トップアイドル(男オリ主)は346プロダクションで日常を過ごす。 作:全てが蒼になる
凛回が来ると思ったか!? 残念、女子会だよ!!
というわけでTP女子会です。
当然女の子が三人も集まればコイバナになんかしちゃうわけで……。
いやはや、三人の想い人って誰なんでしょうね?(すっとぼけ
「ぽてと~。ぽてとがいい!!」
「私は、ハッピーセットで……②番のやつ」
「じゃあ、私は普通にハンバーガーセット……ううん、ハッピーセットにするよ。奈緒、どれが良い?」
「え、いいのかっ!? じゃ、じゃあ……③で」
「ふふ、奈緒は可愛いね」
「微笑ましいよねー、奈緒は」
「あ、え? ……もう!! からかうなよー!!」
今日の私達は全員オフの日が重なったため、3人でカラオケをし、某ハンバーガーチェーン店にやってきた。
プロデューサーもスケジュールが書いてあるホワイトボードを見て苦笑してたし。
「カラオケメインのつもりで打ち合わせたのに、加蓮、気がついたらぽてとの日なんて書いてるんだもん。誰が見ても笑うよ、あんなの」
「えー? だってぽてと好きなんだもん。楽しみにしてたんだから」
「全く、身体弱い癖に好きな食べ物がジャンクフードってどうなんだよ。もっと身体に良いもの食べろよな」
「……奈緒、健康に気を使う年齢? まだ早過ぎない?」
「おい! 心配したのに、そのリアクションはおかしいだろ!!」
「……介護、いる?」
「凛まで!?」
下らないやり取りをしながら、窓に近い席を陣取り、注文したものを広げていく。
そこから始まるのは女子会。私達だけの楽しいお食事会だ。
「そういえば、最近プロダクションの前の通りに出来たクレープ屋さんがあってね。凄く評判良いらしいよ?」
「え、そうなの? 行ってみたいなー」
「仕事終わりとかに時間合ったら3人で行かない?」
「行く行く! いいよね、奈緒!! ……奈緒?」
私と加蓮の話に入ってこないと思ったら、すでに違う世界に旅立っている奈緒がそこにいた。フルボッコちゃんのフィギュア②と③を並べて満足げな顔をし、指でツンツンしている。
……まだ、席に着いてからそんな時間経ってないよ。
「……へへ~。え? 何?」
「もう、奈緒? 聞いてなかったの?」
「新しく出来たクレープ屋さんに行く話。今度仕事帰りに時間が合えば行こうって」
「あ、ああ! 行くよ、勿論!!」
「も~。奈緒のアニメ好きにも困ったものよねー」
そう言って大袈裟に溜め息をつく素振りを見せる加蓮に、気まずそうに視線を逸らす奈緒。
今のは悪いことをしたとでも思っているのだろうか。
視線を外した先で、既に加蓮は意地の悪そうな笑みを浮かべているのに。
「……と・こ・ろ・で。奈緒さ、この間家に行ったときなんかグッズ増えてたよね? あれは、ガシャポンの景品だと思うんだけど……どこであんなに手に入れたのかなあ?」
「え、うええっ!? な、なななな、何言ってるんだよ加蓮!! 別に貰ったとかそういんじゃないし!! なあ、凛!?」
「え、知らないし。なんで私に振ったの?」
「だ、だよなー! なー!! 加蓮、いい加減な言いがかりはいい気しないぞー!?」
なんで、微妙に韻を踏んだの? しかも私の答えた内容と噛み合ってないよ?
どうみても冷静じゃない。つっこんでくださいと言わんばかりだよ、奈緒。
……ま、ネタは最初から割れてるんだけどね。
「それで? 晴人先輩から貰ったガシャポン並べてにやけてて楽しかった? ねえ、ねえ?」
「」
「あのさ、先輩から聞いてたからってそんな言い方しなくてもいいんじゃない? 加蓮」
「ええー? でも晴人先輩が『弄ったら絶対に慌てふためく可愛い奈緒が見られるぞ』って善意で教えてくれた話じゃん。弄るしかないでしょ?」
「おぉい!! アタシには悪意しかないからな、それ!?」
「まあ、落ち着きなよ奈緒。先輩は奈緒が可愛いって言ってくれてるんだよ?」
「それはっ……嬉しいけどさ。……って違う!! そういうことを言いたいんじゃなくてさ!?」
「何が違うのよ~。もぐもぐ」
「何が違うの? もぐもぐ」
「ああもう、聞く気ないだろお前ら!?」
顔を真っ赤にしながら弁明しようとするも私達のスルーにより、糠に釘状態の奈緒。
でも、その反応は更に泥沼だと思うんだ、私。
「というか、奈緒。多分先輩が言ってるのって、アニメキャラクターのフィギュアでにやけてるところが恥ずかしいっていうのを、隠すために慌てふためくって意味だと思うんだけどさ。……可愛いって言われたことに嬉しいって言っちゃう時点で、そっちの気持ちは隠す気0だよね」
「そうそう、素直というかなんというか。直ぐ自爆しちちゃうのよね、奈緒は。そこが可愛いんだけど。……恋せよ乙女を地で行っているというかなんというか」
「だあああもう!? なんだよ二人して!? ……好きな人に、可愛いって言われたら、誰だって嬉しいと思うだろ……ばか」
