オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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友達の家に泊まりに行くと必ずオールになるのは何でなんでしょうね(笑)

という訳で遅くなりました19話。ご覧下さいな。


19話「うあぁ・・・世界がまわるぅ・・・」

妖夢殿が傷だらけで倒れているのを見つけ、急いでホームに戻ってから数日が経つ。けれど未だに妖夢殿は目を覚まさない。

 

「妖夢ちゃん・・・」

 

妖夢殿の傍らで千草殿は萎れた花の様に元気が無かった。私がどうにかしなくては。けれど、そう思う度にどうすればいいのかわからなくなる。妖夢殿を喜ばせるには、元気になってもらうにはどうすればいいのだろう。料理を作る?・・・どんな料理でも、それこそ失敗した料理でも喜んで食べてくれるのでこれはありかも知れない。でもそれだけでは駄目だろう。もっと何か無いものか・・・。

 

花を買ってきたが妖夢殿が目覚めなくて枯れてきてしまった、手入れはしているのだが・・・庭の手入れなど、そういった物が趣味である妖夢殿が萎れた花何て見たらきっと悲しむ、後で買い直しておかなくては。

 

ああ、そう言えば今日はベル・クラネル殿が御見舞に来てくれる日でしたか、タケミカヅチ様の予測では今日辺りに起きる・・・との事でしたが・・・。とりあえず消化に優しいものと、花を買ってこなくては。む、そう言えば千草殿とタケミカヅチ様と一緒に折った千羽鶴を飾りましょう。タケミカヅチ様桜花殿はイレギュラーの情報説明の為にギルドに飛び出されている。本来なら妖夢殿が行くべきなのですがこの通り半霊を抱き抱えたまま目が覚め無いので、主神であるタケミカヅチ様と団長である桜花殿が呼び出されたようです。リリルカ殿も殿とベル・クラネル殿、後はベート・ローガ殿も呼び出されたらしい、前者お2人はわかるのですが、何故ベート・ローガ殿まで?考えても答えは出ない、さ、買い物に行ってきましょう。

 

 

 

 

買い物から帰ってきた私は千草殿と桜花殿と共に昼食を作っております。ちなみに桜花殿は私が買い物を終えた時たまたま会ったのでこうして一緒に帰ってきた、そんな感じです。

 

そろそろベル・クラネル殿達が到着する筈、妖夢殿が言うには凄い殿方との事ですが・・・この間見た時は余りそういった物は感じませんでした。しかし、妖夢殿の事です、きっと私には見えていない事も見えているのでしょう。

 

「千草殿、そこの塩を取ってください」

「ん、はいっ」

「あ、命、そこのやつ取ってくれ」

「どうぞ」

 

ふむ、8割方完成ですか。手を洗い、手を拭いて、エプロンを外し畳む、頭の三角巾も外して、居間のテーブルを布巾で拭く。座布団を少し多めに準備し、コップとお茶を準備する。

 

そんな時、玄関の方から「す、すみませ〜ん!」と控えめなオドオドした声が聞こえてくる。ベル・クラネル殿が来たようだ。

 

「ベル君!しっかりするんだベル君ッ!相手になめられていいのかい!」

「え?!そ、そんな!違いますよ神様!命の恩人にお礼を言いに来たんです!?」

「え!?な、何で言ってくれなかったんだベル君ッ!?」

「えええ!神様が『僕は君の事はちゃんとわかるのさ!』って言ったんじゃないですか!」

「ナンテコッタイッ!」

 

・・・とても賑やかな方々デスネ妖夢殿。とりあえず上がって貰おうと、私は玄関に「はーい」と返事をしながら駆けていく。すると

 

「き、君が妖夢君かい!?わ、悪気は無かったんだよ許しておくれ!」

 

と目をグルグルの渦巻きの様にしながらいきなり謝ってくる。私が違うと言う前に

 

「違います神様!その人は命さんですっ!」

「あわわわ!ごめんよ!」

 

賑やかだなー、と思っているとその2人の後ろにリリルカ殿がいる事を発見する。すると向こうもこちらが気付いた事が分かったのかベル・クラネル殿の後ろからちょこんと出て来て

 

「お2人が騒がしくて申し訳ありません命様、妖夢様はいらっしゃいますか?」

 

