悦楽な人間の幻想放浪録【凍結中】   作:Des

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どうも、Desです。

今回は静海の幻想郷での今後の生活について話していきます。

最近1つ1つ憂いが消えたと思えば、また1つ増えるこの頃です。
ああ、安らぎが欲しいぃぃ・・・

では、Yes東方!




ごちうさのシャロちゃんがパルに見えてきた私は末期か・・・・・・




第1章 第10話 悦楽な男と今後の予定

□地霊殿 客室

 

●八雲 藍 視点

 

まったく紫様にも困ったものだ。人間の方もだ。

い、いきなり私の服が欲しいなど・・・破廉恥だ!

でも、頼み事は嬉しいがな!

 

紫「さて、いつまでもふざけていては話が進まないから、話を戻しましょう。」

 

紫様が広げていた扇子を閉じ、話を進めた。

誰のせいですか、誰の・・・。

呆れもしたが、しっかりとしなければ。まだ、この人間が信用に値するか分からないのだ。

気を引き締めて、話の展開を見極めなければならない。

 

紫「どうして、藍の服を要求したのかしら?普通は金銀財宝でも頼むでしょうに・・・」

 

静海「いや、ここに来て間もないけど今すぐ金に困るわけでもないし。なら、自分の能力を活かす方法を探さないと。」

 

意外と先まで考えているのだな。

 

紫「能力というと、狒々とそこの鬼と戦った時のかしら?」

 

静海「そうそう。攻撃だけ考えてたけど、勇儀と戦って防御も考えないといけないってね・・・」

 

藍「能力とは、知識を具現化する程度の能力か?」

 

静海「正解。どうやら、そのことも聞いていたみたいだね。今後は気を付けないと。」

 

しまった、余計な警戒心をもたらしたか。人の言葉からの思考も中々。

 

紫「ごめんなさいね。今後はあなたの許可なしで勝手に見ないから、許してちょうだいな。」

 

紫様がフォローして下さった。

くっ、私もまだまだ未熟だな。

 

静海「ああ、別にいいよ。いつ見られているか考えて神経減らすより、勝手に見てもらっている方が気が楽。」

 

紫「・・・ほんとに変わっているわ、あなた。」

 

静海「褒め言葉だね、ウチにとって。」

 

紫様の言葉に笑いながら返してきた。覚り妖怪の様子から見て、ホントのようだ。

覚り妖怪だけでなく、他の妖怪も苦笑しているぞ。

 

しかし、いつ見られているのにそれを気にしないとは、懐が大きいな。

 

静海「さっきの空間の裂目や日常を覗いていた話からの憶測になるけど、紫の能力は空間を繋げる能力か?」

 

紫「不正解。でも、いい線いってるわ。」

 

あれだけの情報でそこまで気が付いたら上出来と言える。

正解しては、それはそれで怖いぞ・・・

 

紫「私の能力は[境界を操る程度の能力は]よ。境界があれば、それは私の管理下に置けるの。」

 

この情報は幻想郷の者達は知っていることだ。知られたところで対策が取れるのは幻想郷でも数名だろう。

 

静海「・・・マジ?境界っていうと、例えば言葉の境界を操って自国語を話しているように聞こえるとか?」

 

紫「ええ、そうよ。その使い方もできるわ。ちなみに、私の能力で作った境界はスキマっていうから。」

 

人間の推測も上出来だ。初めてにしては物わかりがいいな。

紫様の補足を聞くと、人間は唖然とした顔をした。

?何を今さらそんな顔をするのか?

