オラリオに半人半霊がいるのは間違っているだろうか?   作:シフシフ

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なんか変かもしれない!という訳で5話です、見ていてください。


5話「おおー!さすがハイポーション!」

「ねぇねぇ!君は何て名前なの?私知りたいなぁ!」

 

どうも、俺です。今話しているのはティオナです、抱きつかれてます。困ります。何が困るって、いろいろ困ります。中身男なんです。いや、でもね?普通に考えてみろよ?抱きつかれた時はこうしなさい、何て学校で習わねぇだろ?

 

「わ、私ノ名前ハ・・・」

 

やべぇ片言だ、中身が困ると流石にこうなるか。落ち着けー落ち着けーおれ!

 

「んん!私は魂魄妖夢です。この間はありがとうございました、ティオナ」

 

俺が冷静さを取り戻しお礼を述べると少し驚いたような顔をする。

 

「あー!覚えててくれたんだ!よかったー!よろしくね妖夢ちゃん!」

 

よ、妖夢ちゃんか・・・千草にもそう呼ばれてるけどやっぱりまだ少し抵抗が・・・。しかし、我慢だ!

 

「は、はい。よろしくお願いします。えと、何か御用ですか?」

 

出来れば離れてくれ!困ってるんだ、困ってます感を全開で出してるんだけど、あれ?この子って鈍感な子じゃなかったよね?わざと?わざとなのこれ?

 

「ううん!特に用はないよ!えへへー♪」

 

えへへーじゃねぇ・・・こ、断れねぇ・・・こんなの、こんなのって・・・。どうすればいいんだベル君・・・!

 

「全く、ティオナ、その子が困ってるわよ?」

 

ティオネさん!さっすがだぜ、バーサーカー!はよ!救出はよ!助けて、バーサーカー!

 

「ええ〜いいじゃん!ね!いいよね!」

 

うぐっ!ティオネさん・・・助けて・・・!レベル5の抱きつきは結構キツイ・・・!それと硬い、何がとは言わないが。

 

「た、たす・・・「団長?はい、アーン」「ははは、ティオネ酔ってるのかい?」・・・けて・・・は、くれなさそうです・・・。」

 

「んふふー」

 

そんなんで俺が苦しんでいるとアイズやベートがやってくる。まぁ、ベートがアマゾネス2人に話しかけると

 

「邪魔だ馬鹿ゾネス」

 

「はー?!いいんだよーだ!私のだもん!」

 

こうなる訳で。誰が誰のだって?流石に苦しいんだけど?・・・意識が半分位半霊の方に飛んでってるんだけど?

 

「そいつを寄越せ、俺とアイズはそいつに用があるんだよ」

 

面倒くさそうに頭を掻きながらベートにしては優し目に言葉をはく。ティオナはその事に若干驚き、拘束を緩める。・・・いや、解放してくれないの?

 

「・・・それでいいよ・・・」

 

アイズ妥協しないで!良くないの!全然良くないから!

 

「おいガキ。すこし話聞かせろ」

 

ベートが近くの席に座り、アイズは俺の隣に座った。

・・・いや、何話せばいいのさ?

 

コテンと首を傾げながらベートをみる。

 

「・・・はぁ、ガキ、自分のファミリアの名前言えるか?」

 

おんおん?コイツオレの事舐めてんな?言えるわ!言えないわけねぇだろ!中身あれよ!?もうすぐ20よ!?

 

「む・・・タケミカヅチ・ファミリアです」

 

ブスッとしながら答える。子供扱いは正直好きじゃないのだ、得することはまぁあるけどな。

 

「ベート・・・失礼・・・だよ?」

 

ほんとだほんと!全く。アイズを見習ってくれ!

 

「はっ!その程度で怒るようじゃまだ子供じゃねぇか」

 

ニヤケながらそう言うベート。てめぇも犬って言われたら怒るだろうが・・・。

 

「犬って言うと怒るくせに・・・」

 

小声でそう言う。いや、言っちゃった俺。

 

「ああ?やるのか?」

 

どうやらあの耳は飾りじゃなくとても耳が良いらしい。

 

「まぁいい、・・・お前、レベルはいくつだ」

 

およ?この世界ってレベルを他人に言うのはダメだった気がする・・・あれ?でもベル君エイナさんにステイタス見せてたし・・・レベルは別にいいのかな?ダメなのはステイタスだったか。

 

「2です。」

 

簡潔に答える。ササッと終わらせたいしな。

 

「いつレベル2になった?」

 

「少し前ですよ?」

 

「・・・わかった。わりぃな付き合わせて」

 

え、誰この人。あれ?こんな人だっけ?

