オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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16話ですよー春ですよー・・・え?冬?・・・あ、はい。

今回は何だか短いですよー(なお次話は1万2千文字を超えている模様)批判が増えそうで怖いですよー:(´◦ω◦`):ガクブル


16話「教えてあげましょう兎さん、私は対人特化なんです」

「よ――ようむ!妖夢!」

 

タケの声で目が覚める。・・・数百回と見た天井だ・・・。って睡眠貪ってる場合じゃねぇ!更新更新更新!更新だタケ!ステイタス!ステイタース!

 

「タケタケタケっ!更新です更新!ステイタスを更新ですよっ!」

 

「うおぉ!?朝っぱらからテンション高い!?」

 

「むむむ、そんな事を言ってる場合じゃないですよ!更新するんです!」

 

「わ、わかったわかった。・・・少しは落つけ、なんだ?いい夢でも見たのか?」

 

良いか悪いかで言われれば良い夢だと思う。黒いシルエット君は若干怖かったし、駄神はいつも通りウザかったし。・・・あれ?いい夢か?これ。

 

「はい!多分、恐らく・・・きっと・・・?」

 

俺のそんな返答にタケやいつの間に居たのか知らないが桜花達も笑っている。

 

「ウフフ、確に目が覚めると夢の内容を忘れてしまう事ありますよね!でも何故そんなにステイタスを更新したいのですか妖夢殿」

 

笑いながら聞いてくる命、誰もがこの瞬間を楽しんでいるのだろう、もちろん自分もだ、いや、誰よりも楽しんでいる自信があるね!俺はグリモア・・・と言ってしまうときっとタケが青ざめて泡を吹きひっくり返ってしまうので辞めて、夢の話しをする。

 

「魔法が発現しそうなんです!」

 

・・・おい?夢、夢の話しをしようよ、夢の話しを。ストレートだねぇ、まぁ夢の内容は忘れたと捉えられてたし寧ろ好都合だけど。

 

「魔法が?」

「ほんとなの妖夢ちゃん?!」

「それは本当ですか妖夢殿!!」

「ハハハ、まだ寝惚けてるのか?」

 

あれー?おかしいな、タケが遠い目をしながら現実逃避してるように見える・・・いや、そんな訳ないか。ホントだぜ!きっと凄い魔法が・・・だ、大丈夫だろうか?駄神の事だし本気で「じゃが丸君召喚魔法」とか送ってきそうだ。少し怖いが仕方がない、さっさと更新だ!

 

「そうと決まれば早速更新です!」バッ!

 

「グハァッ!?」

 

ん?なんだ今の重々しい打撃音は

 

「桜花のエッチぃ!!」「桜花殿の不埒者!」

「・・・俺が・・・何、したって、言うんだ・・・」ガクッ

 

・・・見てはいけない物を見てしまったようだ。

 

「妖夢殿!あれほど言ったのに何故守れないのですか!」

「そうだよ!男の人の前で服を脱いじゃだめだよ!?」

 

えー?別に桜花は家族だから問題ないだろ、このファミリアでは女の子の方が強いんだ・・・あ、そう言えばべートが前にもこんな風に・・・何時か謝っとこう。

 

「家族だから平気ですよ」

 

俺の言葉に2人ははぁとため息を着く、するとタケがそんな様子を微笑ましそうに見ているのが俺達の目に映った。

 

「「タケミカヅチ様のぉ・・・!」」「ん?どうしたんだ命、千草」

 

「「すかぽんたん!!」」「なんでoぶべらっ!」

 

・・・こうして平和な1日は始まったのです。はい。

 

 

 

 

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【魂魄妖夢】

 

所属:【タケミカヅチ・ファミリア】

 

種族:半人半霊

 

【ステイタス】

 

Lv.2

 

「力」:D523→D530+7

「耐久」:E430 →E436+6

「器用」: A836→A853+17

「敏捷」:A812→A863 +51

「魔力」: E403→E420+17

「霊力」:D552→D570+18

 

アビリティ:集中 G+

 

スキル

 

【半霊 (ハルプゼーレ)】

 

