トップアイドル(男オリ主)は346プロダクションで日常を過ごす。   作:全てが蒼になる

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ドーモ オツカレサマデス ヌシ=デス

初感想奪われちゃった……(ぽっ
加蓮難民もいらっしゃるようで、私は満たされた気持ちでいっぱいです。



トライアドプリムスとの一幕③ <奈緒との帰路>

 

 

 加蓮が謎のダウンをかまし、良い時間だということもあり解散となった。

 加蓮はちひろさんがソファーに寝かせたまま様子を見ることになり、武内Pは凛を。そして俺は――。

 

 

「おう、奈緒。しっかりシートベルトつけたか? 気持ち悪くなったら直ぐに言うんだぞ? 一応酔い止めもあるからな。あと――」

 

「ああ、もう! 先輩はアタシのお母さんか!? 大丈夫だから!! シートベルトも着けたし、車酔いとかには強い方だって!!」

 

 

 自持ちの車で奈緒を家まで送っていくことになった。

 まだそこまで日は落ちてないものの、彼女は売れっ子アイドルなわけで。帰路で何があるかもわからないし、ひとりで帰らせるわけにはいかなかった。

 

 

「しかし、先輩。結構良い車乗ってるんだ?」

 

「あれ、奈緒って車詳しかったか?」

 

「あ、いや。オシャレだなと思ったくらいで実際どういった物とかは知らないんだけど……」

 

「ああ、そゆこと。……お値段的には最上位ってわけでもないよ? 洒落てると思ってもらえたのは嬉しいが」

 

 

 プジョー 406クーペ。色は黒。この車は、ティンときた! とでも言えばいいだろうか。特に凝ったデザインというわけではないが、他の国産車と並んでも何処か目を引く存在感がそこにある。内装も皮シートが重厚感を醸し出し、全体的に落ち着いた大人のイメージがある。

 とある伝手で新車を買えたのは運が良かったと思う。一目惚れしたこの車を俺は気に入っていた。良い買い物をしたと感じている。

 その車を褒めてもらえるのは、なんだか無性に嬉しくなった。

 

 

「あれ、先輩。結構本気で嬉しがってないか?」

 

「お、そう見えるか? ふふ、そう見えるのなら多分そうなんだろうな」

 

「うん、見える……」

 

「………」

 

「………」

 

「……なあ、奈緒。そんなじっと見つめられると、恥ずかしいんだけど」

 

「……うえっ!? み、見てないし!! な、何言ってるんだよ!?」

 

 

 いや、運転しててもわかるくらいこっちガン見してたじゃんか。そんな、急に首を反対に向けてもわかるって。助手席に座ってるんだぞ、お前。

 

 

「……つか、奈緒も顔赤くないか? 加蓮もそうだったし、風邪でも流行ってんのか?」

 

「あ、赤くなんてなってないから!! ……どうして、そんな結論になるんだよ。もう……」

 

「いや、赤くね? 二人も赤くなってたら風邪移ったのかなって思うよね? ね?」

 

「……先輩はもう少し鋭くならないと、いつか刺されると思う」

 

「え、何にだよ」

 

「自分で考えてくれよっ」

 

 

 えー。なんで俺何かに刺されることを怯えて生きなきゃいけないんだ?

 人に恨まれることなんて、あんまりしてないと思うんだけど……。

 むしろ、今だって奈緒のこと心配したのに。()せぬ。

 

 

「あ、思い出した」

 

「え、何だよ? 唐突に」

 

「ああ、いや。奈緒を見て思い出したことがあってさ」

 

 

 思わずくつくつと笑いが込み上げてしまう。

 奈緒はそんな俺を見て、不満げな表情をした。

 

 

「私を見て、思い出し笑いって。もう、なんなんだよ?」

 

「悪い悪い。謝るって。そこのグローブボックス開けてみてくれ」

 

「グローブボックス……?」

 

「ああ、すまん。目の前の収納だ。ほら、そこに取っ手があるだろ?」

 

「あ、これそういう名前なのか。初めて知った」

 

「ま、余程のことがない限りはそんなとこの名前なんて知る必要もないからな」

 

「今がその余程のことって言ってるようなもんじゃないか、それ。――よいしょっと」

 

 

