オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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ストックが無ければ即死だった。くそう、リアルが忙しくて(ゲーム)執筆時間がガガガ!




24話「答えて下さい。敵か、味方か。」

俺が朝目を覚まし、居間へ向かうと妖夢とタケミカヅチ様が何やら話し込んでいた。聞き耳を立てることになってしまうがその雰囲気から俺は中に踏み込めない。

 

「敵がわかりました。エロス。それが今回の敵方の神の様です。」

 

妖夢が誰かを明確に「敵」と表現するのを聞いたのは初めてだった。それ程に妖夢は怒り、憤っているんだろう。それは俺も同じだが、俺は団長だ。こういう時こそ冷静にならなければ。

 

意を決して居間に入る。

 

「「おはよう(ございます)桜花」」

 

タケミカヅチ様と妖夢がこちらを向き同時に挨拶をしてくる。もちろん俺もそれに返し、空いている座布団の上に座る。

 

「妖夢、ソイツのファミリアが千草を攫ったのか?」

 

俺の言葉に妖夢は頷き、タケミカヅチ様が眉をしかめて腕を組む。タケミカヅチ様の様子に妖夢が少しばかり苛立ちを見せる。また、珍しいものを見た。

 

「今すぐにでも仕掛けるべきですっ」

 

妖夢はもう我慢の限界の様だ。だが妖夢もタケミカヅチ様の子なら昼間から攻めるのは得策ではない事を知っている筈。個人の技量が向こうを上回っていたとしても、先の闇討ちの様に数で押されては敵わない。

 

「妖夢、落ち着いてくれ。俺だって千草を助けたいが、それは今じゃない。」

「今です!今動かなくては何が起こるかわかりません!」

 

こちらの説得も妖夢の気持ちを変えるには至らない。いや、白楼剣を使ってさっさと決心しない程度には理性も残っているのだろうか。

俺は頭を掻き毟る。エロス・ファミリアの等級はDだ、対して俺達タケミカヅチ・ファミリアの等級は妖夢がレベル3になった事でE。こちらには俺、命、千草、妖夢、猿師さん、純鈴さんの6人しか団員が居ない、猿師さんの所の奥さんやお婆さんはアマテラス・ファミリアのままだ。

対してエロス・ファミリアは団員が40を越える。純鈴さんは戦闘が得意ではないから戦えない・・・・・・。

 

妖夢やタケミカヅチ様は目を瞑って考え事をしている様だ、きっと戦力云々に関してはとっくに気がついてるだろう。

 

「・・・・・・闇夜に乗じるしか無いでごザルな。」

 

不意に上から聞きなれた声がしたので上を見てみると天井の板を外し、猿師さんが顔だけ出していた。

 

「ネズミも間者も居ない綺麗な天井裏でござった。」

 

ツッコミを入れようかと思ったがその一言で思いとどまる、猿師さんなりに警戒してくれているんだろう。

 

「ありがとう猿師、・・・闇夜に乗じる、か。」

 

タケミカヅチ様はそうつぶやいた後、暫く唸るように考え込み、ようやく答えを出した。

 

「とりあえず情報が足りないな、俺と桜花はギルドに、妖夢は手分けして知り合いを訪ねてみてくれ。猿師は全員分の紺色の装束を準備してくれ。出来るなら鎖帷子も欲しい。」

「はい!」

「わかりました。」

「了解でごザルよ」

 

よし、行動開始だ。まずはタケミカヅチ様と共にギルドに向かおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おすおす、俺っす。タケに特攻を許可されなかったぜぃ。戦いとかになると急に冷静になるんですからあの人は。

 

にしても命起きねぇな、普段ならとっくに起きてるのに。起こしてやるか。

 

「命ー、朝ですよー。」

 

呼び掛けるが身じろぎ一つしない命。んん?反応が無いぞ?・・・・・・チッ。

 

掛け布団をバっと放り中を見ればそこには命の私物やらが山となっている。

1人だけで突撃してしまったようだ。面倒臭いな、コレは。半霊で探すしかないか〜。

 

半霊を飛ばし、命捜索に当たらせる。

 

俺は徒歩(全力疾走)で、そうだなぁ、ミアハのところにでも向かってみるか?

