オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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今回と次回は視点変更が多めです、読みづらいかも知れませんがご了承下さいな。

それと支援絵ありがとうございます!これからも募集していますので是非是非書いて下さると嬉しいです!


23話「私は!家族の為なら神様だって殺して見せる!」

暗く、ジメジメしたその空間は一般的に地下室、と呼ばれる場所だ。しかし、その様は一般的なものとは大きく異なっていた。

 

鋼で出来た扉、金属で所々補強された壁。そして部屋の中心には大きな檻。壁には先の丸まった槍や茨のような鞭が備えてある。

 

灯りは檻の周りに設置された燭台の小さな蝋燭のみ。そして、そんな空間の中心で1人の少女が恐怖に震えていた。

 

「・・・・・・・・此処は・・・・・・どこなの?」

 

大人しそうな外見と線の細い肢体。彼女の名は千草。タケミカヅチ・ファミリアの1人だ。服は所々切り裂かれた様に破れ、血に濡れている。不自然に傷だけが治っている事からポーションが使用されたのだろう。

 

暗闇は目を潰し、されど他の感覚を研ぎ澄まさせる。小さな下卑た笑いが外から入ってくる。乾杯や、やったな。と喜びを表す言葉が溢れている。その事に千草は更に恐怖する、千草とて無知ではない。冒険者にとって「未知」とは明確な「死」の危険を伴う最大の敵なのだ。

 

「私は・・・・・・ううん、平気。きっと助けに来てくれる」

 

思考を振り払い、希望を灯す。家族が助けに来てくれる、そう思うだけで千草の顔色は幾分もましになった。

小さく拳を握り、よしっ、と自分を励ました後檻から抜け出せないか鉄格子をひとつひとつ探り始める。

 

調べた数が20に届きそうな時、笑い声が近づいて来ているのを鉄格子を調べるのに集中していた千草の耳は辛うじて聞き取る事が出来た、驚いた千草は咄嗟に寝ているフリを決めこむ。

 

ガチャりとドアが押され動き、キーと言う耳障りな音を立ててゆっくりと開く、どうやら相当な重さ、厚さを持った扉の様だ。

足音と共に部屋に誰かが入ってくる、足音の数からして2人、重さからして男、それも相当な大男だ。千草の体に緊張が走るが呼吸を乱さぬよう、浅く小さく寝息を立てる。

 

「まだ・・・・・・寝てるな。行くぞ―――おい、早く行こうぜ」

「まぁちょっと待てよ、本当に寝てるのか確かめてみようぜ」

「あぁ?知らねぇよオラぁガキに興味はねぇ。酒が無くなる、テメエに付き合う理由なんざ本当はねぇんだ、先に行ってるぜ」

「へへっおうよ・・・・・・さて・・・・・・くくく、いやぁ主神様には感謝しねぇとなぁ」

 

扉が閉まる音と共に下卑た笑いと視線が千草の全身を舐めるように這い上がってくる。千草は今更ながらに思う、どれだけの時間気絶していたのかと。恐怖が足元から再び駆け上がってきた。もしかしたらもう何日も経過しているのではないか、もしかしたら捜索も諦めてしまっているのではないか。不安は新たな不安を呼び、妄想は恐怖を加速される。

 

思わず、目を開けてしまった。

 

「ひっ・・・・・・!」

 

つい、恐怖が声となって出てしまう。ニタリと顔を歪ませる肥えた腹を持つオークに良く似た大男がこちらを舌舐りする様に見ていたからだ。

 

「おぉ?起きたか、どうだ嬢ちゃん、そこは気に入ってくれたかい?ひひひひ」

 

千草は転がるようにして男の反対側の鉄格子まで下がる。それに対して男はゆっくりと立ち上がり壁にかかった槍を手に取る。

 

「いししししっ!」

 

笑いながらゆっくりと檻の周りを回る男、それと対角線上を維持しながら檻の中を回る千草。そして時折放たれる槍をギリギリで躱していく。

 