周りの妖怪達も不思議に思っているぞ。

 

静海「何でそんな能力で妖怪と言った枠組にいるの?下手したら、神と言われてもいいよね?」

 

紫「・・・・・」

 

パルスィ「静海さん、それはどういうこと?」

 

紫様が口を扇子で隠し真剣な顔を人間に向ける中、橋姫が訊いてきた。

 

静海「いや、皆はこの能力についてどう思っているの?」

 

さとり「・・・・・」

 

パルスィ「いえ、別に・・・とても便利そうだけど?」

 

勇儀「ああ、空間の境界を操って入り口を作ることも出来るんだ。厄介と思うぞ?」

 

橋姫と鬼の言葉に覚り妖怪の姉以外は頷いている。

 

静海「境界というのは、とても曖昧なものだぞ?言えば物事の真ん中とも言える。でも、その真ん中は曖昧で基本的には第3者が決めないと確立しない。そんな強大なちからを操るって、妖怪が扱える範囲の能力か?神と言われ方が納得するぞ、うちは・・・」

 

人間の話に皆、納得といった顔をしている。

ここまで、紫様の能力を冷静に分析できる人間がどれほどいるだろうか。

私の中でこの人間に対する警戒が上がると同時に、感心も上がった。

 

静海「少なくとも、ウチみたいなモンが適う相手じゃないな。」

 

紫「・・・上出来よ。ええ、上出来。ますます、私はあなたが気に入ったわ。」

 

人間、いや静海と呼ばせて貰おう。

静海は笑みを浮かべながら、紫様を見ている。その顔に恐怖はない。

確かに、紫様じゃなくとも強者は気にりそうな目だ。

 

紫「さ、私の能力についてはもういいでしょう。今度はあたなの能力に話してちょうだい。さっきの服のことも。」

 

静海「おっと、ごめんね。話を逸らしていた。ウチの能力は・・・」

 

そこから静海や地底の妖怪によって推測された、静海の能力について話を聞いた。

 

紫「・・・なるほど、知識にある架空の物語の力なのね。妖怪と戦った力は。」

 

藍「聞いている分はトップクラスの能力とも言えるが、条件が足枷になっているのか。それでは上部の妖怪には勝てないな。鬼もハンデがあっての勝利ということか。」

 

しかし、その知識の中にある道具や武器がもし具現化可能としたら、幻想郷を危機に陥れる可能性もあるのだ。

このことも紫様も十分分かっているはずだ。

 

紫「あなたはその力を使って、幻想郷に何かする気はあるかしか?」

 

紫様の質問に地底の妖怪たちが身構える。当たり前だ、この質問が死刑執行になるかもしれないのだ。

当の本人は、

 

静海「え?幻想郷を周って、最後は骨を埋めるつもりだけどダメ?」

 

何聞いてんの?と言わんばかりのトーンで聞き返してきた。

皆、違う意味で固まっていた。もちろん、私もだ。

普通、家に帰りたいとか言ってくるはずだ。

 

藍「家に、元の生活に戻りたいとか思わないのか?」

 

そう、これが普通だ。

私の言葉に橋姫、覚り妖怪姉妹が反応していた。

 

静海「その選択肢は無さそうだからなぁ、紫のさっきの言葉でそう感じてね。」

 

紫「・・・本当に人間にしておくのが惜しいですわ。」

 

藍「紫様、では・・・」

 

静海が話しているのは間違っていないということなのか?

 

紫「ええ、能力に目覚めた人間を外に出すわけにはいかないの。それに、それだけじゃないの、帰れない理由は。」

 

さとり「なんですか?その理由とは・・・」

 

静海「別の世界、これがヒントだぞ、さとり。」

 

別の世界。確かに紫様は先ほどの会話で話していたが、その意味はそのままで幻想郷と分けられた外の世界ではないのか?

 

紫「ええ、勝手ながら外の世界の行方不明者リストを調べたけど、女子文 静海という人間はいなかった。」

 

パルスィ「それは変ね。もう幻想郷に来て何日も過ぎているのに、捜索されていないのはおかしいわ。」

 

いや、それだけが理由じゃないはずだ。まだ、家族が出していない可能性もある。

だとしたら、紫様は一体どこでそれに気が付いて・・・

 

紫「藍、静海さんの携帯を見た時の事を思い出しなさい。」

 

藍「携帯ですか?あの時は静海が持ち物を確認していたので、それをスキマで覗いて・・・・!?まさか、あの画面の日付!?」

 

そうだ、あの時土蜘蛛が触って見ていた画面に映っていたのは・・・

 