 ガチャンと取っ手を引っ張り開けると、その収納の中から転がるように球体が手前に出て来る。

 奈緒はそれを慌てて足元に落ちないように前のめりになりながら抱えた。

 

 

「わわっ。な、何? ……ガシャポン?」

 

「そ。この間出掛けたときに見かけたので、衝動的に引きまくったんだよ。いやー、あるよね。そういうの」

 

「いや、同意を求められても……。ってあれ? こ、これ。もしかしなくても……っ!」

 

「そうそう。それ、奈緒が好きなやつだろ? 貰ってくれないか?」

 

 

 オフの日に出掛けた際、本当に偶然目に入ったガシャポン。なんとなく回したいと思って、何種類かあったのでどれにしようか悩んだ挙げ句、この『フルボッコちゃん』を引くことにした。

 目に入った瞬間、奈緒が好きだったやつだと思い出し、ついつい選んでしまったのだ。

 ……結局回すのが目的みたいなものだったので、ここでお蔵入りになってたんだけど。

 

 

「ななな、なんでこんなにいっぱい? いや、それにあれだし! 私別に好きとかそういう訳じゃ――」

 

「可愛いよね」

 

 

 焦ったように手を振りながら、わたわたと否定しようとしていたのに、俺が一言告げた途端に明るい笑顔に一変する。

 ……お兄さんは、奈緒がちょろすぎて将来が心配です。いや、可愛いんだけどさ。フルボッコちゃんも奈緒も。

 

 

「だろーっ!? やっぱり先輩はわかってる!! へへ、やっぱ可愛いよなあ、フルボッコちゃんは!!」

 

「――ああ、そうだな。可愛い」

 

 

 前言撤回。

 奈緒がフルボッコちゃんなんて目じゃないくらい可愛いでFA(ファイナルアンサー)

 フルボッコちゃんを褒められて満面の笑みを浮かべる奈緒は、見ていて微笑ましい気持ちになる。正直ほっこりしました。

 

 

「いや、ほんとに可愛いよ。奈緒」

 

「へへ、そうだよな。フルボッコちゃ――へ? あ、アタシ?」

 

「ああ、可愛いぞ」

 

「や、ちょっと。なんでそんないきなり……!?」

 

「奈緒が可愛いのが悪い」

 

「……ずるいよ。先輩」

 

「かーわーいーいーぞーなーおー」

 

「……うるさい」

 

「可愛い! 可愛い!! 可愛い!!!」

 

「ああもう!! からかってるな!? おちょくってるな!? ちょっといい感じだと思ったアタシが馬鹿だったよ!!」

 

 

 わあああと頭をガシガシかきむしりながら、テンパる奈緒はやはり可愛い。

 凛と加蓮もこんな気持ちになりながら奈緒を弄ってるのだろうか。

 今回ばかりは物凄く同意できる。

 

 

「ハッハッハ!! そういうとこも可愛いぞ!!」

 

「もう!! おちょくるのもいい加減にしてよ!! アタシには可愛いなんて似合わないし」

 

「は? それ本気で言ってんの?」

 

「な、なんだよ……。凛や加蓮のほうが可愛い服とか似合うし、羨ましいとか思ってるよ!! 悪いかよ!!」

 

「いやいやいや。え、本気で? わかってないなあ、奈緒はわかってないよ。冗談抜きで奈緒は可愛い。これ当たり前の常識だから、いや本当に。マジで」

 

「またそうやっておちょくって――」

 

「ないから。これは本音でしか言ってないよ」

 

「――っ」

 

 

 運転中なので、真正面に見つめることはできないけど、俺が真剣に話していることは雰囲気と表情で伝わったのか、奈緒は押し黙った。

 ……気まずい。

 しばらくして、奈緒の家にあと数分で着く距離になった頃。

 黙っていた奈緒が口を開いた。

 

 

「……あの、さ。本当か? その、可愛いって」

 

「お、おお? ああ、当然だよ」

 

「そっか。……へへ。そっかあ……可愛いかあ。……よし!」

 

「んん?」

 

「うん、ありがと先輩。ちょっと自信出てきた。フルボッコちゃん程ではないかもしれないけど、アタシ頑張って可愛くなる!!」

 

「……うん?」

 

 

 なんか変な比較対象が出てきたけど、自信に繋がったようで良かった……のか?

