悦楽な人間の幻想放浪録【凍結中】   作:Des

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こんにちわ、Desです。

とても遅くなりました(-_-;)

理由とかは活動報告にて。
あと、小説の書き方を今回からの形式に決めました。

地底での日常を過ごした静海だったがこれから修行に移ろうとする。
はたして、修行の成果を見出すことは出来るのか?

東方、好きだー!



第1章 地底修行編part1

●修行1日目

 

 体の調子が戻ったので早速、今日から本格的に修行を開始することにした。さとりとパルには、まだ早いのではないかと心配されたがウチは早く幻想郷を見て回りたかった。だから、修行の間では無駄な時間を使いたくなかった。2人には悪いが、勇儀に聞いて暴れても周囲に問題ない場所を紹介してもらい、そこにパルと一緒に行くことになった。

 

「ここが勇儀から紹介された場所か。」

 

 旧都から約5分くらいの場所にあるそこは、周りは岩で囲まれておりドーム状の空間が広がっていた。半径30mはあるこの空間には人の手が加われているように見える。おそらく鬼の修行場か何かだったと推測できる。こんな場所を教えてくれた勇儀には後で改めてお礼を言うことにした。

 

「で、なしてパルは付いて来たのさ?地底でウチの命は狙われないと思うけど?」

 

「し、仕方ないでしょう。静海さんはまだ地底の地形に詳しくないもの。万が一を考えての同行よ。」

 

 付いて来たパルに、理由を尋ねると少しバツが悪そうに答えた。どうやら、さとりの策略の感じがしたが間違いではないだろう。まったく、2人きりは気が散りそうなんだがな。・・・まあ、嫌でない。

 

「と、ところでどうして今から修行するの?勇儀から重りを受け取ってからでも遅くないと思うわよ?」

 

 露骨に話を逸らしたようにも見えるが、その意見も当然だ。まだ、心を読めるさとり以外には話していないので、理由をしらないからだ。

 

「重りは素での体の筋力アップを目的とするけど、〇ンピースの六式を使えるようになるまでに数年掛かるはずだよ。いくらなんでもそれじゃ、遅すぎる。だから、別の方法でてっとり早く力を付けることにしたんだ。」

 

 そうだ。試合で使った防御技の鉄塊は、体を鉄の様に硬くする体術だし、剃は高速移動だ。ウチの能力で再現できたとしても、体が持たずに威力も低い。他の技も素の状態で習得するのに数年は絶対掛かるはずだ。その時間じっと修行するのは、ウチの性分では無理だ。楽しく、早く強くなりたいのだ。あの時のように。ちなみに、地底の皆には六式や覇気の説明は終わっている。勇儀はかなり嬉しそうだった。

 

「でも、体を鍛えないと六式を使うたびに酷い副作用がくるのよ?覇気を纏いながらも出来ないのでしょ?」

 

 パルの言うとおりだ。ウチの能力の制限なのか、同時展開が出来ないのだ。理想は六式を使いながらの植〇の能力(以下、変換能力とします。)を同時に使うイメージだ。覇気を纏いながらの六式もそうだ。でも、同時展開が出来ない以上、上級者には簡単に対処されてしまう。しかし、ウチはそれを解決できる手がかりを勇儀との試合で感じた。

 

「パルの言うとおりだけど、そのことは解決できるかもしれない。・・・ま、あくまで可能性の話だけどね。」

 

「そう。無理だけはしないでね。」

 

「ありがと、その気持ちは受け取っておくよ。」

 

 その言葉に少し照れたのか、顔を少し紅くしていた。

 

「・・・。で、その解決策は何なの、教えてくれるかしら?」

 

 可愛い顔をもっと眺めていたかったが、パルが理由を聞いてきたので話をすることにした。

 

「能力の同時展開は出来なくても、ウチが知識にある技術を身に付け、同時に能力を発動することが出来るかもしれないということ。」

 

「あ、そうか。それなら能力に頼らなくても同時転換が可能ね。・・・ん?」

 