 

「いつもの犬さんじゃ・・・ない?」

 

「・・・・・・一応。・・・一応言っておくがな・・・俺は狼だからな?犬じゃねぇから。それにいつもとか言ってるけどな、会ったのこれで2度目だぞ?」

 

まじで誰だこの人。まぁいいか。仕方ない、犬は辞めてやるか。でだ、そろそろ離して下さいティオナさん

 

「あの、ティオナさん?もう離してもらってもいいですか?」

 

「え〜〜。やだ!」

 

・・・はぁ。

 

 

 

 

 

 

 

宴会は続き全員が酒に酔い始めた頃。ベル・クラネルは店の隅でそれを眺めていた。否、ただ2人を見つめていた。

 

自分を助けてくれた銀髪と金髪の少女。銀髪の少女にはお礼を言った。でも金髪の、アイズ・ヴァレンシュタインさんにはお礼を言えなかった。自分から逃げてしまったのだ。

 

そんな時だ。この話が始まったのは。

 

「おっしゃあ!アイズ!ガキ!あの話を皆に披露してやろうぜ!」

 

「・・・あの話?」

 

「およ?」

 

コテンと首を傾げるヴァレンシュタインさんと妖夢さん。

 

「ほら、あれだ、ダンジョンから帰るときに逃げてったミノタウロス共!」

 

「ミノタウロス・・・17階層で逃がしたやつ?」

 

「それだそれ!5階層でアイズが最後の1匹を始末したやつ!」

 

「うん・・・覚えてる」

 

「それでよ!いたんだよ!如何にも駆け出しですっ て冒険者のガキがよ!兎みてぇに壁で震えてて顔も引きつっちまってよぉ」

 

狼人の男がニヤつきながら話す。その内容が僕の事を言っているとすぐにわかった。どうしようもなく恥ずかしかった。

 

「ああ、ベル・クラネルさん・・・でしたか?」

 

妖夢さん、名前、覚えてくれてたんだ。

 

「へー。どうなん?その子助かったんか?」

 

赤髪細目の恐らく神様だと思う人も興味を示している。

 

「ああ、アイズが間一髪の所で細切れにしてやったんだ」

 

「・・・」

 

「それでよ、震えてたガキがミノタウロスの臭っせぇ血と肉片をもろに浴びて・・・真っ赤なトマトみてェになっちまってよぉ!」

 

「うわぁ・・・」

 

「なっさけねぇよな~!ハハッ!」

 

「あれは突進の勢いを殺せなかった私が・・・」

 

ヴァレンシュタインさんが何か言おうとするが狼人の言葉で遮られる。

 

「それによ!その後、変な叫び声上げて逃げちまって・・・。ブハハッ!うちの姫さま助けたのに逃げられてやんの!」

 

それを聞いている人達は苦笑いをしている様だ。でも今の僕にはそれすら自分を嘲笑っているように聞こえた。

 

「いい加減にしないか、ベート」

 

怖かった、恥ずかしかった、情けなかった。顔が赤くなり、青ざめ、悔しさに歯を食いしばった。

 

怒りが湧き上がってくる。あの狼人に対してではなく自分に。弱い・・・自分に・・・。

 

「ベルさん?」

 

シルさんが心配している声が聞こえる、でもそれはまるで壁の向こうで話しているかのように不鮮明だ。

 

狼人の話は続く。聞くのが怖い、でも聞きたい。

 

「はっ、そんな筈ねえよなぁ。自分より弱い雑魚に、第一級冒険者お前の隣に立つ資格なんてありはしねぇ、何よりお前自身が認めねぇ!」

 

 

「雑魚じゃあ、釣り合わねぇんだよ、アイズ・ヴァレンシュタインにはなぁ!」

 

僕は席を立って駆け出した。変えたい。この弱い自分を。

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・てかさー、最早告白だよね?「どっちがいいんだ?」とかさ・・・酒は飲んでも飲まれるなって奴だな・・・見習わなくちゃ行けないな〜。まっ!俺酒飲めねぇけどな!いや飲めるよ?飲めるけど2口目辺りから意識がなくなるんだよ。・・・原作の妖夢はそんなこと無かったんだが、慣れるまでは時間がかかるのかな?