躱していく事で思考がまた冷静になってくる。千草は昔、タケミカヅチや妖夢達とこの状況に似た訓練をした事があった、最も、この様な悪趣味なものでは無かったが。

 

「ふっ!」

 

突き出された槍を避けて横から蹴りを入れる。すると槍は鉄格子と触れ合い梃子の原理によって大きな力が生じる。千草が見た目通りの力しか持たないのであればただの無意味な抵抗であっただろう、しかし彼女はレベル1の中ではトップクラスのステイタスを誇るのだ。そんな千草が蹴りを入れたなら・・・・・・。

 

「うぐッ!?」

 

梃子の原理によって大きな力が加わり、槍は半ばから折れ、男は横に大きな音を立てて吹き飛んでいく。千草はその隙に逃げようとするものの鉄格子は全く傷ついていない。今の騒ぎによる物か、部屋の外が急に騒がしくなった。

 

「(どうしよう・・・・・・バレちゃう!どうにかしなくちゃ・・・・・・!)」

 

折れた槍をとりあえず拾い、武装をする。何か武器になる物を持っていると言うのは心を落ち着かせる。

ドタバタと複数人の足音が近付いてくる。

 

「糞ガキがぁ・・・・・・!」

 

万事休す、そう思った千草であったが。事態は大きく変化する事になる。

 

「ふがぁ!?」

 

再び男が吹き飛んだのだ。駆け込んできた者達の手によって。肥った男に蹴りを入れた黒髪の青年は千草に背を向け、傷だらけのまま声を発した。

 

「千草―――助けに来たぞ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜も開け始め、外は明るくなって来た。私は、千草殿を・・・・・・千草ちゃんを助けなくてはならない。自分が弱いのは知っている、足でまといなのはわかっている。でも出来ることだってある筈だ。私のスキルなら千草ちゃんを探せる、時間が惜しい。今すぐにでも探しに行くべきなはずだ。

 

私は自分の布団に色々と私物を詰め込んで人の形にする。・・・妖夢殿に迷惑をかけるわけにはいかない、私が千草ちゃんを助ける!

 

私はスキルを発動し、朝日が登り始めた街に駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

「千草がさらわれました」

 

歯を食いしばるようにそう言う妖夢に俺とタケミカヅチ様は顔を顰める。命達の帰りが遅いからとタケミカヅチ様と心配していた時、ふたりは帰ってきた。

 

「・・・・・・どんな奴だった」

 

タケミカヅチ様は低い声で呟く、ハッキリとした怒りを感じた。それは俺も同じだろう、気が付けば手を強く握り込んでいた。

 

「わかりません。ただ数が多くて、あ、パンツ一丁の人達もいました」

 

後半部分でタケミカヅチ様がガクッと体制を崩しかける。しかし、妖夢の表情は真剣そのものだ。・・・・・・にしてもパンツ一丁って・・・千草がとても心配になってきた。

 

「なぁ妖夢、相手がどこのファミリアか解らないのか?」

 

俺は妖夢に相手のファミリアを知っているか訪ねてみる、何か特徴的なものを身に纏っていたりすれば・・・・・・ってパンツ一丁か。

 

「わかりません桜花。ただ、麻縄や目隠しを持ってました」

 

後半部分で俺はガタッと立ち上がる。まずい、非常にまずい。千草が広い意味で不味い。冷や汗が垂れる、今すぐにでも自室に戻り武装の最終確認をして置かなければ。

 

「待て桜花、一人で行く気か?場所もわからないのに?・・・・・・命のスキルなら捜索は幾らか楽になる筈だ。だから少し待て。」

「でも!・・・・・・いえ、わかりました。」

 

自分の感情に任せて突っ込むなんて余りにも愚策だ、それくらいわかるのだかいても立っても居られない。だが此処は我慢だ、機を逃せば千草を救う事は出来ない。

 

「妖夢、お前ももう寝るといい。よく頑張ってくれた」

 