 体を柔軟で慣らしながら、パルの質問に答えた。パルはウチの説明に納得したと思ったら、新たな疑問が生まれたようで首を傾げた。

 

「でも、それは架空の物語の技よね?いくらなんでも、それを現実で能力を使わずに再現は出来ないんじゃないの?」

 

 確かに、常識考えればパルの意見は正しい。だが、

 

「パル、ここがどこか忘れたのか?」

 

 ウチは笑いながらパルを見た。

 

「ここ?」

 

「そう、ここは外の常識が通用しない幻想郷だ。外の幻想が常識になり得る幻想郷だ。なら、やってみる価値は十分だ。」

 

「・・・そうだったわね。ここは幻想郷、妖怪の最後の楽園にして幻想が集う場所。」

 

 ウチの言葉に目を見開き、驚いたパルが目を閉じ、静かに呟いた。その呟きは小さなものだったが、この空間中に響いた。

 

「まったく、ホントに静海さんが外の人間か疑わしいわ。」

 

 パルが冗談を交えて、苦笑しながら話しかけてきた。

 

「なら、私からは何も言わないで見守ることにするわ。」

 

「・・・ありがとう、パルスィ。」

 

 ホントにいい女だ、ウチには()()()()な。

 

「じゃ、少し集中するから。」

 

「ええ、私の事は気にしないで。キリのいいところで声を掛けて頂戴。」

 

 どうやら、さっきのウチの言葉は聞こえていないようだった。パルは言いながら、近くにあった低い岩に腰かけ持ってきた本を読み始めた。ウチはそれを確認すると思考を始めるべく、眼を閉じ集中した。

 

(幻想郷だからだけが理由じゃない。あと1つの方がメインだ。)

 

 思い出されたのは、勇儀との試合での最後の瞬間。勇儀の動きを体を張って制限し、ビーズ爆弾を盃に投げ、爆発した瞬間。

 

(あの時、変換能力を発動した後にすぐ武装色の覇気で爆発のダメージを軽減するつもりだった。でも、勇儀に抱え込まれる瞬間、まだ変換能力発同中に弱いが、本当に弱かったけど武装色の覇気を纏えた気がした。そのおかげでダメージを軽減できた。これが意味することは、今の素の状態のウチでも覇気を使えるということ。それも、能力を使わずにだ。これは、能力で使っている内に体が覚えたという可能性がある。)

 

 そう、今考えていることが正しければ、ウチはまだまだ強くなれる可能性を秘めていることになるのだ。ここ幻想郷は外の幻想が常識になれる。なら、アニメや漫画の技や力を人間が使えることにもつながるはずだ。なら、()()()()()()だって使えるはずだ。使えるのなら、地道に素の筋力を鍛えなくともある程度の攻撃力と防御力をのぞめるはずだ。

 ウチは集中し、ある作品の力の使い方を思い出し、能力に体をゆだね始めた。心の中は楽しさで一杯だったことは覚えている。

 

 

●修行2日目

 

 「おーい、静海ー!」

 

 修行2日目となり、静海が新しい力の習得に集中していた時に勇儀が大声を出しながらやって来た。

 

「やってるかー?って、やってるな。」

 

 岩陰から勇儀が出てきて、立っている静海と座って読書をしているパルスィを視界に収めた。

 

「ちょっと、そんなに大声を出して、修行に集中できないでしょ。」

 

 パルが読書を止め、勇儀を注意するが

 

「いや、いいよパル。少し休憩にしよう。」

 

 注意するパルスィを制止して修行を一旦止め、勇儀の方に体を向ける。どうやら修行を行っている本人は気にしていない様子だ。

 

「で、わざわざ修行中に何の用事?」

 

「いやー、邪魔して悪いな!実は、頼まれていた物が手に入ったから、一刻も早く渡したくてな。」

 

 静海の質問に答えながら、勇儀は持っていた風呂敷を地面に置き、広げて中身を2人に見せた。

 

「これって・・」

「もしかして・・」

 

「そう、注文通りの知り合いが昔使っていた重りだ。」

 

