オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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ベート×妖夢のデート編は執筆中。ふっ、やはりデート的なものはとても苦手じゃ。まぁデートと言うよりは友人同士の休日的なものになってるけど・・・仕方ないよね。うん。そもそもデートなんて言葉の綾だしね、両者とも恋愛感情なんて抱いてないから仕方ないよね。(全力の言い訳)


ということで41話です。

ダンジョン「そこだ!いけ!君に決めた!」





41話「私、私の・・・せいで・・・・・・っ!!みんなが・・・・・・!」

『黄昏の館』ロキ・ファミリアのホームであるその建物で、俺は働かされていた。

 

「どうぞ」

「おう、ありがとうな」

 

ロキにキンキンに冷えたビール・・・?みたいな奴を渡す。正確な名前はわからない、エールとかの方が近いのかな?

 

「なぁなぁ、妖夢たん。」「はい、なんですかロキ」

「実はな?遠征に付いていけないレベルの低い子達を鍛えて上げて欲しいんやけど・・・ええかな?」

 

むしろそう言うのを期待してたかな、俺は。このメイド服はさっさと脱ぎさりたい、メイドです、とは行ったけどまさかサイズぴったりのメイド服を渡されるとは思わなんだ。

ちょっとロキが怖くなったぞ?

 

「ええ、大丈夫ですよ。・・・・・・あ」

 

くっそ、大蜂大刀の性能チェックも兼ねようとか思ってたけど・・・・・・毒あるんじゃんこの刀。仕方ないね、訓練用の剣とかでいいか。

 

「どうかしたんか?」

「いえ、専属鍛治師に作ってもらった刀が毒を持っているので・・・・・・訓練用の剣はありますか?」

「もちろんあるで!なぁウチも見学してええか?」

「はい!・・・あ、すみません。私のファミリアの団員達も鍛えたいので、合同訓練と言うのはどうですか?」

「おっええなぁ!!そうしよそうしよ!タケミカヅチにも言っといてなー」

 

という訳でロキと別れ、以前から怪我した時に世話になってる部屋へ、ここに俺の荷物が置いてある。そして着替えるついでに半霊をタケの所に飛ばす。タケには比較的近い弓の館に行ってもらって訓練の話しをしてもらおうかな・・・・・・あー、でも迷惑になるかなぁ、でも団員を育てるためなら協力してくれるかも。

 

そんでもってタケが弓の館に行ってる間に、半霊で雷と弓の団員達にも知らせようという訳だ。

 

『と、言うわけなんだよタケ』

「ははは、急すぎて驚いたが、いいだろう。任せてくれ」

『ありがとうタケ!それじゃあ!』

「おう!」

 

よし、次は雷の館だ。ここは確か・・・アリッサって人がリーダーになったんだったかな?

 

『おっす!みんなを集めてくれるか?』

「ハハハハルプさん!?どうして・・・・・・ってはい!わかりました!集めておきますぅ!」

『お、おう・・・』

 

なんだか本当にやりにくいよな。憧れとか尊敬の念を送られるのってホントに困る。命とかが俺が技使う度に同じような眼差しとか送ってきたけど、それはあくまで技に対してだったから、俺も同じく技に尊敬と畏怖を送る仲間として見れた訳だけど・・・。やっぱり尊敬されるような人物に成らなきゃいけないのかな?