と首をかしげながら可愛らしく聞いてくる。・・・しかし当の私はそれどころでは無かった、「様」など付けられた事はなく、それもいきなりだったので随分と慌ててしまった。止めてもらおうとしたのだがリリルカ殿に結局は宥められ、こちらが折れることに。

 

「妖夢殿はまだ目を覚ましていませんが・・・タケミカヅチ様の予測では今日、目が覚めるとの事です。・・・おもてなしの準備をしていますので是非上がっていってください。」

 

そう言うとベル・クラネル殿は「え?いいんですか?・・・お、おじゃまします」とキョロキョロしながらも家に上がる。

 

「あ、靴は脱ぐようにお願いします」

「へ!?は、はい」

 

 

3人を居間に案内し、待っているよう伝えた後、私は妖夢殿の元に立ち寄った。

 

「妖夢殿。失礼します」

 

普段から同じ部屋で生活しているがこういった礼儀は忘れない。千草殿や妖夢殿も入る時はちゃんと確認を行う、一番最初にこれを始めたのは妖夢殿だったはず。

 

妖夢殿は未だに半霊を抱えたまま眠ったままだった。そんな妖夢殿の隣りに正座し、話しかける。

 

「妖夢殿、ヘスティア・ファミリアの皆さんが来ていますよ」

 

すると「ん・・・」と眉を顰めた妖夢殿、そろそろ起きそうです、無理に起こすのは止めた方がいいと言われているので報告だけにしておこう、そう思い立ち、立ち上がる。

 

「・・・うぅ・・・幽々・・・子・・・様ぁ・・・おじいちゃ・・・ん・・・何処なの・・・?」

 

・・・昔から・・・何度も繰り返されるこの寝言・・・これが聞こえてきたのならそれは目が覚める前兆。起きた時、本人は覚えていない様ですが。・・・心が痛む、けれど私では何も出来ない。それがもどかしい。

 

「妖夢殿・・・・・・もっと私達を頼ってください・・・」

 

 

 

 

 

 

 

「し・・・しょ・・・・・・ししょう・・・・・・師匠おきて・・・」

 

ん?・・・誰だ?俺弟子なんて取った覚えはないぞ?つかもっと寝かせろ、クソ眠いんです起きたくないです。と言うか瞼が開かねぇ・・・。体も力入んねぇし・・・寝よ。

 

「・・・・・・」

 

・・・もう行ったかな?よしよし、これで眠れる。と、思っていると俺を師匠と呼ぶ誰かは何を思ったのか俺の瞼に手をかけてグイッと強引に開かせた。

 

「いだだだだだだだ!痛い!痛いですよ!」

 

抗議の声を上げながら、目の前の人物を睨む、そこには

 

「師匠・・・おはよう・・・こんにちは?」

 

アイズ・ヴァレンシュタインがいた・・・。え?オラが師匠でっか?・・・ファ!?いやいやいや可笑しいだろ!どう考えても可笑しいだろう!?アンタレベル幾つだよ!5だろ!?いや今は6かな!?俺2!3倍だよ3倍!逆だろ!どう考えても逆だろ!

 

「お・・・おはようございま、す?」

 

はーい!絶賛混乱中ですっ!なんだ、何かしたっけ!?確かに1度教えたことはあったよ?でもさ、違うよね、順序とか過程を吹き飛ばして急に何の了承もなく弟子が出来ているよね、何なの?エアリエル使ったの?その魔法は現実すら吹き飛ばすの?

 

「みんな、待ってます・・・行こ?」

 

たどたどしい!いまいち距離感掴めてねぇじゃねぇか!敬語なのかタメ口なのかしっかりしろや!首を傾げるな人形みたいで可愛いですねっ!はいおしまい。もう気にしてはイケナイ、オラリオは常識が通用しないんですね!(*`・∀・´*)こちーや!