 勇儀が持ってきた物は静海が勇儀に頼んでいた体を鍛える為の重りだった。手首と足首、腰に付けるようで合計5個の重りがある。形は円の真ん中に穴が空いているタイプだ。

 

「おお、悪いな。これで日常でも体作りできるわ。」

 

 静海は重りに満足したようで、嬉しそうに勇儀にお礼を言った。

 

「いいさ、これ()約束だからな。鬼は約束は守る。」

 

 言葉に不思議な含みがあるようだが、静海は気にしていないようだ。それほど、嬉しかったようだ。

 

「で、これはどうやって付けるのよ?」

 

 パルスィが重りを見て不思議そうに聞いてくる。

 

「ああ、これは重りにある出っ張りを押すと2つに分かれるから、それを付けたい箇所で合わせれば大丈夫だ。」

 

 勇儀はデスチャーで付ける様子を2人に伝える。

 

「分かった、早速やってみる。」

 

 静海は重りを各箇所に付け始めた。

 

「・・・ねえ、あの重りって貴方の元同僚のあの人の?」

 

「ああ、そうだ。あいつは昔から生真面目な奴だったからな。重りも自分で作ったんだ。」

 

「やっぱり!ちょっと待って静海さん!」

 

 パルスィが勇儀の返事で何か分かったようで、急いで静海を止めに入ろうとした。

 

「え?何が?」

 

 しかし、静海は最後の重りを腰に付けようとしていた。そして、重りをカチャっと嵌めた途端に

 

「!な、なんだっ!こりゃっ!」

 

 静海が突然上から目に見えない圧力に押しつぶされそうになっている。静海は頑張って踏みとどまっている。静海の足元に少しヒビが入っている。

 

「当然よ!それは鬼が使っていた重りよ!」

 

 そんな静海をパルスィは叫びながら心配している。

 

「ど、どおりで・・・重い、はず、だ。」

 

「まあ、普通の人間なら今頃、地面とゴッツンコだ。よく持っていて私は驚いているぞ?」

 

「あ、新しい、力の、お、おかげ、だ。でも、だま、100%の、さ、再現は、無理、のようだ。」

 

「今どれくらいなの!?」

 

「原作、みたいに、覚醒、してない、から、多分1割、いって、いるかわからない!」

 

 どうやら、静海が新たに習得した技によってギリギリ踏ん張っているようだ。大量の汗を流しながら、足を大股に開いていた。

 

「なら能力を使って覚醒でも何でも早くやらないと!」

 

 パルスィが静海を心配するあまりに大声で、能力の発動を促す。

 

「む、無理。今回、習得した、能力は、他人から、無理矢理起こして、貰うか、自分で習得、す、する、以外に、方法が、ない!」

 

 都合がいい話はないようだ。

 

「私たちが手伝えることは?」

 

 パルスィとは対照に落ち着いている勇儀が静海に尋ねる。

 

「げ、限界まで、新能力、の、習得に、励むか、から、倒れた、ときの、介抱、よろ!」

 

「ああ、分かった。」

 

 勇儀は頼りにしなさいっという感じで返事をした。

 

「わ、私は何をしたら・・」

 

「き、筋肉痛、確定、だから、よ、よく効く、湿布でも、用意、しておいて!」

 

「分かった!用意してくる!」

 

 パルスィは静海の要求に大きく返事して、旧都へと飛んで行った。

 

「・・・きつかったら、重りを外してもいいんだぞ?何でそこまで頑張るんだ?」

 

「あ、憧れ、から、だ!」

 

「憧れ?」

 

「空想、上の、人物、だったと、しても、憧れは、ある!それに!面白いから!」

 

 余裕がないのか、静海は質問に急ぎ足で答えた。そんな静海を見て勇儀は笑みを作った。

 

「再戦、楽しみにしてるぞ?」

 

「お、おうっ!」

 

 勇儀は静海から少し距離をとり、地面に座り修行風景を見ながら酒盛りを始めた。

 

 

●3日目~9日目

 