紫「そう。静海さんの携帯には20▼▼年と書かれていたわ。」

 

パルスィ「20▼▼!?今は20◆◆よ!?」

 

紫様は言った年月に皆驚いていた。

 

紫「ええ、そこから未来から来たとも思っていてけど、なら外の世界に静海さんは生まれている筈なのよ。でも、どんなに探しても女子文 静海という人間の情報はなかった。」

 

藍「だから、静海は別の世界からと・・・」

 

パルスィ「そんな・・・じゃあ、静海さんはこの世界に1人ということに・・・」

 

橋姫の言葉に誰もが口を閉ざした。無理もない、知り合いも自分がいたという記録もない世界で1人、これは心に来るモノがあるはずだ。

 

紫「言っておくけど、私の能力でも世界の境界を超えるといったことは出来ないわ。そこに通じる時空の裂目でもあれば別だけど、私が自分でそのような大事をやれる自信はないわ。」

 

当たり前だ。紫様がいかに神に匹敵する能力の持ち主としても、個人で世界という存在に影響を与えることは出来ない。

そんな存在がいるとすれば、神を超えた何かだ。全能の存在だ。

 

静海「・・・・・」

パルスィ「静海さん・・・・」

 

静海の沈黙に橋姫が心配しそうに話しかける。いや、ここにいる誰もが心配しているだろう。

もし、自分の身に起こったものなら、冷静に自分を保てる自身がない。

 

静海「・・・・・・」(滝汗)

さとり「・・・・・」

 

静海でさえ、汗を滝のように流している。

何故か、覚り妖怪の姉の方はジト目で静海を見ていた。

無理もない、これは

 

さとり「やべー、ウチの部屋のコレクションが見つかってしまう!パソコンの中身も消していない!これは大変なことだ!」

 

自分を保てる

 

さとり「いや、同僚や友達なら別にいい、しかし妹に見られたあかつきには・・・」

 

わけが・・・・

 

さとり「これは兄か父が気を利かせ、全て消してくれることを祈ろう!・・・・以上、静海さんの心の中でした。」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・

どうしてくれる。沈黙がクラスチェンジしたぞ?

 

パルスィ「パソコン?」

 

こいし「中身?」

 

勇儀「コレクション?」

 

ヤマメ「消す?」

 

お空「おお!静海には妹がいたんだ!」

 

お燐「だまらっしゃい!この能天気鴉!」

 

キスメ「???」

 

どうやら地底の奴等は覚り妖怪が言った意味を分かっていないようだ。

分かっているのは、紫様と私、そして心を見た覚り妖怪の姉だけのようだ。

 

紫「・・・大丈夫よ。男の子なんだもの、何も恥じることはないわ。」

 

藍「そうだ。別の世界なら、関係がなくなって良かったじゃないか。」

 

さとり「・・・あとでパルスィさんとこいしにコレクションの内容を報告します。」

 

こら、覚り妖怪。せっかく私と紫様が慰めてやっているのに、追い打ちをかけるな。

 

静海「・・・だよな!?気にしてもしょうがないよな!?別の世界のことだからな!?」

 

やけくそである。

 

静海「もうこの話題は終わりだ!それで、どうなんだ紫!?ウチは幻想郷で暮らしてもいいのか!?」

 

半ば、八つ当たりである。

 

紫「え、ええ、もちろんよ。その能力で幻想郷に何か

 

静海「するわけないだろう!!こんな面白世界!!」

 

紫「は、はい!それはならどうぞ!好きなだけいて構わないわ!」

 

あの紫様が人間に圧し負けている。ある意味貴重な光景だ。

とりあえず、ここの生活に落ち着いたら差し入れ(男の教科書)でも、外の世界から買ってこようか?

