オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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遅れてごめんなさいっ!インフルエンザ治りやした!そしてストックも回復だ!

今回はセリフが多いです。過去最高に多い。そして変態だ(泣)

神様好きの人には申し訳ない内容となっています。先に誤っておきますね、許してヒヤシンス。



25話『若奥様とかどう?』

ギルドの一角、ギルドによって用意されている防音が施されたこの一室で俺達は話し合っていた。

 

「タケ、どうしますか?」

 

真剣な表情でタケミカヅチ様に問う妖夢、タケミカヅチ様はため息をついた後、妖夢の目を見つめ返す。

 

「敵の数は?」

「外に20。囲まれています。」

 

その雰囲気から何らかのスキルによるものと当たりをつけたのか、ヘルメス様とアスフィさんも真剣な表情になった。

 

「敵の武装は」

「剣槍弓盾・・・鎧も全部バラバラです」

「そりゃそうか・・・・・・冒険者だもんなぁ・・・・・・状況は?」

 

マジか、と俺は頭を抱えたくなる。こんな真昼間にそんなに残っているのかと。普通ならこの時間帯はダンジョンの中でモンスターと戯れている筈なんだけどな。攻めるなら早朝か真昼間か真夜中が良いと俺は踏んでいたんだが・・・・・・猿師さんはここまで読んで夜襲を勧めたのだろうか?

 

「状況を見るに恐らくは待ち伏せですね、私達が来るのを待っていたのでしょう。・・・あっ!今戦闘が始まりました!・・・上手い・・・命が押されている・・・・・・」

 

命が押されている?じゃあ団長が相手なのか?たしかエロスファミリアの団長って・・・

 

「なぁ妖夢ちゃん、相手の武装は無骨な大剣二刀流だったりするかい?」

 

ヘルメス様の言葉に妖夢はキョトンとした後頷く。ヘルメス様は帽子を軽く押さえつけ、真剣な声色で説明を始めた。

 

「やっぱりか・・・・・・彼の二つ名は単眼巨神(サイクロプス)、ダンジョンで取れる希少鉱石を惜しげも無く使った重装鎧と大剣を操る重戦士さ。それに・・・・・・魔法がえげつないと神々の間では有名だよ」

 

ヘルメス様の言葉で俺の記憶はしっかりとキュクロを思い出させる。たしかその魔法は相手のステイタスを下げる効果があったはずだ、他にも何か効果があるらしいが秘匿されている。

 

「そうなんですかタケ?」

「あぁ・・・・・・下手を撃てば一級冒険者ですら苦戦を強いられるぞ。絶対に魔法を使わせたら駄目だ。」

 

タケミカヅチ様の言葉に俺も妖夢も気を引き締める。

 

「・・・タケ、命が危険です。助けに行きましょう」

 

妖夢が目を瞑り集中し、命現状を報告してくる。現在妖夢はタケミカヅチ様からのゴーサインを待っているのだろう。しかし、今助けに行くのは無理だ。何せ複数のファミリアが絡んでると思われる現状、派手に動くのは不味い。警戒を強められたら夜襲すら意味をなくす。

 

「妖夢、今回の事件は複数のファミリアが絡んでいるんだ、派手に動くわけには行かない。・・・・・・そうだな、ハルプを使って命の救出を試みてくれないか?」

 

ハルプなら殺られたとしてもこちらに何のデメリットもない、と言うか死なないしな。囮、偵察、殿、何を任せても平気な便利な奴だ。とは言えそれも妖夢本人の体である以上余り捨て駒のように使うのは頂けない。だが状況が状況だ。使えるものは何でも使ってやる。

 

「了解です桜花。タケ、いいですよね?」

「あぁ。命まで奪われるわけには行かない」

 

それに、と俺は思う。命の魔法、フツノミタマは対人戦で切り札になり得るほどの魔法だ、詠唱が長い以上発動できるかが勝負の鍵となる、・・・家族であると同時に貴重な戦力だ。千草を助ける為にも失う訳にはいかないだろう。

 

「では、意識の殆どを移すので体は任せますね」

「ん?それはどういう事だい?遠くから物をみるとかそういうスキルじゃないのかい?」

「全くお前は・・・人のスキルとかステイタスを詮索するんじゃない!」

「あれ?・・・なんだか平気そうですよ?」

「ん?」

 

 

 

 

 

 

 

 