 

「集めました!」

『ありがとう、じゃあ俺が来た理由何だけど―――』

 

 

さて?次は剣の館ですよ・・・・・・。リーナは嫌いじゃないんだけど・・・ペースに呑まれると言うか何というか。まぁ取り敢えず門番に到着を伝えようか。ポン!とハルプにチェンジして前に降り立つ。

 

「・・・・・・・・・!??!?!?」

『あー・・・・・・驚かせてごめんな?みんなに用があるから中庭に集まってくれ』

「・・・・・・・・・・・・っは!わ、わかりました!」

 

・・・・・・今のヤツヘカテーファミリアの元団員か・・・俺と、目が合ったら少し青ざめたな。・・・きっとヒロインXごっこした時に斬り捨てたんだろう、ごめんなー。

 

ま、何もせずに待ってるわけにも行かないか。リーナの所に向かってみよう。

 

二階の執務室、本来ならば団長室と呼ばれるそこは結構な広さがある。大きな机、無数の棚、大きな本棚、床に山積みになった紙束などの設備の他に、報酬として欲しい設備が与えられている。と言っても上限は勿論あるけどね。【勝手に入らないでね。byリーナ】と書かれてるから仕方なく扉を開けて入ることにする。

 

『よう、仕事は・・・・・・・・・やってないな?』

 

大きな机の上は綺麗に片付けられていた。そして真ん中にドドン!とその存在感を発揮する「うどん」。そしてそれを頬張るリーナ。

 

「ふご?ほういへはふふはんはほこひ?」

 

どうしてはるぷさんがここに?

 

『どうして俺がここにって?お前の監視に決まってるだろ』

 

もちろん嘘だ。

 

「ふう!?ほんは!ほふはなひもひへなひ!」

 

はぁ!?そんな!僕は何もしてない!だろうか?

 

『いいから、取りあえず先に飲み込め。』

 

おれが言うと「はひ」と言った後、確りと汁まで飲み干してリーナはこちらを向いた。こいつめ・・・。

 

「で、何かようなのー?僕は悪い事はしてないよ?」

『そうだな、何もしてないな』

「むむむ、それは心外だ。僕はこう見えて仕事を終わらせてから確りとご飯を食べているのー。」

『ほう?本当か?』

「ホントだよー。」

 

そう言って立ち上がったリーナは俺から見て右奥の棚に向かう。仕事の成果を見せてくれるのだろうか。

 

「ここらへんに~、あ、あったあった。」

 

といって取り出したるはお菓子の詰め合わせだ。うん、殴っていいかな?

 

『リーナ?殴っていいかな?』

「ん?ダメだと思うよ?」

『・・・落ち着け、落ち着くんだ俺・・・』

「そうかー、反抗期なのか。情緒不安定なんだね!どうだろう!うどんでも食べないかっ!!」

 

目を><こんな感じにしてサムズアップしてくるリーナ。もう呆れてしまったのでさっさと本題を伝えて団員たちを借りていこう。流石にリーナを連れていったらロキ・ファミリアの人の鍛錬にならないかも知れない・・・・・・いや、回復魔法使えるし連れてくか。

 

『もういいや、本題を伝えるのがめんどくなったから取り敢えず付いてきてくれ』

「わかった~。取り敢えずお菓子を持っていこーう!・・・・・・飴ちゃんいるかい?」

『いる(即答)』

「うましっ!」

『うましっ!』

 

なんだかんだ言って付いてきてくれるのか・・・結構素直なんだな。

 

 

 

 

 

ハルプで連絡を取っている間に着替え終え、訓練用の武器をロキ・ファミリアの団員と共に用意した俺は何時もの中庭、訓練場に移動する。

 

「さて、皆さん武器は用意できました。後は心意気だけです、訓練とは言え舐めてかかると斬ります。それくらいの覚悟を持って頑張ってください。」

 

全員が神妙な顔付きで頷く。俺のファミリアの皆が来るまでは暫く時間がかかる、それまで暇だから戦ってよう。

 

「さぁ!何時でもどうぞ!」

「・・・・・・、・・・うおおおおお!」

 

目配せしあって同時に攻めてくる冒険者達。その速度がとても遅く感じる、斬り倒すような事はせず、当たる直前でわざと一瞬剣を止めて「本当なら斬られているぞ」と認識させる。それを数回繰り返し、まだ突撃してくる奴の剣を弾き、蹴って転ばせる。

 