顔を少し俯け、真っ赤にし、涙目で訴える奈緒。
あ、今キュンときた。
チラリと加蓮を見ると、顔を背けてぷるぷる震えている。……どうやら私と同じ攻撃を受けたようだ。
奈緒はどうにも破壊力のある仕草を素でおこなう癖があるようで、たまに砂糖を吐き出しそうになるくらい甘い空気を醸し出す。
乙女だよね。
「……そういえば加蓮はどうなの? この間のTPの打ち上げでいい雰囲気になってたよね、確か」
「ええっ!? そこで私なの!?」
「そ、そーだよ!! 加蓮だって先輩とどうなんだよ!! 顔真っ赤にして倒れやがって、私まで誤解されたんだぞ?」
「誤解って?」
「え、あれ? 今加蓮に話が行く感じだったよな? なんでまたアタシなんだ!?」
「……ごめんね、私の身体が弱いばっかりに、帰りの車で赤面したのに熱と勘違いされたんだよね……。折角のチャンスをふいにしてごめん」
「ええ!? なんで知ってるんだ!? 見てたのか!!?」
「……図星だったとは」
「わああああ!?」
こうして奈緒が弄られるのは何かの宿命に思えてくるほど、嵌まり役だ。
「あーもう。奈緒弄りはこのくらいにしとこうか。……でさ、加蓮。本当はどうなの? 晴人先輩には、加蓮ってデレデレじゃない? 全く通じないの?」
「……凛ってさ。そういうことストレートに聞くよね。いいけどさ……。結果から言うと全く駄目。なんかこう、765プロのマネージャーさんみたいな感じとも違うし、武内Pとも違う。真正の鈍感さんだよー……」
机にだらんと顎を載せ、ぽてとをかじる加蓮。
765プロっていうと……赤羽根さん、だっけ。確かにウチのプロデューサーとタイプは違うけど、アイドルとの距離感はしっかり保ってるもんね。でも、晴人先輩は……。
「……あれ、素だよね絶対。晴人先輩」
「……そうなんだよなあ……」
「……そうなのよね……」
「「……はぁ」」
私の目の前で、二人してため息をつく。
どうやら晴人先輩は真正の鈍感、朴念仁であるようで、本当に周りの気持ちに気付かない。……恋慕の気のみだけど。
人の機微には聡いのに何故そこだけポンコツなのか問い詰めたいくらいにはぶっ壊れていると私は思うよ。
「……凛はどうなの? あの鉄壁の防御、抜けそう?」
「鉄壁と鉄面皮をかけたのなら……ぶつよ?」
「怖っ!? なんでよ!! そんな失礼なこと言わないってば!?」
(上手いと思ったと言えば凛に殴られるところだったな……)
「奈緒?」
「ごめんなさい!?」
全く、二人とも失礼な反応だ。……好きになっちゃったんだから、しょうがないでしょ。
「あの人は、アイドルとプロデューサーって壁をしっかり作って距離感保ってるもんなあ」
「でも、NGのメンバーは基本的に距離感が近いよね。凛なんか『貴女のプロデューサーですから』なんて言われちゃってさー」
「……別に、本当のことだし」
「それでノックアウトだもんな、凛の場合」
「まあ、アイドルになってからずっとの運命共同体じゃ、恋しちゃっても仕方ないと思うよ、うん」
二人してウンウンと頷きながら同意してくる。
私は、そんな二人を見ながら、確かにその通りなんだと再認識する。
アイドルになる切欠になったのも、アイドルとして自覚を持てたのも、今の自分があるのも。
――全て、
そんな私は、この先も彼と同じ道を歩みたいと思ってしまった。不覚にも。
「でも、やっぱり難攻不落なのよね、プロデューサーも」
「プロデューサーはあれだよな。アイドル引退するまでは手すら繋ぎそうにないよな……ってああ、凛!? そんな机に顔沈み込みそうな勢いで伏せるなって!?」
「……奈緒は地雷を踏み抜く癖も直した方がいいと思うよ」
「あ、あはは……。ごめん、凛」
年長者の風格などまるでない奈緒が頭を掻きながら謝る。……包容力っていう点では多分、この中で飛び抜けていると思うのに、何故こうも締まらないのだろう。
そういうところを補い合う関係、といえば聞こえはいいのだけれど。
「はぁ…もういいよ。奈緒にはそういうところ、期待してないし。らしいといえば、らしいしね」
「アハハ、言えてる。これくらいが奈緒は丁度良いよね」
「なんだよそれー、も~」
三人で笑い合う。アイドルも恋も、皆で一緒に頑張る。
私達は三人で一つ。そんなこと言わなくても共有している気持ちだった。
現に奈緒と加蓮は二人共同じ人が好きなのにその件で喧嘩してるとこすら見たことがない。二人であのトップアイドルの牙城を打ち砕こうとしている素振りすら見える。
……今の先輩は確かにスタートラインにすら立たせてもらえないもんね。プロデューサーにも言えることだけどさ。
だからこその協力プレイは仕方ないよね? さてと、これからも頑張らなきゃ。
「二人とも、これからも一緒に頑張ろう」
「当たり前だろ? 頑張っていこうぜ!!」
「アイドルも恋も、皆で一緒にね?」