2本の大剣による暴風が吹き荒れる。路面を整えるタイルが捲れ吹き飛び、時間と共に累積された砂が巻き上がる。スキルによって強化されたレベル3最高峰の筋力ステイタスが織り成す破壊の嵐は周辺を更地に変えんばかりだ。

しかし、そんな嵐をギリギリで凌ぐ少女、命は必死になって攻撃を凌ぎ続けていた。攻撃を凌ぐ最中、命は探し続けていた。「台風の目」を。

台風には目がある、それは唯一の安全地帯、雨に降られず、空は澄み渡る。そんな台風の目を探していたのだ。

 

「(このままでは・・・!私は何も・・・できない!)」

 

しかし、台風の目は見つかることは無い、なぜなら台風の目とは嵐の中心に存在し、その中心にあるのはキュクロただ1人。安全地帯は存在しなかった。

 

2振りの大剣の連撃は命を見事に牽制し、ステイタスの差は命に防戦以外の選択肢を与えない。

 

「ぐっ・・・!」

 

攻撃を防ぐ度に命の愛剣は悲鳴と共に火花を散らし、耐久度を失っていく。キュクロの攻撃を受け止め防ぐのでは無く、往なし、逸らす事で防ぐ技量の高さはあるものの、やられてしまうのは時間の問題だろう。

 

「ふんっ!」

 

右の大剣の振り下ろしを左に小さく飛び跳ねることで躱し、左の大剣の横薙ぎを刀を斜めに構える事で往なす。普段ならば、ここで返す刀で斬る所なのだが、レベルが高い冒険者とは恐ろしいもので、先程振った左の大剣が既に命に向けて振るわれているのである。それを屈んで回避すると待っているのは蹴り、体を後ろに思い切り倒し蹴りを躱せば、身をひねった両手の大剣による切り上げが迫る。

 

しかし、命は原作とは違い、新たなスキルを得ている。そのため、体を後ろに倒しているがために見えない筈の大剣を・・・・・・直感的に知覚し、刀で受ける。

 

「ぐうぅ!」

 

キーン、と甲高い音を立て、刀が後方に飛んでいく。刀を見送っていた目がキュクロを再び捉える時には既に大剣が眼前に迫っていた。しかし、それは慣性を無視するかのように命の首元で止まり、剣圧による風が命の髪を靡かせる。それに続き低い声が耳に届く。

 

「太刀筋、体さばき、感のよさ。なるほど、確かに強者だ。しかし・・・如何せんこのステイタスとは邪な物だ、生命を救われたとは言え、それだけで勝負がついてしまうなど。」

 

戦いに勝ち、しかし何故か悔しそうにキュクロは失った片目を撫で唸る。

 

「無粋な物ではあるが、元より尋常な勝負ではない、主神の命を守る為には必要な物だ、自分は貴方を通す事は出来ぬ、故に退け。ここで折るには惜しい剣だ。」

 

キュクロは何処までも武人であった。彼に命じられた命令は「誰もここから先に通さない事」だ、しかし、彼は気が付いている。誰よりも主神に信仰を捧げ、誰よりも主神の為にと身を粉にして働いたのだから。

 

エロスの目的、それは主神の目についた何者かを誘い出すことであると。しかし、キュクロに命じられたのは通さぬ事。エロスは昔ほどキュクロを愛して等いないのだ、それに気がついて尚、彼は主神の為にと剣をとる。

 

恩義に報いるため、忠を尽くすため。

 

故に死ぬまで、戦う術を失うまで、彼、キュクロは戦うだろう。それが彼の生きる理由であり、活力となるのだから。例え、それが捨て駒の役割だとしても。

 

「我が生命・・・全て、捧げます。それが、如何なる行いの為であっても。」

 

 

 

 

 

 

 

 

私は・・・・・・1人でホームに向かって歩いている。そう、1人で。

 

私には千草殿を救う事は出来なかった、情をかけられ見逃されたが結局の所私は馬鹿なのだと思う。

 

私のせいで更に警戒が強くなってしまうかもしれない。タケミカヅチ様が恐らくは立てているであろう計画に支障をきたすかもしれない。

 

思い上がり過ぎたのだと、そう、認識させられた。私の力では、私の想いでは、彼の恩義の剣を越えることは出来なかった。

 

『なぁ、大丈夫か?』

「うわぁ!?」

 

唐突に横から響いた声に思わず驚きの声を上げてしまう。そこにいたのは、妖夢・・・ハルプ殿だった、昔はハルプ殿の状態でも普通に妖夢殿とお呼びしていた為に今でもよく間違える。

