったりしたら狂人扱いされるのは目に見えているのに、こみ上げてくる笑いを抑えることが出来なかった。

 

「あははは」

 

さっきまで泣いていた由比ヶ浜さんが赤く腫れた目でこちらを不思議そうに見ている。都筑さんは気付かずに誰かと電話で話しているようだが、比企谷君は気付いているようで怪訝そうに僕をじっと見ている。

 

「あは、あはははは、あはははははははは!!」

 

通行人や集まっていた野次馬が不気味なものでも見るかのような反応を示したが、僕はそんなことに構っている余裕などなかった。

 

 

 

だって、仕方ないだろう?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

初めて、だったんだから。




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