突き出される槍を剣の横っ腹で滑らせ、振り下ろされる斧を柄で横にずらす。放たれた先の丸まった矢を素手で捕まえ、盾を構えた捨て身の特攻を横に回避すると同時に足をかけて転ばせる。

 

砂を投げ付けて目を潰そうとしてきたが、砂を全部切り落としてやった。・・・まさかこんな事に【集中】の+が働くとは・・・。

 

まぁ何にせよ、無傷で凌ぎきったわけだ。てかいつの間にかタケ達も合流して、タケ本人も攻撃に加わってくる。初めはなんで神様が・・・邪魔だよ・・・みたいな雰囲気だったロキ・ファミリアの団員達は思い知る。

 

「ふん!はぁあ!せぇい!」

「はっ、ふっ、せいっ!!」

「「燕返し!!」」

 

唯一まともに斬り結べたからだ。唖然として武器を取りこぼすやつまで居た始末だ。逆に俺達のファミリアの団員達は『タケミカヅチ様なら仕方がない』と諦めているらしい。ふふん、自慢の父親が畏怖の目で見られるのは心地がいいな!・・・凄い必死に食らいついくるから少し恥ずかしいけど・・・・・・多分「父が子に負けるわけには・・・!」とか思ってるんだろうけど・・・。

 

おっ?

 

「ふむ、じゃあ僕が治してあげるしか無いか【千差万別魔の嵐。】」」

 

綺麗な声と共に二重の魔法円が敷かれる。リーナを中心に一つ、それを囲むようにもう一つ。

 

「【月。火。水。木。金。土。日。雷。風。光。闇。毒。酸。】」

 

ひとつひとつの属性を謳う度に、外側の円の縁にポッと様々色の灯りが灯る。内側の円から外側の円へ13本の線が伸びる。

 

「【何が当たるか知る由もなく。】」

 

伸びた縦線に、横線、斜め線等が不規則に引かれていく。

 

トン、とリーナが内側の円から伸びる1本の線を叩いた。

 

「【引かれた線の導くままに】あーーー。」

 

導火線に火がついたように、キラキラと小さな光を放ちながら、線の上を光が進む。真っ直ぐ進み、横に曲がって、また進み、横に曲がり、進み、曲がり―――

 

阿弥陀籤(あみだくじ)』」

 

赤い光へと辿りついた。

 

「ごめんね?」

「へ・・・あっつううううういいっ!?!?」

 

可哀想に・・・・・・あの魔法は阿弥陀籤、そう、あみだくじだ。何が起きるか大分わからない魔法、いや何が起きるかはわかるんだけど・・・・・・ランダム性が高くて今みたいに攻撃魔法が発動したりするんだ、回復したい時に。

まぁ詠唱が進むとある程度何が選ばれるかはわかるらしいんだけどね。

 

「あはは~、もっかいいこう、もっかい。・・・・・・・・・阿弥陀籤!」

 

再び詠唱し、発動したのは『水』つまりは回復だな。透き通った綺麗な水が冒険者の背後に湧き上がる。それを傷口にかければ良いわけだ。え?使いづらい?でもアレは1度発動すると自然に蒸発するまではずっと存在し続けるから強いと思うぞ。

 

「うし!やったね~!」

「あ、ありがとうございます・・・」

 

ニコニコとリーナが喜ぶ、それを治療されていたロキ・ファミリアの団員がどぎまぎしながら頭を搔く。

 

うん、やっぱり良い奴なんだな。

 

「さて、全員揃ったようですし、始めましょうか!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ダンジョン16層。そこで、ベル達は死にかけていた。いや、最早『壊滅』と言っても良いだろう。

 

初めに倒れたのはリリルカ・アーデだった、最も低いステイタス、小さな体躯。スキルによって重量の枷から解き放たれていたとしてもこの重圧と疲労からは逃れられ無かった。

 