 

「平気・・・・・・です」

 

本当は泣き喚きたいほどだ、千草殿を救えぬこの身の未熟さを嘆き、結果として更に救える可能性を減らした頑固な頭を掻きむしりたい。

 

『そうか。』

 

それだけ言って、ハルプ殿は私の隣を歩く。何があったか聞かないのだろうか?少なくとも、叱られると思っていたのに。

 

『何も言わなくても良いぞ。見てたからな』

 

両手を頭の後ろで組み、空を見ながらハルプ殿はそういった。その言葉に私は思わず顔を背けたくなる。恐らく、ハルプ殿、妖夢殿は私の想いを汲んで見守る事にしたのだと思う。昨日の私の言葉も関係しているのだろう。そう、理解し、恥じらいが私を襲う。

 

「何も・・・・・・出来ませんでした・・・」

 

拳を強く握りしめる。何度もエロス・ファミリアの方を向き、歯を食いしばる。

すると、私の頭に少しヒンヤリとした手が乗せられる。

 

『あー・・・まぁ・・・なんだ?まだチャンスはあるんだし今度は一緒に助けに行こうぜ?1人じゃ出来ないことも人数増えれば出来るだろうしな』

 

私の頭を撫でながら気恥しいのかそっぽを向くハルプ殿。身長が私よりも低いので手を伸ばして頭を撫でるのが微笑ましい。銀色の毛並みの小動物は居ただろうか?

 

『おい、なんだその小動物を見るかのような目はっ。俺が小さいんじゃない、命がデカイんだ!』

 

撫でていた頭から手を離し、地団駄を踏みながら講義するハルプ殿。その姿にほんの少し癒される。

 

『うぉ!?お、おい・・・。あーもう・・・好きにしろぉ・・・全く・・・』

 

気が付くと私はハルプ殿を抱きしめていた。悔しくて涙が出てしまった。妖夢殿だって本当は、桜花殿だって本当は私の様に突撃しようとしたに違いない、だって皆そういう人達だから。武神の子でありながら、割と向う見ずで、情に弱くて・・・。

 

自分勝手な私に腹が立ち、悲しくなり、許せなくなる。

 

『まぁ、何にせよ、命まで連れて行かれなくて安心したよ。』

 

けれど、こうして私を想ってくれる人達がいる、なら私はその気持ちに応えねば。千草殿を共に救い、少しでも恩を返さなければ。きっと、私がどれだけ恩を返そうと

返し切れないほどの恩を貰ってしまうのだろうけど。

 

 

 

日は――――まだ高い。

 

 

 

 

 

 

 

『ククク・・・そちらの状況はどうだ?D・・・いや、―――ヘカテー。いやはや、人に全ての富と豊かさを与える女神が・・・・・・我々と同類だとはな、ククク。』

 

エロスは神秘によって作られた通信器を使い、女神ヘカテーと会話をしていた。

 

『あの豊かさの欠片もない胸部に豊かさを与えたい。そもそも女魔術師の保護者とか言われる位には女好きだ。そして豊かさがないあの胸部を自らの手で豊かにしたいだけだ。』

『このwwゲス野郎ww豊かじゃないとか連呼するんじゃありません!』

『野郎じゃねぇから!』

 

話しの内容は幼女の何たるかを延々と語り続ける変態的内容だったため割愛するが、しばらくすると彼らは真剣な声色になった。

 