 

そう考え走って中央通りを抜けようとすると。

 

「あ!妖夢だニャ!こっち来るニャー!」

 

と誰かが俺を呼ぶ声がする。人混みをすり抜けるように走っていた俺は立ち止まりあたりを見渡す。しかし残念かな、いや、無念と言っておこう。俺の背は低い。周りには大人の冒険者達がダンジョンに向かって歩いている為視界は最悪だ。

 

恐らくだがあの特徴的な声や語尾からしてアーニャと推測するが、豊穣の女主人はこっちの方角だからこっちかな?

 

人波に抗い、時に人の股をくぐり抜け、何とか豊穣の女主人に到着する。するとアーニャが膝を折り曲げ視線を合わせてくる。

 

「おっすニャー。今時間あるかニャ?」

 

時間的な余裕はあるが、精神的には余裕は無い。だけど聞き込みが俺の担当である以上酒場の店員達の情報網を頼るのも悪くは無い、それどころか一気にいい情報を得られるかもしれない。そう考えた俺は二つ返事で了承し、アーニャについて店の中に入っていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

微笑みを浮かべるのは優男。その真正面には水色の髪の女性。ヘルメスとアスフィだ。彼等はここ、豊穣の女主人でとある情報収集に乗じていた。

ギルドからの手紙にはギルド職員が攫われてしまったこと、それと攫われたギルド職員の名前や外見的特徴などが記されていた。要するにヘルメス達のミッションはジジ・ルーシャの救出だ。そして、まずは情報収集に、とヘルメス達は此処を訪れたのだ。

 

夜は酒場に早変わりするこの店も、今はお洒落な喫茶店だ、厳つい冒険者達の姿は見受けられない。いるのは精精少し裕福な一般人程度だろうか、若い女性が多くこの店の戦略がしっかりと客を捕まえていることが伺えた。

 

談笑する高めの声が店の中を飛び回る。話題は「冒険者の誰々様がカッコイイよね!」等のやはりこの店に来るような若い年頃な話が多い。

 

それにしてもとヘルメスは思う。

 

「(アスフィ・・・・・・だいぶ疲れてるようだな)」

 

「どうかしましたか?」

 

アスフィの顔を見つめていたヘルメスにアスフィは少し首を傾げながら聞いてくる。そんなアスフィは目の下にやはり隈ができ、その端整な顔立ちを曇らせている。オラリオに帰ってきてから少し経ち、色々な手続きも終わり、余裕は戻ってきているもののこうしてまた新たに事件が発生し、その余裕も失われた。

 

「いや、やっぱり綺麗だな〜ってね」

「はぁ」

 

「(ギルド職員の誘拐・・・・・・全く、何故踏みとどまれ無いかなぁ)」

 

ギルドとは中立に位置する立場である、どのファミリアにも近過ぎず、遠すぎずを維持し、ダンジョンを監視する巨大な組織。

 

そう、巨大な組織なのだ。ギルドとは言わば人々の生命線であり、それが無くなれば物流は滞り、モンスターが跋扈し、人類の生存が危うくなる。ヘルメス・ファミリアなどの様々な職種に手を伸ばす者達でも無い限り、ギルドが無くなれば生活は危うくなるだろう。魔石を還元するのもギルド、ダンジョンを封じるのもギルド、街の治安維持もギルド。ギルドとはこのオラリオの中心なのだ。

 

では、そんなオラリオの心臓たるギルドの血液たる職員が攫われたとなればギルドが騒がない筈が無い。故に、ギルドから信頼を置かれる彼らに依頼が来たのだ、ギルド職員を取り戻す、その為に彼等はここにいる。

 

とはいえ、実は既に此処での情報収集は終わっており、帰ろうとした所を店主であるミアに「冷やかしかい?」と凄味のある笑顔で問われてしまい、疲れているだろうアスフィに甘いものをと少し休憩していたのだ。