次に倒れたのがヴェルフ・クロッゾだ、ヘルハウンドの放つ火炎放射を彼の『ウィル・オ・ウィスプ』と言う相手の魔力を利用し魔力爆発を起こす特殊な魔法が幾度となく防いできた。

しかし、ヴェルフは鍛治師だ、「戦える鍛治師」とは言えど、その魔法の特性から習熟は困難だった。故に【魔力】のステイタスは伸びていない。すぐに精神疲弊が起き、力尽きた。

 

そして、あの時以来目を覚まさない千草。

 

そんな3人を引きずるように運びながら、モンスターと出逢えば誰か1人が動けない3人を守るために残り、残りの4人がモンスターと戦闘を行った。

 

ベル・クラネルも疲弊しきっていた。度重なる戦闘、何処から現れるかわからない恐怖。初めてくる階層への不安、仲間が倒れていく寂しさと焦り。それらすべてがベル・クラネルの心を体を摩耗させる。手足が棒の様でまともに動かなくなってくる。

 

疲弊しているのはベルだけではない。命も桜花もアリッサもクルメも全員が全員疲れに動きを鈍くしていた。全員鎧はボロボロで衣服は破れ素肌が覗いている。

 

度重なる戦闘は確実に疲労を強いる。常に戦い続けている桜花の槍がわずかに震えていた。アリッサの鎧の音が、時折そのリズムを崩し、クルメは歯を食いしばりながら進んだ。命は最早スキルを使う精神力も残っていない、これ以上使えば命も精神疲弊を起こすだろう。

 

「はぁ―――はぁ―――はぁ――」

 

互いの間に会話は無い、ただひたすらに十八階層を目指す。

 

「ブオオオオオオ!」

「―――アアッ!!」

「――!?」

 

現れたミノタウロスをクルメがレベルに相応しくないほどの急加速で切り裂く。無数の斬撃がミノタウロスを輪切りにして見せた。

 

フラリ、とクルメの体が揺れる。受け止めようと桜花が動くも、クルメは倒れる寸前で急加速、再び現れた新しいミノタウロスを微塵切りにする。

 

「・・・・・・進むぞ。」

 

リリルカを肩に乗せヴェルフを脇に抱え、桜花が言った。桜花は気がついていた、自分に負担がかかっているとを。それは意図してそうしていたのだがそれがクルメに気を使わせ、率先して戦闘を行わせるに至っていると。

 

「・・・はい」

 

だが、だからと言って倒れた者達をクルメに任せるわけにもいかない、力のステイタスが低いクルメにはすぐさま限界が訪れるだろう。だからこそ、余裕のある俺が。桜花は千草を背負いながら返事を返した命の頭を励ますように撫で、クルメに礼を言う。

最早返事を返す気力すらないのだろう、クルメは俯きフードで顔が見えないが小さく頷いた。既に限界など越えていた。

 

目の前に有るのは『17階層』の入口。

 

「ここを・・・・・・越えれば・・・・・・!」

「17・・・階層・・・!」

 

力を振り絞る。ここさえ通り過ぎれば安全なのだ、ならここに全てを賭ける。

 

「来るなよ・・・・・・ゴライアス・・・」

 

口には出さずとも、常に頭にあった階層主の名前。まだだ、まだ、間に合うはずなんだ。言い聞かせ、目を逸らす。

 

そして、17階層へと踏み込んだ。

 

 

 

 

 

―――慈悲は、無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

剣戟の音が空に向かう。本来ならば1日の始まりを告げる訓練の音は、こうして夕方まで止むことは無かった。

 

「シッ!!!」

「が――!?」

 

鋭く吐き出された息と刃の軌跡。夕暮れの光を反射し描かれた弧は冒険者の首を強かに打ち据え地に伸ばす。攻めかかる冒険者、彼らの額には玉のような汗が例外なく浮かび、その衣服を濃く染めた。

 

「とうぉりやぁ!!」

「――。」

 