『今朝、襲撃があった。』

『早いな、奪い返しに来たか』

『ああ、だがどうやら馬鹿な奴が1人で突っ込んで来たらしくてな。ククク、惨めにもキュクロに一太刀も浴びせること無く帰っていった。』

『そうか、で、どんな奴だった?』

『サイドポニーの黒髪和風美少女だ。』

『な ぜ と ら え な かっ た!』

『胸が・・・・・・デカ過ぎたんだ』

『あぁ・・・そうか・・・大きかったかぁ』

『いや、真面目に話そう。』

『そうだな、・・・・・・いつごろ襲撃があると思う?』

『今日の夜か・・・明日の朝か、だろうな』

『ふむ・・・どうするんだ?ただ攫っただけでは犯罪だぞ?』

『え、今更?』

『え』

『・・・・・・戦争遊戯(ウォー・ゲーム)の景品にすればいいんじゃないか?』

『景品にか、なるほどな。勝てば攫われた人々は解放、負ければ攫われた人々は解放されるが魂魄妖夢は我々のものになるわけか・・・他の奴いらないし』

『そうだ、前に話し合った1ヶ月ローテーションだ』

『では何日宣言するんだ?戦争遊戯は』

『奇襲をかけられると面倒だから早めにしておく事が望ましいな。』

『相手が乗ってくると思うか?』

『ククク、あのタケミカヅチの事だ、乗ってくるだろうよ。それにキュクロの奴も言っていたぞ?「レベル2とは思えぬ技量」とな。』

『まさかレベル2を我々の団長らと戦わせるのか?いや、流石に乗ってこないんじゃ・・・』

『果たしてそうかな?対人戦特化ファミリアと言われているあのタケミカヅチ・ファミリアだぞ?』

『乗ってくるか、あの男なら』

『うむ、乗ってくるだろう。』

 

会話は続き、捕虜の管理についての話に変わった。

 

『そういえば、タケミカヅチの所から攫った・・・・・・あの子は何だったか』

『千草だ』

『そう、千草。その子はどうなってる?』

『キュクロの魔法で一時的に石に変えている。戦争遊戯になったら解くつもりだ』

『お、おぉ、流石【単眼巨神】やる事がえげつない。・・・・・・にしたって、追っ手を気にしてわざわざ捕虜を入れ替えたってのに、予想外に早くバレたな』

『キュクロは扱いやすくて助かる。あぁ、そうだな。何らかのスキルと見るのが一番だろう。ギルド職員の方はどうだ?』

『エンに面倒を見させている。ギルド職員に変な真似は出来ないからな。スイートルームだ』

『え?・・・変な真似は・・・できない?』

『え?』

『い、いや、何でもない。所でエンって【魔鉄淫獣】の?』

『やめろォ!エンちゃんをそう呼ぶんじゃない!あの娘気にしてんだぞ!悪口とか陰口とか耳に入ると泣きべそかいて私の部屋来るような子なんだぞ!「でも、団長になったから頑張らなきゃ・・・!」とかいって頑張ってんだぞ!やめたげてよお!』

『えぇ・・・俺の知ってる淫獣じゃない。』

『だって淫獣じゃないし。命名式のときたまたまお前参加してなかったけどさ、そもそもあの娘はファミリアで生まれた子でな、その母親に名前をさずけてくれとか頼まれて、特に何も思い浮かばなかったから天界の下僕の淫魔のエンプーサをちょこっと区切って名前にしたのは良かったんだが・・・それをネタにされてな?』

『話が長い、やり直し。淫獣じゃなかったかぁ・・・』

『なんで少し惜しそうなんだ』

『まぁ、何にせよさっさと動くか』

『そうだな』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うっすうっす、俺だよ~、ハルプだ。今は命とギルドに向かって歩いてる所だな。泣き腫らして赤くなった目を少し俯くことで隠しながら命は俺の隣を歩いてる。

 

「あ、あのハルプ殿・・・タケミカヅチ様は・・・お怒りになってはいなかったでしょうか・・・・・・」

 

どうやらタケたちが怒ってないか心配してるらしい。

 

『怒ってないよ?アチャーて感じだったけど、』

「そうですか・・・」

 

それきり命は口を閉じ、何やら考え事をしている様だ。

 

『命、俺達にはタケと猿と桜花って言う三参謀がついてるしさ、考えるのはあの1人と1匹と1神に任せよう。』

「!?・・・はぃ、そ、その何故考えていることが・・・。あっ、それと人は2人です、1匹はいません」

 

ふっふっふ、今のは場の雰囲気を持ち直すための必殺猿師弄りだ、命も少し微笑んでくれたし。

 

『だって命の顔に書いてあったぜ?』

「顔にですか?」

『そうだそうだここら辺とかな?』

「ふぇほふっへたを弄らなひれふらさい」

 

このもちもちのほっぺため!そんな感じで暫くじゃれ付き、命の緊張も解れた頃、ようやくギルドに到着した。にしても反撃を受けてほっぺを揉みしだかれるとは思わなんだ。

 

ギルドに入り、冒険者達がたむろするホールを抜ける。もうすぐでギルドの遮音室につくだろうか、そんなあたりで命が再び話しかけてくる。

 

「あの、タケミカヅチ様はどのような会話をしておられますか?」

 

緊張のせいか堅苦しくなってるが仕方ないか、ヘルメスの前に体を無防備に晒すのも良くないとタケが言うので意識は1割くらい残してある。つまりはタケたちの会話もずっと聞こえていた訳だ。