 

「お一人様ご来店にゃ〜〜!」

 

そんな時、店員のアーニャが元気な声で店に入ってくる、コツコツと木の床を叩く軽快なリズムが彼女がご機嫌であることを表している。

 

「ヘルメス様、さっき話に出てた妖夢が居たから連れてきたニャ!」

 

アーニャがヘルメス達の方へ向き、そう言って入口の方を指さす。ヘルメスは一瞬だけ顔を険しくしかけたがすぐに微笑みに戻す。攫われたのは妖夢の担当アドバイザー。その部分を恐らく聞いていたのだろうアーニャはヘルメスが頼んだ訳でもないのに妖夢を目ざとく探し出し、連れてきたのだ。

 

ヘルメスは帽子を少しかぶり直してアスフィの方を少し見る。アスフィは入口の方を向き、硬直していた。否、警戒をしていた。

 

コトン。小さな軽い足音が店内に響いたと同時に、店内は静寂に包まれる。魔力とも違う、不思議な力が圧力をかけるかのように店内を制圧する。

 

ヘルメスは入口に立つ人物をその視界に収める為に首をそちらに向けようとして――――――――首に冷たさを感じた。

 

「私を探していた、そう聞こえましたが?」

 

ピッタリとヘルメスの首には白い刀が押し当てられている。血が出ない絶妙な力加減だ。ヘルメスは冷や汗を垂らしながら思う。

 

「(あれー?おかしいな、アスフィから聞いた話しと全然違うんだけど)」

「答えて下さい。敵か、味方か。」

「(おいおいアスフィ?助けてくれよ〜)」

 

カチャリと刀が鳴る、しかしそれはヘルメスに押し当てられている白い刀では無い。

 

「くっ・・・・・・!」

 

アスフィの首にも又、刀が押し当てられている、こっちは黒だ。アスフィは動けない。それがわかったヘルメスはとりあえず誤解を解く為に口を開く事にした。

 

「お、おいおい。俺は敵じゃないぜ?それに君だって攫われた人を探してるんだろ?」

 

やや引きっつた表情で両手を顔の位置まで上げて無抵抗をアピールする。ヘルメスは妖夢の行動を見て、恐らく彼女もこの事件を追っていると当たりをつけたのだ。そしてそれは見事、的中している。

 

空間を圧迫していた霊力は薄まり消えて、首に当てられていた刀は鞘に音を立てずに収まる。誰の物とも解らない安堵の溜息が漏れる。それに続き椅子の引かれる音がして、ヘルメスの対面のイスに妖夢が座る。

 

「味方でしたか、すみません。危うく斬って捨てる所でした。所でエロス・ファミリアについて、何か知っている事は有りませんか?」

 

今でも危ういです、内心そう思うヘルメスだったがエロス・ファミリアの名前が出た事で真面目な顔になる。アスフィも同様だ。

 

「なぜ、エロス・ファミリアについて聞くのです?」

 

アスフィが妖夢に聞く。恐らくジジ・ルーシャを探しているのだとは思うが聞いてみるに越したことは無い、そう思ったのだろう。

 

「千草が・・・・・・家族が囚われているからです。」

「なに?あぁ!そういう事か・・・・・・!」

 

ヘルメスはへなへなと机に倒れ込み、頭を押さえる、彼の中で今回の事件が一つに繋がったのだ。

 

「あんのロリコン神達め・・・・・・!」

 

攫われたのはジジだけでは無い、中央通りの花屋のおばさん等の一般人等も含まれる。しかし、それらは全て妖夢と一定以上の親しい関係の者達なのだ。

 

攫われた人々の年齢外見性別がてんでバラバラだった為になかなか核心に到れなかったが、そこに妖夢と言うピースをはめ込めば全ては繋がった。つまり、大きな獲物を釣るために、大量の餌を用意しようということなのだろう。

 

「何か知っているんですか?」

 

前のめりになり聞いてくる妖夢、その目は確かな決意と期待にみちている。

 