 

そう言えば・・・この世界来てからの年齢だと俺5歳だしな。この肉体の年齢は知らんが。原作の妖夢は60歳行かない位だったか?・・・そりゃあ飲めねぇわ。

 

んで。ガタッ!と立ち上がると同時に店内から逃げ出すベル君。

 

「おおう?なんや?食い逃げか?ミアたんの店でようやるわ〜、あとが怖いでぇ」

 

「・・・いたんだ・・・あの時の子・・・」

 

「おう?なんや?知り合いなんか?」

 

「・・・今の話の子、私・・・行ってくる」

 

アイズが走って店内から出ていく。

 

「・・・・・・あちゃー。・・・ベート・・・おすわり!」

 

ロキがベートを叱る、どこまで本気かわからないが。

 

しっかたねぇなぁベル君は・・・よし!俺が助けに・・・って、いま俺が行ったら逆効果だな・・・よし!やめよう。生き残れよ、ベル君。

 

ふっふっふ・・・さぁ俺の夢の為にもベートには犠牲になってもらおう・・・。と黒い笑みを浮かべ振り返ると・・・。

 

ベートぇ・・・。

 

ベートは縄でぐるぐる巻にされ天井から吊るされサンドバックにされていた。ティオナさん・・・嬉しそうね。

 

せっかくベートと戦う為に来たのに・・・意味なかったなー今回。タケとか桜花に変な疑いかけられながら、やっとこさ1人で夜外出出来たのにー。完全に無駄足だぜぇー。

 

「ベートと戦おうと思っていたのですが・・・残念です。なんかもうボロボロですし・・・。」

 

「う・・・うるぜぇ・・・黙っでろ・・・ごのグゾガギ・・・ガクッ」チーン

 

お前が黙るんかい。仕方ない、ポーション位使ってやろう。何処だったか・・・。

 

「・・・ポーションは・・・あっ、半霊の中か・・・。」

 

透明化な半霊の中に手を突っ込んでポーションを取り出す。まぁ、そんな事したら他人から見ると凄いことになってる訳で・・・。

 

「うおぉっ!?なんやなんやなんなんや!?それなんなん!?」

 

いや何回聞くの?!すごい食いつきだなおい!顔が必死過ぎで怖いんだけど!目がランランと輝いてるんですけど!

 

「神ロキ?!酔ってるんですか?ってそんな事よりポーションを・・・をー?」

 

・・・あっれー?吊るされてる人にポーションはどう使えばいいんだ?気絶してるから口からは無理だろ?体にかけようにも店内が汚れるし・・・。あっ・・・ケt

 

「んー・・・。あっ、ここですかね?」

 

ブスりッ!

 

「ぎゃあああああ!」

 

「あっ、治りました。良かったですね」

 

え?どこにどう使ったかって?んなもん知るか体が勝手に動いたからな、ホントダヨ?一瞬銀魂思い出してケツを思い浮かべたとかないからね?そしたら体が勝手に動いた〜とか、そんなんじゃないから・・・。ナイヨ?

 

「え、えげつねぇ事しよるわ〜。幼いって恐ろしいわ〜」

 

だよなー(棒)俺も全体的にロキに賛成だわー(震え声)

 

「ガッハッハ!元気でいいじゃないか!子供はそのくらいやんちゃな方がいいんじゃ!」

 

「そうは言ってもなガレス、流石にあれは・・・傷は治っているようだし・・・いいのか?」

 

「ハハハ、いいんじゃないかい?」

 

あれ〜?ロキって悪戯好きなイメージあったけど・・・あれ?この御三方の方が怖いんだけど?

 

まぁなんか面白いし・・・いいか別に!ん?なんかベートがピクピクして動かないな・・・不味いんじゃないか?