タケミカヅチ様が妖夢にそう言う、妖夢は俺達の中の最大戦力だ、恥ずかしながらレベルも抜かされてしまったしな、とにかく今は休んでもらわなくては。

しかし、妖夢の表情に変化は無い。・・・・・・俺にはわかった、タケミカヅチ様もわかったと思う。これでも5年間一つ屋根の下暮らしているのだから。怒り。それが妖夢の表情を支配していた。

 

「必ず救います。」

 

目が薄暗い部屋の中で不気味な程光っている。自身に向けられた殺気でないのに全身が粟立つような感覚におそわれる。・・・・・・妖夢は・・・・・・殺しも厭わないかも知れない。それは、俺達が止めなくては。

 

「妖夢。いいか、お前が手を汚す必要は無い。お前が殺すと言うなら俺が変わりに殺してやる、俺が変わりに汚れてやる。だからそう気負うな」

 

家族の為ならどんな罪でも背負う覚悟だ。俺達の絆はどんな物よりも硬い。俺はそう信じている。信じているからこそ何でも一人でやろうとする妖夢を放っておけない。

しかし――妖夢は少し俯き黙り込む。

 

「・・・・・・・・・・・・私は」

 

正座し、膝の上に置かれていた手を握りこみ、妖夢はガバッと顔を上げ、立ち上がり口を開く。

 

「私は!家族の為なら神様だって殺して見せる!」

 

な・・・・・・!・・・・・・神殺しは大罪だ、何よりも重い大罪。それをやろうってのか?!

覚悟が違い過ぎた、俺は思わずそう思う。上げられた顔はよく見れば片方の目が赤くなっている。強がりではない、本気で言っているのだと理解出来てしまう。

俺は・・・・・・背負えるだろうか、神殺しの罪を。

 

 

「よ・・・・・・妖夢・・・」

 

タケミカヅチ様が妖夢を止めようとするものの、妖夢は身を翻し部屋を出ていってしまう。その背中は薄暗い部屋の中で輝きながら蠢いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

タケに報告を終えた俺は部屋に戻る。すると命はもう寝てしまっているようだ。・・・・・・疲れたのかな、命は眠れない夜を過ごすものと思っていたけど。・・・・・・うーむ、寝れないなぁ。しかし、家を飛び出すのもタケに迷惑かけるし・・・・・・あっ!半霊あるじゃん!行ってきます!

 

『さーて、誘拐犯はどこかな?見っけたら弾幕を撃ちまくってやる。』

 

そう意気込みながら空を散歩する。

 

『いや〜空飛ぶのは気持ちいいな、ってそんな事を言ってる場合じゃねぇや。うーん、やっぱり人探しと言ったら探偵!探偵と言ったら聞き込み!よし!早速聞き込みに行くぞ!』

 

まずはどこにしようか、そう考えた俺はふよふよとロキ・ファミリアの方に飛んでいく。何故ロキファミリアなのかと言われてもこれだ!という理由は無い、なんとなくロキ・ファミリアに行こうと思っただけだ、アイズやベートを驚かすのも良いかもしれない。

 

ま、そんな余裕はないので協力してもらいたいだけなんだけどね。

 

そんなこんなでロキ・ファミリアの上空にやってきた訳ですが・・・・・・よし、突入!!

 

『ベートはどこかな〜アイズはどこかな〜♪』

 

ああ、楽しみで堪らない。千草をさらった奴の首をはねてやるぞ。早く見つけないとな、そのためには人手が必要だ。命が居れば捜索も楽になるかも・・・・・・でも命のスキルは精神状態によって大きく左右されるからなー範囲が。

 

『ん?おおここだ、スルリと抜けて・・・ボフンと参上!』

 

ベートの部屋を見つけた俺は壁をすり抜けハルプモードに変更、霊力を消費するが本体が寝ているため特に問題は無い。ハルプモードになった為、しっかりと声が出るぞ。ベットを覗けばベートが寝息を立てている。

 