素人同然の力任せの振り下ろし、だがそれが振り下ろされるには余りにも長過ぎる猶予がある、振り上げ、振り下ろす。それだけの動作の合間に彼は何度でも殺されていて然る可し。それだけ離れた力量差、指で刃の腹をトンと叩き逸らす、そして振り上げられた足が脳天に軽く打ち込まれ、冒険者は倒れる。

 

戦い、怪我をし、倒れ、治され、休み、戦い、怪我をし、倒れ・・・・・・・・・幾度となく繰り返される厳しい訓練に団員達は音をあげない。

 

それは意地だから。「タケミカヅチ・ファミリアがへばらないなら負けられない。」「ロキ・ファミリアの奴らになんか負けてたまるか」張り合いは互いを高みへと導き、次第に団員達に、「技量」が付いてくる。

 

「うぉおおおお!妖夢様の為にも俺たちゃまけられねぇんだ!!!」

「うるせぇ!!お前達にゃ絶対に負けないからなぁ!!!」

「はい、両成敗です」「「チーン」」

 

さて、そろそろ良いでしょう。妖夢がそう言ってポンポン、と手を叩く。その額に汗は見えない、タケミカヅチ・ファミリアの団員達が絶望したかのような表情で力なく倒れ伏す。妖夢はその光景に目を白黒させながら驚き、あわあわと慌てふためく。

 

「くっそーー!妖夢さん全然汗かいてねぇよ!」

「やっぱり俺達じゃ汗かくほどの相手じゃねえってことだよ・・・・・・」

「ちきしょー、なぁ?でも俺の攻撃は結構いい線いってたよな?」

「んなわけあるか、一瞬でやられただろ」

 

汗をかくという事は運動で体が温まり、それを冷やすためにかいた、という事だ。つまり自分達が全力で頑張れば妖夢に「運動」させることが出来ると踏んだが、今の自分達では運動にすらならないと痛感しただけに終わった。

 

妖夢にもその意図が伝わったようで照れくさそうに頭のカチューシャのリボンを弄る。

そのあざとい姿に何人かが憤死した。妖夢は運良く見ていなかったが素早く団員達によってお仕置き+再教育+お片付けが行われた。かれらは言うだろう「Yesロリータ、NOタッチ」と。もっともそれは神の言葉だ。彼ら的に言い直すなら「妹を見守る様な気分で遠くから見守る事こそが至高。触れては成らないし、話し掛けるなんて畏れ多い」と言ったところか。このルールはつい最近出来たもので全ての館で共有されている。

 

「俺、レベル2なのに・・・」「私も」「アタシだって・・・」

 

ロキ・ファミリアの団員達も結局無傷で終わらせた妖夢に畏怖の念を送った。ロキ・ファミリアが見事な連携で襲いかかったが、『領域』を第三魔法で使用され、全て防がれ反撃を受けて吹き飛ばされた。

 

「妖夢たんはほんますごいな~!ホントにな~!」

「あぁそうだろう?なにせ、お!れ!の娘だからな。」

「・・・・・・ほんま欲しi」「俺の!娘!だからなっ!!」

「・・・・・・ケチぃな、けっ!!」

「あ、あはは・・・やめてくださいよタケ、ロキ、皆が見てますよ?」

「・・・悪かったな。だが妖夢はやらん」「・・・ふん!ええわ、別にこれからも妖夢たんとは仲良くするしな!」

「・・・・・・私は2人が仲良くしてくれた方が嬉しいです」

「ロキ、今日のお前は美しい。」「せやな、カッコええでタケミカヅチ。」

「プフッ・・・・・・なんだかおかしいですアハハ!」

 

幸せを謳歌し笑い合う。

 

そんな時だ。幸せな光景を噛み締める妖夢の元に、何かが降り立った。そしてそれは跪き話し出す。いや、耐えきれず膝をついた。

 

「・・・火急、の用があり、ます。」

 