 

「フィン?ベートがぐったりしてます、ポーションの効き目が切れていたのかも知れません」

 

「ん、じゃあはいコレ」

 

「む?なんです?これは」

 

「ハイ・ポーションさ」

 

「おお!使った事が無かったのでわかりませんでした。では早速!」

 

【妖夢はハイ・ポーションを手に入れた。】

 

【妖夢は小走りでベートに近寄った。】

 

【挿した。】

 

「ぎゃあああああ!」

 

「おおー!流石ハイ・ポーション!」

 

「・・・今日もオラリオは平和やな〜って」

 

 

 

 

 

タケミカヅチ・ファミリアにて。

 

「妖夢殿・・・遅いですね・・・。大丈夫でしょうか・・・。」

 

私は命。大和命です。今日は珍しく妖夢殿がわがままを言ってひとりでご飯を食べに行ってしまったのです。

 

「一体・・・何が有ったんでしょうか、普段の妖夢殿ならこんな・・・」

 

私は普段の妖夢殿を思い浮かべる。

 

私からすると姉のような存在。・・・今では私の方が身長は高いですが。

 

外見は幼いのに文武両道、真面目で実直。しかし外見相応の行動や言動をする事も時々あり、嘘が下手糞ですぐに顔に出る・・・。それに私達が遊びに誘わないとずっと鍛錬してました。

 

鍛錬を怠らず、空いた時間に自主的にする時もあり、常に刀を帯刀していた、更にその剣は一つに縛られず、数多の剣技を操る。

 

数々の武神、軍神、戦神を退け、彼らの技術を驚くほどの速さで習得。この間約一年。

 

神の恩恵を授けようとしたタケミカヅチ様に反対し、神の恩恵無しで極東の様々なファミリアを訪問し道場破りならぬファミリア破りを繰り返す。この間約2年。

 

そしてその後神の恩恵を貰い私達と共にオラリオに訪れこうして暮らしている。

 

それでも尚、時々ひとりでダンジョンに行っては到達階層を更新し、毎朝太陽が登らぬ内から剣を振るい自らを鍛える。

 

妖夢殿は半人半霊、精神も肉体も人間よりも遥かに成長が遅く、人間で言うと今のところ妖夢殿は10歳そこらのはず。

 

妖夢殿は余りに大人びている。子供のような反応をするのは妖夢殿が安心している証拠。1度戦闘となればその表情はガラリと変わり、百戦錬磨、一騎当千、獅子奮迅。振るう刃は目で追えず、その瞳は刀のように冷たい。時に相手の弱点を正確に突く鋭い剣。時に荒々しくも繊細な剣。時にあえて隙を見せ、相手の行動を制限する剣。

たまに視界を覆うほどの大量の魔法の嵐を使ったり。

 

恐らく・・・貪欲なまでに力を求め自らを鍛えるのは妖夢殿の過去に関係しているのでは・・・私はそう思うのです。

 

でも、妖夢殿は優しく、賢明で、自らの力を決して自慢したりはしない謙虚な心の持ち主。戦闘では非常に頼りになり、でも普段は真面目さが空回りしたりする。

 

きっとそんな妖夢殿だからこそ胸に抱える感情も大きい筈・・・。思い詰めていたりしないでしょうか・・・。

 

「まぁ、大丈夫だろう。妖夢ならすぐに帰ってくる。俺の勘がそう言ってる」

 

タケミカヅチ様はそう言っているが顔は少し心配そうだ、タケミカヅチ様はなんだかんだ言って心配症なんです。

 

そんな時、玄関から誰かの声が聞こえてくる。それはうめき声の様なものであり、私の心配は妄想に変わる。

 

―もしかして、何か問題ごとに巻き込まれて怪我をしているのでは?!

 

だだだっ!と駆け出し玄関に直行する。そこに居たのは・・・。

 

「うぅーん・・・ヒックっ!・・・おひさひぶりでこざるぅ―」

 

猿だった。

 

「私の心配を返せええええぇえ!」

 

飛び蹴り、それは全力疾走から放つ究極の一撃(嘘)。いくら私の体重がそこまで重くないとはいえ150cmを超える物体が突撃してくれば当たったら人は吹き飛ぶ。

 

「んん?何のこぎゃあああああ!」

 

酔っていなければ避けられただろう。酔っていなければ。

 

ドカン!と玄関のドアと一緒に外に吹き飛んでいく猿、否、猿師。一体ドアに何の罪があったのだろう、日頃からこの家に入る人を出迎え、送り出す重要な役割を、ただただこなしていただけだというのに。