・アイテムを収納できる。収納できる物の大きさ、重さは妖夢のレベルにより変化する。

・半霊自体の大きさもレベルにより変化する。

・攻撃やその他支援を行える。

・半霊に意識を移し行動する事ができる。

・ステイタスに「霊力」の項目を追加。

・魔法を使う際「魔力、霊力」で発動できる。

 

【刀意即妙(シュヴェーアト・グリプス)】

 

・一合打ち合う度、相手の癖や特徴を知覚できる。打ち合う度に効果は上昇する。(これは剣術に限られた事ではない)

・同じ攻撃は未来予知に近い速度で対処できる。

・1度斬ればその生物の弱点を知る事が出来る。

・器用と俊敏に成長補正。

 

【剣技掌握(マハトエアグライフング)】

 

・剣術を記憶する。

・自らが知る剣術を相手が使う場合にのみ、相手を1歩上回る方法が脳裏に浮かぶ。

・霊力を消費する事で自身が扱う剣術の完成度を一時的に上昇させる。

 

【二律背反(アンチノミー)】

 

・前の自分が奮起すればする程、魂が強化される。強化に上限はなく、魂の強さによって変化する。

・使用する際、霊力が消費される。

 

魔法

 

「楼観剣/白楼剣」

 

詠唱①【幽姫より賜りし、汝は妖刀、我は担い手。霊魂届く汝は長く、並の人間担うに能わず。――この楼観剣に斬れ無いものなど、あんまりない!】

 

詠唱②【我が血族に伝わりし、断迷の霊剣。傾き難い天秤を、片方落として見せましょう。迷え、さすれば与えられん。】

 

 

詠唱「西行妖」

 

【亡骸溢れる黄泉の国。

咲いて誇るる死の桜。

数多の御霊を喰い荒し、数多の屍築き上げ、世に憚りて花開く。

嘆き嘆いた冥の姫。

汝の命奪い賜いて、かの桜は枯れ果てましょう。

花弁はかくして奪われ、萎れて枯れた凡木となる。

奪われ萎びた死の桜、再びここに花咲かせよう。

現に咲け───冥桜開花。西行妖。】

 

【ーーーーーーーー】

 

 

「???」

 

覚悟せよ(英雄は集う)

 

超短文詠唱。

補助の詠唱が必要。

 

 

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・・・うん?どういう事だってばよ?タケ写し忘れか?魔法の名前がわからないじょのいこ。

 

「タケ?魔法名が分かりませんよ?」

 

「さぁな、初めからそうだったぞ。・・・にしてもほんとに発現していたとは・・・」

 

まぁ、魔道書(グリモア)読んだしね?・・・詠唱が短い・・・来たな、これは来たわ。やっと戦いの途中で使いやすそうな魔法来たわ。・・・でも【覚悟せよ】・・・か、自分に言ってるのか、相手への注告なのか・・・。補助の詠唱ってなんぞ、魔法名も解らないんじゃあ困るな〜。

 

「まぁ魔道書(グリモア)読みましたし、当たり前ですよね!」

 

その時、世界が凍った。・・・おいぃ、やっちまったよ・・・そういうのは言わなくていいの!気が緩んでたぜ・・・。

 

魔道書(グリモア)を・・・読んだ?妖夢が・・・?」

 

額から冷や汗が垂れる、少しづつではあるもののタケからゴゴゴゴゴッ!と凄まじい怒気が。

ああ、終わったな。・・・だが何もせず怒られるつもりは無いぞタケ!これはオッタルに貰ったんだ!

 

「これはオッタルさんから貰ったんです・・・よ?タケ?あの少し落ち着いて・・・」

 

タケの目から光が消えた、全員が呼びかけ何とか光を取り戻したモノの「うおぉぉあぉあ」とか言いながらゴロゴロと転がり回ってしまう。・・・やっちまったZE☆次オッタルにあったら値段聞いとかないとな。俺が返してみせる!

 

「私がちゃんと返してみせますから平気ですよ!」

 

んな事より魔法がどんなものかが大切なんだ!