「あー、実は攫われたのはその千草って娘だけじゃない」

「・・・・・・」

「君の担当のジジ・ルーシャ、花屋の店員、防具屋の店番をたのまれていた少年とか、そんな人達だ。・・・・・・俺の予想だと君の知り合いだよね?」

 

はい。そう答えた妖夢の眉間には皺がより、少しだけ落ち着きが無くなる。助けにいきたがっている、誰が見てもわかるほど、先程とは違い狼狽している。

 

「何があったのかな?教えてくれるかい?っと、こんな所でする話じゃないか、場所を変えよう。アスフィ何処か良いところを知らないかい?」

「ギルドの話しならばギルドが一番なのでは?」

「それもそうか。よし、妖夢ちゃん、ギルドに向かおう。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここも・・・・・・違う。

 

私はオラリオを走り回る。私のスキル【八咫白鳥(ヤタノシロガラス)】は同じ恩恵をその背中に持つ者を感知するスキル・・・・・・その効果範囲は本人の、つまりは私の精神状態などが大きく関わって来る。

 

今の私はどんなに贔屓目に見ても落ち着いてるとは言えない。効果範囲は狭いだろう、でもそれでもいい、手当り次第調べていけば良いのだから。

 

ステイタスによる補正を受けている私の肉体は一般人に比べるととても強靭だ、勿論、タケミカヅチ様の子である以上、恩恵など無くても一般人を超えると自負している。

 

それでも、疲れはジワジワと私を追いかけてくる、いや、追いかけてくるのは疲れだけではないようで、不安、焦り。そう言った物が私をはやし立てる。

 

「早く、早く見つけなくては」

 

不眠により集中力は著しく落ち込み、けれどそれを気力でカバーする。石畳を蹴り、ひたすらに探し回る。

ふと思う、妖夢殿達は何をしているのか、やはり私の様に探し回っているのか、それとも作戦を練っているのか。・・・・・・後者だと思う、タケミカヅチ様はこういう時、冷静になれるお方だから。きっと桜花殿も妖夢殿も焦燥を感じながらも冷静に判断を下そうと頑張っているいのだと思う。

 

そう思うと申し訳なくなる、でも、ここで動かなければ駄目なのです、冷静な判断が出来ていないことは百も承知、でも、それでも私は動かなければ。

きっと私が残っても喚き散らしてしまうに違いない、私は頑固とよく言われるから。

 

うまく回らない思考の中、突然、反応を捉える。同じファミリアの仲間、その反応を。

 

目の前には小さくも豪華な門がでんと構え、石で出来た巨大な建築物が。それは中世の砦に似た外見で、しかし、城壁が無い簡素な建物だ。

 

「・・・此処に・・・・・・千草殿がッ・・・・・・!!」

 

体中を支配する物があった。そしてそれを私は知っている。憤怒、それが沸き上がってくる。

 

―――戦う時は常に冷静になれ、怒りは力を強くするが技のキレを鈍らせる。

 

タケミカヅチ様との訓練、その時の一言を思い出す、冷静にならねば。そう思うほど怒りは強くなっていく。

 

「千草殿ッ!助けに来ました!」

 

気が付けば私はドアを蹴破っていた。ドアが大きな音を立て吹き飛び、酒場のようになっていたホールの真ん中にぶち当たる。

 

どよめきが起きる中私は素早く敵勢力の確認を済ませる。

 

「(1――5――9―12!)」

 

12人の冒険者がこちらを目を見開いて立ち尽くす中、その場に千草殿がいない事を確認し、抜刀。切っ先を敵方に向け、宣言する。

 

「私の名はヤマト・命!千草殿は返して頂くッ!」

 

相手が武器を抜いた瞬間腰を落とし、切っ先を敵に向けたまま顔近くまで刀を上げ構える。特殊な歩法は用意ず、突撃する。

 

「牙突一式ッ!」

 