急いできたのだろう、その体は傷だらけ血だらけ煤だらけ。最早原型を留めていない服装に、荒い呼吸に掠れた声。これでは誰なのかを特定できない。

 

はてさて何を嘯くか、見慣れない輩に皆が警戒する中でタケミカヅチとロキ、そして妖夢だけは警戒を解いていた。

 

そして、そのボロ切れの様な何かは俯いていた顔を上げ、妖夢とタケミカヅチが最も恐れることを口にした。

 

「・・・ダン、ジョン中層にて、拙者以外の、消息が不明です。速やかに、救助部隊、を編成し、中層に向かう事を進、言いたします。」

 

ボロきれの中から覗く顔は猿師の物に他ならない。だが、そんな事よりもタケミカヅチと妖夢は浮き足たつ。

 

「何があった猿師ッ!!詳細を伝えろ!!」

「教えてください!何処ではぐれたんですか!?」

 

修羅の如き顔に変貌したタケミカヅチと妖夢に団員達は後ずさる。

 

「詳細、等は後ほど。まず、は戦力を集める事かと」

 

襟首を掴まれ空中に吊るされても猿師の表情は変化しない。「ちっ!」とタケミカヅチが猿師を離しギルドに走る。

 

「妖夢!好きに行動していいぞ!!俺はクエストを発注してくる!!」

「・・・・・・・・・・・・あ、あぁぁ・・・・・・」

「・・・妖夢・・・?」

 

明らかに妖夢の様子が変化した。頭を抱えわなわなと震え始め、大粒の涙をこぼし始めたのだ。

 

「私、私の・・・せいで・・・・・・っ!!みんなが・・・・・・!」

 

その姿は余りにも痛々しく、見ている者達の同情を誘った。この場にいる者達の殆どに初めて見せる『孅い』姿。剣士としての姿では無い、少女の一面。

 

「よ、妖夢たん・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「よ、妖夢たん・・・」

 

俺のせいで、俺のせいで、俺のせいで!!俺のせいで・・・・・・。皆が・・・皆が死んじゃう・・・!!

 

嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ!!

 

俺が・・・・・・俺が原作の流れを忘れてたせいで・・・・・こんな・・・・・・。っ!

 

違う、そうじゃない。原作通りなら、桜花も命も千草も、皆帰ってこれたんだ。

 

じゃあ、何が違う?何が違ったからこうなった?

 

 

俺だ。

 

 

他でもない俺自身が、俺の介入が、変えてしまったんだ。全てではなくて、ほんの少しを変えてしまった。

 

「私が、ロキと遊んでなければ・・・」

 

もし、もしも、間に合わなかったら・・・

 

もし、皆が死んでしまったら。

 

それは、全部俺の・・・・・・俺のせいだ。

 

俺がロキと遊んでなければ、俺があの時ベル達とダンジョンに潜っていれば。

 

「私が、一緒に行かなかったから・・・」

 

てが、震える。体が震える。手も足も頭も、氷みたいに冷たくなってる・・・・・・。

 

嫌だ、考えるのが怖い。考えたくない・・・っ

 

―――「そうだね、『また』家族を失えば、きっと君の精神は壊れてしまうよ」

 

嫌だ、失うのが怖い。壊れるのも怖い。、

 

―――「けれど、いいのかい?君が何もしなければ・・・・・・」

 

嫌だ、守れないのは嫌だっ。なんのために、今まで強くなろうとしてきたと思ってるんだ、なんのために、武術を学んで、技を鍛えたと思ってるんだ・・・・・・。何もしないなんて・・・そんな事できない

 

―――「・・・・・・そうか。諦めていないんだね。・・・・・・それは、いい事だ。」

 

助けなきゃ・・・!向かわなきゃ!きっとまだ生きてるはずだ、猿師が生き残ってるなら大丈夫、そう、大丈夫な筈だ・・・。それに死体を確認した訳じゃない。深呼吸をして、少しでも落ち着かなくちゃな。

 

「グスッ―――スゥ――ハァ――。よし。」

 

―――「・・・そうだなぁ・・・・・・ヒントをあげよう。・・・・・・原作通りに進めたまえよ、それが1番『可能性が高い』よ」

 

・・・・・・・・・・・・あれ、駄神いつの間に・・・?ま、いいや、ありがとう!!行ってくる!!