 

「それでは魔法の研究ですっ」

「「切り替え速!」」

 

 

 

 

庭先に出た俺は刀を抜き心を静める、イメージは暗い湖面、波紋は生じず、風もない。よし、行くぜぇ。

 

「【覚悟せよ(英雄は集う)】!」

 

この魔法に名前は無く、どんな効果が有るのかも不明。けれどきっと悪い効果ではないはず、それだけは何となくわかった。何だかんだ言ってあの駄神はこういう時は裏切らないんだ。そう、こんな風に。

 

――――――――――ん?あれ?何も・・・おきてねぇ・・・。

 

「よ、妖夢殿?何か・・・起きました?」

 

緊張した面持ちでこちらを伺う一同に俺は錆び付いた機会のようにギギギと振り返る。

 

「な、何か起きました?」

 

質問に質問で返した俺に待っていたのは痛すぎる沈黙だった。

 

あ、あ、あの野郎おおおおおおおおおおぉお!いつかぶった斬ってやる!!覚悟しとけよぉおお!

 

 

 

 

 

 

魔法の研究に丸一日費やした俺は次の日ロキ・ファミリアに向かっていた。理由は簡単、俺の中では魔法=リヴェリアという計算式が完成しているのだ。とりあえず魔法の事ならリヴェリアに聞こう、そういう訳でロキ・ファミリアに向かっているのだ。

 

そして俺の目の前には2人の門番が、2人とはもう顔見知りと言っても過言じゃ無いだろう、ほら、コッチに手を振ってるし。勿論俺も振り返して事情を説明する。

 

「なるほどな、わかった少し聞いてくるよ。少しの間待っててくれ」

 

ロキ・ファミリアの中での俺の立ち位置は客人、しかし俺が無理を言って普通に接するように言ったのだ、一回目来た時は無愛想、出ていく時は緊張した面持ち、2回目来た時はうわ、きたよ、て感じだったし。こっちの方が絶対にいい。だいぶ仲良くなれた気がする。ま、名前とか「門番さん」だけどね。もどって来た門番と話しをしていたのだが、どうやらアイズ達はダンジョンらしい、夕方には帰って来るらしいが、・・・どうしようか、ダンジョンでも行こうか。ちなみにべートは居るらしい、けど魔法は得意分野じゃ無さそうだしいいや(謝る事が頭からすっぽ抜けている)

 

 

 

 

 

俺がダンジョンに向かっていると広場に目立つ白髪の少年を見かけた。ベル君だ。・・・うーんと、確かそろそろゲドとかそこら辺の奴らに話し掛けられる所かな?だって奥の林みたいな所にリリと・・・狸みたいなのいるし。

 

ここはあれだな、平然を装ってだな、こっそり近付いて後ろからサクッと、・・・っていやいや別にどうせアイツら死ぬしわざわざ殺さんでもいいか。それにまだ人殺ししたこと無いしね、これからもしたくないさ。

 

という訳で現在高速で対象に接近中。おーっとベル選手怒りをあらわに相手を睨みつけた!そしてゲド選手が凄みを利かせ・・・ようとして吹っ飛んだぁぁあ!

 

「ぐへぇ!」

 

・・・あ、ヤベ。

 

「よ!妖夢さん!?」

 

「貴方は何も見ていない、いいですね?」

「あっはい、じゃなくて!何やってるんですか!?」

 

えー、これは、その、致し方のない犠牲、つまりコラテラルダメージというものであり・・・とかふざけている場合ではないのでーうーん、多分傍から見たらカツアゲされてるように見えなくもないか?白々しいが仕方ない、純粋なベル君なら騙される筈だ。ごめんよ!

 

「いえ・・・その、恫喝され金品を取り上げられているのかと思いまして・・・違いましたか?」

 

その一言にベル君はビクッと肩を震わせる。そりゃそうだ、まさに目の前でカエルの如くひっくり返っているゲコ、もといゲドはリリルカから金品を奪おうとしているのだから、それもベル君を使って罠にはめようと。

 

「ちち、違います!そう言うのじゃなくてその話し掛けられただけと言うか・・・その」

 

あちゃーベル君、そんなんだからリリルカに疑われてまうのよ?男なら本当の事を言いなさい!(自分の事は棚より上に上げたぜ)まぁいいか、リリルカが来るまで待って・・・うわ、ベル君の後ろにいるし・・・気付けよベル君。

 

「ベル様?」

「うわぁ!?・・・ってリリか、ビックリしたよ!大丈夫だった?」

 

べるくーん、冷や汗が出てるぞー、後ろめたい事を隠してますって顔が言ってるぞー。

 

「リリは大丈夫です、ベル様、冒険者様と何かお話しなさっていたのですか?」

 

リリルカはしゃがみ込みゲドの頭をツンツンして「コイツと何か悪い事話してただろ、おん?」と言外に主張している。ベル君、ここでキチンと言わないと駄目だぞ?