金属で補強された革の盾を容易く突き破り、敵の腹を穿つ。これで1人!振り向きざまに袈裟斬りを放ち、さらに身を翻して逆袈裟斬りを放つ。振るわれた凶刃は2人の男を肩から腹から切り裂き地に伏せる。

 

うめき声をあげながら倒れる男達を意識の外に置き、戦える者達を睨みつける。

 

「――――次は、どなたですか?」

 

私の問に答える者はない、瞬く間に3人の仲間を倒された相手はどうやら怯んでいる様だ、それを見た私は畳み掛けようとするものの。奥の扉が開き、そこから答えが帰ってくる。

 

「ふむ、ならば自分がお相手仕ろうか。」

 

低い声を発したのは灰色の髪をした、顔に大きな傷をおった隻眼の大男だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

ギルドに到着した俺達はカウンターに押しかけ、そして上に話を通してもらい、割と待たされてから奥の部屋に案内された。

 

「どうもタケミカヅチ様、私はロイマン、ロイマン・マルディールです。お待たせして申し訳ありません」

 

手をコネコネしながらロイマンに進められるがまま豪華なソファに腰掛ける。

 

「で、お話し、との事でしたが・・・・・・無論、誘拐事件の事ですな?」

「ああそうだ、何か知っていることはないか?」

 

ロイマンは難しそうな顔をしながら腹を摩り、悩ましそうに答える。

 

「うーむ、千草と言う少女については何も知りませんが・・・・・・攫われたのは魂魄妖夢の担当アドバイザーや中央道りの人々など、年齢も性別もバラバラである事はわかっております。それと、恐らくは複数のファミリアの犯行かと・・・・・・現在ヘルメス様に捜査を依頼しております」

 

げぇっ!?ヘルメスだと?!・・・・・・まぁ、確かにそういうことに関しては腕は確かだが・・・・・・。ん?待てよ?複数のファミリアの犯行?妖夢のアドバイザー?・・・・・・狙いは千草じゃなくて妖夢だったか、いや、両方と言う可能性もある。

 

「エロスファミリアだけでは無いのか・・・・・・。」

 

桜花が顎に手を添えながら考え込んでいる、全員を救う為にはやはり数が足りないかもしれない、もしエロスの拠点に千草が居なければ奇襲した所で意味は無い、報告を受けた共同犯の守備が固くなるだけだ。ヘルメスの奴と協力するのは余りやりたくないが、目的が同じ以上は協力するしかないか。

 

「他には何か?」

「いえ、現在は捜査中です。報告があり次第お伝えしましょうか?」

「ああ、お願いする。」

 

その後は何やら媚を売られたりした、恐らく猿師の丸薬が市場に出回り、経営が落ち着いたからだと思うが・・・。

 

そうしていると職員がドアをノックし入ってくる。

 

「失礼いたします。ヘルメス様がお見えです。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おっす俺だよ。現在はギルドでタケと桜花と合流して情報交換をしようとしているところだな。

 

「タケ、そっちはどうでしたか?」

「千草に関する物は無かったが、妖夢のアドバイザーも攫われたらしい。」

 

どうやらタケもジジについては聞いているみたいだ。

 

「多分だが・・・・・・妖夢、お前を誘い出すための餌として、な。」

 

桜花が眉間に皺を寄せながら腕を組んで悩ましげに唸る。

 

「あれ?これもしかして俺達要らなかったんじゃないかい?」

「ヘルメスは黙ってろ。あ、やっぱり知ってる事は全部吐いてもらうぞ」

「アスフィ、なんか俺だけ扱い酷くない?」

「気のせいだと思いますが?」

 

ごめんなヘルメス、今は構ってられないからさ。で、早く情報を教えてくれよ。

 

「命はどうしたんだ?てっきり妖夢と一緒に行動してると思っていたが」

 

桜花が命がいない事を不思議に思ったらしい、表情が険しいから多分可能性に至っていると思う。

 

「命は今私が探しています。」

「・・・・・・そうか、わかった。」

 

後で桜花には胃薬を送ってやろう、猿特製の奴。

 

「ん?妖夢ちゃん、こんな所で話し込んでいていいのかい?その命って子を探しに行かなくても?」

 