 

動けないのを察したのかオレはお姫様抱っこで連れていかれる。どうやら気配から察するに10人くらいは居るのかな?居間に入ると沢山の視線を感じた。やめい、こっちみんな恥ずかしいだろ。

 

「妖夢さん!?だ、大丈夫なんですか!?」

 

とベル君が目を見開いて前のめりに聞いてくる。止めなさい、服が料理に付いてるぞ。そしてチラチラとアイズを見るな、俺が心配なのかアイズに抱っこされてるのが羨ましいのかどっちかにして下さい。

 

「えぇ、まぁ・・・あの、服が料理に付いてますよ?」

「ふえあ!?ごめんなさいっ!」

「わわわっ!ベル君誰がそれを洗うと思っているんだい!?」

「今週は僕ですよっ!?」

 

ははは、賑やかでいいねぇ。・・・てか何なの、この大所帯は・・・べート達は居るしベル君達も居るし・・・てかヘスティアって初対面か、おれ。ロキが居ないのは何でだろうか、あれかな、ヘスティアが居るからかな?

 

「妖夢君妖夢君!君なんだろう?ベル君やサポーター君を助けてくれたのは!話しは聞いているぜ!」

 

よいしょ、と立ち上がりトテトテと走ってきて俺に顔をグッと近づけ聞いてくるヘスティア。揺れる(確信)

 

「という訳で今日は親睦を深めようじゃないかッ!・・・ベル君をどう思う?(小声)」

 

いやいきなりそれ?!もう少しさ、親睦を深めたいならさ、やっぱり手順って物がさぁ・・・いやもういいよぉ。話すの結構きついんだから程々にしとこう。

 

「ベル・クラネルさんですか?・・・うーん、何でしょうね、強くなれそうとは思います」

「アア?そんな雑魚がかよ、オメェの目はどうなってんだ?」

 

俺が正直に答えているとべートが首突っ込んできやがった、むむむ、悪いワンちゃんだな。ゆけっ!アイズっ!

 

「・・・わかった!」「は?ちょ、おまっ妖夢グハァッ!」

 

「レ、レベル6を顎で使うなんて・・・!妖夢君は恐ろしいね・・・でも、僕もベル君を馬鹿にされるのは嫌だな!わかったかい?べート君!」

 

へ!知るかよ!とわーわー騒ぐべート、それを止めさせようとするティオナ、家がギシギシ言い始めてるけど大丈夫かなこれ。

 

「妖夢。皆お前を心配して集まってくれたんだぞ?ははは、驚いているのはわかるけどな、ちゃんとお礼を言ったほうがいい」

 

そう言って俺の頭をワシワシと撫でるタケ、うーむ、今言おうと思ってたのになぁ・・・何だか改めて言うとなると恥ずかしいな。まぁべートには絶対にお礼言わなきゃ駄目だろうな。

 

「・・・べート・・・あの、助けてくれてありがとうございます!私の為に万能薬まで使って下さるなんて、やっぱりべートはいい人だったんですね!」

 

俺は正直に思った事を口にした、しかし、

 

「「「「「え?」」」」」

 

とみんなの反応はおかしなものだった。べートは何故か汗がダラダラと垂れている。

 

「ベート?どうしたんですか?何処か体調が悪いんですか?もしかしてあの万能薬は私には使ってはいけない物だったんですか?べート?べートー!おかしいですね、おーい!」

 

アイズの膝の上からべートに話しかけるもののべートは全然反応してくれない。まさか嫌われてしまったのだろうか?

 

「だぁ!!なんで言っちまうんだよ!妖夢!」

 

へ?

 

内心間抜けな声をだす俺、べートは頭を抑えて机につっ伏す。するとタケが面白そうにくつくつ笑いながら経緯を説明してくれる。どうやら俺とべートの間に噂が流れているらしい、どんな噂なのかは教えてくれなかったがまぁ何となく予想はできる。

 

「べートはな?「ああやめろ!タケミカヅチ!」ギルド間のクエストは手続きが面倒だからと言って報酬も受け取らずに武装もせずに万能薬だけ持って妖夢を助けに行ったんだ。」

 

ま、マジかよべート超イケメンじゃないですかヤダー!つうかよ、なんだよお前らいつの間にか呼び捨てで呼び合ってるの?なんかいいなぁ男の友情的な?

 

「そうだったんですか・・・ありがとうございますべート!」

 

ずるいジャマイカ!俺も!俺ともそんな感じに友達になってくれ!