 

「ベル・クラネルさん、何があったのか説明しなくてはリリルカの信用を失いますよ?」

「うっ、それは・・・嫌です。」

 

ベル君は考え込むように黙り込む、きっとどんな風に説明したら良いのか、とか、話していい事なのか、とか考えているに違いない。まぁいいか、リリルカとお話しをしていよう!

 

「・・・リリルカ?何があったのか説明してくれませんか?」

「それはリリも聞きたいです、何でこの人は此処で寝ているんですか?」

 

ゲドを今度は足でチョンチョンとつつき「どないすんねん、これでもっと追いかけられるかもしれんやろ」と俺に訴えかけるリリルカ。すまん、止まれなくて膝が首に横から入ったんだ、・・・つかコイツ良く気絶で済んだよな。でもほらそれだと俺が悪い奴になっちゃうし、ベル君を助けようとしたんやで?って事にしとこ。

 

「ベル・クラネルさんが恫喝されている様に見えたので助けに来たんです・・・少し・・・やり過ぎましたけどね」

 

「少・・・し・・・?泡吹いてますけど?」

 

「・・・・・・・・・少し、力加減を間違えました。」

 

何故だ、なぜそんなジト目で俺を見ているんだリリルカ・アーデ、なんだその残念な他人を見る目は、普通はありがとうございますじゃないの?雇い主助けたんだよ?いや別に襲われてた訳じゃないけどさ。そんな話をしているとベル君はゴクリと唾を飲み込みこちらを向く。・・・ほう?話すのかな?

 

「何があったかはいえません!」

 

・・・はい?おいおい少し見損なっ「でも!」・・・でも?

 

「・・・事情を話すことは出来ないんです、けど、助けて欲しいんです。」

 

不安げな瞳が俺を見る。

助けて欲しい?・・・ベルなら余裕で勝てそうだけどなぁーアイツら、・・・いや、もしかしてあれか、今回のみならずああいう輩から守って的な?

 

「無理を言っている事はわかってます!でも・・・」

 

拳は固く握られておりきつく瞑られた瞳は何を見ているのか。・・・・・・ふむ、ここはカッコよく行く所じゃないか!?よっしゃー!来たぜー!イケ妖夢降臨!まずはフッ、と笑ってだな・・・。

 

「握った拳を開いてください、それでは障害を跳ね除けることは出来ても大切な者の手を取れません。瞑った瞳で見るのは何ですか?暗闇?過去の自分?・・・目を開いてください、貴方が見るべきはそんな物では無いはずです。」

 

ドヤァ・・・。自分でも何を言ってるかわからなくなりそうだったがそこは置いといて。ベル君は手を開き、目を開いた、そこにあったのは覚悟。リリルカを助けたいという願い、助けるという決意。・・・いい目をしているじゃないか。

ならば教えてやろうベル・クラネル。俺は対人特化だと。ドヤァ

 

「教えてあげましょう、兎さん、私は対人特化なんです」

 

 

 

 

 

僕はリリとダンジョンに向かう為、いつもの広場に来ていた。円形広場には武装した戦士達が集まり賑やかだ。

 

集合場所を探してみたけどリリの姿が見えない、まだ来ていないのかな・・・?