 日にちが7日間あいたが、それは静海の修行が1パターンとなっていたので、簡単に説明をしよう。

 修行2日目で静海は倒れ、地霊殿に運ばれベットに寝かされた。ちなみに2日目は藍が地霊殿を訪問する日でもあったので、静海の様子に心配したのは当然だった。鬼の秘薬もそうそう無駄に使えないので地上にある永遠亭に湿布を注文することになり、藍はパルスィを連れ永遠亭に向かった。

 

 静海が起きたのは3日目の朝だった。そんな静海を襲ったのは激しい筋肉痛だ。起き上がることが不可能なほどの痛みを感じた。しかし、永遠亭が作った特性湿布のお蔭で痛みを軽減できたようで夕方には歩けるようになった。地霊殿を歩き回っていた静海をパルスィが発見し、皆を交えての説教が始まったのは当たり前だった。

 

 4日目からは永遠亭から赴いた永琳という人物とパルスィ、さとりの3人による修行の管理が行われた。ちなみに永琳曰く、普通の人間なら1ヶ月は歩けないほどのダメージを筋肉は負っていたようだ。しかし、静海のダメージ回復力に驚き、興味を持ったのか静海をしばらく観察することを条件に修行中の主治医となることになった。

 

 5日目から9日目の5日間は、静海が修行→倒れる→永琳がその場で薬や湿布を製作→回復→修行、のサイクルとなった。でも、新たな能力の覚醒が近づいているのか、倒れてからの回復までの時間が短くなっていった。永琳も長く人間を見てきたが、ここまで成長が早い人間を見たことがなかったようで大変驚いていた。本業の薬剤師の仕事は紫がスキマを地霊殿と永遠亭を繋げているので、支障はない。

 ・・・六式の1つの脚で鎌鼬を起こす技『嵐脚』を試し、股をおもいっきり開きダメージを受けて半日その場で蹲ったりしていた。

 

 そんなこんなで、静海は新能力をおよそ2割くらいの習得に成功した。重りも最初より重く感じないようで倒れることはなくなったが、それでも日々筋肉痛の痛みと戦っていた。

 

 以上で、簡単な説明は終わりにして、修行10日目に移ることにしよう。

 

 

●修行10日目

 

 修行が始まって10日目となったが、勇儀から貰った重りにまだ体がついていけない。藍とパルが呼んできた八意 永琳(やごころ えいりん)と言う薬剤師が作った湿布や飲み薬のお蔭でなんとかやっていける。いや、その効力がすごいのなんの、こう湿布をはった瞬間の筋肉が冷やされほぐれていく感覚が実感できるほどだ。未来の猫もビックリするに違いない。本人いわく、『あらゆる薬を作る程度の能力』を持っているそうだ。とてもおもs・・・いや、大変興味深い能力なので時間があればじっくり話を聞きたい。ウチは経敬意を表して八意先生と呼んでいる。本人も承諾している。

  

 そんな八意先生だが、どうやらウチの具現化能力に興味があるようで話を聞きにやってくる。他にどんなマンガやアニメの知識があるのか、何か不死に関することを中心的に聞かれたがなんでだろうか?見聞色の覇気で意思を聞けばいいのだが、お世話になっている人にそんなことは出来ない。・・・あと、髪の色以外はウチの好み、DO!ストライクなのはさとり以外にばれていない筈だ。あのお姉さん系のオーラ!背も高い!髪も長い!何この好みの3拍子。いやあ、幻想郷にやって来て最初に会ったら告白していたはずだ。そういう意味では警戒している相手である。

 

 先生の話はここまでにして、今ウチは修行場でさとり、パルの2人の監視の元で修行を行っている。まだ筋肉痛が残るが、気にしては何時までたっても強くなれない。

 

「無理しないで、もう少し休んでから修行再開しないの?」

 

 パルが心配している顔をしながら、聞いてくるがここで引くことはできない。自分に負けた感じがするのだ。

 

「いや、時間は無駄にできないし、少なくとも習得率を5割にはいきたい。」

 