 

猿師は頭を振り苦笑しながら立ち上がる。

 

「・・・随分と激しい酔い覚ましでごザルなぁ〜、悪いのはどうやら拙者のようでごザルが。」

 

「おお!どうした、何しに来たんだ?」

 

タケミカヅチ様はどうやら久しぶりに会った知人に喜んでいる様子。

 

「これはこれはタケミカヅチ様、今日はコンバージョンの相談でごザルよ」

 

「お酒飲んだ帰りにですか?猿師殿・・・」

 

普通そんな人いませんよ?猿師殿はもう少し常識がある方かと思っていましたが・・・。

 

「申し訳ないでごザルなぁ〜、ディアンケヒト・ファミリアからの勧誘を断っていたらいつの間にか飲み屋に・・・ははっ!」

 

・・・・・・凄い人では有るんですけどね・・・。

 

「どうでごザルか、これから1杯」

 

・・・凄い人なんですよ?

 

 

 

 

 

 

 

(糞が・・・。俺が何をしたってんだ、ただ本当の事を言っただけだろうが。)

 

ベートは内心愚痴る

 

(雑魚はダンジョンなんかに潜らずに家で縮こまってりゃいいんだ。)

 

「ベート?大丈夫ですか?」

 

妖夢はベートの顔をのぞき込み安否を確認する。ベートはその刀身のような瞳をした妖夢に舌打ちをする。

 

(それにこのガキだ、馴れ馴れしい上に鬱陶しい。終いには俺の・・・・・・いや、何でもねぇ。・・・一応ポーションは効いたからな。)

 

「うるせぇ、見りゃわかんだろ」

 

突き放すように言葉を荒くする。しかしそれではこの少女を退かせるには足らないようだ。

 

「元気みたいですね、ポーションが効いてよかったです」

 

睨みつけても全く動じておらず、むしろニコニコと笑っていた。自分がした事に罪悪感はないらしい。

 

(ニコニコしやがって・・・わざとやってんじゃねぇだろうな?まぁいい。・・・そういやコイツ俺と戦いたいとか巫山戯たこと抜かしてなかったか?)

 

「おい、ガキ。さっき俺と戦いたいとか言ってなかったか?」

 

ベートがそう言うと妖夢の雰囲気が変わる。それはまるで抜き身の刀。チッ!とベート舌打ちをする。

 

「言いました。」

 

そう言う妖夢が放つ覇気は1級冒険者にも劣らない物だろう。

 

(どうしてこんなガキがこんな目をしやがる・・・。気に入らない。弱いくせに。子供のくせに。一体何があった、どんな事を経験すればそんな目が出来る・・・っ!)

 

「「「!?」」」

 

周りの人々が急に反応を示し、妖夢とベートの方に振り向く。

 

(・・・わざとか?)

 

「な、なんや?おいベート、何したん?」

 

「ああ?この馬鹿ロキ、俺がなにかした訳ねぇだろ。・・・戦いたいんだとさ、俺と。」

 

(コイツは馬鹿か?レベル2がレベル5の俺に勝てるわけねぇだろ。こんな雑魚を蹴っ飛ばしても何も変わらねぇ。)

 

「おいガキ、お前じゃ俺に勝てねぇよ、やめとけ怪我するぞ」

 

(ここで引かなかったら本当に馬鹿だな。引かなかったら1回実力の差を教えてやるか。)

 

「そうですね、私ではベートには勝てません。」

 

(は?何言ってんだこいつ、勝てませんじゃねぇんだよ。じゃあ何で戦いたいとか言ったんだ?)

 

「ですが・・・負けることもありません。」

 

「なに言ってやがる・・・。」

 

(どうやら本当に馬鹿らしい・・・、勝てないけど負けない?レベル2がレベル5に負けないって言いてぇのか?)

 

その会話を聞いたロキはすぅと目を開く。

 

「ふ〜ん。面白そうやないか・・・。でも待ってな妖夢たん、ここで戦う訳にはいかへんのや。ミアたんに怒られるで〜。怖いでぇー」

 

(ロキのやつ・・・何考えてやがる・・・。戦えってのか?)