珍しいと思いながらバベルまで赴こうと歩き始めた所で偶然リリを見つけた。涼し気な木陰の下で冒険者らしき男達と共に。

 

『・・・・・・いいからっ・・・・・・寄越せっ!』

『もうっ・・・・・・ない・・・・・・ですっ!本当に・・・』

 

言い争う声が少し離れた僕の元にも届いてくる。焦った僕は彼らの見えない広葉樹を避けてリリを助けるべく飛び込もうとした。

けど。

「おい」

「!」

肩をつかまれる。この前に路地裏で出会った冒険者の男だった。どうやら人違いをしているようでリリをあの時のパルゥムだと思っている様だ、半ば反射的にそう言い、しかしバカにされてしまう。まるでお前は騙されている、そう言っているかのようだ。鵜呑みにはしないけど。

 

「それよりお前、俺に協力しろ。・・・・・・タダとはいわねぇ、報酬はやるしアレから金を巻き上げたら分け前もやる。・・・・・・あのチビをはめるんだ」

 

驚き言葉を失っている間も男の話は続く、普段通りを装ってダンジョンに潜り、リリを襲うらしい・・・巫山戯ている、寒気と嫌悪が体中を駆け巡る。拳を・・・握りしめる。

 

「何で、そんなことを言うんですかっ・・・?」

「よぉく考えろ、はいって言えやぁ金が手に入る、しかもアレはただの荷物持ち(サポーター)だぜ?」

 

沸点が限界を超えた、怒りが僕の体を支配する。

 

「絶対にっ、嫌だっ!」

「糞ガキがぁ・・・ぐへぇ!」

 

男の凄味を利かせた顔が一瞬にして真横に押しやられた。驚ろき男から目を外して、先程まで男が立っていた所を見る。そこには妖夢さんがいた。

 

「妖夢さん!?」

「貴方は何も見ていない、いいですね?」

「あっはい、じゃなくて!何やってるんですか!?」

 

陽の光を受け輝く銀の髪を、そよ風に揺らしらしながら少し引きった顔でそういう妖夢さんに僕は驚く。何でここに妖夢さんが?妖夢さんの顔を見た途端、首が痛み出す、怪我をしているわけじゃないけどアレは痛かった。ステイタスを更新したら凄い耐久が上がってたし。それに今膝蹴りをぶち込まれた男も首をやられている、泡吹いてるし。

 

妖夢さんは少し困った様な考える様な素振りを見せ、しかし答えてくれる。

 

「いえ・・・その、恫喝され金品を取り上げられているのかと思いまして・・・違いましたか?」

 

僕は慌てる、妖夢さんは鋭い、あの時の反射神経もそうだけど。でもこの件は関わらせちゃいけない、金品を取り上げられそうなのはリリのほうなんだ、・・・けど、そんな事を妖夢さんに言ってどうなる、一応この子だって僕より年下なんだ。

それにリリの事情は僕もハッキリ知ってる訳じゃないし、余り人には知られたくない筈だ。けれど体はビクッと反応してしまう。

 

「ちち、違います!そう言うのじゃなくてその話し掛けられただけと言うか・・・その」

 

我ながら言い訳がへただなぁ・・・、でも何とか誤魔化さないと。心なしか妖夢さんの目が座った気がする・・・ナァーザさんみたいだ・・・。

 

「ベル様?」

「うわぁ!?・・・ってリリか、ビックリしたよ!大丈夫だった?」

 

そんな後ろめたい事を考えていると突然後ろから声を掛けられる、何時からここに、とか、どこまで聞いていた、とか気になるけど、それよりもリリは大丈夫なのか、その思いの方が先に来た。

 

「リリは大丈夫です、ベル様、冒険者様と何かお話しなさっていたのですか?」

 

何とか誤魔化さないと、男の意識が有るのか確認したリリはこちらを見上げてくる、・・・疑いの目線。どうしよう、そう思っていた僕の元に声を掛ける人が居た。

 

 

「ベル・クラネルさん、何があったのか説明しなくてはリリルカの信用を失いますよ?」

 

妖夢さんだ、どこか心配そうな表情で僕とリリを見比べている、やっぱり鋭い、僕やリリの表情だけでこうやって判断出来ているんだと思う。リリからの信頼を失うなんて嫌だ、絶対に。

 

「うっ、それは・・・嫌です。」

 

でも、神様やエイナさんの注告が頭をよぎる。でも、それとともにリリと一緒に潜ったダンジョンの日々も流れてくる。リリはファミリアに問題を抱えているらしい、助けてあげたい、けどどうすればいいんだろう?さっきは怒りに任せて攻撃しそうになったけど、冷静に考えればまだ人と戦うのは怖い。