 

 

 

●静海 視点

 

危なかった。少し取り乱したが、すでに別世界の事と割り切るしかないな。

 

藍「静海、お前は強いな。」

 

心を静めていると藍さんが話しかけてきた。

 

静海「何が?」

藍「いや、何でもない気にしないでくれ。」

 

何やら慈愛の目で見られている気がする。

 

さとり「静海さんが、この世界に1人ぼっちであることに対する反応が薄いことを気にしているのです。」

 

おお、さすが心を読める覚り妖怪。

 

静海「さすがに何も感じてないわけじゃないぞ?悲しみも不安もある。」

 

もちろん、これは本当だ。家族の事、友達、会社、ひぞ・・コレクションの事は気になるし、悲しみの感情も感じる。

でも、

 

静海「でも、それ以上に別の世界があったことへの驚き。妖怪や神といった存在の確認。これから起こるそんな彼らとの出来事。そんな面白いことへの期待で一杯なんだ!ウチは他人との会話が好きだ。他人の存在が好きだ。他人の感情を知ることが好きだ。他人の反応を見るのが好きだ。言えば、他人との意思のぶつかり合いを見たい!感じたい!ウチはそれで死んでも後悔はない!怖いのは何も感じなく、何も出来なくて死んでいくことだ!」

 

これはウチの本心だ。

テンションが上がってしまって、つい本音を言ってしまった。

最初はこんなことを感じてなかった。でも、歳を重ねていく内に、学校で町で家で社会での他人との触れ合いが好きになった。

ああ、なんでこの人はこんな考えを持ったのだろう?

それを貫く意思はどれほど硬いのか?

強い意志同士のぶつかり合いが美しいのは何でだ?

そんな事とばかりが頭を埋めていった。

 

もちろん、そんなことを表に出して外の世界では暮らしてなかった。

理解されないのは分かっていた。距離を置かれることも知っていた。

でも、嫌いになれない。いや、むしろ好きな感情が溢れてくる!

 

静海「ああ、そうだ。ウチは自分以外の存在が好きで、好きで堪らない!」

 

妖怪達「・・・・・・・」

 

皆はウチの話を黙って聞いていた。

紫は何か嬉しそうな顔をしていたが・・・

 

静海「ま、だからウチの事はお気になさらず。幻想郷をどうこうするつもりはないから。」

 

・・・・・それにツマラナイ男のプライドもある。感情に浸るのは1人だけの時と決めている。他人、しかも女性に涙を見せるのがとても嫌いなのだ。

 

さとり「・・・・そういうことなら私は何も言いません。」

 

本当に心を読めるのは便利だ。

 

パルスィ「そうね。静海さんが面白いことが好きなのはもう知っているしね。」(顔がホンノリ紅いです。)

 

こいし「むしろ、妖怪の私達の事を好きで受け入れてくれているからね。」

 

勇儀「ああ、こんな人間は他にいないだろう。」

 

ヤマメ「むしろ妖怪の私達より、珍しい人種じゃない?」

 

お空「うにゅ!私も静海の事好きだよ!皆もだよ!」

 

お燐「はいはい、分かったから、ここは少し大人しくしておこうねー。」

 

キスメ「・・・・」(珍しいもの見たという顔をしてます。)

 

地底の皆はこんなウチを既に受け入れていたから、こんなに嬉しいことはないのだ。

紫と藍さんは?

 

紫「ええ、いいわ。ほんとに面白いわ、静海。私も好きよ?そんなあなたが・・・」

 

普通に聞けば心臓バクバクの展開だが、紫の企み顔ではそんな展開はやってこないだろう。

目が笑ってませんよ、お姉さま?

 

藍「・・・・・・」

 

藍さんは何やら、少し口を開けて呆けていた。

紫に45度の角度で叩かれ、再起動したようだが・・・

 

静海「で、話を急に戻すけど、服が欲しいのは能力に[服をバリアに変える力]があるからだね。でも、普通に服じゃ防御面積がほぼ上半身だけなんだよ。」

 

う〇きの法則の偽ギターリストが持っていた能力だ。そのキャラが着ていた前身ライダースーツみたいな服なら完璧な防御になるが、デザインが気に入らないので却下していた。

 

藍「なるほど、だから私が服の上に来ている民族衣装みたいな前垂が必要なのか。」

 

静海「そういうことです。決してヤマシイ心があっての事ではないです。」

 

H◆Hのクラピカの衣装はカッコいいと思うのはウチだけだろうか?