 

「そうだよ、あたしは怖いからね。喧嘩がしたいなら余所でやってきな」

 

ロキとミアの言葉を聞いた妖夢の気配が元に戻る。それと同時に数人の冒険者がホッと一息ついたのがベートには音でわかった。

 

(・・・ハッ!雑魚どもがガキに気圧されてんじゃねぇよ・・・。そうだな、ロキの案に乗ってやるか、・・・明日明後日は特に予定もねぇしな。)

 

「明日か明後日だ」

 

「?」

 

ベートの言葉に妖夢は首を傾げる。

 

(何首を傾げてやがるんだコイツは・・・話の流れでわかるだろ・・・。)

 

「明日か明後日、俺達のホームに来い、そしたら遊んでやるよ、怖いなら来なくても良いけどな」

 

「!はい、わかりましたっ。では明日行きますね。・・・出来れば他の方とも手合わせを願いたいものです。では、私はこれで。主神が心配していると思うので」

 

といって足早に店から出ていった。

 

それにしても、とベートは思う。

 

「何もんだ・・・あのガキ・・・」

 

「なんというか・・・嵐のような子やったな・・・」

 

「ああ、そうだね。それにあの覇気。すごい子だ」

 

「そうじゃな。やはり子供はああでなきゃなぁ。うむうむ。」

 

「私もフィンに賛成だな、それとガレス、飲みすぎだ。お前の意見には賛成できん」

 

 

 

 

「あの子・・・私に似てる。」

 

そのつぶやきがベートには聞こえた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ただ今戻りました。・・・ん?命ー?タケー?・・・居ない・・・?」

 

あれー?おかしいなー。タケ達どこいったんだ?ま、まさか、俺がいない内に皆でご飯でも食べに行こうぜー!みたいな?oh…寂しい・・・寂しいが仕方ない。土産話は持ってきたし、帰ってきたら教えてあげよう。

 

「・・・・・・ご飯を食べに行ったのでしょう、せっかく土産話を持ってきたのに・・・。まぁいいです。」

 

少しションボリしながら明日の事を考える。ベートとの遊び(命懸け)が始まろうとしている。これは俺の目的でもあるがやはり少し怖い。今まで戦った事のある冒険者はレベル3が最大だった。どうにか勝つための戦術を考えねば・・・

 

「そうだ、まだまだ試していない技もある事ですし少し練習しましょう。明日はロキ・ファミリアで決闘ですから」

 

練習は大事だ!もう散々叩き込まれたからね、死にそうな思いもだいぶしたし。肋骨が折れた事とか両手じゃ数えきれないし・・・。そう言えば折れた、で思い出したけどさ、安っぽい刀じゃ色んなキャラクターの必殺技とか耐えられないんだよねー。燕返しが魔力消費無しだから使い勝手が良くてブンブン使いまくってたら刀身が射出されたんだよ、びっくりした。でも佐々木小次郎は刀身が射出されるような事無かったし、きっと何かコツがあるんだろ、まだまだ精進が必要だな。

 

「それにしても何で刀ってすぐ壊れるんでしょう・・・作り手の問題?・・・いや私の技量が無いせいか・・・。うーん、でも本気で技を使えないのは今後に支障が・・・デュランダルの刀が欲しいですね。一体幾ら位するのでしょうか」

 

デュランダルかーきっと高いんだろうなー300万ヴァリスとか?もっとか?まぁんな事より技だ技。

 

「まぁいいです。・・・最初は・・・龍巻とか?あ、一日一回しか使えない一刀修羅とか・・・そもそも使えますかね・・・これ。」

 

一刀修羅は使えないかもなー武器使った技じゃないし。試すにしても実験台が・・・お?そうじゃん、ベル君今ダンジョンで頑張ってるはずだ、まぁ、邪魔したら物語変わりそうだし上層で少し練習するだけにしよう。

 

「よし!行きますか!ってなんです?これは・・・置き手紙・・・タケの字ですね、なになに・・・・・・猿が来た?」

 

ファ?!まじか!猿きたか!え、なんで来たのさ・・・。てかタケ!お前まで猿呼びかよ!

 




大丈夫、お尻の傷も治ったさ、さっすがハイポーション!俺達に出来ねぇことを平然とやってのける!そこにシビれる憧れるぅ!!

次は戦闘・・・・・・しかし、これでいいのか?テンプレでいいのか?

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