 

「ではお友達になりましょう!」

「お、おう・・・へ?」

 

何だか周りからひゅーひゅー!とかこのロリコンめっ!とか聞こえる、べートがプルプルしてる。あ、これ怒るな。

 

「ざっけんじゃねぇ!この馬鹿ゾネス!!!」

 

余談だが、アイズは俺に技を教えてもらう為には弟子になる他ないと思い、弟子にしてもらうにはどうすればいいのか考えて、結果、この様にストレートに思いを伝える事にしたらしい、・・・ストレートすぎませんかねぇ?目が覚めたら弟子が出来ていたとか何事よ・・・。

 

 

 

 

 

 

そんなこんなで宴会は続き、途中から現れたロキやフィンとも会話をかわした。ちなみに俺はロキに捕まり、膝に強制的に座らされたがまぁ特に不満は無かった。にしても体が全く動かん、筋肉痛を超えたなにかだよこれは。

 

「なーなー、ようむたんわのまへんの?」

 

呂律が回っていないロキが酒臭い口を近づけながら聞いてくる。すごい酒臭い、そう言えば酒樽を持ってきてたね。つか飲めませんっ!飲んだことないし!

 

「無理ですよロキ、私は飲んだことありませんし」

 

断る俺に対しロキは「えーやんえーやんのんでみーよ」と勧めてくる。そして目の前にグラスが置かれ酒が注がれる。酒独特の香りがツンと鼻をつく。・・・ゴクリと唾を飲み込む。生前も現在も酒なんて飲んだことは無かった・・・俺は正直に言うと酒に弱い人だと思う、けどこの半人ぼでいならきっと多分恐らく大丈夫なはずだ、よし、1口、一口だけ飲んでみよう!

 

タケ達がわーわーと楽しそうに飲む中俺はそっと自分の口にグラスを近づける。それを見ているのはロキだけだ。・・・・・・・・・ゴクゴク・・・がシャン!。

 

「む、むきゅ〜・・・」

 

グワアァァ〜!喉が焼ける〜・・・しこうがままならなひ。めはまわるー。

 

一口飲んだ瞬間大きな音を立てて机につっ伏す。大きな音に全員が反応してこちらを見る。タケが最も早く反応した。

 

「へ?妖夢お前飲んだろか!?ば、馬鹿!お前の年で飲んだら駄目ラロ!」

 

酔っているのか若干呂律が回っていないがロキよりはマシだ。他にもみんなが何か言ってるがよく聞こえない。「ふわぁタケが二人に見へふ」

 

「ハッハッハ!酒で目回してやんのっ!」

 

おのれべート・・・絶対に酒に強くなってやる・・・ので寝ます。

 

「クククッ!やっぱりお子様じゃねぇか!ダッハハハッ!」

 

・・・いいぜ・・・その勝負・・・乗ってやる!

 

「まられす!まら飲めます!べートには負けまへんっ!」

 

 

 

 

 

 

魂魄妖夢が強化種に襲われている。猿顔の男がギルドに持ってきた情報は俺を驚かせた。その情報の正確性を猿顔の男に問うと男は本人から救助を要請されたらしい。

 

すぐさまフレイヤ様の元に向かった俺はその情報を伝え、救助するか否かを問うた。結果は

 

「好きにしなさい?オッタルはあの子に「冒険をしろ」って言ったんでしょ?これは冒険じゃないの?」

 

そう言った、しかし・・・どうしたものか、こうしている間にも魂魄妖夢が死ぬ可能性は高い。死んでしまえばフレイヤ様が悲しむのは確定。しかしただ助けるだけでは駄目だとも思う、ならば手は出さずこっそりといつも通り見守ろう、死にそうになったのなら助ければいい。そう思い俺は行動を開始した。

 

 

 

魂魄妖夢は強い、目の前の戦いを見て、そう再認識させられる。紅いオークの攻撃を、受けるのではなく往なす。その技量の高さは目を見張る物があった。圧倒的なステイタスの差を技量で埋めるとなれば、それはどれ程の鍛錬を積んだのだろうか。

 

しかし、ステイタスの差とは簡単に超えられるものではない、魂魄妖夢は次第に劣勢になってゆく、そして打ち上げられた。助けに行こうと足に力を入れたが魂魄妖夢は諦めていないらしい、逆手に変えて腰だめに構える、そしてスキルと思われる白い球体を自身にぶつけ加速、しかしバットパットの妨害により腕を吹き飛ばすだけに終わる、そして・・・致命傷を負った。

 

助けに行こうとする前に俺の横を誰かが駆け抜ける。べート・ローガだ。その顔には焦りと不安がありありと浮かんでいた。

 