 

紫「ん?ならどうして藍の服なの?私も同じデザインの服を着ているのよ?」

 

静海「折角なら好きな色がいいかなと。あとタイプの女性の方がテンションあがります。」

 

パルスィ「ヤマシイ心丸出しじゃないの!?」

 

さとり「でも、静海さんの好きな色が知れたことは収穫ありじゃないですか・・・ボソ」(小声)

 

パルスィ「!?」(頭に電撃が走った)

 

パルとさとりは何をやり取りしてるのだ?

 

紫「あら?私はタイプじゃないの?」

 

静海「いやいや、十分好み。偶々藍さんの方が好みに近かったということ。」

 

紫「残念。」

 

本当に思っているか怪しいものである。

 

藍「さすがに私が着ている服を渡すわけにはいかない。」

 

静海「デスヨネー。」

 

藍「だ、だが。私が作って渡すことは出来る。」

 

静海「マジで!?」

 

思わず大声を出してしまった。

 

藍「紫様、よろしいですよね?」

 

紫「ええ、もちろん。藍も静海を気に入ったようで嬉しいわ。」

 

藍「いえ、こんな人間は中々いませんから。」

 

紫「そうね。なら、一度落ち着いて(・・・・・)デザインを静海と一緒に決めなさい。」

 

藍「はい。」

 

どうやら、服を作ってくれるようだ。言ってみるものだ。

デザインを考えておかねば・・・

 

紫「他に何か願いはないの?」

 

紫がデザインを思考して、唸っていたウチに報酬の追加を訊いてきた。

 

静海「いや、1つだけだから、服でいいよ。」

 

紫「いいのよ。私があなたを気に入ったから、特別よ。」

 

いきなり言われても、どないせっちゅうねん。

 

さとり「静海さん、折角の機会なのでお金について訊いてみては?」

 

さとり、good idea!

 

紫「お金?お金が欲しいの?」

 

静海「ちゃうちゃう。ウチが外のお金を持ってきているけど、ここ幻想郷との差ってどうなってるの?」

 

そう言いながら、ウチはパルにバックを取って来てもらい、財布から所持金¥15,326を取り出した。

 

紫「ここは明治から外の世界と分けているから、明治の貨幣を使ってるわ。」

 

静海「明治の?ってことは、この金はここじゃ使えないのか?」

 

別に困ることではない。ないなら働く、これ大事。

 

紫「そうね。幻想郷に住む現代の外来人はいなかったから、変えていないの。なんなら、明治の貨幣に変換しましょうか?」

 

静海「おお、出来るならよろしくお願い。」

 

あって困る物でもない。

 

紫「じゃあ・・・・」

 

紫はスキマを出現させ、手をスキマの中に入れまさぐっている。

 

紫「はい。これが今あなたが幻想郷で使える金額になるわ。」

 

紫が言いながら、ウチの手に取りだした金を置いた。

 

静海「ありがとう。ええと、これはじいちゃんの家にあったやつか。1円札が1枚と銅貨が60枚くらいか?」

 

確か1円札って、現在では1万円だったか。

 

紫「詳しい銅貨の価値は、覚り妖怪にでも聞いて頂戴な。」

 

静海「ああ、ありがとう。助かる。」

 

さとりも手でOKサインを出している。こいしは両手を上に挙げ、〇を作っていた。

 

紫「いいのよ。欲を言えば、もっと要求してもいいのよ?なんら、現代の金額のまま変換しましょうか?」

 

静海「止めーや?必至で働いている人に失礼すぎるで?」

 

紫「遠慮しないでいいのに。」

 

ウチの言葉に不快の様子だ。

あんたはどこの近所のおばさんやねん。

 

紫「じゃ、この後の行動はどうするの?」

 

静海「行動?」

 

寝るくらいしかないが?