うん?だから探してるって。ってああそうか、半霊知らないのかヘルメス達は。って視界に捉えたか、命は・・・・・・ふぇ!?戦ってるよ・・・・・・あの子はもう・・・。取り敢えずタケ達に伝えなくちゃ。

 

「探しています、というか今まさに見つけました。」

「?」

 

不思議そうにするアスフィとヘルメスを尻目にタケ達は表情が険しくなる。

 

「命は今――――単騎特攻を仕掛けています。」

 

タケと桜花が目を見開く。そして頭を抑えた、それも同時に。親に似るってのこういう事なのかね。

 

「まじかよ・・・・・、警戒が強くなる・・・いや、妖夢を誘い出す餌だとするならどの道変わらないか」

 

・・・・・・まじかよ・・・オラリオ腐ってんなぁ・・・・・・。命止めなきゃ警戒が強く・・・いやもう戦ってるし意味無いか

、トホホ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふんぬっ!」

 

隻眼の大男、名をキュクロ。大剣の二刀流と重装鎧と言う此処オラリオでは珍しい戦闘スタイルの重戦士だ。

そして、レベルは3。【隻眼巨神(サイクロプス)】の二つ名を持つ割と有名な男だ。

 

「うぐッ!?」

 

彼の放った大剣の横凪を屈んで避けた命は流れる様に続いた回し蹴りを腹に受け、自分が蹴破った扉を越えて外に転がり出る。

 

「なっ・・・・・・!」

 

辺りを見渡すと数十人の完全に武装した男達が。命は素早く立ち上がり刀を構える。

 

「悪いな。主神の(めい)であるゆえ、此処を通す訳には行かん」

 

右の大剣を肩に担ぎ、もう片方の切っ先を命に向け、キュクロは立ち塞がる。

 

「貴方は・・・・・・貴方方は何がしたい・・・・・・。なぜ、千草殿を攫うのですか」

 

命の睨みながらの問いかけになんら動じることも無く、キュクロは語る。

 

「知らぬ。知る必要も無い。自らの役目は貴様らをここより先に通さぬ事、時間を稼ぐ事。」

 

故に語ろう、そう言ってキュクロは昔話を始める、しかし、そこに一瞬たりとも隙は見いだせず、命は周囲の冒険者を警戒するしかない。

 

「我が主神、エロス様は自分を拾い下さった恩神だ。病により片眼が腐り落ち、最早死するまで残り僅かとなった時、かの御仁は現れた。持てる技術全てを使い、自分を救ったのだ。」

 

だからこそ、かの御仁が如何なる目的を持とうとも、従い、その剣となるのが我が喜びにして生き様。そう語るキュクロの目は命の目を睨みつける。

 

「貴女も武人と見受ける。尋常な果し合いは出来ぬが、理解して貰いたい。」

 

キュクロは頭を下げる、その思いが命には理解出来た。例えばタケミカヅチ様が何かをしろと言うのならきっと何に変えても私達は行動に移すのだろうと。だが、それでは千草はどうなるのだ。

 

命は構える、家族に降った不条理を切り裂くために。キュクロも構えた、大剣に自らが崇める神への恩義を乗せて。

 

「「いざ、参るッ!」」

 




【???】

(´^o^`)デュフフコポォ オウフドプフォ フォカヌポウ「いやぁwww遂に拙者のファミリアの大将が現れたでござるなwww」

v( (゜) ▽(゜) )vイイッ!もっと殴ってッ!「ククク・・・まだ吾輩の動く時ではない。」

( ▔・ω・▔ )俺だけ特徴がない「てめぇ強くないだろ、それよか俺達の団長の方が強いだろ、常識的に考えて。女だしな、団長」

(´^o^`)v( (゜) ▽(゜) )v
「なん・・・・・・・・・だと?」


【団長】

エロス→キュクロ
???→???
???→???

特殊部隊の神は4人だが、内ひとりはレベル3以上の冒険者が居ないため、さんかしていない。

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