 

「ヘスティア様の元に向かいます!リーナ!ダリルを呼んでください!行きますよ!」

「う、うんわかったよ」

「お、おい待て妖夢、俺も行く。」

 

 

 

 

 

―――「・・・・・・・・・ありがとう・・・か。気が付けよ愚か者。俺は完全無欠でパーフェクトなGOD(駄神)だぞ。全くもって・・・・・・特に無いニャンw!!かっこつけようと思ったけどこっから先はおもいつかぬえ!www

んじゃ帰ろ。

 

 

・・・・・・やはり、無意識に使うか・・・・・・・・・その異能を・・・・・・。」

 

駄神の言葉は、彼の耳には届かなかった。











ぐぉおおおお!主人公の内心を毎度の事キチンと描写できない私の無能っぷりよ・・・・・・。おかしいなぁ、なんでなんや・・・・・・。

それと異能・・・一体どんな能力なのか・・・!実は主人公は能力の二つ持ち、ただし片方は主人公は知らない。私は知ってる。









ハルプ『さぁ!お待ちかねの時間だっ!キャラクターのステイタス紹介だぞ!今日はクルメ!』
クルメ「よろしくお願いします!妖夢ちゃ・・・さん!」
ハルプ『ハルプ何だけど・・・』
クルメ「えっ?・・・・・・ほんとだ目が赤い!ごめんなさい!」
ハルプ『まぁいいけどさ、相手を混乱させられるのも俺の強みだし。』
クルメ「アハハ・・・。」
ハルプ『それと、なぜに「妖夢ちゃん」と言おうとしたのかね?』
クルメ「ええと・・・・・・少し、間違えちゃったのです」
ハルプ『ほう・・・罰として後で美味しい料理を作るように』
クルメ「アイアイサーー!」
ハルプ『ガクッ!(いや、男だけど・・・魂は男だけど外見は女の子ですよ!?そこはサーじゃないだろう!)ま、まあいいか。取り敢えず本編ではまだ出会ってないけどよろしく。』
クルメ「よろしくお願いします!」


クルメ・フート

ステイタス

力G
耐久H
敏捷F
器用S
魔力G

発展アビリティ 料理:G
スキル

『足掻餓鬼』
・極限状態における生存能力の超上昇
・身体能力、力・耐久・敏捷に低下補正
・精神疲弊(マインド・ダウン)が起こらなくなる。

『頂仰少女』
・器用に高補正
・料理行動の成功率上昇

『神託味覚』
・嗅覚、味覚の強化。
・直感的に正解を導き出す(料理限定)
・任意発動(アクティブトリガー)

【魔法】
『紅閃駆動』(クリムゾン・スプリント)

【赤より紅きその光、我が獣に(四肢に)宿りて力で満たせ。】

・超短文詠唱
・全行動における超加速。
・敏捷値超上昇。
・効果中は速度が上昇し続ける(魔力消費)


ハルプ『うん。実にえげつないな。極限状態ならマインド・ダウンせずに魔法で加速し続けるのか。女の子らしい料理系のスキルが多いのに急に戦闘系か・・・・・・』
クルメ「速いは正義ですよ!ただし!煮込み料理にはちゃんと時間をかけてあげましょう!」
ハルプ「おう、前にベートに作ったしな、それくらいはわかってるぜ」(なお、ベートは食べていない模様)
クルメ「で・・・・・・・・・おふたりはどの様な関係で?」
ハルプ『ん?そりゃ友達だろ。』
クルメ「え?」
ハルプ『え?』

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