 

『今は・・・―――』

 

ここで俺のこの分身時の意識についての軽い説明をするとだな、うーん、普通ならマリオゲームをする時は一つのコントローラーでマリオを1人で操作するだろ?意識を半分づつ割いて行動する時はコントローラーを1人で二つ使ってマリオとルイージを同時に操作し、動かしてるイメージだな。 まぁ要するにすっごい厳しい!でも今は肉体の方に割いてる意識は1割くらい、殆ど寝てるのと変わらないんだけど耳とか鼻は効く感じかな?だからこうして話だけは聴くことが出来る。

 

「いや、タケミカヅチ。夜襲は止したほうがいい」

「どうしてだ?ヘルメス。納得できる理由をくれ」

「行動は早いにこした事はないかも知れないが、もうすぐ彼らも動くだろう」

「動く?・・・・・・まさか、本当に動くのか?」

「あぁ。・・・ギルドが完全に彼らに敵対する前に、彼らは何らかのアクションを取るはずだ。要するに、自らの罪を少しでも軽くして、なおかつ妖夢ちゃんを手にいれられる方法を。」

「・・・・・・戦争遊戯(ウォー・ゲーム)か。」

「可能性は高いね」

 

・・・・・・マジかぁ、戦争遊戯かぁ・・・夜襲でチャチャッとはダメなんすかね?

 

『―――て感じだな。』

 

とりあえず会話の重要な所を命に伝える

 

「そう・・・・・・ですか。・・・戦争遊戯・・・。妖夢殿はあっ!すみません!ハルプ殿はどう思いますか?」

 

これには思わず苦笑い。ふふふ、わざわざコッチを向いて頭を下げる辺り実に良い子だと思います。俺も命を見習って頭を下げる時はしっかりと下げてますぜ。少しいじってやるか、ウシシ。

 

『ぶーぶー!折角名前貰ったのに間違えるなんて酷いぜ、もう命もなんかあだ名つけてやろうかな!』

「ぇ!えぇ!ご、ごめんなさいハルプ殿〜!」

 

いや〜ほんとに見事な弄られ役ですわ〜w。ふむ、どうしてくれようかあだ名。・・・・・・うーん、若奥様?とかどうだろう。きっとタケと結婚するだろ?

 

『若奥様とかどう?』

「ふえ!?わ、わかおくさまでですすか!?・・・い、いえ、ハルプ殿にあだ名をつけてもらえるのならそれはたいへん嬉しいんですが・・・そのぉ、若奥様は恥ずかしいと言うか・・・」

 

命が顔を赤らめてモジモジして居るのを無視し、遮音室のドアを開く。

 

『よっ!若旦那!』

 

と、命に聞こえる様に大きくアピール。命が硬直したのが気配でわかる。

 

「若旦那!?ってハルプか、よっ!命も来たな?」

『あり?よくかん考えたら若くないなタケ』

 

そこかよ、と言うタケにアハハーと頭を掻いて笑うことで誤魔化す。「し、失礼しますう・・・」と命が消え入りそうな声で入ってきて、ドアを閉めた。

 

『旦那、命じゃないですぜ、若奥様ですぜ』「ひゃい!?」

「若奥様?なんでまた、確かに命はどこに出しても文句を言われないだろうが、まだ少し・・・もう少し後でも・・・」

『惜しい?』

「・・・くっ、俺も子離れの時なのかっ!!」

『ですよねー、そっちですよねー』

「ん?違ったか?」

『いや、いいと思うぞ!』

 

俺がサムズアップするとタケは頭に付いた「?」をそのままにいい笑顔でサムズアップを返してくる。桜花が少し呆れてるのはいつもの事だ。しかし桜花よ、貴様も鈍感野郎である事に違いは無いぞ!千草をしっかり見ろこのヤロー!羨まおめでとう!