 

でもやっぱりリリに嫌われる方が僕は怖い、きっと神様達が言う事は正しいんだろう、その通りにすれば失敗なんかしないんだと思う、でも、僕が助かってもリリはきっと酷い目に会う、それだけは駄目だ、それだけは認めたくない。リリは僕を助けてくれた、何度も。今度は僕が助けないと。

 

僕はリリと話す妖夢さんに向き直る。全部を伝える事は出来ない、リリのプライベートな事だから、でも、僕だけじゃ守れるかわからない。男として恥ずかしいけど、リリを助けられるならそんなの気にしない。

 

「何があったかはいえません!」

 

妖夢さんが顔を顰める、一瞬だけど目が鋭くなった。僕はでも!と話しを続ける。

 

リリが驚いているけど気にしない、今は妖夢さんに伝えなくちゃいけないんだ。速く言わなきゃ前みたいに一瞬でやられちゃうから。

 

「・・・事情を話すことは出来ないんです、けど、助けて欲しいんです。」

 

なんて自分勝手なんだろう、助けて欲しいなんてリリには言われていない、事情を知らない人に事情を教えずに助けてもらおうなんて。

 

「無理を言っている事はわかってます!でも・・・」

 

瞳を固く瞑り、拳を握る。きっと断られる、まだ数回しか会っていない、しかもこの前は疑われて死にそうになったんだ。僕に対する信用なんて妖夢さんからすれば全く無いはず、ミノタウロスに追いかけられる弱っちい冒険者で、武器防具の選び方もわからなくて・・・1人じゃ何も出来ない。それが悔しくて目を瞑った。

 

フッ・・・と鼻で笑うのが聞こえた、あぁ、やっぱり無理か・・・。そう、思った。けど、聞こえてきたのは否定の言葉でも嘲笑の言葉はでも無かった。

 

「・・・握った拳を開いてください、それでは障害を跳ね除けることは出来ても大切な者の手を取れません。瞑った瞳で見るのは何ですか?暗闇?過去の自分?・・・目を開いてください、貴方が見るべきはそんな物では無いはずです。」

 

あぁ、そうか。僕は弱いから笑われたんだ。恐怖と不安から逃げようとしていたのかも知れない。妖夢さんはそれを笑ったんだろう。優しい言葉とは裏腹にその目は鋭い。見定めようとしているのだろう。

 

・・・・・・拳を開く。リリと手を繋いで帰った日を思い出して。目を開く、一緒に冒険したリリの喜怒哀楽の表情が見える気がする。

・・・曇らせたくない。ここで退いたら曇ってしまうかも知れない、思い出が、僕の意地が、リリの笑顔が。・・・覚悟は決まった。

 

肩に鞘ごと引抜いた刀を乗せ、ニヤリと笑いながら妖夢さんは言い放つ。

 

「教えてあげましょう兎さん、私は対人特化なんです」

 

 




戦闘?・・・ゲドと戦ったでしょ?いやぁ・・・ゲドは強敵でしたね。


【原作との違い】

・アイズが未だにダンジョンの中に居る。
・ベル君が隠さずに伝える・・・伝えてないけど。
・妖夢が付いてくる。半霊も憑いてくる。
・ゲドさんが首に飛び膝蹴りを受ける。

【オッタル】

(`・ω・´)「今日も警護に向かうとするか」
5分後
(´・ω・`)?「む?ロキ・ファミリアに向かったぞ?」
数分後
(`・ω・´)「次は広場か・・・ダンジョンに向かうようだな」
数分後
( ・`ω・´)「あれは・・・!ベル・クラネルか、仲良くしてもらえるとフレイア様も喜ぶだろう。・・・む、いきなり見知らぬ冒険者に膝蹴りをかましたぞ?・・・神タケミカヅチよ・・・きちんと教育出来ているのだろうな?」
数分後
( ・´ー・`)「ん?あぁ、アレンか・・・何?フレイア様が?分かった今から向かう。あと俺はロリコンじゃない、フレイヤ様一筋だ」

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