 

さとり「違います。地底からどこに行くかとか、予定を聞いているのですよ。」

 

気遣いのさとりまじ、覚り。それなら、ある程度は決めている。

 

静海「まずは、地底で修行してから地上に行く予定。その間に幻想郷の常識でも教えて貰うさ。」

 

そう、まずは非常時に自分の身を守るくらいの戦闘力は欲しい。

修行の必要性を勇儀との戦いで感じたのだ。

そして、いつかはハンデなしの戦いを所望する!

試したいこともあるのだ。

 

紫「なら、しばらくは修行に集中したいでしょうから、10日後にまた来るわ。いいわね、覚り妖怪?」

 

さとり「普段ならお断りしますが、静海さんの為なので、我慢しましょう。」

 

紫「あら、これは相当入れ込んでいるわね、いいことよ。」

 

さとり「私だけではないですが。」

 

紫「そうね。これもいい変化よ。じゃ、またね皆さん。」

 

紫が後ろに振り返り歩こうとしたが、急に立ち止りこっちに向きなおした。

 

紫「言い忘れていましたわ。静海さん。」

 

静海「なんだ?」

 

忘れ物か?

 

紫「ようこそ幻想郷へ。」

 

とても綺麗な笑顔でそう言ってきた。

 

静海「お、おう。」

 

思わず見惚れて、声が裏返ってしまった。

 

そう言った紫は来たときと同じくらいの大きさのスキマを出現させ、中に入って行った。

 

藍「邪魔した。これからしばらくは世話になる。」

 

さとり「いえ。藍さんなら歓迎します。」

 

藍「ありがとう。じゃ、また来る。・・・静海、私も藍と呼んでいい。」

 

静海「じゃ、藍も好きなように呼んでいいぞ?」

 

藍「今度来たら、そうさせてもらう。」

 

藍も紫の後を追って、スキマに消えていった。

2人がスキマに消えると、スキマも閉じていった。中の目玉はどうなってるんだ?

 

勇儀「さあ!仕切り直しとして飲み直そうか!」

 

2人がいなくなった途端に、勇儀が酒を片手に騒ぎ出した。

他の皆も仕切り直しだと、酒や飯を食い始めた。

 

自分も皆が座っている場所に行き、用意されていた料理に手を出そうとした。

 

パルスィ「・・・・・」

 

何故かパルがウチの目の前に来ていた。

何やら悔しそうな顔をしている。黙っているのが余計怖いぞ?

 

さとり「・・・ああ、なるほど。紫さんに先を越されたと思ったんですね。確かに、あの人より先に会っていたのに言ってませんでした。」

 

何やらパルの心を読んださとりが、パルをフォローしている。

紫に先に言われた?なにをだ?

 

勇儀「ああ、確かに言われたなー。」

 

こいし「お兄さんの存在感がすごかったしねー。」

 

ヤマメ「何で言わなかったか、疑問だね。」

 

お燐「お空、分かっている?」

 

お空「?何を?」

 

キスメ「・・・・」(やっちまったーといった感じに片手を顔に当てています。)

 

ウチ以外の皆は感じ合ってるみたいだ。

言ってる?・・・・不幸の言葉?

 

さとり「いえ、そんな言葉は言ってなかったじゃないですか。折角ですし、パルスィさん。音頭を取ってください。」

 

パルスィ「え!?で、でも、皆で一緒がいいんじゃ?」

 

勇儀「何言ってるだい?幻想郷で最初に会ったのはパルスィじゃないか。」

 

こいし「そうだよー。後に私達続くから。」

 

ヤマメ「びしっと決めるよー!」

 

お燐「コショコショ・・・・分かった?お空?」

 

お空「うにゅ!分かった!」

 

キスメ「・・・!」(黒いサングラス装着)

 

皆が円陣を作って、何かを話しているようだ。ウチには聞こえない声で話している。

気になる。

あと、キスメはドコから出したか、木の板に何かを書いていた。・・・サングラスはどこから出した?