 

「ぁ・・・ぁ・・・・・・ぇ?よう・・・ぇ?・・・2人?・・・あるぇー・・・双子だったっけ?アスフィ・・・」

「わ、私が会ったときは1人でした・・・」

 

ん?あぁ、ヘルメス達が居たんだったか。なら自己紹介しておこう。

 

『よっ!ヘルメス。「呼び捨て!?」ん?いつも呼び捨てだろ?まぁそんな訳で妖夢の超万能型汎用スキル事、半霊ハルプだ!よろしくなっ!』

 

ニッコリ笑顔のダブルピースを喰らえ!・・・はっ!なるほど・・・こういう事をするからロリコンに目をつけられたのか・・・!ハルプはまたひとつ物事を学んでしまったか・・・ふっふっふ、これはもう天才を自称しても良いのでは?。・・・まぁ、嘘ですが。

 

「・・・よ、よろしく、お願いするよ」

「あ、でもこの笑顔は確かに妖夢さんにそっくりですね」

 

うんうん、やっぱり自己紹介は大事だよね!良かったぜ、極東で古事記読んでおいて正解だったな!これでヘルメス達が味方として戦ってくれたら嬉しいな!だってアスフィ4レベだし。いや〜これが肉体の方だったら口が滑って言っちゃうところなんだろうけどハルプモードだと口が滑りにくくていいね。

 

ではボフンと掻き消え、肉体に意識を全載せだ。

 

「ん、ん〜っ!・・・さて。どうですかヘルメス、私達と一緒に戦ってはくれたりしませんか?」

 

伸びをしてヘルメス達に向き直る、いや、流石に無理だな、アスフィのレベル偽ってるんだし。

 

「ああ〜それは遠慮したいかな?タケミカヅチの所と違って俺達はあんまり戦闘には向かないからさ」

 

いや〜ごめんね?と両手を顔の前で合わせて軽い調子で謝る。むむむ〜、嘘をつくとはなっておらんなぁ、まぁいいけど。

 

「嘘つきはよくありませんね、まあ、構いませんが」

その言葉の後、急にヘルメスの顔が一瞬だけだが固まった、ふふふ怖かろう、なに、俺が一番怖いぞ?この体だと油断するとすーぐ思った事言っちゃうんだから。

 

「・・・どうしてそう思ったんだい?」

 

ヘルメスは追求してくる、神である以上、こちらの嘘は見抜ける、そう踏んだのだろう。・・・ふふふふ、だがこちらには手段が有るのだよ。透明化している半霊を頭部に合体!冷たい!気持ちイイ!

まぁこうすることで俺の声は多分ハルプ形態と似た状況になるのだろうと予測している。テスターのタケが言うには嘘かどうかわからなかったらしい。必殺とぼける!

 

「え?合ってました?」

「・・・・・・アハハ、いやー確かに戦闘が得意な子達は居るんだけどね、対人戦は余り経験が無いんだ。だからごめんね妖夢ちゃん、俺達は別の方法で解決策を探してみるよ」

 

そう言って俺の頭を撫でた後、ヘルメスは用があるらしく、その場を去った。うむぅ、頭を撫でられるのは別に嫌じゃない、俺の身長が撫でやすいのはわかってるからなっ、だが出来ればこのリボン付きのカチューシャは触らないで貰いたいなぁ・・・、まぁ潔癖って訳でもないからいいけどさ。

 

「そんじゃ妖夢達・・・猿師と合流したら取り敢えず準備だけはしておこう、何かあればヘルメスが伝えてくれる手筈になってる。」

「「「わかりました」」」

 

俺達は一旦ホームに戻ることにした。夜襲をかけることに変わりは無い、タケの顔を見ればそうわかる。とりあえずあのキュクロって奴を倒せば千草は救えそうだ。・・・頑張るぞ。




此処でキュクロのステイタスを紹介。オリキャラなので強めに作ってしまうのは良くあることですよね。

キュクロ
エロス・ファミリア
二つ名【単眼巨神】
【ステイタス】
レベル3
力A
耐久A
敏捷C
器用D
魔力B

使用武器
大剣×2

【発展アビリティ】
狩人、耐異常、鍛治

スキル

『鍛治巨人の槌』(キュクロープス・ハンマー)
・鍛治スキルの補助
・槌を持つと筋力、器用が上昇

剛力豪腕(ライストリューゴーン)
・筋力強化
・怒りの丈により筋力の超大幅強化

魔法

『魔化石眼』(キュクロ・キュベレイ)
【矗立する巨人、硬直する人々。終わりの時が来た。赦しを請え、眼に映る己を見つめろ】

・視界に捕らえた者のステイタスダウン。ステイタスがFを下回ると石化する。
・射程、範囲は視界に比例する。
・魔力消費が膨大。
・使用すると一時的に瞳孔が拡大される。


特に隙もなく、格下には圧倒的強さを発揮できるいいキャラクターになったと思ってます。瞳孔が拡大されるのはメリットもデメリットもありますが。

インフルエンザの時にちょびちょび書いてたので誤字脱字が多そうです、見つけたら教えてください。

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