『おーい、ベートー!おーきーろー!』

「んあ?誰だ?・・・・・・ウオオィオ!?!?」

 

怪訝な顔でこちらを見て1秒程後背筋と腹筋、全身のバネを使って飛び跳ね着地、一瞬にして戦闘態勢を整えたのはさすがと言えるだろう(上から目線)

 

『ウオオィオ!?!?だってプークスクス!』

 

俺がベートの真似をして笑っているとベートは落ち着きを取り戻したのかこちらをじーっと半目で見たあと溜息を着いた。

 

「ハルプテメェどうやって入って来やがった」

『ん?普通に壁抜けて来たけど?』

「それは普通じゃねぇだろ・・・ったく何の用だよ」

 

ベートが頭を掻きながら俺に用を聞いてくる。早くしようぜ。

 

『いやなに、昨日夜中に襲われてさ、千草が攫われちゃったんだ。何か知らない?そう言う事をしたりする神とかさ』

 

俺の言葉にベートは「あー・・・なるほど」と呟いた後ベットに潜り込んだ。

 

「それはてめぇらの事情だろ、俺にゃ関係ねぇ」

 

そう言って寝ようとしやがる。ゆるさん!寝るのは許さんぞぉ!俺は寝てるがお前は寝かせんっ!という訳で再び半霊モードになってベートの隣に着地、そしてハルプモードに変更!時間が惜しい、さっさと教えてくれ。

 

『なーなー、良いだろ?知ってる事を教えてくれるだけで良いんだよ。お願いベート!友達だろ?』

「ベットに入ってくんじゃねえよ!?つか誰が友達だこのガキ!」

『あっ、そう言えば伝言があったな。「この前はすみませんでした。ベートは男の人なのに目の前で服脱いでしまってごめんなさい!」だってさ。』

 

いや、俺だけどね。我ながら白々しいがそこは気にしない。

 

「今更っ!?遅いわボケ!てか別に気にしてないからな!?」

『そりゃそうだ、普通なら気にするのはコッチだしな。』

「てめっ・・・!」

 

と、賑やかに馬鹿騒ぎをしていると誰かが走ってくる音が聞こえる、ベートも聞き取っていた様で少し慌てているようださっきから「早く透明になれよ!バレるぞ!」と小声で叫ぶという器用な行為を繰り返している。ふっ、その手には乗らんよ!

 

俺はさも当然のようにベートのベットに潜り込む。ベートのベットって変な響きだな。するとドアの奥から声がする。

 

「ちょっとー?ベート五月蝿いんだけど!遠吠えは止めてくれない?」

「ああ?うるせぇ馬鹿ゾネス!!こっちは色々とめんどくせぇ事になってんだよ!」

「はぁ?何が面倒臭いってのさ、いい?入るよー!」

「はぁ!?バッ!やめろ入んな!」

「うわぁ!?な、何さ!・・・・・・なんか隠してるでしょー、ふーん、ねぇ、何隠してるの?」

「何も隠してねぇから!さっさとどっか行けよ。」

 

おおー!速いなベート、扉が開いてティオナが中を覗く瞬間を一瞬にして間合いを詰めることで防いだぞ!

 

あっ、てかティオナ達にも手伝って貰うか、その方が早く解決できそうだ、ティオナー。まずは挨拶だ、挨拶は大事、古事記にもそう書いてある。

 

『おはようございます。』ペコリ

 

俺はドアノブと壁に手をかけ中を覗かせないようにしているベートの腕の下をくぐり抜けティオナの前に躍り出る。

 

「うへぇ!?よ、妖夢ちゃん!?ベート・・・・・・なにしたの!?」

 

うん?妖夢ちゃん?・・・・・・あぁなるほど、声同じだからな、そんでもって挨拶は敬語で言ったから妖夢に思えるのも頷ける。しかも頭下げたから目が見えなかったのか。ぞじで抱ぎじめないでティオナ・・・!ぐ、ぐるじい・・・。

 