彼が行くのならもう大丈夫だろう、俺が今いったところで何か出来る事が増えるわけでも無い、そう思って俺はその場をあとにした。

 

 

そして現在に至る。現在俺はタケミカヅチ・ファミリアのホームの前にいる。なんでも今日は魂魄妖夢の生還祝いだそうで彼女の知り合いの殆どが来ているらしい。

 

・・・そう、完全に入るタイミングを逃したのだ、初めから何食わぬ顔で入っていれば、と少し後悔している。だがフレイヤ様はどうしてもこの宴会に俺を突っ込みたいらしい。しかしどうやって入ればいいのだろうか?俺のような男が急に来て向こうは驚いたりしないだろうか・・・いや酒が入っている今がチャンスなのだろうか、こうして思考している暇があるなら考えずに突撃した方がいいのではないかとも思う。しかしファミリアの顔として余り変な真似は出来ないのだ。しかしフレイヤ様の命・・・ぐっ・・・どうすれば。

 

そんな事を考えていると小さな人影が扉を開けて出てくる。若干ふらついているため酔っ払いだろう。

 

「うあぁ・・・世界がまわるぅ・・・」

 

・・・魂魄妖夢だ、魂魄妖夢が酔っている。これは由々しき事態だ、あんな小さなうちから酒など飲めば身体の成長に大きく影響してしまうだろう、身体だけではない脳や心の発達にも大きな影響を及ぼすかもしれん、誰だ魂魄妖夢に酒を飲ませたやつは。流石に武神タケミカヅチではないだろう、彼は魂魄妖夢を大事にしているのは分かっている、もしや神ロキか?あのお方は酒好きと名高い、それに絡み酒がうざいと評判だ。彼女が居るのであれば押し切られ飲んでしまう可能性は否定出来ないな、しかし、普通に考えて小さな子供に酒を飲ませるというのはどうなのだろう、倫理観とか大丈夫なのか?いやはや心配になってきたな、魂魄妖夢の周りの環境が徐々に悪くなっているのかも知れん、いや、沢山の人と触れ合うというのは人格の形成に大きく貢献することはわかっているが。・・・少し、話が逸れたようだ。

縁側に座る魂魄妖夢に歩いて近づく、向こうもこちらに気がついたらしい、少し、目がトロンとしているが。

 

「魂魄妖夢、大丈夫か?」

 

とりあえずは安否を問おう、先日の死闘もそうだし現在の酔いもそうだ。

 

「ふぁ?オッタルさぁん?だぁいじょうぶれすよぉ・・・」

 

駄目そうだ。眠いのかウトウトしている。先程も体が痛そうなぎこちない動きをしていたし、肉体的疲労が残っているのだろう。これは寝ていた方がいいな。

 

「魂魄妖夢・・・眠った方がいい、疲れているのだろ?」

「ほぁ?何れわかるんれすか?」

 

寝ぼけ眼をこちらに向け不思議そうに尋ねる魂魄妖夢。任務とはいえ普段から彼女を観察している俺だ、分からないわけが無い。・・・が正直にそんな事を言えばフレイヤ様への不信が高まるかもしれん。故に言うことは出来ないが・・・どうするか。

 

「・・・戦士の感だ。それに歩きも不自然だった」

「ほうなんれすか・・・凄いれすね・・・」

 

コックリコックリと首が安定性を失って来た、そろそろ寝てしまいそうだ。俺がホーム内に連れていけばいいのだろうか?しかし入ったら絡まれて出てこれる気がしない。しかし、それがフレイヤ様の命である以上行かなくてはならないだろう。そう考えた俺が行動に移そうとした時、座っていた太ももに何かを感じた。・・・む?