 体をリラックスし、眼を閉じ立ち尽くす。この修行は感覚を掴めれば一気に広がるはずなので、意識を集中し感覚を掴もうとした。

 

「ちょっといいですか?」

 

 珍しいことに、さとりが話しかけてきた。さとりは人の心が読めるので、人が集中していることを中断しないと思っていた。

 

「なんだ?」

 

 修行を中断し、さとりに意識を向ける。

 

「失礼を承知で意見を言わせてもらいますが、なぜ剣を使わないのですか?」

 

「!?」

 

 心が読めるさとりなら、いつか言われると思っていたがここで言われるのは想定外だった。

 

「剣を使うのが、本来あなたの勝負スタイルと思います。集中力も段違いでしょう。」

 

「・・・・・。」

 

 それはウチが一番知っている。だけど、

 

「そう簡単に過去を振り切れないのは分かります。ですが、それは結構小さな問題です。」

 

「・・・小さいか・・・」

 

「ええ、私から言えばくだらないです。私たちは気にしません。」

 

 さとりの言葉は正しいはずだ。理性では理解しているが、熱い感情が心の底から込みあがってくる。

 

「それに、あの方々はきっとあなたのことを・・」

 

「うるさいっ!!」

 

「っ!・・・」

「!?」

 

 ウチらしくないく、怒りと焦り、後悔といった様々な感情が混じった大声を出してしまった。さとりとパルはとても驚いた顔をしている。さとりはすぐに無表情になり、パルはウチをさとりを交互に見て、どうすればいいか分からずオロオロしている。

 

「・・・ごめん。今日はここで修行終わりだ。先に部屋に行くから。」

 

 その場から逃げるように重い体を引きずるように地霊殿の自分の部屋に戻ることにした。無言で隣りを素通りするウチをパルは心配そうに見ていた。

 

 

 

 

 

 私は黙って横を通って行く静海さんに何も声を掛けることが出来なかった。静海さんの姿が岩陰に隠れるまで視線を外せずにいた。声を掛けるべきだったと迷ったが、下記ほどのさとりとのやり取りから静海さん自身の問題と推測される。静海さんのことを簡単な自己紹介くらいしか知らない私では、声を掛ける資格はないのだろう。

 

「・・・・・・。」

 

 私の隣でさとりは無表情まま黙っていた。さとりの様子は過去に見たことがある、覚り妖怪の表情だ。誰にも自分の心を覚らせず、相手の心を読む時の表情。

 でも、私には分かる。覚り妖怪であるために、お節介を焼いてしまった自分への妖怪としての性に嫉妬が感じられる。さとりも静海さんを思うがあまりに、無意識にとってしまった行動なのだろう。その証拠に、既に見えなくなった静海さんの後を黙って目を逸らせずにいる。

 

「・・はり、・・なの・しょうか。」

 

 さとりが小さい声で何かを呟いた。はっきりと聞き取れなかった。

 

「・・・やはり、無理なのでしょうか。妖怪と人間が共に生きるということは・・・」

 

「それは・・・」

 

 さっきとは違い、はっきりと聞こえた言葉に私は答えることが出来なかった。私が人間だった頃から妖怪と人との間には埋めることができない深い溝があった。人から妖怪となった今なら、人が妖怪を恐れたことを昔より理解できる。

 だから、もし静海さんも私達妖怪を恐れることになると考えてしまう。嫌だ。嫌われたくない。離れて欲しくない。

 もしかしたら、昔から人と共に生きたかった妖怪もいたのではないかと感じられた。今の私の様に、隣りのさとりの様に。でも、現実は残酷なものだ。

 

「・・・・・」

「・・・・・」

 

 私達2人は沈黙していた。どのくらいの時間その場に立っていたのか、どうやって家に戻ったのか私はあまり覚えていない。

 

 

 

 

 

 パルとさとりに悪いことをしたという後悔と自分自身への怒りが占めている頭を冷やすために地霊殿の自分の部屋に戻っていた。戻る途中に誰とも会わなかったのが少し救いとなった。確実にやつあたりをしてしまだろう。

 