数回の呼吸を繰り返したパルがこっちを向いた。

 

パルスィ「静海さん。先に私たちが言わないといけなったけど、先に言われて締まらないと思うけど。」

 

静海「・・・・」

 

真剣な顔をしているパルを黙って見ることしか出来なかった。

皆もいつの間にかパルの後ろに移動していた。

そして、パルが口を開いた。

 

パルスィ「静海さん、せーの!」

 

「「「「「「「「ようこそ!幻想郷へ!!」」」」」」」」

(↑キスメはセリフを書いた板を持ち上げています。)

 

パルの言葉に続いて、後ろにいた皆と一緒にウチに歓迎の言葉を言ってきた。

皆が笑顔を向けている。眩しい。

 

・・・・ああ、なんだろう。温かい感情、悔しい感情、色々な感情が込み上げてくる。

でも、とりあえず。

 

静海「お世話になりまーす!!」

 

今できる精一杯の笑顔で答えたつもりだ。

ウチの言葉の後に皆の乾杯の言葉が部屋に響いた。

 

 

 

□八雲家

 

●紫 視点

 

スキマを通って、我が家へ帰ってきた。

藍も少し遅れたが、スキマから出てきた。

 

紫「とても面白い人間だったわね、藍?」

 

藍「・・・・・」

 

そう、とても面白い人間だった。直に会いに行ってよかった。

他人が好き。当たり前だが、人は最後は自分を選ぶのが殆どだ。

肉親や恋人、親友の為に行動を起こす人はいるが、見ず知らずの赤の他人のことまで好きと断言できる人はいないだろう。

自分の事をよく理解もしていた。

でなければ、あそこまで感情を語れないだろう。

ああ、思い出しただけでも口元がにやけてしまう。

 

紫「彼なら、この幻想郷にいい変化を起こしてくれそうね。」

 

藍「・・・・・」

 

私が愛している幻想郷を長い時間、存続させるために妖怪と人間の共存を目指す為に、彼には頑張ってもらいたい。

でも、気に入ったことも本心なので死なせるようなことはさせたくない。

よく計画を練ってお供でも付けるべきだか?

 

紫「でも、手始めに妖怪の山にでも行って貰いましょう。」

 

藍「・・・・・」

 

あそこは鬼たちが地底に行ってしまった後に、天狗が仕切っている場所だ。

古くからの掟を重視し、人間を見下している今の幻想郷の妖怪代表といえば天狗なのだ。

彼らの人間への意識や幻想郷の変化への心情を変えてくれるかを試してみよう。

 

紫「まずは、お手並み拝見としましょう。本当に彼が妖怪相手でもあの人情を捨てずにいるかを・・・」

 

藍「・・・・・」

 

それに、あそこには外から来た神たちがいる。

彼女たちも利用できる。しかも、巫女の変化にも一役かってくれるかもという期待もある。

あそこの巫女は妖怪退治に快感を覚えてしまっっているのだ。

自分の神の信仰を集める為といった目的もある。

退治といっても、無暗に退治している訳ではない。

 

本気で退治するのは、言葉も話せない攻撃的な妖怪や人間に害を成した妖怪だけであるのが救いでもある。

そんな彼女にも良い意味での変化を期待している。

 

紫「妖怪の山だから鬼の協力を仰いでもいいんじゃない?」

 

藍「・・・・・」

 

紫「それに彼の地上での拠点も検討しないといけないわ。」

 

藍「・・・・・」

 

紫「今は力を付けるのを待ちましょう。もちろん、こっちからも協力は惜しまないわ。」

 

藍「・・・・・」

 

紫「・・・・藍?」

 

先ほどから自分の式神が返事を返してこない。

ただ黙って震えていた。

いつもなら即座に返してくれるのだが、これはもしかして・・・

自分の中で、もしやと予想をたて式神から少し距離を取った。

 

藍「・・・ど、ど、ど・・」

 

あ、これはあかんやつや・・・

 

藍「どうしましょう、紫様!人間にしかも男と話してしまいましたぁ!!」

 

紫「そうね。」

 

藍「久しぶりすぎて、緊張のあまり口調が変わっていませんでしたでしょうか!?」

 

紫「大丈夫よ、私からしたらいつもの貴女よ。」

 