 

「スゥ―スゥ―ー」

 

静かな寝息を立てて俺の膝を枕に魂魄妖夢が寝ていたのだ。いつの間にかこの間も見た白い球体を抱いている。

 

「・・・これは・・・任務を遂行できそうにないな」

 

起こすのは駄目だろう、と言うか俺のような者が触れたら色々と問題になりそうだ。俺としてはどうでもいい事だが神々からすれば面白いようだ。解せぬが仕方ない。フレイヤ様の顔を汚すわけにはいかないのだ。

 

「スゥ―スゥ――」

 

その場に聞こえるのは宴会の賑やかな騒ぎ声と魂魄妖夢の静かな寝息だけとなった、ふむ、どうしたものか、このままでは魂魄妖夢が風邪をひいてしまう。しかし先も言ったが触れるのは不味い、誰か出てきてはくれないだろうか、出来れば酔っていない冷静な判断が出来る人物が良い。そのまま数分が過ぎて

 

「妖夢殿〜?何処ですか?」

 

と、とても良いタイミングで誰かの声が聞こえてくる、声音からして酔ってはいないだろう。探しているようなのでこちらから教えてあげるとしよう。

 

「魂魄妖夢ならここだ、眠っているぞ」

「ヒャイッ!?」

 

どうやら驚かしてしまったらしい、確かによく考えれば小さな女の子を探していたら筋肉質の大男が返事を返してきたのだ、俺でも驚くかも知れない。

 

「すまない、驚かすつもりは無かった。魂魄妖夢の生還祝いと聞いてやって来たのだが・・・この通り膝で寝てしまっている。」

 

俺の言葉を驚いた姿勢のまま聞いていた少女は落ち着きを取り戻し近づいてくる。ふむ、歩き方に隙が無いな、流石は武神の子等という事か。あまりジロジロ見るわけにもいかない為、すぐに視線を合わせる。

 

「そうだったのですか、ありがとうございます。」

 

そう言って少女は頭を下げる。

 

「このままでは魂魄妖夢が風邪をひいてしまうだろう、中に連れていった方がいい。」

「はいっ!・・・あの、オッタル殿は中には来られないのですか?」

 

む、やはり行くしかないか・・・べート・ローガが居るらしいのだが・・・面倒だが仕方ない、暴れるのなら大人しくさせるだけだ。精一杯の笑みを浮かべ頷く。印象とは非常に大きい、印象を柔らかくするためには笑みが一番だ、・・・実はこれもフレイヤ様に練習させられたのだ、しかもフレイヤ様の前で・・・・・・。

 

「よいっしょっ・・・ととと、あの!ではこちらへ!」

 

ふむ、久しぶりに賑やかな酒だ、心ゆくまで・・・とは言えないが、少しは楽しんでこよう。




オッタルの部分はやりたかっただけで余り関係ないのですスミマセン!

ステイタスは次回公開です。更にチートは加速するのです。

【妖夢に使った万能薬】

何の許可もなくべートが持ち出した物、恐らく私物。この世界の万能薬は高級品である。
魔道書に万能薬・・・金のかかる女、魂魄妖夢。

【ししょー】

妖夢の技に惚れ込んだアイズは弟子になる事を決意、しかし上手く伝えることが出来ず、寝起きの妖夢に対していきなり師匠呼びをしてしまった。
妖夢は酒の席で何とか理解した模様。


【べート】

U・д・U「おい、なんだこの・・・なんだ?」

U・x・U「流石にこれは無いんじゃないか?お?」

ティオナ「ねぇねぇべート!妖夢ちゃんの生還祝だって!べートは行くの?」

U ̄ー ̄U「ああ?行くわけねえだろ?勝手に行ってこいよ馬鹿ゾネス」

ティオナ「うわーそんな事言うんだ、もういいもん妖夢ちゃんに言っちゃおー」

U・д・U「は?なんであのガキに言うんだよ?」

ティオナ「へっへーんだ!妖夢ちゃんにべートの事言いつけてやる、あんな事とかこんな事とか」

U゚Д゚U「おいおいなんだよそれ!なんだよあんな事とかこんな事って!?」

ティオナ「じゃあね〜!先言ってるね〜!」

U゚Д゚U「ま、待てっ!こんの!」

ロキ「お?べートも行くんか?ウチは酒を買ってくるからな〜。あ、これ持ってって!」

U・д・U「お、おい、こんなに沢山何に使うんだ?」

ロキ「何って・・・ナニやろ?」

U ̄ー ̄U「そうか、鍋だな。あぁ・・・先っいってる・・・(諦め)」

フィン「じゃあ僕はロキを手伝うから、アイズと先に行っててくれ。」

U・ω・U「わかった、ガレスは?」

フィン「ガレスも僕と一緒だ、リヴェリアもね」

U ̄ー ̄U「あいよー、先いってる。」

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