「あら?静海さんじゃない、どうしたの?」

 

 どうやら神様はウチの事が嫌いのようだ。もう少しで部屋に到着する最悪のタイミングで人と会ってしまった。

 

「随分早いけど、修行を終えたのかしら?」

 

 タイミング悪く会ってしまった人物は永琳先生だった。落ち着いた感じが此方にも移ったのか、それとも事情をしらない人だからか先ほどより気持ちが落ち着いていった。

 

「・・・はあ。・・・ええ。ちょっと体に無理をさせたのかもしれませんので、今日は何時もより早く終わりました。」

 

 息を吐き、永琳先生に気づかれないように注意しながら適当な理由をでっち上げた。

 

「それはいい事ね。貴方の体調を管理する立場として、自分の体のことを気にしているのは嬉しいわ。」

 

 先生はウチの苛立ちに気づいているのかいないのか、顔を見る限り分からない。返事からして、何も感づかれてはいないと願いたい。 

 

「・・・では、ウチはこれで。早く休みたいので。」

 

 ボロが出ない内に部屋に戻ろうとした。

 

「ああ、待ちなさい。少し聞きたいのだけど、いいかしら?」

 

「・・・手短にお願いします。」

 

 いつも世話になってりるので、先生のお願いは無視できない。ウチは手早く終わらてもらうようにお願いした。

 

「ありがとう。今後の薬の作成に必要なデータとなりそうだから。・・・貴方、何か武道の経験があるわね?」

 

「っ!?」

 

 ここでその質問とは、先ほどのさとりとのやり取りを覗かれていたのか疑ってしまった。もしかしたら、顔に出ていたのかもしれない。

 

「・・・なんでそう思ったのですか?」

 

「私も少しばかり弓を嗜んでいるのよ。その経験から、貴方の日常に武道経験者、特に剣道かしら。足運びや何か物を握るときが特徴的でその考えに至ったわ。」

 

 普段気にしていない動きをそこまで観察されていたとは・・・。驚愕を通り過ぎて、ため息しかでない。

 

「はぁ・・そうですね。先生が言った通りに、剣道を昔やっていました。」

 

「ありがと、素直に教えてくれて。じゃ、今後の薬や湿布の作成に役立てるわ。邪魔してごめんなさい。」

 

 先生はウチの答えに満足したのか、踵を返して廊下の奥へ消えていった。

 

「・・・・」

 

 先生のお蔭といっていいのか、少し気持ちに余裕が出来た。でも、消えたわけではない。ウチは自分の部屋へ戻って行った。

 

 

 部屋に戻り、ウチはベットに寝転がっている。思い出されるのは、さとりのやり取りで自分が取った行動の後悔。それと、過去の出来事。

 ウチが最も面白い事に夢中になっていった頃に起こった出来事。周りの反応。忌まわしき記憶。それらが頭に渦巻き、モヤモヤした気持ちが膨れ上がってくる。何よりも、自分自身に対する嫌悪感。

 

「さとりとパルには明日、改めて謝ろう。」

 

 そう心に刻み、ウチは早く気持ちの切り替えをしたいのいで、このまま眠ることにした。

 

 

 




次回予告!!

自らの行いに嫌悪した静海は眠りに就くことににしたが、それがある出来事を引き起こす引き金になった。

「な、なんだここは!?」

自室で眠っていた筈なのに、知らない場所で起きた事によって驚きを隠せない静海。

「知らない筈の場所なのに、知識に情報がある。どういうことなんだ?」

この変な空間は一体なんなのか?考えている静海の前にある人物が現れた。

「なあ、ここドコだかしらね?」

「お、お前は!?」

その人物とは一体誰なのか、この空間の秘密とはなんなのか!?

次回 悦楽な人間の幻想放浪録

特別編01『新たな出会いの法則』

お楽しみ!!


今回は新キャラとして、幻想郷のド〇えもんの1人でもある永琳先生を登場させました。
これで竹林組とも関わり易くなったと思います。(-_-;)

活動報告に色々書いていますので、よければご覧ください。
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