「なにもしてねぇ!!てかよく見ろ妖夢じゃねぇよ!」

「え?・・・あっ、えーっと・・・ハルル?」

『く、苦しかった。俺はハルプだって。妖夢は就寝中だ』

「あ、アハハ〜ごめん間違えちゃった」

 

 

ティオナにも、ベートと同じような説明をし、事情を聞いてもらったのだが何も知っている事はないそうだ。それはベートとも同じようで、ただそう言う神ならロキが詳しいかも知れないと教えてくれた。やっぱりなんだかんだ教えてくれるベートはツンデレだ。

 

「にしても凄いね!壁をすり抜けられるんでしょ?」

『ああ、まぁね。』

「はぁ・・・・・・なんで俺まで・・・」

 

2人に連れられ、長い螺旋階段を登ってロキの部屋の前までやってくる。

 

「ロキ〜!入っていい?・・・・・・んー、やっぱり寝てるか」

「はぁ、当たり前だろ今何時だと思ってんだ」

「んー、4時?」

「真面目に答えんな、ロキが起きるのは大抵10時以降だろ」

『ロキそんなに起きるの遅いのかよ、俺なんて年中無休だぜ?』

「そりゃスキルだからな」

『あ、でもソウル・ダウンすると寝るわ。』

「あぁ?ソウルダウンだ?」

『おう、マインド・ダウンの霊力版だよ』

「そか、霊力がねーならお前はその見た目保てないんだったか」

 

そんな会話を互いに交わしながらロキの部屋に。普段ならこんな不法侵入はしないのだが今は仕方がない、緊急事態だからな。では、お邪魔させてもらうとしようか。

 

 

 

 

 

 

 

 

ウチが貴重な悦楽である睡眠を心ゆくまで堪能していると扉が開く音がした。何や、ウチの子が入って来たんか?恩恵は・・・二人やな、ベートとティオナか・・・・・・この2人がどうしてこんな時間に来たんやろうか?

 

でも起こしてくれるまではゆったりしよ、ベートとティオナの事やから昔みたいに喧嘩でもしてベソ掻きながら

ウチに審判を頼みに来たのかもな〜。

 

『おーい、ロキ?起きてるのか?』

 

んん?んんん?あれ?こんな声やったかなティオナ。・・・・・・いや、話し方はベートやから・・・あれ?もしかしてウチ夢見とるんと違う?何や、夢か〜びっくりしたわ〜。

 

『ベート、ティオナ。やっぱり寝てるよロキ』

 

んん?んんん?おかしいな、3人もおったかな?恩恵は・・・・・・2人しか居らんな、つまりウチの子じゃないっちゅう事やな?こんな時間にお客さんかいな、なんちゅう礼儀知らずな奴やねん、起きて文句を言ったろうか!

 

ウチはうっすらと目を開けまずは礼儀知らずな顔を見てやろうと行動に移したんや、でもな、そこには俺っ子なハルプたんがおったんよ。

 

「うおっ!?なんでハルプたんがこないなところに!?」

『うおっ!?ビビった!あっ、おはようございます。で、なんで抱きしめるんすかね?』

「おはようございます・・・ってちゃうねん!どうしてここに居るん?ウチと一緒に寝るか?」

 

まさかハルプたんとは思ってなかったせいで驚きの声を上げてしもうた。ハルプたんも肩をビクッってさせて驚いてたな、ウシシ、可愛ええやないか、そう思って抱きしめ頬をスリスリする。一緒に寝よ!そして結婚しよや!

 

『また今度な、今は緊急事態なんだ。』

 

微笑みながらのまさかのOK、ウチは嬉しさの余りガッツポーズを取りながら天井を見つめる!ん、で?緊急事態って、何のことや?