藍「しかも、私の服を要求されました!」

 

紫「ええ、でも正確には貴女の服の様なデザインの物よ。」

 

藍「これは最上級の生地で私が持っている技術すべてを持って臨むべきでしょうか!?」

 

紫「いいことよ。できれば、私の服も新しいモノが欲しいわ。」

 

藍「私のような妖怪でも初対面で臆することなく、話してくれた人間は霊夢以来ですよ!嬉しすぎて、どうにかなってしまいそうです!」

 

紫「嬉しいのは分かったから、一度冷静になってくれないかしら。」

 

私の式神が暴走気味で怖いの、どうしたらいいかしら?

 

式神とは、既存の妖怪や妖獣に式神としての術式を組んで自分の支配下に置くことである。

用途は多種多様であり、術式も術者によって変わってくる。

私の式神は元は妖獣で、人型だったわけでなかったし、尾も9本もなく、当時はここまでの力はなかった。

人間が好きという思考に私が共感し、式神として術式を組み、厳しい修行を行い力を付けさせ、今の八雲 藍が生まれた。

 

私が組んだ術式は、現在自分がやっている結界と幻想郷の管理の補助を目的としたモノだった。

結界に組み込んでいる術式は複雑極まりないモノだ。並大抵の頭脳では、管理する者の頭が持たない。

それを補う為の術式をメインとしていたから、他は素のままである。

私は別に僕が欲しかった訳じゃない、支えてくれる存在が欲しかったのだ。

 

藍は私に仕事でついて行ったり、私からの任務を遂行する際にも式神としての能力が発揮される。

よって、先ほどの地霊殿での藍も式神の能力が発揮され、冷静を保っていたのでだ。

だから、今は地底から帰って仕事モードOFFなので、

 

藍「ああ、人間に頼み事されるなんてあの子以来です!私が好みのタイプって言ってました!しかも最後は勇気を出して名前で呼んでもらえるにことになりました!今覚えば恥ずかしいー!!」

 

顔を紅くし、両手を頬に当てて顔を左右に振り、「キャー、キャー」言ってる。

9本の尻尾も負けじと大きく振れていた。

どこの女子高生なの、貴女は?

 

このように、普段の藍は恥ずかしがり屋なのだ。

 

まあ、無理もないと思う。人間が好きだが、己が持っている力のせいで人間からは恐れられていたのだ。

その力も人間の為に付けたものであり、藍の人間好きが証明される。

人里でも見かけられれば人は距離を取り、大概の妖怪は畏怖の念を示す。

人間大好きな藍は、屋敷の自分の部屋でよく落ち込んでいた。(橙に見せたかったわ!)

 

それを考えれば、このはしゃぎ様は理解できる。

強大な力を持っている妖怪だが、人間に対するこの態度を認めて式神にしたのだ。

不満もなかった。しかし、いつまでもこれでは話が出来ないので、

 

紫「八雲家秘義108式の5、45度の斜め手刀!」

 

藍「ふきゅっ!!」

 

我が家秘伝の技を繰り出した。(ま、ただの手刀なんだけど。秘伝といっても、私考案よ☆)

私の攻撃を受けた倒れた藍が、数秒後に起き上がった。

 

紫「どうかしら?落ち着いた、藍?」

 

藍「はい、落ち着きました・・・」 少し涙目だった。

 

紫「じゃ、これからの事について話し合いましょう。」

 

藍「はい、紫様。」

 

さあ、これからは忙しくなるわ。

 

 

でも冬眠はもちろんするわよ!

 

 




お疲れ様でした!

という訳で、静海の心と今後の予定でした。

ここでの藍は玉藻の前とは別人とさせていただきます。
しかし、美貌は引けをとりません。これは私の願望です!

皆さんに楽しんで頂けたか心配です(-_-;)

今後は修行と日常を7.9話のように短編形式でお送りします。
一応頭でちょっと面白いことを思いついたので、それもしてみます。

ご意見、ご感想、誤字・脱字、待ってます!

では、また次回!ノシ

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