 そんなズレたような会話のあと、少し取り留めのない話をし、奈緒の家に到着した。

 車を停めると奈緒は降り、窓を覗き込んできたので、助手席側の窓を開けた。すると――

 

 

「……先輩。アタシさ、先輩が言うように可愛くなるよ。だから、可愛くなったらさ。その……また、褒めてくれよ。それで今日みたいに欲しいもの、くれよ」

 

 

 ニッと笑い、決意を込めた宣言をしてきた。

 欲しいもの、が何かはわからないが、奈緒の決意が伝わってくる良い笑顔だった。

 だから俺はしっかりと答えてやる。

 

 

「物に釣られて頑張るってのは現金だなとは思うが、目標になるのならそれは悪い事じゃないからな。……わかった。頑張れよ、奈緒」

 

 

 うん、と元気良く頷き、胸の前で小さく手を振る奈緒にお疲れ様と言う言葉を最後にかけ、そのまま車を発進させ、その場を後にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

――◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……行った、か。はあぁぁぁ……、緊張したぁ……」

 

 

 途中から何を喋ったかわからないくらい緊張してしまった。

 私にとってあの人は、特別だった。

 凛を目標に加蓮と頑張り始めた時期よりも、実は前にあの人とは面識があったりする。

 アイドルになる前に、偶然会ったことがある。

 人気のない夕暮れの公園で、すっぽりフードを被った人がダンスの練習をしていたのを見た。

 顔は見えなかったのに、それに一目で魅了された。

 無意識のうちに近付いていたみたいで、直ぐに見てるのがバレて声をかけられた。

 その時、初めて、その人がトップアイドルの天石晴人だと気がついた。

 

 

「ねえ、君アイドルに興味ない? 絶対才能あると思うんだけど」

 

 

 最初は馬鹿みたいな話だと思った。アタシなんかがアイドルだなんて。

 でも、どうしてもあのダンスが目の奥に焼き付いて離れなかった。

 アタシもああなれたらって、希望を捨てられなかった。

 ……結局、加蓮と遊びに行ってた帰りにアイドルにスカウトされ、今に至るわけで。

 なんかこう、今考えると凄いの一言じゃ表せないよね、これ。

 あれから、あの人は私の中で大きな目標であり、尊敬する人であり、それに――

 

 

「大好きな、人」

 

 

 ――気づいたらとっくに惚れていた。

 何がきっかけかなんて思い出せないくらいに、自然と。

 というか、惚れない方がおかしいよ、あんなの。

 スーパーアイドルで、私達の指導を買って出てくれた時からずっと見守ってくれてて。

 近くにいても、尊敬や親愛の感情は損なわれない程、あの人は人格者で。

 欠点を探す気にもなれなかった。

 そんな人に可愛いなんて言われて喜ばない訳がない。

 それに、なんだかんだ言っても、私のことをふとした拍子に思い出してくれたことが嬉しかった。

 だから、今日はつい、調子に乗ってしまった。

 

 

「明確な基準は提示してないけど、言質は取ったよな……うん」

 

 

 可愛くなったら、褒めてもらって、欲しいものを一つ貰う。

 それに先輩は了承してくれた。

 

 

「う、うあああ……。今思えば大胆過ぎた……? いやでも、先輩だ。絶対気付いてないだろうし……」

 

 

 あの先輩は、こと恋愛となるとスーパー朴念仁と化し、人の機微に鋭い先輩が別人のように鈍くなる。

 だから、多分私の欲してるものもわかってないだろうし、良しとしよう。

 

 

「どうしよ、手とかつないでもらう? もしくはちょっと大胆に背中合わせで座ってもらうとか? いやいや、それは早過ぎる気も……ん~っ!!」

 

 

 まだ、お願いを聞いてもらえる条件はしっかりしてないし、可愛い自分を想像できてすらいないというのに、いつか叶えるその時を夢見て。

 私は頭を抱えて、心地よい顔の熱さを感じながら、家に入っていくのだった。

 

 

「……ただいまー!!」

 

 

 




 
今回は奈緒編でした。
隣で加蓮と凛がシリアスな話してるのに、フルボッコちゃん指でつっつく奈緒可愛いよ奈緒。
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