 

視線で話の続きを促すとハルプたんは真剣な顔になる、よく見れば殺気すら発っしてるな。

 

『昨晩、俺達が歩いていた時に謎の集団に襲われちゃってな。千草が攫われたんだ』

 

ハルプたんは眉間にシワを寄せながらそう言った。確か千草って子は前髪を下ろしていた子やと思う。絶対に前髪を上げたら可愛いとウチは断言するで。

 

・・・・・・にしても、遂に我慢の限界か。ま、フレイヤの所のオラリオ最強が頑張ったお陰で随分と長く持ってくれたが・・・・・・。取り敢えず敵方の最大レベルに妖夢たんは並んだ訳やし・・・ウチらは手伝う必要は無いな。

 

考え込むウチの内心を見抜いたかのようにハルプたんは口を開く。

 

『情報だけでも良いんだロキ、どこのファミリアが襲ってきのかとか知らないか?』

 

「・・・・・・ウチやって神、面白いことは大好きや。だからこそ、このおもろい情報はタダでは渡せん・・・・・・そうやなぁ、なんかと交換と行こうや」

 

きっとそれはとびきりな秘密を教えてくれるはず、ウチはほくそ笑みながら返答を待つ、するとほとんど待たずに返答が来た。

 

『わかった。じゃあ、そうだな・・・・・・・・今はダメだが俺を好きに使っていいぞ?ハッ!お触りは駄目だからな!』

「乗った!秘密とかどうでもええわ!さぁ!早く隣おいで!」

『今はダメって言っただろ!?』

 

ヤッター!やっぱり妖夢たんもハルプたんも最高やわ!顔を赤くしてカワエエ!ベットの横をバンバンと叩くがハルプたんは来てくれへん、なんやケチぃ。別にええやないか!ま、仕方ない、少しの間楽しみに待つとしよか。1日ウチの専属メイドにしたるわー!

 

「じゃあ教えたる、・・・・・・・・・エロスや」

 

ウチは人差し指を立て、ハルプたんに顔をさりげなく近づけて答えを教えたげる。エロス・ファミリアに行けば直ぐに千草たんともあえるやろ。にしてもアイツも馬鹿なやっちゃなあ・・・・・・性癖が異常な子の地位を上げる事でまともな子が苦悩する姿が面白い、なんてやってる内に自分が感化されてロリコンになるとか・・・。愛の神の癖して愛が捻くれ曲がって横道にそれてんねんな。

 

『エロス・・・・・・エロースか・・・・・・ありがとうロキ、この恩は必ず。』

 

エロスの奴の名を少しくり返し、ビシッとお辞儀をするハルプたん。よくエロースなんて知っとったなぁ、もう結構古い書物にしか書いてへんでエロースなんて、オラリオに来てから「エロースまじエロスwww」とかほかの神々から弄られてる内に一般的な呼び方がエロスになってもうたし本人も気に入ってるからなぁ。博識なんやね。

 

『では、失礼しました。・・・じゃあなベート、ティオナ』

 

ボフンと言う音と共に白い球体になり白い尻尾を引きながら壁に消えていったハルプたん。

 

「じゃあなー!今度は一緒に寝よーなー!」

 

むふふ、これは一波乱あるで〜!この恩は必ず、の所の目!あれは確実に何人か殺しそうやなぁ、おぉ怖っ!いゃぁ、楽しみになって来た!よっしっ!寝よ!

 

「んじゃお休みな〜」

 

でもな、ハルプたん。神は1人や無いで。

 




最初の千草のシーンだけ時間軸が少し違います、わかりずらかったらごめんなさい!

【ベート】

U ̄ー ̄U「寝ていたら隣にガキが寝ていた、何を言ってるかわからねぇと思うが俺も何が起きたのかわからなかった。」

ティオネ「・・・・・・へぇ?そういう趣味だったのね。」
ティオナ「・・・・・・怖い、もしかして噂に聞くHENTAI?」

(U´^ω^`U#)「このバカゾネスども・・・・・・!!」

ティオネ「いいアイズ、あれが《狼》よ。幼気な少女を襲う獣」
アイズ「そういうのは・・・いけない事だと、おもう。めっ!」

(∪︎×ω×∪︎)「・・・・・・・・・もう勝手にしろよ(泣)」

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